倒産法は民法や民事訴訟法との関連が非常に深く、暗記量も比較的少ないため、民事系科目を得意とする受験生に特に向いています。

学習の進め方としては、まず破産法で全体像を掴み、その後に民事再生法との差異を確認しながら過去問や判例百選を繰り返すことが重要です。

本コラムでは、アガルートアカデミー司法試験の谷山政司講師が、司法試験・予備試験の選択科目、倒産法の特徴について解説します。

既に倒産法を学ぶことを決めている方や、最近学び始めた方もぜひ参考にしてください。

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【司法試験・予備試験】倒産法の特徴

【司法試験・予備試験】倒産法の特徴

「倒産法」とは、破産法、会社法上の特別清算、民事再生法、会社更生法の4法の総称であり、「倒産法」という固有の法律は存在しません。

司法試験の倒産法では、上記のうち、破産法と民事再生法の各分野から1題ずつ出題されます。

これに対し、予備試験倒産法は、1題のみの出題となるため、破産法と民事再生法のいずれか、あるいは破産法と民事再生法の比較問題が出題されることが予測されます。

破産法と民事再生法についての教科書を手に取ってみると、非常に分厚いものが多く存在しています。

そのため、「ボリュームが多く、相応の勉強量を要求される」というイメージを持ちがちです。

しかし、試験科目としての倒産法は、出題分野が限られており、破産法・民事再生法ともに、毎年同じような形式で、似た内容の出題がなされます。

特にいわゆる論点ではなく、「条文の検索・あてはめ能力」が問われることが多いので、実は、頭の中に記憶しておくべき知識は非常に少ないといってよいです。

また、倒産法は民事系科目との関連が強いという点にも大きな特徴があります。

つまり、民法と民事訴訟法を一通り学ぶと、倒産法で取り扱う概念の半分以上が、実は民法と民事訴訟法に由来していることが分かります。

そのため、民法・民事訴訟法上の原理原則が、倒産法上でどの様に変容していくのか、そしてそれはなぜなのかという形で学習を進めていくことになります。

なお、破産法を学習してしまえば、民事再生法の8割方の学習は終わっているといってよいでしょう。

したがって、民事科目が得意な方に向いていると言えますし、倒産法を勉強する中で民事科目の理解も深まるというシナジーが生まれます。

民事系が得意になりたいなら、倒産法を選択すべきともいえます。

そして、配点の多い民事系が得意になるということは、司法試験の合格率を高めることに直結します。現に、倒産法選択者の合格率は、選択科目の中で最も高くなっています。

また、司法試験受験予定者のうち、倒産法を選択する者の割合は約16%であり、労働法、経済法に次いで第3位の人気科目となっています。出典:「司法試験の結果について」法務省

これに対し、予備試験受験者のうち、倒産法を選択する者の割合は約18%となっており、これは、労働法に次ぐ2位の人気科目となっています。出典:「司法試験予備試験の結果について」法務省

したがって、受験者間での情報交換がしやすい科目と言えるでしょう。

さらに、倒産法は労働法と並んで実務で使用することがとても多い法分野です。

身近な法律相談をする際に、倒産法を含めた民事系一般の知識を習得しておくことは必須であるといえます。

倒産法を勉強することは将来の実務においても大いに役立つでしょう。

【司法試験・予備試験】倒産法は難しい?

倒産法は司法試験の選択科目の中ではむしろ取り組みやすい部類に入る科目であり、実際に選択科目の中で最も高い合格率を記録しています。出典:「司法試験の結果について」法務省

理由は3つあります。

第一に、暗記量が少なく条文の検索・あてはめが中心であるため、暗記が苦手な受験生でも対応しやすいこと。

第二に、出題範囲が限定的で過去問の傾向が安定しており、学習の見通しが立てやすいこと。

そして第三に、民法・会社法・民事訴訟法と密接に結びついており、「0.5科目」と呼ばれるほど民事系科目との相乗効果が大きいことです。

確かに、破産法・民事再生法・会社更生法・特別清算の4法を扱い、「破産管財人」「別除権」「否認権」など独特の専門用語が多いため、初学者が「難しい」と感じるかもしれません。

しかし、まずは基本書で手続の全体像をインプットし、その後に個別論点へと進む順序さえ守れば、苦手意識は十分に乗り越えられます。

【司法試験・予備試験】倒産法の勉強法

倒産法は、まず破産法で倒産手続の全体像を理解し、その後に破産法との共通点・相違点を意識しながら民事再生法を勉強することが効率的です。

また、過去問演習を軸に判例百選を繰り返し学習し、答案添削を取り入れながら記述力を磨くことが、司法試験・予備試験合格への近道となります。

試験で問われること

倒産法はそれぞれ破産法と民事再生法から大問が1つずつ出題されます。

各大問につき、手続的問題と実体的問題の両方が出題されます。

また、予備試験倒産法は1題の出題ですが、長文の事例が記載され、それに対応する設問があるという点では、司法試験倒産法と大きな差異はありません。

効率的な勉強法

倒産法は破産法と民事再生法から出題されますが、まずは破産法から勉強しましょう。

まず破産法を勉強して破産手続とはどのようなものなのかを理解することが肝心です。

そのうえで、民事再生法は破産法と共通する点が多いので、破産法との異同を意識しながら勉強するのが効果的です。

試験では適切な条文操作ができるかが重要となるので、まずは破産手続を概観したうえで、適切な条文を引っ張れるようにしましょう。

インプットは独学の場合基本書を読むことになりますが、効率よく学習したい場合、予備校の講座を受講することが有効です。

また、倒産法の問題は判例百選から出題されることが非常に多いです。

したがって、百選の学習が必須となります。

過去問演習と並行して百選を繰り返し確認することでほとんどカバーできるでしょう。

また、演習本なども効果的ではありますが、何より重要なのは過去問演習です。

過去問は解きっぱなしにするのではなく、予備校が出している模範答案や他の受験生の答案と比較して自己添削をすることで、自分の答案の癖を修正していくことが重要です。

可能であれば、予備校や合格者の先輩に答案添削を依頼することも有効です。

全ての科目に共通することですが、あまり手を広げすぎず、過去問を繰り返し解き、百選を繰り返し参照することが重要といえます。

上記の勉強法は、司法試験倒産法・予備試験倒産法いずれにも該当します。

なぜなら、司法試験と予備試験で出題される問題は、質的にほとんど同じといえるからです。

倒産法の勉強法や選択科目を選ぶ際のポイントについては、谷山政司講師がこちらの動画で詳しく解説しています。

これから倒産法を学習する方や、選択科目で迷っている方はぜひご覧ください。

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アガルートの「倒産法 総合講義」

約20時間で司法試験倒産法で問われる知識を網羅的にインプットする講座です。
判例百選に沿った構成にし、網羅的に判例を検討していきます。
重要論点については、予想される出題形式とその対応策について適宜指摘していったり、過去問でどう問われており、どう答えるべきであるか等、実戦的な講義を展開していきます。

【司法試験・予備試験】倒産法のおすすめ基本書3選

司法試験・予備試験の倒産法の学習におすすめの基本書は、「倒産処理法入門」「倒産法講義」「破産法・民事再生法」の3冊です。

倒産処理法入門(有斐閣・山本和彦)

※出典:Amazon.co.jp

倒産処理法入門(有斐閣・山本和彦)は、タイトルの通り、「入門本」となります。

倒産法はこれまで見てきたように、実は覚えるべき知識の量が少ないです。

そのため、全体像をつかんで、条文を引く練習をした後に、できる限り早期にアウトプットに移行していくことがベストな勉強方法となります。

本書は、まさに倒産法のスタートの段階において極めて有益な書籍となります。

倒産法講義(日本加除出版株式会社・野村剛司/森 智幸)

※出典:Amazon.co.jp

倒産法講義(日本加除出版株式会社・野村剛司/森 智幸)は、わずか350ページと倒産法の基本書の中ではコンパクトな分量ですが、倒産法で学ぶべき重要事項や、主要な判例をしっかりと確認することができます。

図表も多用されており、実務をまじえた具体例の説明が極めて分かりやすい文章で展開されています。

そのため、とにかく倒産法がより身近なものとして理解できる秀逸な書籍です。

アガルートアカデミー司法試験の谷山講師イチオシの基本書となります。

破産法・民事再生法(有斐閣・伊藤眞)

※出典:Amazon.co.jp

破産法・民事再生法(有斐閣・伊藤眞)は、言わずと知れた倒産法のスタンダード基本書です。

倒産法の論点について、これまでの学説の対立を説明しながら、筆者独自の見解がある部分については、説得力のある説明が展開されます。

倒産法の論点はすべてこの中に詰まっていると言っても過言ではありません。

ただし、1000ページ以上になるため、通読には向いておらず、「辞書」的に用いるのがベストであると思います。

【司法試験・予備試験】倒産法が向いている人

倒産法は民事系科目と関連性が高い科目です。

したがって、民事系科目が得意な受験生に向いている科目といえます。

また、民事系を強くしたいという人にも向いています。

倒産法を勉強することで、民事系が強くなるという現象はよく見られます。

また、条文の検索能力、あてはめ能力を前提とした事案解決能力が問われており、問いが多岐に渡りますので、検索スピードが早い方には向いている科目と言えます。

また、暗記が苦手な方にも向いている科目といえます。

そして、企業法務にしろ一般民事にしろ、倒産案件は実務上多く取り扱われています。

実務に役立つという点においても倒産法を選択するメリットがあります。

また、倒産法は教材や講座が比較的充実しているので、独学で勉強する受験生も勉強しやすい科目といえます。

まとめ

・倒産法は破産法、会社法上の特別清算、民事再生法、会社更生法の4法の総称
・司法試験・予備試験いずれも受験生に人気の選択科目
・倒産法では出題範囲が限定され、学習効率が高い

倒産法は、民法・民事訴訟法の知識を土台に学習でき、効率良く点数を取れる科目です。試験対策の柱として、過去問と判例百選を繰り返し演習することが合格への近道です。

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この記事の監修者 谷山 政司 講師

谷山 政司 講師

2003年 中央大学法学部法律学科卒
2010年 中央大学法科大学院既修者コース修了
2011年 (新)司法試験合格
2014年 伊藤塾にて、予備試験ゼミ・司法試験ゼミ(倒産法)・特進ゼミ等を担当
2015年 司法修習修了(68期)
同年12月 弁護士登録、法律事務所ASCOPE所属
2016年 アガルート参画 個別指導事業立ち上げ
2017年 個別指導や「予備試験1年合格カリキュラム マネージメントオプション」から、予備試験1年合格者を多数輩出

谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。
自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。
また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。

谷山講師の紹介はこちら

ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924

 

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