「ハラスメントハラスメントってなに?」
「部下にパワハラと言われそうで、うかつに注意できない…」
「ハラスメントハラスメントの具体例が知りたい…」
ハラスメントハラスメントという言葉をご存じでしょうか?
部下などがハラスメントに対して過剰になっており、些細なことで「それパワハラですよ」などと主張する行為がハラスメントハラスメント(ハラハラ)です。
パワハラなどのハラスメントに対して従業員に注意を呼びかける組織が増えました。
その一方で、ハラスメントハラスメントに悩む上司も増えています。当コラムではハラスメントハラスメントの具体例や対策について解説します。
ハラスメントハラスメントを放置すると、企業の成長を大きく阻害する可能性もあり、早期の対策が必要です。ぜひ組織づくりの参考にしてください。
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目次
ハラスメント・ハラスメントの定義とは?簡単に言うとどういう意味?
ハラスメントハラスメントとは、自身が感じる不快な思いに対して過剰に「ハラスメントだ」と主張する行為のことです。
部下が上司に対して「なんかやだな」と感じた際に「パワハラですよ」と脅すような行為がハラスメントハラスメントにあたります。
とくに以下の場合に発生確率が高くなる傾向にあります。
- 部下に注意や指導をした
- 休日に関することををたずねた
上司が必要な注意や指導をした際に、部下が不快に思うとパワハラを主張しかねません。
さらに、子供の体調不良等で急に休んだ従業員に対して「子供の様子はどう?」とたずねただけでハラスメントを主張するケースもあります。
子供の様子をたずねることが「個の侵害」であるとしてハラスメントを訴えるのです。
あくまで上記は一例です。
ハラスメントハラスメントとは、過剰なハラスメント主張で嫌がらせをする行為全般をいいます。似たようなハラスメントにカスタマーハラスメント(カスハラ)があります。
一緒に目を通しておきましょう。
関連コラム:https://www.agaroot.jp/corporation/column/customer-harassment/
ハラスメント・ハラスメントが起こる原因とは?
ハラスメントハラスメントが起きる原因は大きく以下の5つに分かれます。
- ハラスメントがメディアに取り上げられている背景
- ハラスメントリテラシーの高まり
- ハラスメントの判断基準がグレー
- 高い目標設定
- 従業員のセルフケア不足
ハラスメントリテラシーが向上しており、企業も従業員も敏感になっています。
その結果、ハラスメントハラスメントが起きてしまうのです。
ハラスメントがメディアに取り上げられている背景
ハラスメントがメディアに大きく取り上げられることにより、従業員もハラスメントに対して敏感になっているとハラスメントハラスメントが起こりやすいです。
2020年の以下の法改正以降、メディアによるハラスメントへの注目度も高まり、企業も対策を強化してきました。
- 労働施策総合推進法
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
そしてハラスメント対策は企業の義務となりました。ハラスメント対策をせずに問題を起こす企業はメディアがこぞって取り上げたのです。
それに便乗する形で、従業員もハラスメント被害を訴えやすくなりました。
正当なハラスメント被害を主張するなら良いのですが、度が過ぎるとハラスメントハラスメントになります。
ハラスメントリテラシーの高まり
ハラスメントリテラシーが高まっていると、ハラスメントハラスメントを招きます。以前は気にしなかった言動も、現代では「これはハラスメント?」と感じる可能性があります。
たとえば「前に教えなかったっけ?」という発言です。ハラスメントという言葉が一般的になる前は日常で使われていたことでしょう。
しかし今はパワハラと感じる従業員もいる可能性があります。
リテラシーが高まってハラスメント予防が進むのは良いことですが、敏感になり過ぎるとハラスメントハラスメントが起こります。
ハラスメントの判断基準がグレー
ハラスメントハラスメントが起こる原因に、ハラスメントの判断基準が明確ではないことが挙げられます。
従業員ごとにハラスメントの基準が異なると、ハラスメントを過度に主張したり、恐れたりしてしまいます。部下は「自分が不快ならハラスメント」と思うことで、適切な指導や助言もハラスメントと捉えてしまうかもしれません。
逆に上司はハラスメントハラスメントを恐れて、部下への関わりを希薄にしてしまう可能性があります。
高い目標設定
企業としての実績や売り上げの目標が高いと、従業員はそれだけで疲弊してしまいます。
そして普通の指示や指導をしているだけで「ハラスメントだ」と訴えて、ハラスメントハラスメントになるかもしれません。
従業員が過度にプレッシャーを感じると、少しの注意や指摘もハラスメントと感じてしまうからです。
適度なプレッシャーや目標設定は必要ですが、従業員が不快にならない基準設定が必要です。
従業員のセルフケア不足
ハラスメントハラスメントを訴える従業員は、そもそもメンタル不調を抱えている可能性があります。メンタル不調が続いていると、適切な指導や助言でも不快と感じてしまうかもしれません。
少しでも不快と感じた場合に「自分はハラスメントを受けた」と訴えて、ハラスメントハラスメントになります。
従業員のストレスへのセルフケアや職場としてのメンタルヘルスケアを行って、心身ともに健康で働ける職場づくりをしましょう。
ハラスメント・ハラスメントとなる職場での発言や行為の具体例10選
ハラスメントハラスメントの具体例を10個あげます。
- 過度な指摘
- 名指しでの批判
- 嘘偽りの噂を立てる
- 過度な監視
- ハラスメントをでっちあげる
- ハラスメントの定義の拡大
- 報復行為
- ハラスメント教育の強要
- ハラスメントのジョーク
ハラスメントハラスメントの加害者は軽い気持ちで上記の言動をするかもしれません。
しかし、ハラスメントハラスメントは確実に職場の風紀を乱して企業の成長を妨げます。被害が大きくなる前にハラスメントハラスメントが起きていないか確認し、健全な職場作りを進めましょう。
過度な指摘
業務上必要な会話ややりとりも「ハラスメントに当たる」と過度に指摘すると、ハラスメントハラスメントとなります。
- 進捗はどう?
- ここを直してほしい
- もう少し丁寧に仕事をしてほしい
上記のようなやりとりは上司として当然の言動です。
しかし、不快に感じてハラスメントだと主張するケースがあります。その場合はハラスメントハラスメントにあたります。
名指しでの非難
ハラスメントを受けたとして、特定の個人を名指しで非難することもハラスメントハラスメントです。
仕事をしていると、性格が合わないと感じる従業員は誰にでもいます。
嫌いな相手に対して「あの人にハラスメントを受けた」と名指しで避難するのはやりすぎといえるでしょう。
根拠なく名指しで非難する行為はハラスメントハラスメントに該当します。
嘘偽りの噂を立てる
ハラスメントに対して過剰に主張する従業員がいると、誤ったハラスメントの認識を広める可能性があります。
誤った噂でも広まってしまえば「あの人はハラスメントをする」というイメージが定着します。
ハラスメントハラスメントは、当事者の被害だけでなく職場全体のハラスメント知識を変えてしまうかもしれません。
過度な監視
ハラスメントハラスメントを起こす従業員は、過度に上司の会話や行動を見張る傾向にあります。
ハラスメント予防の名目で私的な会話等を監視する行為は、常識を逸脱しておりハラスメントハラスメントに該当します。
いかなる理由があっても、プライバシーの侵害は許されません。
ハラスメントをでっちあげる
具体的な証拠や根拠がないのに、無実の人をハラスメントの加害者として疑う行為はハラスメントハラスメントに該当します。
ハラスメントは当事者が「不快だ」と感じたら訴えて良いというイメージをもつ従業員もいます。
しかし、具体的な証拠や根拠なく「不快だからハラスメントになるだろう」という主張は通りません。
ハラスメントの定義の拡大
ハラスメントの定義を自分なりの解釈で過度に広げ、通常のコミュニケーションもハラスメントとして扱うとハラスメントハラスメントになります。
たとえば、遅刻した従業員に対して大声で怒鳴りつけたり、罵倒すればパワハラになるでしょう。
しかし、個別に冷静に注意した場合でも「怒られたからパワハラじゃないか!」と主張すると、定義の解釈が広過ぎるといえます。
報復行為
一方でハラスメントを指摘されたことに対して、報復的することもハラスメントハラスメントに当たります。
ハラスメントの指摘に対する報復行為は、さらなる職場環境の悪化を招きます。
ハラスメントが起こった場合は、個人で解決するのではなく組織の仕組みから見直すようにしましょう。
また、報復行為が起きないようなプライバシー保護も必要です。
ハラスメント教育の強要
ハラスメントに関する教育を過度に強要し、従業員の自由やプライバシーを侵害することもハラスメントハラスメントといえます。
たとえば、上司に対して「今の時代のハラスメントは昔と違います。しっかり勉強してください。」などと強要する行為です。
組織に応じた適切な研修は必要ですが、度を過ぎるとハラスメントハラスメントになるので注意しましょう。
ハラスメントのジョーク
以下のようにハラスメントを題材にしたジョークや皮肉を繰り返し言うとハラスメントハラスメントにあたります。
- それってパワハラになりますよ?
- 課長はパワハラ気質ですからね
言っている人は軽い気持ちでも、言われた方は「本当にハラスメントになるのだろうか?」と心配になるでしょう。
ハラスメントは、個人の感じ方が大きく関わるため、ジョークのネタにするのは控えた方が懸命です。
過度な介入
ハラスメントの疑いがある場面に過度に介入し、当事者の意向や立場を考えない行為もハラスメントハラスメントにあたります。
ハラスメント当事者への取り扱いは、プライバシーや立場に対して繊細な配慮が欠かせません。
ハラスメント対策担当者や関係者以外の人が騒ぎ立てて、事態を大きくしないようにしましょう。
ハラスメント・ハラスメントを規制する法律はある?
ハラスメントハラスメントを直接規制する法律は、日本には存在しません。
そのため、個々のケース別に対応する必要があります。
【ハラスメントハラスメントで健康被害が出ているケース】
労働基準法や労働契約法に基づいて考えます。
ハラスメントハラスメントによってメンタル不調などが生じている場合に、配置転換など適切な対処がされないと安全配慮義務違反になる可能性があります。
ハラスメントハラスメントで悩む場合は、まず職場環境の改善に努めましょう。
それでも企業側の対処が不十分とされれば、労働基準法や労働契約法に抵触する可能性があります。
【性や育児・介護におけるハラスメントハラスメント】
セクハラを禁止する法律に男女雇用機会均等法があります。
また、マタハラ等を禁止する法律は育児・介護休業法で定められています。
セクハラやマタハラに関わるハラスメントハラスメントは上記の法律に関わるかもしれません。
たとえば以下のような場合です。
- 管理職が育児短時間勤務だから部下に仕事を押し付けてパワハラだ
- 女性管理職だから指導の仕方が陰湿でパワハラじゃないか
このようにハラスメントハラスメントは、複雑な背景から生まれている可能性があります。
直接関与する法律はありませんが、ケース別に該当する法律に抵触しないか検討しましょう。
ハラスメント・ハラスメントに対して企業がすべき防止対策とは
ハラスメントハラスメントを予防するためには以下の5つのステップで考えましょう。
- 基本的なハラスメント対策を徹底する
- 客観的な証拠を確保する
- 安易に謝罪しない
- ハラスメントハラスメントの基準を明確にする
- 従業員のメンタルケアを行う
まずは従業員に適切な研修を行ってハラスメントの知識をつけましょう。
その後ハラスメントハラスメント特有の予防を行うと効果的です。
基本的なハラスメント対策を徹底する
まずは基本的なハラスメント対策を徹底します。
- ハラスメント研修
- ハラスメント相談窓口の有効活用
- ハラスメント再発予防
上記3点を行うと、ハラスメントハラスメントを含んださまざまなハラスメント予防が可能です。
さらに、ハラスメントハラスメントは「ハラスメントの判断基準が明確ではないこと」も原因のひとつとなっています。
まずは従業員の中でハラスメントの共通認識を作るところから始めましょう。
客観的な証拠を確保する
ハラスメントハラスメントの予防には、客観的な証拠の確保が大切です。
過度にハラスメントを主張したり、でっちあげて噂を広げたりという被害を防ぐために証拠を残しておきましょう。
音声や映像があれば良いですが、難しい場合は会話や行動の記録を詳細に記録しておくのが良いでしょう。
安易に謝罪しない
ハラスメントハラスメントの被害者は、自分に非がないと感じたら安易に謝らないようにしましょう。
謝ることで余計にエスカレートする可能性があるからです。
客観的な証拠を示しながら、自身がハラスメントを行っていないことを主張しましょう。
ハラスメントハラスメントの基準を明確にする
基本的なハラスメント研修でハラスメントの基準が従業員の中で明確になったら、ハラスメントハラスメントの基準も明確にしましょう。
- パワハラ予防のために指導担当を交代制にする
- 怒鳴るとパワハラだが、個別の指導はハラスメントにはならない
- 指導の際に人格否定をしたらパワハラとする
上記のような管理職むけの指導マニュアルを整備し、全従業員へ配布するとより明確になるでしょう。
マニュアル整備が難しい場合は、ハラスメントハラスメントというものが存在するという注意喚起のポスターを用意しましょう。
大切なのは全従業員が共通認識を持ってハラスメント予防を行うことです。
従業員のメンタルケアを行う
ハラスメントハラスメントを起こす従業員は、高ストレス状態にある可能性があります。
普段からストレス値が高くメンタルが不安定なため、些細なことをハラスメントだと訴えたくなるのです。従業員のメンタルケア及び職場環境の改善をして、適切なコミュニケーションが取れる職場づくりを行いましょう。
ハラスメント・ハラスメントがもたらす影響
ハラスメントハラスメントが起こると、被害者と組織にそれぞれ3つずつ悪影響が生じます。
主に被害者はその後の就業に大きく関わるため、早いうちから適切なケアが必要です。組織としても、生産性の低下や企業の成長がストップするなど甚大な影響を及ぼします。
具体的な悪影響を知り、ハラスメントハラスメント対策を始めるきっかけにしてください。
被害者への悪影響
まず被害者の悪影響として以下の3つが挙げられます。
- メンタル不調になる
- 仕事量が増える
- マネジメント能力が低くなる
真面目な従業員ほどハラスメントハラスメントにより、悩んで抱え込んでしまう傾向があります。
初期の段階でフォローをして、影響を最小限にしましょう。
メンタル不調になる
ハラスメントハラスメントにより悩み続けると、メンタル不調をきたします。
ハラスメントハラスメントは一度起きると、その後も起きる可能性が高いハラスメントです。
長期間にわたり関わり方に悩む被害者も少なくありません。メンタル不調が続くと、仕事の効率低下や休職、最終的には離職する可能性も出てくるでしょう。
ハラスメントハラスメントは、貴重な人材をメンタル不調で失う原因になります。
仕事量が増える
ハラスメントハラスメントを恐れて部下に仕事を割り振れなくなると、自分の仕事量が多くなってしまいます。
そもそもの管理業務に加えて、部下にふる予定だった仕事まで抱えてしまうためキャパオーバーとなるでしょう。
その結果として、心身ともに体調を崩してしまうかもしれません。
ハラスメントハラスメントは業務効率を下げる要因になり、過労状態を招きます。
マネジメント能力が低くなる
ハラスメントハラスメントを恐れるあまり、適切な指導やフィードバックができずにマネジメント能力が低くなります。
マネジメント能力が低くなることで、その職場の生産性が下がり、管理職としての評価が下がる可能性もあります。
とくに40代以降のマネジメント経験はキャリアにとって非常に大切です。
ハラスメントハラスメントにより、マネジメント能力のスキルアップができないことは本人にとっても企業にとってもマイナスとなります。
組織への悪影響
組織としての悪影響は以下の3つが考えられます。
- 企業としての成長が止まる
- 適正な評価ができなくなる
- コミュニケーションが不足する
ハラスメントハラスメントで個人に対しての悪影響が続くと、企業としても業績に関わる問題が生じます。
企業としての成長が止まる
ハラスメントハラスメントが起こると、加害者に対して他の従業員は指導やフィードバックをしなくなる可能性があります。
ハラスメントハラスメントの被害者になりたくないからです。
その結果、加害者は成長機会を失い、生産性が下がります。
さらにハラスメントハラスメント加害者のみならず、他の従業員に対しての指導も敬遠する従業員がいてもおかしくありません。
そのため、各従業員が成長しなくなり、企業としても業績が伸び悩む可能性があります。
適正な評価ができなくなる
ハラスメントハラスメントにより、従業員の評価が適正でなくなる可能性があります。
指導を繰り返したり、人事考課を下げることで「パワハラ」と言われないようにするためです。
さらに、ハラスメントハラスメント被害者は、実際にはハラスメントをしていないにも関わらず加害者のような扱いを受ける可能性があります。
頑張っているのに適正な評価をされなければ、優秀な人は別の企業に転職するでしょう。貴重な人材を確保するためにもハラスメントハラスメントの対策は欠かせません。
コミュニケーションが不足する
ハラスメントハラスメントが起こると、コミュニケーションを取りたがらない従業員が増えます。
うかつな発言でハラスメントハラスメントの被害者になりたくないからです。
その結果、必要な連絡や相談が滞ってしまいます。コミュニケーションの不足で職場環境が悪くなると、ミスも増えやすくなります。
ミスが増えることでさらに職場の雰囲気が悪くなり、従業員のストレスも高まるでしょう。ストレスが高まることでさらにハラスメントハラスメントが起きやすくなる悪循環を招きます。
ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)まとめ
当コラムでは、ハラスメントハラスメントについての具体例と対策について解説しました。
ハラスメントハラスメントは従業員同士のコミュニケーション低下や企業の業績悪化を招く要因になります。
ハラスメントハラスメント対策は5つのステップで進めます。
- 基本的なハラスメント対策を徹底する
- 客観的な証拠を確保する
- 安易に謝罪しない
- ハラスメントハラスメントの基準を明確にする
- 従業員のメンタルケアを行う
最初にハラスメント研修など自社にとって適切な指導をしましょう。
ハラスメントハラスメント予防には、まずハラスメントについて従業員の理解を徹底する必要があります。
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