女性活躍推進研修の目的や内容とは?企業が取り組むべき課題や研修カリキュラム例も紹介

「出産や子育てでキャリアアップをあきらめる人が多い。時短勤務、在宅勤務でもキャリア形成支援できる方法はないのだろうか・・・」
「女性管理職比率を上げたいが、リーターシップがとれる女性社員が少ない」

と悩まれている人事研修担当様は多いのではないでしょうか。

今回は、女性が活躍できる職場環境の整備、それに伴う全社員の意識改革などを進める「女性活躍推進研修」の目的・内容について解説します。

女性活躍推進研修の参加がすすめられる人、カリキュラム例にも触れています。

女性活躍推進研修をこれから導入する、または研修内容への迷いや疑問を抱えている人事研修担当者様、必見です。

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目次

女性活躍推進研修の目的とは

女性活躍推進研修を実施する目的は以下の通りです。

  • 女性の職業生活と家庭生活の両立を可能にする職場環境の整備
  • 男性優位になっている昇進、昇給の機会を性差なく、平等に与えるための職場慣行の見直し
  • 女性、男性社員の意識を変え、性による仕事分担、職級区別をなくす
  • 女性管理職、またはこれから管理職を目指す女性に、マネジメントスキルをつける
  • 育児、介護などのライフイベントに対応した働き方を提示して業務を効率化する

1.女性の職業生活と家庭生活の両立を可能にする職場環境の整備

女性職員が育児、介護などで通常業務が困難になった場合、時短勤務、リモートワークなどを心理的負担なく利用できるように各種制度の導入、制度改定を提案します。

また、育児休暇復帰前の人に向けて、eラーニングによる学習支援、リモートによる職場復帰支援研修など行うことで、育児休暇復帰前の不安を低減。前向きな気持ちで職場に戻れるようにサポートします。

時短勤務は周囲のサポートが必須。社内イントラネットを活用し、短時間勤務の人の業務内容を社内イントラネットで共有することを推奨することで、他社員への負担を分散させましょう。

2.男性優位になっている昇進、昇給の機会を性差なく、平等に与えるための職場慣行の見直し

男性管理職による女性部下への評価はともすると、性別による無意識な思い込みが入りがち。

業務の評価を男女の複数の職級、役職の職員が行うことで、給与査定に関わる業務評価の公正性を高めます。

さらに定例面談(月2回など)を推奨することで、業務内容、賃金、人間関係について所属長と気軽に話し合える関係性を築きます。

3.女性、男性社員の意識を変え、性による仕事分担、職級区別をなくす

今までの慣例による人事配置を見直します。

例えば、受付業務に男性社員を就かせたり、設計部門に女性社員を配属したりするなど、従来の性による仕事分担にとらわれない人材マネジメントを試みることです。

男性社員にも育児・介護休暇、配偶者の出産による有給休暇取得も当然の権利であることを啓蒙。男性社員が子育てのために休む男性社員が増えれば、女性の働き方もより柔軟になるはずです。

4.女性管理職、またはこれから管理職を目指す女性に、マネジメントスキルをつける

職務能力、意識が高い女性に向けて、昇進試験や社内研修を受けるように促すことでモチベーションアップを図ります。

そして管理職の女性を対象に、社外講師によるアクティブリスニング、マーケティング等の研修を行い、テクニカルスキルやリーダシップを高めていきます。

5.育児、介護などのライフイベントに対応した働き方を提示して業務を効率化する

勤務時間の制約により、第一線での活躍をあきらめている女性も多いです。

勤務地限定、短時間勤務、フレックスタイム制など、育児や介護と両立できる働き方を上司に申し出ることを勧めます。

スキル・キャリアアップのモチベーションを高めるために、子育て中の女性管理職との座談会を行うのも良いですね。

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女性活躍推進研修の一般的な内容

女性活躍推進研修の内容とはどのようなものでしょうか?研修会社で一般的に実施されている内容は以下の通りです。

  • キャリア形成研修
  • 育休復帰後のタイムマネジメント研修
  • コミュニケーション研修
  • プレゼンテーション研修
  • 女性管理職向けリーダーシップ研修

キャリア形成研修

新入社員から管理職まで、それぞれのポジションに応じた悩みや迷いがあるでしょう。

以下のような悩みはよく聞かれるものです。

  • 若手社員で目の前の仕事をこなすことで精一杯
  • 育休復帰後の時短勤務では、キャリアアップが難しい
  • チームリーダーに抜擢されたが、親の介護もあるので両立できるか不安

ライフステージや職位の変化によって、働きづらさを感じる女性たちに、未来を見据えた「キャリア形成プラン」を提案。

時短勤務でも組織に貢献できるスキル、資格の紹介や、育児をしている女性管理職の経験談を聞くことでキャリア意欲向上を狙います。

10年後、20年後の理想のキャリアに近づくためには、身につけるべきスキルを明確にすることです。取り組むべき課題が見えることで、仕事のモチベーションもアップ!

育休復帰後のタイムマネジメント研修

在宅、時短で働く場合、時間の制約がある分、業務効率を高めて業務に望まなくてはなりません。

仕事の優先順位のつけ方、非効率な作業の洗い出し、他社員の不公平感をなくすコミュニケーションの取り方などを学ぶことで、業務時間内に最大限の成果を出すことを目指します。

コミュニケーション研修

子育てや介護と両立しながら、キャリアを積むには周囲の理解と協力が欠かせません。

急な早退・欠勤が避けられない育児・介護中の方が、他社員・上司と信頼関係を築くためのコミュニケーション術を紹介します。

周囲の理解と協力が得られる取り組みは以下の通り。

  • 新人研修やメンター制度の講師をして、人材育成に協力する
  • 通常勤務をしている社員が不公平感を持たないように、重責のある仕事も可能な限り引き受ける

プレゼンテーション研修

論理的で、アピール力の高い話し方を学びます。

短時間で相手に伝わるプレゼンテーション構成、視覚に訴える資料の作り方、好感を持たれる話し方などをレクチャー。

管理職の方、管理職を目指す方だけではなく、一般社員の方もプレゼンテーション能力を高めておくことで、キャリアアップの機会が増えるでしょう。

女性管理職向けリーダーシップ研修

「リーダー」としての役割を学び、性別を意識し過ぎないように促します。

男性部下の割合が多い時のコミュニケーション方法、自分が退社後の部下への仕事の振り分け方などを知ることで、管理スキルを高めます。

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女性活躍推進研修はどんな人におすすめ?

女性活躍推進研修を受けて欲しい人は、女性に限りません。

女性活躍推進研修をおすすめするのは以下のような人たちです。

  • 入社3年目までの若手社員
  • 育休明けの職場復帰をスムーズにしたい人
  • 管理職、または管理職を目指す人
  • 女性管理職を育成したい男性管理職の人

入社3年目までの若手社員

毎日の業務をこなすだけで精一杯の方が多いかと思います。

今担当している業務の意義を学ぶことで、これからスキルアップすべきことが明確になります。

また、今後得られるキャリアと報酬について具体的にイメージすることで、ライフイベントと連携した働き方に気づけるはずです。

若手社員の管理職昇進意欲向上を狙うなら、女性管理職の先輩との座談会など、実体験が聞ける研修が良いでしょう。

育休明けの職場復帰をスムーズにしたい人

仕事から離れていた期間が長い程、職場復帰への不安は強くなる傾向があります。

下記のように感じる方も多いでしょう。

  • 休暇中に組織内で異動があり、新たな人間関係が構築できるか不安
  • 長期休みによる資料作成、プレゼンテーション等のスキルダウンの懸念
  • 後輩や同僚にフォローしてもらうのが苦手なので、時短勤務で業務をこなせるか心配

余裕を持って復帰できるように、職務遂行力やコミュニケーション能力を向上させるための研修、eラーニング研修がおすすめです。

管理職、または管理職を目指す人

これまで管理職が男性メインだった組織では、女性の管理職のロールモデルが少ないため、管理スキルや働き方に不安を感じる女性管理職(または目指す人)の方は多いです。

以下のようなマネジメントスキルを学ぶことで、リーダーの資質を高めましょう。

  • 業務の効率アップにつながる部下への仕事の任せ方
  • 組織内の人間関係を円滑にする傾聴力の基本
  • ヒューマンエラーを最小限に抑える日常業務の管理体制の強化などを学ぶことで、性別を超えたリーダーとしての資質を身につける

女性管理職を育成したい男性管理職の人

「女性管理職を増やしたいが、前例が少なく、女性リーダーの育て方に悩んでいる」男性管理職の方にも女性活躍推進研修はおすすめです。

以下の内容を学ぶことで、育児と仕事の両立への悩みが低減されます。業務に集中できることで、昇進意欲を持つ女性が増えることでしょう。

  • ライフイベントに左右されず、女性が現在のキャリアを維持するための職場環境の整え方
  • 能力よりワンランク上の業務の依頼で女性部下のコーチング、マネジメント、プレゼンテーション能力をアップ!
  • 女性社員の心理的負担を軽減する「子育てや介護と仕事の両立が叶う働き方例」
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女性活躍推進研修のカリキュラム例

育児休業復帰サポート研修の一例をご紹介いたします。

育児休暇がまもなく終わる、復帰直前の人が受講するカリキュラムです。

①育児休業復帰後の不安を解消するために

  • 今までのスキル、キャリアを振り返ることで自己効力感を高める
  • 今後の組織内での役割や、会社側が期待しているスキルを把握する(上司、人事担当者との面談を勧める)
  • 社内イントラネットで職場の今を知る

②家庭内での役割分担を見直そう

  • 背負いこみ過ぎない!パートナーと家事育児を分担する際のポイントを知る
  • 家族の家事スキルを高めるために、役割を固定し過ぎないことを推奨する
  • 育児と仕事の両立のための家事の優先順位のつけ方を学ぶ

③今後の人生計画からキャリアプランを考える

  • ライフイベントによる働き方の変化、子どもの成長に伴う出費の増加等を考慮したライフプランの作成
  • 10年後、20年後に望むキャリアを具体的に書き出し、これから取るべき資格や身につけるべきスキルを明確にする
  • 将来リーダー職を目指している人は、その意向を臆せず上司に伝えることを促す

④育休復帰後に管理職になった事例から学ぶ

  • 時短勤務、フレックスタイム制で働いた際の経験談を聞く
  • 限られた時間で、周囲が認める結果を出すために何をしてきたかを具体的に教えてもらう
  • 時短勤務、フレックスタイム制で働いた際の経験談をしてもらう
  • これから復帰する人、復帰直後の人と管理職でディスカッションする

⑤復帰後の同僚・上司とのコミュニケーションの取り方

  • サポートしてくれる上司、同僚への感謝の気持ちの表し方をレクチャーする
  • 急な欠勤、早退に備えた仕事の進捗状況を同僚に伝える資料の作成例の紹介
  • 育児による時短勤務を非難する人への対処法をアドバイス

⑥時短勤務でもできるスキルアップの提案

  • 「相談力」、「周囲を巻き込む力」の高め方を学ぶ
  • 日単位、週単位の目標を定めてPDCAサイクルを体得する
  • スキルアップ&上司へのアピールにつながる、オンライン社内研修・資格取得支援講習の紹介

⑦ワーキングマザーであることを強みに

  • 子育てと仕事の両立は、後進の女性の目標や励みとなることを伝える
  • 同僚を信頼し、サポートし合うことで、お互いの担当業務の幅を広げることを勧める
  • 短時間で処理能力を高めることは、組織全体の利益。自信を持って働くよう励ます
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女性の活躍推進が求められる背景とは?

少子高齢化が進み、将来の労働力需給調整が喫緊の課題となっている日本社会。

国立社会保障・人口問題研究所による令和5年度の発表によると、2067年には人口が9000万人を割り、2070年には65歳以上の割合が42%と推計されました。

政府が女性の活躍推進をする背景には「男性よりも低い就業率の女性の労働参加を奨励することで、経済の再生と生産年齢人口の増加を促進する」ことがあげられます。

そのためには妊娠、出産、育児へのサポート体制の充実、女性の職域拡大、管理職の女性比率を上げるなど、企業側の取組、支援が必要。

近年、管理職候補の女性へのマネジメント研修、昇進試験受験の奨励など、女性のキャリア意欲を高める取組をしている企業が増えています。

しかし一方で、性的役割分業が根強く残る企業も少なくありません。

厚生労働省の令和4年度の「雇用均等基本調査」によると女性管理職の割合は、部長相当職8.0%、課長相当職 11.6% 、係長相当職では 18.7%にとどまっています。

女性の管理職登用はスムーズとは言えないようです。

引用:男女共同参画局「女性就業率の推移」
引用:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」

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女性活躍推進で企業が取り組むべき課題

女性就業率は長期的に増加傾向にあるものの、出産育児を理由に勤務体系や職務の変更を余儀なくされ、退職するケースは少なくありません。

女性活躍推進のために企業が取り組むべき課題は以下の3つです。

  • 家庭と仕事の両立しやすい職場環境の整備
  • 女性の仕事への意欲、昇進意欲を伸ばす
  • リーダー職となれる能力、知識、経験のある女性を増やす

家庭と仕事の両立しやすい職場環境の整備

引用:「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査),P85」

令和3年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査),P85」によると、第一子出産後の継続就業者の割合が年々増加してる傾向が見られました。

第 一子出生年 2010~2014 年・57.7%から、2015~2019 年・69.5%と大幅に就業継続率が上昇しています。

出産を機に退職する理由としてよく聞かれるのが、「残業が多く、子育てと両立させることが難しい」、「突発的な欠勤、早退を受け入れる雰囲気が組織にない」というものです。

企業側が仕事と子育ての両立ができるフレキシブルな勤務制度を設け、管理職から働き方を変えることが、継続就業率アップにつながります。

女性の仕事への意欲、昇進意欲を伸ばす

引用:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」,P8

厚生労働省が令和4年に行った「令和4年度雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上の女性の割合は 12.7%。令和3年12.3%より 0.4 ポイント上昇しています。

また労働政策研究・研修機構が令和5年に公表した「国際労働比較」によると、日本の管理職の女性割合は13.2%で、アメリカ41.4%、イギリス36.5%などの欧米諸国と比べてかなり低い水準です。

性別による職域差別をなくし、能力のある女性に昇進試験、研修の機会を積極的に与えることが女性の就業意欲を高めます。

リーダー職となれる能力、知識、経験のある女性を増やす

出産、育児による労働時間の制約によって、スキルアップをあきらめたり、男性に劣等感を感じたりする女性は少なくありません。

企業側が、「急な欠勤があるから社外プレゼンは任せない」、「出張を伴う仕事は男性社員メインで」などと、女性の職務範囲を許可なく狭めていることも要因でしょう。

入社時から男女で職務を区別せずに任せることが、統率力・指導力を育みます。

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女性活躍推進研修まとめ

女性活躍推進研修は女性の働き方を見直すことで、組織全体の業務効率が上がります。

女性活躍推進研修を導入するメリットは以下の通り。

  • ライフイベントに応じた働き方を学ぶことで、女性の就業継続を促進
  • 育児、介護休業復帰後の不安感の払拭
  • 自己効力感、昇進意欲を高めることでスキルアップ、キャリアアップへつなげる
  • 思い込みによる性による職域差別をなくす

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