今回のコラムでは社労士になるための方法、流れについて解説します。

社労士に興味のある方や社労士試験合格を目指されている方は、ぜひ今回のコラムを通じて社労士になるまでの流れを把握しましょう。

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国家資格の社会保険労務士(社労士)とは

社会保険労務士とは、社会保険と労務の知識を駆使して、労働者の労働環境や企業の労務環境のアドバイスを行う国家資格の専門家のことです。

労働者個人の保険や年金の相談業務、企業の労務管理の相談業務、保険手続業務を行い、人や企業の福祉の向上を目指す職業です。

より具体的な仕事内容としては、以下のようなものを挙げることができます。

  • 労働条件、労働環境に関する相談、指導等
  • 出産、死亡等の社会保険に関する申請手続
  • 労働における紛争の相談
  • 年金についての相談等
  • 就業規則等の策定

以上のように、人や企業がより働きやすいような環境を提供するのが社労士の役目であり、労働者や会社に寄り添った提案、考え方が大切といえます。

※関連コラム「社労士とは?仕事内容をわかりやすく解説!

社会保険労務士になるには?資格取得の流れ

社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格し、全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録する必要があります

登録には、実務経験が2年以上、または事務指定講習を修了していることが求められます。

社会保険労務士試験は、例年8月中旬に実施され、11月に合格発表があります。

1.社会保険労務士になるために社会保険労務士試験に合格する

社労士になるためには、毎年8月に実施される社会保険労務士試験に合格する必要があります。

そこで、まずは試験の申込手続や受験資格、試験内容について解説していきます。

社会保険労務士試験の申込方法

社労士試験の申込期間は例年4月中旬~5月末日までです。

社会保険労務士試験の申込方法として、原則インターネット申込のみとなります。当分の間は郵送での申込も受け付けるそうです。

インターネット申込にはメールアドレスが必要なため、事前に準備を行いましょう。

郵送申込は、事前に受験案内と申し込み一式を試験センター宛てに請求する必要があります。なお、受験案内は、受験センター及び都道府県社会保険労務士会窓口で配布されていません。

※関連記事:社労士試験の申し込み方法・手順を徹底ガイド

社会保険労務士試験の受験資格

社労士試験の受験資格は、主に三種類あります。

社会保険労務士の受験資格詳細
学歴大学や短大等を卒業した者
3年以上の実務経験労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員又は
従業者として従事した期間が3年以上になる者
特定の国家試験合格行政書士試験を合格した者や、税理士試験を合格した者

社労士試験の受験資格は多くあるため、どの受験資格で試験を受験するのか最初に決めておくのが重要です。

※関連記事:社労士試験の受験資格とは?大卒・高卒・専門学校・国家資格保有者は?

社会保険労務士試験の試験内容

社会保険労務士試験は選択式試験と択一式試験があり、どちらもマークシート形式です。選択式は文章中の空欄に適切な語句を選ぶ形式で、択一式は5つなどから正しいものを選ぶ形式です。

足切り点は総合得点だけでなく、各科目毎に個別に設定され、どちらかの試験の1科目でも足切り点未満なら不合格となります。

例年の基準は選択式が5点中3点以上、択一式が10点中4点以上。総合合格基準点は全体の60~70%となっています。

※関連記事:社労士試験の試験科目や試験内容一覧!気になる合格基準点や出題範囲も解説

2.社会保険労務士になるために社労士として登録を行う

社会保険労務士試験に合格しても、社労士として働くには登録が必要です。

登録には「事務指定講習」が必要で、通信指導課程と面接指導課程で構成されます。ただし、2年以上の社会保険諸法令に関する実務経験がある場合は免除されることもあります。

講習終了後に登録し、開業か勤務かによって登録の種類と料金が異なります。

全国社会保険労務士連合会と都道府県社会保険労務士会に加入し、登録が完了すれば、社労士として実務に携わることが可能となります。

※関連記事:社労士試験合格後の登録費用はいくら?登録の流れ・必要書類を解説

【大卒・高卒別】社会保険労務士になるには

大卒と高卒別に社会保険労務士になる方法をそれぞれ解説します。

【大学卒】社会保険労務士になるには

大学卒で社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格し、社会保険労務士として登録する必要があります。

一般的な大学(4年制大学)を卒業している場合は、社会保険労務士試験の受験資格を満たしているため受験することが可能です。

大学を卒業しておらず在学中の場合、大学を中退した場合は、下記のどちらかを満たしている場合は受験資格が与えられます(短期大学を除く)。

  • 学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終了した
  • 62単位以上を修得した(卒業認定単位以外の単位を除く)

【高校卒】社会保険労務士になるには?受験資格をクリアする3つの方法

高卒で社会保険労務士になるには、3年間の実務経験を積み、学歴要件を満たすなど、社会保険労務士試験の受験資格を取得する必要があります

高卒の方におすすめの受験資格を取得する方法を3つ紹介します。

1.通信制の短大に通い学歴要件をクリアする

社会保険労務士試験は、高卒のままでは受験することができないため、短大や大学を卒業して学歴要件を満たす必要があります。そのため、通信制の短大へ行くことがおすすめです。

通信制の短大は、一般的に通常の学費に比べて経済的負担が軽減され、授業が主に土日に開講されます。特に経営学部などの学部を選択すれば、社労士に必要な基礎知識を身につけることができます。

学歴要件をクリアしつつ、資格取得に向けて効果的な学習が可能です。

2.行政書士試験を受け資格を取得する

行政書士試験は、だれでも受験できるため比較的合格を目指しやすい試験といえます。そのため、社会保険労務士試験の受験資格を取得するために、行政書士試験に合格することがおすすめです。

行政書士も社会保険労務士と同様に、法律に関する知識が求められる資格であり、行政書士試験の勉強を通じて法律に関する理解を深め、専門用語を早期に習得することができます。

また、行政書士試験の勉強を通して、自身に合った学習法や試験対策を見つけ出すことも可能です。

行政書士資格を取得することで、社会保険労務士の受験資格を得るだけではなく、その後の社会保険労務士の受験勉強を有利に活かすことができるでしょう。

3.実務経験を3年積む

行政書士資格の資格取得や、通信制の短大に行くことが難しい場合は、実務経験を3年積んで受験資格を得る方法がおすすめです。

未経験の方は、社労士事務所での補助業務を提供している事務所を見つけることがおすすめです。面接の際には、「社労士の資格取得を目指している」という熱意をしっかりとアピールしましょう。熱意を買われ採用につながる可能性が高くなります。

3年間の実務経験を通じて学びながら勉強することで、知識を効果的に吸収することができます。

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社会保険労務士のキャリアパス3選

社会保険労務士のキャリアパスとして、大きく3つあります。

  • 民間企業の人事部門・総務部門で働く
  • 社会保険労務士事務所・社会保険労務士法人などの士業事務所で働く
  • 総合会計事務所・労務コンサルティング会社で働く

民間企業の人事部門・総務部門で働く

社会保険労務士の資格を取得し、社労士事務所や法律事務所での就業は典型的なキャリアパスです。

主な業務内容は企業の労務管理サポート、労働相談、社会保険手続き代行などです。また、起業者からの就業規則作成の依頼や既存顧客からの見直し・アドバイスもあります。

最初の数年は基本業務をこなし、その後はコンサルティング業務に進むことが一般的です。経験を積んだ後、独立するケースもあります。

社会保険労務士事務所・社会保険労務士法人などの士業事務所で働く

女性が選ぶキャリアの一例として、企業の人事部や総務部での勤務が挙げられます。

社会保険労務士の知識を生かし、社会保険事務、給与計算、人材開発などに従事し、福利厚生の制度構築にも携わります。企業にとっては社労士を雇うことで外部委託を省くメリットがあり、積極的に採用する企業も存在します。

管理職になると労務関連の知識を活かし、スタッフの育成・指導、さらには人事・採用計画や子会社の人事管理などにも関与することがあります

総合会計事務所・労務コンサルティング会社で働く

一部の人は、社労士事務所で経験を積んだ後、コンサルティング会社に移り、人事・労務に関するコンサルティングやクライアントへのアドバイス、問題解決のサポートなどに従事します。

企業は様々な労務管理上の問題を抱えており、広範な経験を通じて専門性を高めることが可能です。

コンサルティング会社で5~10年の経験があれば、独立やパートナーへの道も開かれるでしょう。

社会保険労務士に向いている人の特徴

社会保険労務士に向いている人の特徴として、5つあります。すべてに当てはまらずとも1つに当てはまれば社会保険労務士に十分向いていると考えられます。

  • 数字に強く、地道な作業でもやり遂げることができる方
  • 今の年収や働き方に不満があり、キャリアアップを望む方
  • 遵法精神が強く、間違っていることは間違っているといえる方
  • コミニュケーション能力が高く、人と話すことが得意な方
  • 会社の発展に役立ちたいと考えている方

一方、社会保険労務士に向いていない人の特徴もあります。

  • おおざっぱな方
  • 企業に逆らうことが苦手な方
  • 地道な努力が苦手な方

※関連記事:社労士(社会保険労務士)に向いている人・向いていない人

社会保険労務士試験の難易度

社会保険労務士試験の難易度は、高いことで有名です。合格率は5~7%と低く、試験内容や他の試験と比較しても難易度が高いことがわかります。

他の試験と比較した場合の難易度として、社会保険労務士試験の難易度は、FP1級・行政書士・宅建士よりも高く、税理士・司法書士より易しいといわれています。

※関連記事:社労士試験の難易度は?他の資格と比較しながら解説!

まとめ

社労士試験から社労士登録までの手続や流れについて解説いたしました。

今回のコラムのまとめは以下の通りです。

  • 社労士になるには、社会保険労務士試験に合格する必要がある
  • 社労士になるには、試験合格後に全国社会保険労務士連合会と都道府県社会保険労務士会に加入・登録する必要がある
  • 高卒の人が社労士試験の受験資格を満たすためには、通信制の短大に通う、行政書士の資格を取得する、社労士としての実務経験を3年積むという3つの方法がある
  • 社労士になった後は民間企業の人事部門・総務部門で働く、士業事務所で働く、総合会計事務所・労務コンサルティング会社で働くという選択肢がある

社労士として働くまでの道筋を立てることはできましたでしょうか。

今回のコラムが社労士を目指す方やご興味をお持ちの方の参考になれば幸いです。

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