司法試験では基本の7科目に加えて、選択科目も出題されます。
労働法・経済法・知的財産法・倒産法・国際法(私法)・国際法(公法)・環境法・租税法の8つです。

また、2022年以降は予備試験でも一般教養に代えて選択科目が出題されます。
受験生の皆さんは選択科目を選ばなくてはいけません。

そこで本コラムでは、選択科目ごとに有利不利はあるのか?おすすめの選択科目は何か?というテーマで、選択科目ごとの司法試験合格率や難易度について解説します。

選択科目を選ぶ際の参考にして下さい。

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司法試験・予備試験の選択科目ごとの合格率

令和6年(2024年)司法試験の選択科目ごとの合格率で一番高かったのは労働法で合格率は46.9%でした。

予備試験の選択科目の科目ごとの合格率は公開されていません。

平成30年以降の各選択科目毎の合格率を表にまとめました。

選択科目 令和6 令和5 令和4 令和3 令和2 令和1 平成30
倒産法↓              
採点対象者 566人 569人 420人 437人 452人 608人 758人
合格者数 255人 292人 207人 202人 204人 230人 240人
合格率 45.1% 45.3% 49.3% 46.2% 45.1% 37.8% 31.7%
租税法↓              
採点対象者 199人 233人 208人 277人 288人 329人 358人
合格者数 62人 80人 78人 109人 97人 97人 101人
合格率 31.2% 34.3% 37.5% 39.4% 33.7% 29.5% 28.2%
経済法↓              
採点対象者 789人 787人 583人 639人 683人 789人 848人
合格者数 344人 371人 276人 277人 269人 273人 265人
合格率 43.6% 47.1% 47.3% 43.3% 39.4% 34.6% 31.3%
知的財産法↓              
採点対象者 552人 613人 464人 486人 525人 597人 714人
合格者数 229人 277人 219人 193人 200人 194人 192人
合格率 41.5% 45.1% 47.2% 39.7% 38.1% 32.5% 26.9%
労働法↓              
採点対象者 1,072人 1127人 911人 1009人 1104人 1299人 1481人
合格者数 503人 538人 435人 455人 481人 482人 466人
合格率 46.9% 47.7% 47.7% 45.1% 43.6% 37.1% 31.5%
環境法↓              
採点対象者 124人 136人 129人 143人 161人 256人 305人
合格者数 28人 41人 41人 44人 46人 72人 67人
合格率 22.6% 30.1% 31.8% 30.8% 28.6% 28.1% 22.0%
国際関係法↓
(公法系)
             
採点対象者 71人 54人 38人 46人 48人 59人 64人
合格者数 26人 18人 18人 19人 13人 13人 9人
合格率 36.6% 33.3% 47.4% 41.3% 27.1% 22.0% 14.1%
国際関係法↓
(私法系)
             
採点対象者 373人 378人 307人 355人 403人 492人 672人
合格者数 145人 164人 129人 122人 140人 141人 185人
合格率 38.9% 43.3% 42.0% 34.4% 34.7% 28.7% 27.5%
合計↓              
採点対象者 3,746人 3,897人 3,060人 3,392人 3,664人 4,429人 5,200人
合格者数 1,592人 1,781人 1,403人 1,421人 1,450人 1,502人 1,525人
合格率 42.5% 45.7% 45.8% 41.9% 39.6% 33.9% 29.3%

※参考:司法試験の結果について

この表を見ると、選択科目ごとの合格率にはそこまで大きな差はないことが分かります。

もっとも、ある程度の合格率の傾向はあるようです。

全体的に上昇傾向にあるのは、合格者数が変わらない一方で受験者数が減少し続けているからです。

関連コラム:司法試験の難易度・合格率をアガルート講師がお答えします

そこで、もっと分かりやすく比較するために以下のグラフを見てみましょう。

司法試験 選択科目 合格率

次に1科目ずつ比較していきましょう。

倒産法

安定して40%代の合格率を維持しているのは倒産法です。

令和4年に至っては49.3%という数字を出しており、もう少しで倒産法選択者の半数が合格するという域まで迫ってきています。

近年選択者数が減少しているにも関わらず、相変わらず高い合格率をキープしています。

※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】倒産法の特徴・勉強法

労働法

令和5年の合格率が1番高いのは労働法です。

労働法は毎年選択者が1,000人を超えるメジャーな科目でありその分合格者も多くなるので、合格率もある程度高くなるのもうなずけます。

しかし、労働法の選択者の数は圧倒的なのに他の科目と合格率に大差がないということは、逆に言えば労働法選択の不合格者もまた多いということです。

得意不得意が分かれる科目といえるかもしれません。

※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】労働法の特徴・勉強法

経済法・知的財産法

近年合格率を伸ばしてきているのが経済法と知的財産法で、どちらも40%以上の合格率になってきています。

この2科目は近年人気を増してきている科目で、選択者数の数や合格率も似ています。

※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】経済法の特徴・勉強法
※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】知的財産法の特徴・勉強法

租税法・国際関係法(私法)

租税法と国際関係法(私法)もほとんど同じような推移をしており、30%前後の合格率となっています。

※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】租税法の特徴・勉強法
※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】国際私法の特徴・勉強法

環境法・国際関係法(公法)

環境法と国際関係法(公法)は目に見えて合格率が低くなっています。

この2科目(特に国際公法)は選択者数が少ない科目なので、数字が安定しないのもやむを得ないと言えるでしょう。

※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】環境法の特徴・勉強法
※関連コラム:【司法試験・予備試験の選択科目】国際公法の特徴・勉強法

合格率の高い選択科目を選んだほうがよい?

以上で比較したように、選択科目ごとの合格率にはあまり大きな違いはありませんが、おおむね選択者数の大小に比例する傾向にあるといえます。

そのため、単純な合格率や難易度だけを考えるのであれば、選択者数の多い科目を選ぶのが得策ということになるでしょう。

ただし、選択科目を選ぶ基準は合格率や難易度だけではありません。

例えば、何を学びたいかという自分の興味や好みを大事にした方が学習のモチベーションが上がります。

また、各選択科目には少なからず法律基本科目との親和性がありますので、法律基本科目で自分がどの法系を得意にしているのかという点を基準とすることも考えられます。

選択科目の選び方

選択科目の決定は誰しも悩むところだと思います。

今回は合格率をご紹介しましたが、自分に合った科目を選ぶことが重要です。

  • 何に興味を惹かれるか
  • 多くの受験生と同じ科目の方が安心するのか
  • 学習の素材(基本書、演習書)はどのくらいあるのか
  • テキスト・講義の分量はどの程度であるのか
  • 選択科目にどのくらい勉強時間を割けるのか
  • 暗記が得意なのか
  • 現場思考が得意なのか
  • 民事系に親和性があるのか
  • 刑事系に親和性があるのか
  • 公法系に親和性があるのか

など、色々な角度から自分に合った科目を見つけてください。

関連コラム:【司法試験・予備試験】選択科目の選び方

関連コラム:司法試験予備試験に1年で合格する勉強法

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※下記はアガルートにおける選択科目ごとの講義時間です。

  • 倒産法:64時間
  • 労働法:69時間
  • 知的財産法:63時間
  • 国際私法:46時間
  • 環境法:65時間
  • 経済法:25時間
  • 国際公法:38時間
  • 租税法:40時間

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この記事の監修者 谷山 政司 講師

谷山 政司 講師

平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。

自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。

また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。

谷山講師の紹介はこちら

ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924

 

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