「コンプライアンス違反を予防したいが、具体的にどんなことから始めればよいかわからない…」
「そもそも、どんなコンプライアンス違反があるのかあまりイメージできていない…」
と悩む企業は多いのではないでしょうか。
今回は、具体的なコンプライアンス違反の事例を紹介します。コンプライアンス違反を防ぐ手法や原因にも触れるので、リスク対策をしたいときにお役立てください。
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目次
コンプライアンス違反とは
コンプライアンスは、社会の規範・道徳・ルール・法律などを守る「法令遵守」を意味する言葉です。
つまり、コンプライアンス違反とは「規範やルールに背いてしまうこと」を指します。
社内で独自に設定したポリシー・ガイドライン・行動規範もコンプライアンスに含まれるという声も多く、年々コンプライアンスの範囲は拡大しつつあります。
法律違反など明確に罰せられるコンプライアンス違反もあれば、道徳的・心理的に抵抗感が強く顧客や取引先に不信感を与えるコンプライアンス違反もあるので、注意しておきましょう。
コンプライアンス違反の身近な事例
早速、近年生じた代表的なコンプライアンス違反を5例紹介します。
- PCに差したUSBメモリを離席中に紛失
- 電通新人女性社員の過労死
- 悪ふざけの写真投稿で店舗閉店
- 上司のハラスメントでうつ病
- 大手小売会社 ツイッターのイラスト無断使用
以下で詳しく紹介していきます。
PCに差したUSBメモリを離席中に紛失
業務用PC端末に差したUSBメモリを離席中に紛失してしまい、記録されていた情報が流出した事例です。顧客の個人情報から未公開の社外秘情報まで一気に流出した場合、社内外ともに大きなダメージを与えます。
近年はカフェやコワーキングスペースなど公共の場でのテレワークも活性化しており、デバイスを持ち歩く頻度が高くなっていることから、リスクが上昇していると言われています。
電通新人女性社員の過労死
大手広告代理店・電通の新入社員女性が慢性的な長時間労働を課せられ、過労が原因で精神を病み、自殺に至った事件がありました。
電通側の安全配慮義務違反が認められ、約1億6,800万円の損害賠償金支払いが決定しています。
正確な勤怠実績の把握・健全な労務管理・業務の効率化や人員の補充不足が原因となった事件であり、マネジメントや組織体質の是非が問われるきっかけとなりました。
参照:電通新人女性社員の過労死
悪ふざけの写真投稿で店舗閉店
従業員が店舗の設備・什器を使って悪ふざけしている最中の動画・画像がSNS上に投稿され、大きな非難を浴びる事例もあります。
衛生管理の不徹底さやモラルのなさに対する不信感が拭えず、そのまま閉店する店舗も出ています。爆発的な拡散力を持つSNSを誰でも手軽に利用できる今の時代だからこそ、アルバイトを含む従業員の管理・指導の大切さが問われます。
上司のハラスメントでうつ病
上司によるハラスメントが原因でうつ病になり、精神的にも身体的にも大きな影響を生じるケースがあります。
大声での恫喝・職場いじめ・体罰などのパワーハラスメントはもちろん、セクシャルハラスメントやアルコールハラスメントなども問題になっています。
社内で起きることだからこそ隠ぺいしやすく、なかなか表面化しにくいのも課題とされました。
大手小売会社 ツイッターのイラスト無断使用
大手小売会社のデザイナーが、SNS上に投稿されたイラストを無断使用・盗作したコンプライアンス違反事例もあります。
イラストレーターのファンや本人からの指摘で発覚することが多く、少しアレンジを加えたデザインでも著作権法違反と認められました。
自社ブランドに大きく傷をつける行為であり、消費者からの不信感も簡単には払拭できないのがデメリットです。
コンプライアンス違反の2023・2024年最新事例
次に、2023・2024年に発生した最新のコンプライアンス違反事例を5例紹介します。
- ソフトバンク担当者からのDM
- 雇用調整助成金の不正受給
- 日本旅行 人件費不正請求
- 神奈川県職員セクハラで懲戒処分
- 兵庫県警パワハラで上司処分
以下で詳しく紹介していきます。
ソフトバンク担当者からのDM
ソフトバンク担当者が業務上知りえた情報を私的に活用し、有名YouTuberとの接触を図る事件がありました。
電話番号・住所・クレジットカード情報などを取り扱う企業における重大なコンプライアンス違反と言えるでしょう。
「自分の情報も勝手に利用されているのでは」「最悪の場合ストーカーや脅迫につながるのでは」など、大きな不信感につながっています。
雇用調整助成金の不正受給
新潟県内の居酒屋・美容室経営会社が、雇用調整助成金1億5,000万円を不正受給していたことが判明した事例です。
本来の雇用調整助成金は、従業員が新型コロナウイルスに感染し会社を休んだ場合であっても給料を支払った際に支給されます。
しかし、実際は感染者がいない(もしくは感染して休ませても給料を支払っていない)にも関わらず嘘の申請をおこない、不正に金銭を取得しました。
参照:雇用調整助成金の不正受給
日本旅行 人件費不正請求
大手旅行会社・日本旅行が、全国旅行支援キャンペーンに関する人件費を架空計上し、約530万円を不正請求していたことが発覚しました。
勤務実態のないスタッフのタイムカードを作成したり、より人件費の安い外部派遣会社に業務を委託したり、さまざまな不正がおこなわれていた事例でもあります。
現在は不正受給した全額を返還していますが、会社の信頼を失墜させる事件となりました。
参照:日本旅行 人件費不正請求
神奈川県職員セクハラで懲戒処分
神奈川県の地域県政総合センターの男性職員が、勤務時間中に繰り返し性的な発言をするなどしてセクシャルハラスメントによる懲戒処分を受けています。
女性職員への執拗な嫌がらせだけでなく、男性職員に対する不適切な発言・言動も目立っており、上司にも文書訓戒が下されました。
兵庫県警パワハラで上司処分
兵庫県警でも、大声での叱責や体罰などのハラスメントがおこなわれていたことが発覚しています。
その他にも、嫌がらせ・悪口・無視やアルコールハラスメントが続いていたり、育休取得を遠回しに拒否したりした事実も判明しています。
公的機関における職場いじめとも取れる内容であることから、大きなニュースとなりました。
※令和6年(2024年)の事例は未だありませんので、公開され次第掲載します
コンプライアンス違反が起こる原因
コンプライアンス違反が起こる主な原因は、下記の通りです。
- コンプライアンス違反をする動機・機会・正当性が揃っている
- コンプライアンスに関する知識不足
- モラル・規範意識の低さ
コンプライアンス違反は、「動機・機会・正当性」の3つが揃ったときに起きやすいと言われています。
例えば、「本部から厳しくコストカットするよう言われている」という動機がある場合、本来削ってはいけない安全対策費まで削ってしまう可能性があります。
「誰も実態を把握できないはず」「自分しか管理者がいない」という機会が揃い、「コストカットは会社のためになるから」という正当性を見つけてしまうと、コンプライアンス違反が起きやすくなるでしょう。
また、コンプライアンスに関する基本的な知識が不足しており、気づかぬうちに違反してしまう事例もあります。
「育休は会社が拒否できると思っていた」「最低賃金が上がったことを知らなかった」など、特に労務管理のシーンで起きやすいとされています。
モラルや規範意識が欠如していると、ハラスメント・個人情報の流出・SNSでの炎上等が起きやすくなります。「どうせバレないだろう」という気持ちで盗作したり、「面白いから」と悪ふざけ動画をSNS上にアップしたりするのも、モラル欠如によるものです。
従業員に対する徹底的な教育と相互管理体制の重要性がわかります。
コンプライアンス違反のための対策
最後に、コンプライアンス違反を発生させないための対策を解説します。
自社に欠けている部分があれば、リスク対策の一環として導入していきましょう。
明確なポリシーと手続きの策定
社内の規範を示すため、まずは明確なガイドラインやポリシーを策定します。
なぜガイドラインの策定に至ったのか、なぜこの内容になっているのかまで、広く従業員に周知しておきましょう。
何が許容されるのか、理想的な行動規範は何なのかを可視化しやすく、判断の基準となるのがメリットです。
適切な報告と対話のチャネルの設定
万が一コンプライアンス違反が起きた(もしくは起きそう)なとき、速やかに報告・連絡・相談できる体制づくりも重要です。
ハラスメント相談窓口や匿名で利用できるホットラインを設け、直属の上司以外の相談先を確保しておきましょう。
また、弁護士や社労士など専門士業とのつながりを持ち、上層部が速やかに相談できる相手を見つけることも大切です。
適切な監督と監視
コンプライアンスを維持するための適切な監視システムを設定し、部署・役職など狭い範囲での判断だけに委ねないことを意識します。
必要があれば第三者委員会や監査部の設立も視野に入れ、公平・公正な判断ができるように努めましょう。
ただし、監視体制が強すぎると却って反発を招き、網の目をかいくぐった不正が起きる可能性もあります。社内での衝突を防ぐためにも、従業員の負担なくスピーディーな報告ができる体制にすることも重要です。
適切なインセンティブと処罰
ロールモデルとなるインセンティブを設定し、自ら行動規範を守りたくなる制度設計をおこないます。
社内表彰・人事評価への反映・賞与の上乗せなど、可能な限りのインセンティブを課しましょう。社内SNSやオンライン社内報を活用し、賞賛しあいやすい環境にすることもおすすめです。
コンプライアンス文化の醸成
上層部が徹底してコンプライアンスを遵守し、組織風土を構築する方法もあります。
「不正を許さない」「当たり前のルールを守る」というスタンスが根付いている組織では、新入社員もルールに従いやすくなります。コンプライアンスを重視する企業文化にするためにも、まずはマネジメント層の意識改革からおこないましょう。
継続的な教育と研修
新入社員向けの研修だけでなく、マネジメント層やリーダー層向けの研修・教育をしたり、入社年次ごとに分けて定期的なコンプライアンス研修をしたりするのも効果的です。
時代に沿った法律知識にアップデートする場としても活用でき、リテラシーを向上させます。
「忘れていた」「知らなかった」という認識不足によるコンプライアンス違反を防ぐ手法としても、おすすめです。
アガルートでは、ガバナンス・コンプライアンス研修プログラムを提供しています。
「コンプライアンス対策をしたいけれど何から手をつければいいかわからない」
「時代に合ったコンプライアンス研修にしたいがプログラム案を思いつかない」
という場合にご活用ください。
参加人数や課題に合わせて内容をアレンジすることもできるので、お気軽な相談も歓迎です。
まとめ
コンプライアンス違反は、明確な悪意をもって引き起こされるとは限りません。
「絶対にバレないと思った」「そこまで大きな事件になるとは思わなかった」など、認識の相違やモラルの欠如が原因であることも多いです。
まずはコンプライアンスに関する基本的な知識と、社内環境を見直した徹底的な予防策の考案が求められます。
困ったときは、従業員向けにコンプライアンス研修を開催するのもおすすめです。定期的に受講していけば知識のアップデートも図りやすく、コンプライアンスに関する意識が高まるかもしれません。
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