「ハラスメント予防を実施しているけれど、あまり従業員に響いていないようだ…」
「何度注意しても、同じような発言で嫌な思いをさせる役員がいる…」
上記のような悩みがある場合、もしかしたらアンコンシャスバイアス(無意識な思い込み)が原因かもしれません。
アンコンシャスバイアスがあることで、会社の生産性が落ちるだけでなく、ハラスメントにもつながる可能性があります。
そこで当コラムでは、アンコンシャスバイアス研修の目的や効果、研修を取り入れるべき企業について徹底解説します。
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目次
アンコンシャスバイアス研修とは
アンコンシャスバイアス研修とは、アンコンシャスバイアスについて正しい知識を学ぶことで、自身のバイアスに気が付くきっかけを与える研修のことを指します。
アンコンシャスバイアスとは、自身が気付かないうちに芽生えている無意識な思い込みのことをいいます。
アンコンシャスバイアスがあることにより、従業員同士の認識に隔たりが生まれてハラスメントに発展する可能性があります。
例えば、「重要な商談は男性が行うべきであり、女性はお茶くみをすればよい」などといったアンコンシャスバイアスがセクハラに発展するかもしれません。
出典:内閣府『無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)事例集 』
上記のようなハラスメントは、ハラスメント加害者が無意識であることがポイントです。
無意識でいる限り、ハラスメントは繰り返されてしまうでしょう。
そこで、職場で起きやすいバイアスシーンとその傾向を研修という形で共有すると、従業員が自分自身で対処できるようになります。
アンコンシャスバイアス研修を企業で取り組む目的と求められる背景
アンコンシャスバイアス研修は現代社会に非常に重要である理由には、以下のような背景があります。
- ダイバーシティの促進
- 働き方改革
- 労働人口の減少
上記のような現代社会に即した企業作りが求められる中で、アンコンシャスバイアスへの対策が必須とされています。
そして、企業がアンコンシャスバイアス研修を行う目的は従業員個人がバイアスに気づき対処できるようにするためです。
では詳細を解説します。
アンコンシャスバイアス研修が求められる背景
アンコンシャスバイアスという言葉が浸透し始めたのは2010年以降です。
GoogleやFacebookなどのIT企業がさまざまな人種や背景を持つ従業員をみているうちに、意識の偏りがあると気づいたのがきっかけといわれています。
また、日本でも「結婚したら女性は退職」「転職が多いやつに重要な仕事を任せてはいけない」などという考えで、貴重な人材を失ってしまうことが問題視されています。
そして現在は、さらに以下の要因でアンコンシャスバイアス研修が必要となっています。
- ダイバーシティ(多様性)の尊重
- 働き方改革
- 労働人口の減少
ダイバーシティを促進していく上で、バイアスの排除は急務です。
バイアスの放置にともなって不当な扱いをしていては、現代社会に即していないと判断されるでしょう。
さらに働き方改革で残業をしない効率的な運営が必要となっており、労働人口の減少で働き手も少ないです。
そのような状況で、バイアスにより不快な思いをする従業員がいると生産性が下がり、最悪の場合は離職という可能性もあります。
このような理由から、アンコンシャスバイアス研修は今ではさまざまな企業で導入されており、社員をマネジメントするには必須の課題として位置付けられています。
アンコンシャスバイアス研修を企業で取り組む目的
アンコンシャスバイアス研修を企業で取り組む目的は、従業員全員が「無意識の差別」に気が付くようにすることです。
そして、気づくだけでなく、正しい対処法を身につけられるようにすることが重要です。
アンコンシャスバイアスに気づき、個人で改善できるようになると社内のコミュニケーションが円滑になります。
その結果、以下のような効果があらわれます。
- 職場のマネジメント向上
- 生産性の向上による業績向上
- 多様性を重視した現代への対応
- 従業員がストレスを感じにくい職場作り
- 従業員の離職や休職の減少による採用コスト削減
上記の課題は、会社の規模に関わらず頭を抱える経営者や組織のトップが多いのではないでしょうか。
一見、業績や採用コストなど、無意識の差別とは関係なさそうに感じるかもしれません。
しかし、従業員が心理的に安全な職場で働き続けることは、個人の生産性の向上につながり、やりがいにも直結します。
その結果、ストレスなく働く従業員が増えて企業の業績や離職率低下が起こるため、企業の成長をのぞめます。
アンコンシャスバイアス研修の効果は?味の素の事例をもとに解説
アンコンシャスバイアス研修に取り組むメリットや効果には、「自分主体でダイバーシティや社内の空気の変化を考えられる」ということがあります。
味の素株式会社では、2018年より本格的にアンコンシャスバイアス研修を始めました。
その結果、以下のような効果を感じたとのことです。
- 自社には関係ないと感じていた多様性についての理解が進んだ
- 役員とオンラインで関わることの壁がなくなった
- 今まで気づいていなかったバイアスに気がつくことができた
出典:「アンコンシャスバイアス」を知る研修が、社内の空気を変えていく——味の素の小池氏に聞く、ダイバーシティを「自分ごと」にする方法
また、日本特有の問題点にも気づくことができました。
日本では先回りして配慮することを美徳としています。
たとえば、「子育て中の従業員は家庭でも大変だろうから、仕事を少なくしておこう」などといった、相手を気遣う行動です。
しかしそのような配慮も、相手は「子育て中の女性は仕事ができないと思われているのかも…」と感じる可能性があります。
よかれと思った行動によるトラブルを予防するためにも、人事や社員の判断に個人の尊重を取り入れる必要があります。
「知らなかった」という理由で生まれる問題の予防に、アンコンシャスバイアス研修は効果的です。
アンコンシャスバイアス研修の内容と企業で取り組む際のポイント
アンコンシャスバイアス研修を実施する際は、自社の働き方に取り入れやすい方法で導入しましょう。
そこで注意したい点としては、講義を聞くだけでは研修の効果が薄まる可能性が高いということです。
具体的には、アンコンシャスバイアスを①知る⇒②自身の中にあるものだと気づく⇒③具体的対策を講じることがポイントです。
また、企業でアンコンシャスバイアス研修に取り組む際には、「自分がバイアスを持っている」という認識で研修を受けることが非常に重要です。
研修の内容
アンコンシャスバイアス研修に決まった方法はなく、自社に合わせて決めましょう。
まず、実施方法は主に以下の3つがあります。
- 動画講義の試聴
- 対面での講義の受講
- グループワーク
ここで大切なのは、講義の試聴のみでは全ての従業員の理解を深めることは難しいという点です。
アウトプットすることで、自身のバイアスに気づくことができます。
さらに、他者のアウトプットにより、お互いのバイアスを知るチャンスにもなります。
アンコンシャスバイアス研修の内容は、以下の目的を踏まえての検討が必要です。
- 自身のバイアスに気づく
- バイアスの対処法を身につける
- 他者やチームのバイアスについて考えることができる
- チームや企業がよりよくなるような発想を磨くことができる
ここで重要なことは、バイアスに気づいた後に行動レベルで落とし込めるかどうかです。
歴史のある企業であれば、長年培ってきた社風などを変えることは困難かもしれません。
その場合はいくら研修しても「うちの会社は昔からこうだからな」で終わってしまう可能性があります。
そうならないためにも、従業員全体で行動レベルに落とし込めるような研修を実施すると、アンコンシャスバイアス研修はより効果的になります。
研修に取り組む際のポイント3つ
アンコンシャスバイアス研修に取り組む際には以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 自分のことと思って取り組む
- 自分もバイアスがあるという前提にたつ
- 軽微な発言でも社会を左右するという認識をもつ
そもそも、アンコンシャスバイアス研修は「無自覚な差別」を生まないための研修です。
「無自覚」なため、研修を受ける前の従業員の多くは「自分は差別なんてしていない」と思い込んでいることが多いです。
このように自分は関係ないと思っていると、せっかく研修を実施しても内容が頭に入りにくくなってしまいます。
そこで、アンコンシャスバイアス研修を導入して取り組む際には、まず自分のこととして従業員に考えさせる機会を与えましょう。
自分ごととして捉えてもらうポイントは、シチュエーションを具体的にイメージできるような呼びかけを行うことです。
たとえば以下のような呼びかけです。
- A型と聞いて几帳面なイメージがありませんか?
- 単身赴任と聞いて、男性をイメージしませんか?
- 男性の日傘に違和感を感じますか?
研修を始めるにあたり、上記のような実体験で起こりそうなことを提示します。
従業員に「自分のことだ!」と感じさせることで、研修を受け入れやすくなります。
そして、自分にとっては軽微な発言が、相手を傷つけたり、会社全体の風紀を左右するという事実を伝えることが大切です。
アンコンシャスバイアス研修を受講すべき企業とは
業績を向上させたい企業すべてにアンコンシャスバイアス研修の受講をおすすめします。
例えば、自社の従業員に対して以下のような思いを持っている場合は、アンコンシャスバイアス研修の受講で業績の向上が見込めます。
- 従業員の生産性を向上させたい
- 外国人や女性がイキイキと働けるようにしたい
- 従業員の仕事中のストレスを少しでも減らしたい
- 従業員同士のコミュニケーションを円滑にしたい
- 会社に新しいアイデアや企画を積極的に取り入れたい
上記のような変化を起こすためには、まず従業員の意識改革から進める必要があり、それには無意識の部分を認識するアンコンシャスバイアス研修は理想的なのです。
従業員の生産性を向上させたい
バイアスによる余計なストレスを無くし、仕事に専念できる環境を作ることで生産性の向上が見込めます。
2012年の調査によると、労働者の60%がストレスを抱えながら仕事をしているという事実が判明しました。
出典:厚労省『こころの耳(1)ストレスの現状』
全てのストレスを除去することは難しいかもしれませんが、アンコンシャスバイアス研修により、無自覚に誰かを傷つける事態は回避できます。
外国人や女性がイキイキと働けるようにしたい
ダイバーシティの推進により、女性の社会進出を目指す企業が増えています。
また、労働人口の減少や優秀な人材の確保のために外国人を雇用する企業も多くなりました。
しかし、形式上の女性管理職の数や外国人比率だけでは本当に活躍しているかどうかはわかりません。
アンコンシャスバイアス研修により、「女性は出張にいけない」「外国人はやることが雑」などといったバイアスを取り除くことが必要です。
その結果、本当の意味でのダイバーシティが促進されます。
従業員の仕事中のストレスを少しでも減らしたい
バイアスによる発言は、言った方は覚えていなくても、言われた方は長いあいだ気にすることが珍しくありません。
また同じようなことを言われてしまうのではないかと心配で、仕事の生産性も低下してしまいます。
より仕事に集中できる環境を作るためにも、アンコンシャスバイアス研修は効果を発揮します。
従業員同士のコミュニケーションを円滑にしたい
アンコンシャスバイアス研修により、自身のバイアスに気づくことで従業員同士の思いやりが生まれます。
その結果、コミュニケーションに対するハードルが下がり、活発な意見交換が可能になります。
とくに、テレワークなどでコミュニケーション機会が減っている企業は、従業員同士が気兼ねなく発言できるような働きかけが急務です。
会社に新しいアイデアや企画を積極的に取り入れたい
バイアスにより無意識のうちに昔の社風にのっとった判断をしているということは、珍しくありません。
そこで、アンコンシャスバイアス研修によりバイアスを認識できるので、積極的に新しいアイデアを受け入れやすくなります。
とくに現代では、会社の衰退が激しく、いまは業績が伸びていても3年後にはどうなるかわかりません。
そこで、早期にバイアスを取り除くことで、さまざまな従業員の意見を取り入れやすくなり、時代に即した企業の成長が見込めます。
迷ったらアガルートのハラスメント研修へ
アンコンシャスバイアスは、そもそも無意識下で起こるものなので自然に解決するのは非常に困難です。
そこで、アンコンシャスバイアス研修を取り入れることで、従業員が自身のバイアスに気がつき、対処することが可能になります。
従業員がバイアスに気づくことで、会社としての生産性の向上や業績向上につながります。
さらにハラスメント予防にもなることで、会社としての信頼も得られるでしょう。
しかし、アンコンシャスバイアス研修はまだ一般的でなく、自社でどのように実施したらよいか悩むと思います。
そこで、アガルートのハラスメント研修を導入してみるのはいかがでしょうか?
アンコンシャスバイアス研修も含まれており、ハラスメント予防と並行して効果を発揮します。
アガルートの研修の特徴は以下の2点です。
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