「指名検索」とは、検索エンジンで検索するユーザーが、特定企業に関連するキーワードで指名して検索することです。
本記事では、似た用語である「一般検索」との違いや、指名検索数の調べ方、指名検索数を増やすメリットや、その具体的な方法について詳しく解説します。
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目次
「指名検索」とは?
「指名検索」とは、特定の企業に関連するキーワードで指名して検索することです。このキーワードを「指名キーワード」「ブランドキーワード」と呼びます。指名キーワードは、狭い意味でいうと商品名、サービス名、企業名など、ブランドに関するキーワードが該当します。広い意味では、経営者・創業者名、マスコットキャラクター名、運営メディア名なども該当します。
商品・サービス名、企業名は、広告で目にしたり、メディアで紹介されているのを見かけて気になったりしたユーザーが検索します。つまり、検索してくれたユーザーは重要な見込み顧客といえます。また経営者の名前は、メディアに出演したり有名メディアで取り上げられたりした際に検索されます。企業名や経営者名、創業者名は、就職・転職活動をおこなっている求職者にもよく検索されます。「企業研究をおこなおう」という意図で検索されるのです。
このように指名検索は、企業のブランドと大きく連動した検索行動といえます。
「一般検索」との違い
「一般検索」とは、指名キーワード以外のワードで検索することです。商品やサービスが属するカテゴリ名や業界名、特定地域でサービスを展開している場合はその地域名などが該当します。指名キーワード以外で、自社の商品・サービスに関連するキーワード全般を「一般キーワード」と呼びます。
「自然検索」との違い
似ている用語で「自然検索」があります。「オーガニック検索」(Organic Search)と呼ぶこともあります。「自然検索」とは、検索結果画面上でリスティング広告枠以外の部分を指す言葉です。広告費を支払って人為的に表示させるリスティング広告枠と区別するための用語であり、「指名検索」「一般検索」の分類とはあまり関係のない言葉です。
指名検索数の調べ方
指名検索の検索数は、Googleが無料で提供しているツール「Googleサーチコンソール」を使って調べることができます。次の手順で確認します。
①Googleサーチコンソールにログインします。
②左メニューにある「検索パフォーマンス」を選択します。「検索パフォーマンス」内にいくつかメニューが表示されている場合は「検索結果」を選択します。
③表示された画面内の「クエリ」タブをクリックします。このとき「上位のクエリ」欄に表示されるのは、ユーザーが実際に検索したキーワードです。そして「表示回数」欄が検索数です。
④「上位のクエリ」欄から指名キーワードを見つけ、そのワードの「表示回数」を確認することで指名キーワードの検索数を調べていきます。
指名検索のSEO対策をするメリット
企業のホームページや運営するWebサイトが指名検索で表示されやすくなるようにSEO対策をおこなうことのメリットは何でしょうか?ここでは3つ挙げて解説します。
自社に興味を持つユーザーをWebサイトへ着実に誘導できる
指名検索をするユーザーは、なんらかのきっかけで自社の商品・サービスなどに興味を持ち、「詳しく知りたい」と思ってくれています。つまり、問い合わせや申し込み、購買につながりやすい、重要な見込み顧客です。
指名検索でSEO対策をすることで、検索した際に自社のホームページをすぐに見つけてもらうことができます。重要な見込み顧客を着実に自社へ誘導することができます。
他社のWebサイトにユーザーが流れてしまうことを防げる
指名検索に限らず、検索ユーザーは、検索結果上で上に表示されているWebサイトから順に閲覧していく傾向があります。そのため、自社のホームページを指名検索でSEO対策していると、上位にしっかり表示されます。
他社のWebサイトが下位に表示される状態を作ることで、指名検索をしてくれた重要な見込み顧客が他社へ流れるのを防ぐことができます。
検索アルゴリズム変動の影響を受けづらい
Googleをはじめとした検索エンジンは、定期的にWebサイトの評価基準を変更・調整するアルゴリズムアップデートをおこなっています。これにより、同じキーワードでも検索結果に表示されるWebサイトの順位が大きく変動することがあります。
指名キーワードは、自社に関連の強いキーワードのため、他社WebサイトではあまりSEO対策が強化されない性質を持っています。その結果、検索エンジンのアルゴリズム変動が起きても、指名検索では上位表示を維持しやすくなります。
指名検索の対策をしないデメリット
自社のWebサイトを指名検索でSEO対策しなかった場合のデメリットは何でしょうか?3つ挙げて解説します。
自社に興味を持つユーザーにWebサイトを見つけてもらえない
指名検索でSEO対策ができていない場合、指名キーワードで検索したユーザーに、自社のWebサイトを適切に表示させることができなくなります。
指名キーワードで検索してくれたユーザーは、自社の商品・サービスについて詳しく知りたいと思ってくれている重要な見込み顧客です。その見込み顧客を逃してしまうことになります。
他社のWebサイトにユーザーが流れてしまう
指名キーワードで検索しても、検索結果の上位に自社のWebサイトがすぐに見つからない場合、結果的にユーザーは他社のWebサイトへ訪問してしまうことになります。
「問い合わせ」や「申し込み」につながりやすい見込み顧客を自社サイトへ誘導する機会が失われることになるのです。
検索アルゴリズム変動の影響を受けやすい
指名検索でSEO対策をしない場合、一般検索でユーザーを流入させる必要があります。ところが、一般キーワードは、Googleをはじめとした検索エンジンのアルゴリズム変動の影響を受けやすくなります。
自社Webサイトにおける、流入数をはじめとしたパフォーマンスが、検索エンジンのアルゴリズムアップデートに大きく左右され、不安定な状態になってしまいます。
指名検索の対策4ステップ
指名検索で対策をおこなうメリットを理解したうえで、実際に対策をするうえでどのように進めればよいでしょうか?ここでは、SEO対策だけでなくリスティング広告も含めて、4つのステップで解説します。
ステップ① 自社にとっての指名キーワードを確認
指名キーワードには、さまざまな種類のワードが該当します。狭い意味では、商品・サービス名、企業名が該当します。広い意味では、経営者や創業者の名前、マスコットキャラクターの名前、運営メディア名なども該当します。これらに該当するキーワードをまずは全て洗い出していきます。
ステップ② 指名キーワードの選定と対策ページの割り振り
指名キーワードが1つか2つ程度であれば選定する必要はありませんが、3つ以上ある場合は、その中で対策すべきキーワードを絞り込み、優先順位を決める必要があります。
ビジネスの目標に合わせて、「問い合わせ」や「購入」を増やす必要があれば、商品・サービス名キーワードを優先的に対策します。一方、企業名の認知度を上げる必要があれば、企業名キーワードでの対策を優先することになります。場合によってはサービスサイトとコーポレートサイトを別に用意し、サービスサイトでは商品・サービス名を、コーポレートサイトでは企業名を優先的に対策していくという方法もあります。
扱っている商品・サービスが複数ある場合は、サイト内のどこでどのキーワードを対策すべきか、サイトマップ上で割り振っていきます。
ステップ③ SEO対策
指名検索でのSEO対策について、具体的な施策はたくさんあります。その中でもここでは、比較的すぐに対処でき、かつ必須の対策として2点を解説します。
1.HTMLのtitle要素に指名キーワードを記述する
Webサイト内の全ページ、あるいは特定カテゴリ内の全ページで、HTMLのtitle要素に指名キーワードを記述します。企業名で対策する場合や、特定ブランドの特設サイトを用意してブランド名で対策する場合には、Webサイトの全ページでtitle要素に指名キーワードを記述することになります。一方、ひとつのサイトの中で複数のブランド名のキーワードを対策する場合には、特に注力するカテゴリのみ全ページでtitle要素に各々の指名キーワードを記述します。
2.HTMLのh要素に指名キーワードを記述する
サイトTOPページ、あるいは特定カテゴリTOPページで、HTMLのh要素に指名キーワードを記述します。指名検索された際にとくに優先的に検索結果に表示させたいページがどれなのかが、検索エンジンに認識されやすくなります。
上記2点の対策は、比較的すぐに対応できると思います。加えて、次の2点も対応することで、指名検索の対策をより強化することができます。
・サイト内に「運営者情報」や「企業情報」ページを用意する
・サイト内の全ページで、フッターエリアから「運営者情報」や「企業情報」ページへのリンクを設置する
これらはユーザーにとっても、検索エンジンにとっても、Webサイトの信頼性を高めるために重要な要素です。
ステップ④ リスティング広告出稿の検討
最後のステップでは、リスティング広告を出稿するかどうかを検討します。マーケティング担当者の中には、「指名キーワードで自社のWebサイトがSEOで1位に表示できていたら、わざわざ広告費を使ってリスティング広告を出稿しなくてもいいのでは?」と考える人もいます。これは昔からよくある議論です。絶対的に正しい答えがあるわけではなく、ケースバイケースで判断する必要があります。
それでは、どういう場合にリスティング広告を出稿したほうがよく、どんなときに出稿しなくてもいいのでしょうか?次項で詳しく見ていきましょう。
リスティング広告で指名検索ワードを出稿する意味はあるか?
指名検索のSEOで1位に表示されている場合、同じ指名キーワードでリスティング広告を出稿する必要があるか否かは、ケースバイケースで変わってきます。
ここでは出稿したほうがいいケース、出稿しなくてもいいケースをそれぞれ3つ挙げて解説します。
出稿したほうがいいケース
1.指名検索の順位が不安定な場合
自社サイトがまだ指名検索でSEO対策しきれていない場合には、アルゴリズム変動のタイミングなどで他社サイトが自然検索1位に表示されることもあります。こういうときには、自然検索より上に表示されるリスティング広告を出稿することで、ユーザーを自社サイトへ誘導しやすくなります。
2.指名検索で他社のリスティング広告が表示される場合
リスティング広告は自然検索よりも上に表示されます。ユーザーは検索結果で上に表示されたものから優先的に閲覧していきます。したがって、自社サイトが指名検索で自然検索1位に表示できても、同じ画面で他社のリスティング広告が表示されていたら、他社サイトにアクセスを奪われることになります。こういう場合に、リスティング広告を出稿することで、Webサイトよりも上位に広告を表示し、自社サイトへユーザーを誘導しやすくなります。
同時に、自社の指名キーワードでリスティング広告を出稿している広告主に対して、広告アカウント内での指名キーワード除外設定を依頼することで、出稿停止を働きかけることもできます。ただしこれは、広告媒体のガイドライン違反ではないため、あくまでも紳士協定のニュアンスで協力を依頼するまでになります。そのため、必ずしもキーワード除外設定に協力してくれるとは限りませんし、広告メニューによってはキーワード除外設定に対応できないものもあります。
3.ユーザーを期間限定のキャンペーン特設ページへ誘導したい場合
自然検索に上位表示させるページは完全にはコントロールできません。あくまでGoogleをはじめとする検索エンジンのアルゴリズムによって決まるものです。また、期間限定のキャンペーンを実施する際に、期間中だけわざわざ自然検索1位のページをキャンペーン用のコンテンツに差し替えるのは手間がかかってしまいます。
この場合、サイト内で新しいURLでキャンペーン特設ページを作り、リスティング広告を出稿してリンク先ページ(LP)として設定することで、ユーザーを着実にキャンペーンのページに誘導することができます。
また、SEOでは検索結果のタイトル(青いリンク部分)がGoogleの仕様で書き換えられることもありますが、リスティング広告であれば書き換えられることはありません。一番訴求したい文言(キャンペーン実施期間など)を先頭に表示するよう設定しておくことで、より誘導しやすくなります。
出稿しなくてもいいケース
1.マーケティング目標が余裕で達成できる場合
「問い合わせ数」「購入数(売上)」などのマーケティング目標が余裕で達成できる場合は、ムリに追加の広告費を使ってまでリスティング広告を出稿しなくてもいいという判断ができます。もちろん、指名キーワードでリスティング広告を出稿することでよりパフォーマンスを拡大できる可能性もあります。そのテストを実施するかどうかも含めて、目標を余裕で達成できる場合には選択肢が広がります。
2.指名検索で他社のリスティング広告が表示されない場合、あるいは、他社広告が表示されていても流入数に影響がない場合
自社の指名キーワードで検索しても他社のリスティング広告が表示されない場合には、広告費を使ってリスティング広告を出稿しても成果にはあまり影響しないと判断できます。また、他社のリスティング広告が表示されていても、自社の流入数に影響がない場合には、やはりリスティング広告を出稿しても成果に影響しないと推測できます。
3.期間限定のキャンペーンを実施するが特設ページは用意しない場合、あるいは、特設ページを用意しつつ自然検索1位ページの上部から導線を設ける場合
特設ページを用意しない場合には、臨時の誘導先ページがないため、リスティング広告を出稿する必要はありません。
また、特設ページを用意する場合でも、自然検索1位になっているページの上部に大きなバナーを表示し、そこから特設ページへ誘導することで対応することもできます。ただ、この方法ではリスティング広告から直接特設ページへ誘導する場合と比べてどうしてもユーザーの離脱が発生してしまうことは認識しておいた方が良いでしょう。
指名検索を増やす3つの方法
いくらSEOやリスティング広告で指名検索の対策をおこなっても、これらを表示させるための検索数がゼロであれば何の意味もなくなってしまいます。では、指名検索を増やすためにはどうすればいいでしょうか?ここでは4つのポイントを紹介します。
方法① 広告クリエイティブの工夫
指名検索を増やすには、まず広告を見たユーザーにねらったキーワードで検索してもらいやすい状態を作る必要があります。そのためにはまず、出稿する広告クリエイティブに工夫が必要です。4つのポイントについて解説します。
1.広告クリエイティブ内に検索窓を表示する
広告内に検索窓を表示する部分を設けることで、「このキーワードで検索してください」というメッセージが伝わります。
2.広告クリエイティブ内で検索窓の視認性を上げる
他のメッセージやクリエイティブ要素の邪魔にならない範囲で、できるだけ目立つように検索窓を表示します。
3.検索窓内のキーワードの可読性を上げる
検索窓が目立っていても、そこに記載される指名キーワードが読みづらいと、検索しようと思っても文字を入力しづらくなります。読みづらいワードとしては、文字数が多すぎたり、読みづらい漢字が連続で表記されていたり、見慣れない英語で表記されていたりといったケースが挙げられます。長いキーワードは略語にしたり、漢字や英語はひらがなやカタカナにしたりするなどの工夫によって、キーワードが読みやすくなり、そこから検索ワードの入力につなげやすくなります。
4.動画広告のクリエイティブでは注意が必要
動画広告は、最初から最後までしっかり見られるとは限りません。そのため、動画のどこかで指名検索に誘導する検索窓を数秒表示しただけでは、指名キーワードでの検索を促すことが難しくなってしまいます。そのため、動画の最初から最後まで常に、画面の一部に指名キーワードが表記された検索窓を表示しておき、目についたタイミングや、検索しようと思ったタイミングでいつでも検索に誘導できるようにすることがポイントです。
方法② メディア・広告メニューの選定
よい広告クリエイティブを用意できても、検索を促すために適した広告メニューを選ばなければ指名検索はなかなか増えづらくなります。適した広告メニューとして代表的なものを3つ紹介します。
1.テレビCM
最も指名検索を増やしやすいのはテレビCMです。CMが放映されることで話題になり、指名キーワードの検索数が伸びることはよくあります。
2.デジタルメディアの純広告
デジタル上では、純広告が指名検索数の増加につながりやすくなります。純広告のなかではYahoo! JAPANやYouTubeでトップページの上部に表示される広告枠が代表的です。検索を促し、自社サイトへ誘導する目的を考えると、純広告のすぐ近くにWebの検索窓が用意されているYahoo! JAPANの純広告がより適していると言えます。
3.特定地域でのサービス提供の場合は交通広告や新聞折込チラシ
一部の地域で限定してサービスをおこなっている店舗型ビジネスの場合、指名検索を増やす施策は難しいと思われがちです。しかし、交通広告や新聞折込チラシなどを活用することで、商圏エリアを中心に広告を掲出できます。そこから徐々にではありますが、指名キーワードの検索数を増やしていくことができます。
番外編 SNSの活用は指名検索数の増加に寄与するか?
新たにSNSアカウントを用意してそこから指名検索数の増加につなげる場合、時間や労力が必要になることを念頭に置いた方がよいでしょう。SNSアカウントの閲覧数を増やすためには、自社の宣伝になりすぎない範囲で、本業に関連した役立つ情報を長期間発信し続ける必要があります。例えば、安易に担当者の私生活を公開して、本業と無関係な情報で多くのユーザーの興味を惹きつけても、そこからビジネス成果につながる可能性は低いと考えられます。
方法③ プレスリリースを配信する
セミナーや展示会、就職・転職関連のイベントに参加したり、商品・サービスに新たな展開があったりしたタイミングで、プレスリリースを配信するようにします。プレスリリースはもともと報道・メディア機関向けの情報発信ですが、デジタルメディア上で誰でも簡単に閲覧することができるため、一般ユーザーも見る機会が増えました。その結果、話題性のあるリリースは自社の認知拡大にもつながります。プレスリリースを目にしたユーザーが自社に興味を持ったら、企業名や商品・サービス名などの指名キーワードで検索して、詳しく調べようとしてくれることが期待できます。
まとめ:指名検索を長期的なマーケティング成果につなげるために
指名キーワードの検索数は、自社に興味を持っている人がどれだけいるかを測る指標になります。指名検索を増やすことができれば、自社の認知や理解も拡大させられることになります。
指名キーワードで検索してくれるユーザーは、なんらかのきっかけで自社に興味を持ってくれた重要な見込み顧客です。指名検索数を増やしつつ、SEO対策やリスティング広告出稿により、重要な見込み顧客をモレなく集客できる状態を作ることができます。こうした対策を続けていくことで、長期的に安定したマーケティング成果が得られるようになります。
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