デザイン思考研修の目的や内容とは？ビジネスで実践するメリットをわかりやすく解説

「デザイン思考で社員の課題解決力を養いたい」
「デザイン思考研修で何が学べるのか知りたい」

と考えている会社は多いのではないでしょうか。

デザイン思考研修は、顧客目線で問題解決できる考え方が学べます。学ぶことで、ビジネスにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

今回は、デザイン思考研修の目的や内容について解説します。ビジネスにおけるメリットも紹介するのでぜひ、判断材料としてお役立てください。

デザイン思考とはわかりやすく言うとどういう意味？

デザイン思考の意味は、組織で革新的な方法を創出することです。直感的な能力を用いた　統合的なアプローチによる思考法です。

デザイン思考という言葉から、イメージすることは「デザイン」ではないでしょうか。デザインは、2つの定義で成り立っています。

• 一般的な商品やロゴなどの見た目を作るデザイン
• 組織で新しい仕組み（ビジネス）を創出するデザイン

出典：桃山学院大学「ビジネスデザインとは」

デザインは、一般的にデザイナー（ファッションや建築など）が創作する行為をあらわします。ビジネスの世界では、顧客目線の問題に対して課題解決となる手法を生み出すこと。

デザイン思考は、厳密な取り組みではなく直感的な取り組みで生み出す考え方です。

デザイン思考研修の目的

デザイン思考研修は、次の目的を持った企業に適しています。

• UXやCXなどの体験ビジネス向けのアイデア創出
• デザイン思考能力を鍛えるトレーニング
• デザイン思考による自社商材の改善方法を理解

UXやCXなどの体験ビジネス向けのアイデア創出

デザイン思考研修は、UX（ユーザーエクスペリエンス：サービス利用者体験）やCX（カスタマーエクスペリエンス：顧客体験）向けのアイデア創出に役立つ講座。

最近は、モノ消費からコト消費（体験や経験など）へと消費者行動が変化している時代です。デジタル技術の進化によって、書籍や音楽などがデータで入手できます。そのため、体験型のビジネスが注目されている状況です。デザイン思考研修は、体験型ビジネス向けのアイデア創出を目的として役立てられるでしょう。

デザイン思考能力を鍛えるトレーニング

デザイン思考研修の目的は、デザイン思考能力を向上させるためのトレーニングです。

デザイン思考が鍛えられれば、自社ビジネスの課題を解決するポイントが明確になるでしょう。デザイン思考研修では、仮説と検証のくり返しで課題解決に向けたアイデアが商品化へと近づけられます。

デザイン思考による自社商材の改善方法を理解

デザイン思考で開発された自社商材は、顧客視点を重視している点が特徴です。顧客視点でアイデアを創出できるため、既存商材の改善にも役立ちます。

デザイン思考研修の目的は、自社商材の改善方法のヒントにもなるでしょう。

デザイン思考研修の一般的な内容

社員研修には、それぞれのテーマに沿った内容が用意されています。デザイン思考研修では、一般的に次の内容が学べるでしょう。

• デザイン思考の概要
• デザイン思考能力を鍛える5つのプロセス
• フレームワーク学習
• デザイン思考の事例からポイントを理解
• デザイン思考の実践グループワーク

デザイン思考の概要

最初の概要部分では、デザイン思考についての基本知識を学びます。

デザインの意味やビジネスで活用するデザインの定義。デザイン思考の基本は、ひとつの商品やサービスに特化して考える特徴がある点も学習内容となっています。

デザイン思考能力を鍛える5つのプロセス

研修内容には、デザイン思考研修の目的でも紹介した5つのプロセスを学べます。5つのプロセスは、次のようなステップで進める学習内容です。

プロセス	学習内容
ステップ1：現状の課題抽出	ビジネス課題を発見する方法自社（強み・弱み）を理解する
ステップ2：顧客との共感	UXやCXなどの顧客視点の理解顧客視点でデータを収集
ステップ3：定義	課題から顧客ニーズを定義収集したデータを組織で仮説
ステップ4：発想・創出	原因分析でアイデアの創出ブレインストーミング活用方法
ステップ5：試作開発	アイデアの試験的な開発他者評価による改善

デザイン思考能力は、ステップごとにフィードバックをくり返すことで鍛えられていきます。第三者（顧客目線）が基準となるアイデア創出スキルが学べる内容です。

フレームワーク学習

デザイン思考研修では、フレームワークを使った学習で思考力が強化できます。

共感	顧客の感情や行動を把握できるフレームワーク（共感マップなど）
ターゲティング	ターゲットの絞り込みや顧客行動を想定（ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップなどを活用）
アイデアのアウトプット	1つのテーマからできる限りアイデアを創出する（マンダラートやマトリックス法などを活用）
試作	創出したアイデアの価値を明確にして試作する（MVPキャンパスの活用）
仮説検証	仮説検証に役立つフレームワークでテストをくり返し商品化する（PDCAサイクルやストーリーボードなどを活用）

フレームワークの活用は、効率的な学習と改善点を明確にすることが期待できるでしょう。

デザイン思考の事例からポイントを理解

学習内容を身近なものとして吸収するには、事例紹介が有効です。デザイン思考研修の内容には、ビジネス活用事例から自社に生かせるポイントを学べます。

デザイン思考の実践グループワーク

デザイン思考研修は、グループワーク学習による実践的な知識習得が可能です。実践的な演習内容は、そのまま自社ビジネスのデザイン思考戦略で活用できます。

デザイン思考をビジネスで実践するメリットとは？

企業がビジネスでデザイン思考を導入するメリットは、次のとおりです。

• 顧客ニーズに合ったアイデアを商品化できる
• 客観的なアイデアでアウトプットの質が向上する
• コミュニケーションをはかりながら商品開発ができる

顧客ニーズに合ったアイデアを商品化できる

企業がデザイン思考を取り入れることは、顧客目線のアイデア創出を可能にします。

商品やサービスの開発で顧客目線を重視する取り組みは、顧客ニーズが多様化（ダイバーシティ）する現代において有効な施策です。顧客ニーズがあいまいな状態では、訴求ポイントも見えてきません。

デザイン思考は、顧客ニーズを明確にするため、商品やサービスの市場も具体化されます。商品やサービスのターゲット層が具体的であれば、訴求ポイントも明確になるでしょう。

客観的なアイデアでアウトプットの質が向上する

デザイン思考は、顧客の立場になって客観的なアイデアを収集します。

自社都合の課題を軸にするのではなく、顧客の課題が優先される思考法です。顧客目線で集められた課題からアイデアを創出しているため、アウトプットの効果も向上します。

コミュニケーションをはかりながら商品開発ができる

デザイン思考は、商品開発を進める方法としても役立ちます。

デザイン思考を生かした商品開発は、客観的な評価で進めるため、組織のコミュニケーション強化にもなるでしょう。

デザイン思考のプロセスは、独断で進めるわけではありません。ひとつのテーマに対して複数のアイデアを収集する思考法です。そのため、組織のコミュニケーションをはかりながら商品開発に取り組めます。いわゆる、組織で行う共創に役立つ思考法です。

デザイン思考研修が必要となった背景とは？

近年は、情報のあふれている時代になっています。供給される情報量の多さから、その情報を消費する時間創出が課題となる状況です。総務省によると、情報過多の時代が情報消費に使う時間の経済的価値を高めていると伝えています。

※出典：総務省「令和5年情報通信白書」

情報やモノのあふれている時代は、消費者の混乱が考えられます。そのような状況には、消費者一人ひとりに向けた具体的な価値の提供が必要です。具体的な価値を創出する方法として、デザイン思考研修が必要となっているとも考えられます。

デザイン思考研修では、顧客ニーズを満たす客観的なアイデア創出の思考が学べる講座です。現代の消費者心理を見据えた商品開発に役立つでしょう。

デザイン思考研修はどんな人におすすめ？

デザイン思考研修がおすすめな人は、次のような特徴を持つ人です。

• 新規事業の起ち上げに関わる人
• 自社商品やサービスの企画開発・販売に携わる人
• 顧客目線でアイデアを創出したい人

新規事業の起ち上げに関わる人

新規事業の起ち上げでは、事業の目的から具体的な計画や施策を作らなければなりません。具体的な事業計画や施策は、商品やサービスを提供する相手を明確に理解していることが求められます。

デザイン思考は、顧客ニーズを第一に考える客観的なアイデア創出方法です。

新規事業を起ち上げる人にとっては、デザイン思考が事業計画や施策立案時に役立ちます。そのような理由からも、前例のない新規事業の起ち上げには効率的なアイデアの生み出し方としておすすめの思考法です。

自社商品やサービスの企画開発・販売に携わる人

デザイン思考は、自社商品やサービスの企画開発・販売に携わる人におすすめな講座です。商品開発や販売手法の「アイデア出し」は、やみくもに行うだけだと効率が悪くなるでしょう。

デザイン思考は、自社の課題から顧客ニーズを抽出するための考え方です。顧客ニーズの明確化は、企画開発や販売部門の担当者にとって重要なビジネス指標ともいえます。

デザイン思考研修は、企画開発や販売部門の担当者向けの社員研修としても有効ではないでしょうか。

顧客目線でアイデアを創出したい人

デザイン思考を学ぶことは、企業の学びだけに限りません。顧客目線でアイデアを創出する目的があれば、個人にも有効な講座です。

現代のビジネス市場は、多様な価値観が求められます。そのため、商品やサービスの利用でできることを明確に伝えることがポイントとなるでしょう。

そのような理由からも、デザイン思考研修は顧客目線でアイデアを創出したいと考えている人におすすめできる講座です。

デザイン思考研修のオンラインでのプログラム例

デザイン思考研修のプログラムは、一般的に次のような内容を受講できます。

①デザイン思考の基本知識

• デザイナーが作る作品の出来上がる工程をビジネスに反映して学ぶ
• デザイン思考が必要となる時代背景
• デザイン思考の特徴やメリット・デメリットを理解

②デザイン思考の準備

• デザイン思考のプロセスを理解する
• デザイン思考に必要な現状の課題収集のワーク
• 顧客心理の理解でもっとも大事な共感について学ぶ

③デザイン思考のアイデア創出

• 収集した情報を取りあつかう方法
• 自社にとってイノベーションとなるテーマを見つけるワーク
• テーマに対して複数のアイデアから絞り込むためのワーク

④デザイン思考のアイデアを具現化する

• アイデアを試作するときのコツと実践方法
• 試作品のテストとフィードバックを得る対象について
• デザイン思考のプロセス全体を振り返る

⑤デザイン思考の実践：情報収集ワーク

• 研修参加企業の課題に合わせたテーマの選定
• 共感マップの使い方とターゲティング設定
• 収集した情報から新規ビジネスの計画（アイデア）を立てる

⑥デザイン思考の実践：仮説と検証ワーク

• コンセプトとゴールを設定した試作品（プロトタイプ）の制作
• 試作品についてグループごとのプレゼンテーションと評価
• グループごとの改善したPDCAサイクルを発表

⑦デザイン思考の事例

• 飲食業がデザイン思考を取り入れたケース
• 医療施設がデザイン思考を取り入れたケース
• ゲーム開発会社がデザイン思考を取り入れたケース

デザイン思考研修まとめ

顧客目線でアイデアを創り出すには、デザイン思考がおすすめです。

本コラムでは、その理由にもなるデザイン思考研修の目的や内容などを解説してきました。デザイン思考研修では、思考力を鍛えるプロセスが体系的に学べます。新規事業や企画を立案する担当者には、最適な研修ではないでしょうか。

アガルートの社員研修は、カスタマイズが可能です。

デザイン思考研修も自社向けの研修プログラムに導入できます。また、カスタマイズしたプログラムはすべてオンライン上で学べるため、場所や時間を受講者の都合に合わせた設定が可能。リモート対応が活用される現代ならではの社員研修です。

自社向けの社員研修を検討中であれば、気軽に問い合わせて見てはいかがでしょうか。