社労士と社会福祉士の難易度の違いは?ダブルライセンスは有効?
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少子高齢化やブラック企業など、現在の日本が抱える課題に大きく貢献できる「社会保険労務士」と「社会福祉士」は、近年注目の資格となっています。
そこで、次のような疑問にお答えします。
「社労士試験と社会福祉士試験はどちらが難しいんだろうか?」
「ダブルライセンスのメリットはあるのだろうか?」
このコラムを読めば、社労士と社会福祉士の難易度の違い・両者の仕事内容・ダブルライセンスによるメリットについて理解できます。
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まずは社労士と社会福祉士の難易度の違いについてみていきましょう。
社会保険労務士と介護福祉士の難易度を比較すると、社会保険労務士の方が難易度が難しいとされています。
合格率、勉強時間、足切り制度それぞれの視点から見ても社会保険労務士の難易度が高く、社会福祉士の難易度は低いと考えられます。
社会保険労務士と社会福祉士の難易度がどれほど違うのか、合格率、勉強時間、足切り制度それぞれの視点で解説します。
試験の合格率から見る難易度の違い
社労士の合格率は例年6~7%を推移しています。
社会福祉士の合格率は25〜30%を推移しており、両試験の合格率には大きな開きがあります。
合格率から難易度を比べると「社労士」の方が圧倒的に難しい資格であると言えるでしょう。
必要とされる勉強時間から見る難易度の違い
次に「合格に必要とされる勉強時間」の違いをみていきます。
社労士と社会福祉士の勉強時間の違い、あわせて勉強期間の違いを以下の表にまとめてみました。
勉強時間 | 勉強期間 | |
社労士 | 約800時間 | 10~12カ月 |
社会福祉士 | 約300時間 | 6ヶ月 |
上記の表の数値はあくまでも標準的なものになりますが、両者の差は歴然です。
社労士は数年かけて合格するケースも珍しくなく、膨大な勉強時間が必要だと言われています。
社会福祉士は社労士と比べると少ない勉強時間で合格できますが、それでも300時間程度は勉強しなければならないため、決して一朝一夕に合格できるような試験ではありません。
足切り制度から見る難易度の違い
社労士と社会福祉士の試験の共通点として「足切り制度」が挙げられます。
足切り制度とは科目に合格基準点が設けられ、その基準点を下回ると不合格となるものです。
試験の総合点がいくら高得点でも、足切りにひっかかる科目が1科目でもあると不合格になるため、受験生にとってはやっかないな制度であると言えるでしょう
【社労士試験の合格基準】※令和6年度
・選択式:総得点25点以上かつ各科目3点以上(ただし労一は2点以上)
・択一式:総得点44点以上かつ各科目4点以上
合格基準点は年によって変動します。
【社会福祉士試験の合格基準】
・19科目(実質18科目)の全ての科目において得点すること
・総得点の6割以上
社会福祉士試験は「0点」の科目が1つでもあれば不合格となります。
つまり、各科目において、社労士は「選択式3点or択一式4点以上」、社会福祉士は「1点以上」得点しなければなりません。
どちらの試験にも足切り制度は存在します。
足切り制度の内容からいえば、「社労士」の方が難易度は高いと考えられるでしょう。
以上3つのポイントから「社労士」「社会福祉士」の違いを探ってみました。
難易度の高さでいうと「社労士」に軍配が上がりますが、どちらも難しい資格ではあるため、試験を突破するには十分な対策が必要です。
社労士と社会福祉士のダブルライセンスは有効?
ここからは社労士と社会福祉士のダブルライセンスによるメリットを解説していきます。
はじめに、それぞれの仕事内容について簡単に見ていきましょう。
ダブルライセンスによるメリットは?
ダブルライセンスによる最大のメリットは「福祉系に強い」社労士として活躍できることです。
先述したとおり、社労士は独立開業できる資格ですが、誰もが成功できるわけではありません。
開業社労士として成功するためには、他の社労士との「差別化」が重要になります。
そこで役立つのが「社会福祉士」の資格です。
例えば
社労士の仕事の中で「障害年金の請求業務」という業務があります。
障害年金を受給したい方がご自身での請求が難しい場合に、社労士が代行し書類作成や請求を行います。
障害年金を請求したい方は自身の症状ついて社労士に打ち明ける必要があるため、「信頼できる社労士に相談したい」と考えるでしょう。
そんな時、医療・福祉に関する相談援助のスペシャリストである社会福祉士の資格も持っていれば、顧客の安心感が大きく変わってきます。
資格がない人よりも、資格を持つ「専門家」に相談したいと思いませんか。
このように、ダブルライセンスを取得すると「福祉に強い社労士」として活躍でき、顧客から選んでもらえる社労士となる可能性が高まるでしょう。
※関連コラム:社労士におすすめのダブルライセンス8選!取得するメリットを簡単に解説
社会保険労務士の仕事内容とは
社労士とは「社会保険労務士」の略称で、人事関係では最高峰の国家資格です。
企業の成長に欠かせない「人材」に関するに関する法律のスペシャリストで、従業員の人事や労務管理を行う人のことを指します。
社労士の主な仕事内容は大きく分けて次の3つです。
- 社会保険、労働保険に関する書類作成および手続き代行
- 労働社会保険諸法令に基づいて作成すべき帳簿書類の作成
- 人事労務管理のコンサルティング
なお、上記1,2の業務は社労士の「独占業務」とされており、社労士にしか行えません。
社労士は、開業したり、企業の人事部で働いたり、あるいは社労士事務所で勤務したりといったように、活躍できるフィールドが幅広く存在します。
社会福祉士の仕事内容とは
社会福祉士とは、1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づいて誕生した国家資格。
「ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、福祉系の資格の中では最も難しい資格として有名です。
社会福祉士は医療・福祉に関する相談援助のスペシャリストで、身体的・精神的・経済的など福祉の分野で問題を抱える方からの助言や指導を行う「相談者」として活躍します。
また、福祉サービスや保健医療サービスなどとの連携をサポートする「橋渡し」の役目も果たします。
社会福祉士の活躍できる分野は、次のように多岐にわたります。
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
- 児童相談所
- 知的障害者施設
- 身体障害者施設
- 病院などの医療機関
ただし、社会福祉士は「名称独占資格」であり、無資格であっても問題なく活動することが可能です。
しかし、社会福祉士の資格を持っていると社会的信用が高く、相談者の方からも信頼を得られるメリットがあります。
就職・転職活動を行う際にも、社会福祉士資格があれば大きなアピールポイントになるでしょう。
社会保険労務士と社会福祉士の試験概要
社労士と社会福祉士の試験は、それぞれ受験資格や試験内容が異なります。
ここでは、社労士と社会福祉士の試験概要を紹介します。
社会保険労務士の試験概要
ここでは、社労士の試験概要を解説します。
社会保険労務士の受験資格
社労士試験は受験資格として、以下のいずれかの要件に当てはまる必要があります。
・学歴による受験資格
・実務経験による受験資格
・試験合格による受験資格
学歴による受験資格には大学や短大、専門学校卒業などが該当します。
また、実務経験による受験資格は「労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人の役員または従業員」や「国または地方公共団体の公務員等」などです。
試験合格による受験資格については「社労士試験以外の国家試験合格」などがあげられます。
社会保険労務士の試験内容
社労士試験では、80分の選択式と210分の択一式がマークシート形式で課されます。
出題科目は大きく以下の8つです。
・労働基準法および労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
・雇用保険法
・労務管理その他の労働に関する一般常識
・社会保険に関する一般常識
・健康保険法
・厚生年金保険法
・国民年金法
社会福祉士の試験概要
ここでは、社会福祉の試験概要を紹介します。
社会福祉士受験資格
社会福祉は計12種類の受験資格のいずれかを満たすことで受験ができます。
「学歴」「科目履修」「相談援助実務」「養成施設等」などが求められており、一例として以下のような要件が定められています。
・4年制の福祉系大学等で指定科目を履修
・4年制の一般大学等を卒業後に一般養成施設等に通う
・2年制の福祉系短大等で基礎科目を履修したうえで相談援助実務を2年間経験し短期養成施設等に通う
・相談援助実務を4年経験した後に一般養成施設等に通う など
詳しくは、社会福祉振興・試験センターのホームページを確認してください。
社会福祉士試験内容
社会福祉士試験では、共通科目と専門科目が課されます。
共通科目は精神保健福祉士と共通の試験内容となっており「人体の構造と機能及び疾病」や「心理学理論と心理的支援」など含む11科目で構成されています。
一方で専門科目とは、社会福祉士専門の試験であり「相談援助の基盤と専門職」や「相談援助の理論と方法」など含む計8科目です。
社会保険労務士に向いている人の特徴
ここでは社労士に向いている人の特徴を3点解説します。
地道な作業をやり遂げられる人
社労士は地道な業務が続くことも多いです。
例えば、従業員の社会保険料の計算を行って、帳簿を作成していく作業などがあげられます。
この仕事は毎月必要であり、従業員全員分の作業を行うこととなります。
また、お金を取り扱う仕事であるため、正確性が求められる点も特徴です。
そのため「地道な作業もコツコツとやり遂げられる」「細かいお金の計算を慎重に行える」といった方に向いている仕事といえるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
社労士として働くためにはコミュニケーション能力が必須です。
独立開業して働く場合は、自分で営業して顧客を獲得する必要があります。
また、現在はコンサルタント的な業務にも需要があるため、顧客と円滑なコミュニケーションが取れなければ継続した依頼に繋がらない可能性があります。
また勤務社労士として働く場合も、労務管理の相談や企業と従業員間のトラブルの仲裁などを求められるため、人と話すのが得意でコミュニケーション能力に長けている人でなければ難しい仕事といえるでしょう。
間違っていることは間違っていると指摘できる人
社労士は間違っていることを間違っていると明確に指摘できる人材でなければなりません。
社労士に依頼を行う企業の中には「法律を無視した労働環境となっている」「知らぬ間に法理に違反していた」といった例もあります。
このような企業が適切な人事労務環境を作るための指導を行うことも社労士の重要な仕事です。
社労士は人事労務管理の専門家として、労務管理を指導する権限もあります。
そのため、間違っていることを毅然とした態度で指摘でき、改善を求められる人が社労士に向いているといえるでしょう。
社会福祉士に向いている人の特徴
ここでは、社会福祉士に向いている人の特徴を解説します。
受容と傾聴ができる人
社会福祉の仕事は、相手方の話を聞くことから始まります。
相談者の中には感情的になっている人や、混乱している人など、さまざまな状態の方がいます。
これらの人たちの話をしっかりと聞き、客観的な視点で状況を把握できる能力が必要です。
また、中には社会福祉士に対して怒鳴ったり悪態をついたりする人がいる可能性もあります。
そのような際にも感情的にならず、冷静な対応を行う力も求められるでしょう。
反対に相手方の話を遮ったり、状況を把握できないといった方は、社会福祉士の仕事で活躍することは難しいかもしれません。
社会的に弱い立場の人をサポートしたい人
社会福祉士が相談を行う方は「生活困窮者」や「障がい者」「シングルマザー」など、社会的に弱い立場にある人が中心です。
そのため「社会的に弱い立場の人をサポートしたい」と考える方に向いている仕事といえるでしょう。
社会福祉士が相談を行ううえで「虐待」や「経済的な不安」といった暗い話題は多く、相談相手から暴言や悪態を受けることもあります。
そのため、自分の利益ばかり大切にして、本気で相手を救いたいという気持ちがない場合は長く続かない可能性があります。
プライバシーに配慮できる人
社会福祉士は相談の内容によっては家族構成や経済面、過去の経歴といったプライバシーに直接かかわる内容を聞くこともあります。
このような内容を外部に漏らさない「守秘義務」を守ることは当然ですが、いかに相談者に心を開いてもらうかや、傷つけずに話を聞きだすかなど、プライバシーへ配慮しながら仕事を進める必要があります。
プライバシーに配慮できないと、相談相手からの信頼を得ることは難しく、円滑に相談が進まない可能性があるため、社会福祉士にとって必須の能力といえるでしょう。
まとめ
今回のコラムでは「社労士」と「社会福祉士」の難易度の違いや、ダブルライセンスによるメリットをご紹介しました。
どちらの資格も少子高齢化などの問題により、今後ますます需要が高まることが予想されます。
また、試験の学習範囲はいくつか共有項目が存在しているため、学習しやすいというメリットもあります。
※「労働基準法」「健康保険法」「厚生年金」「国民年金」など
ダブルライセンスを取得すると、社労士として開業した場合にも役立ちますので、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 竹田 篤史講師
短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。
これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。
自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。
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