社労士の行政協力ってどんなものなの?誰でも行政協力に参加できるの?
行政協力の仕事内容って具体的にはどういったものがあるの?
今回はこのような疑問にお答えしていきます。

社労士の行政協力は、社会保険労務士会が会員を派遣するサービスのことであり、開業社労士のみ参加できます。

簡単に言ってしまうと、社会保険労務士会から新米社労士が仕事を紹介してもらうこと、になります。

行政協力の仕事は、社労士試験の試験監督官や年金相談員・労働相談員・市民相談員などです。行政協力のメリット・デメリットについても解説しているので、社労士の行政協力に興味のある方はぜひ参考にしてください。

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社労士の行政協力とは?

社労士の行政協力とは、各都道府県の社会保険労務士会が窓口となり、会員を派遣するサービスのこと。
地域サービスの一環として行政協力は行われています。

具体的な仕事内容については後述しますが、社労士試験の試験監督官や街角の年金相談センターでの年金相談員・労働保険相談員などがあります。

各都道府県の社労士会からFAXや電話等で行政協力の依頼が来るので、希望者はそれらに応募して参加する形です。
通常、行政協力は2名〜5名の社労士に依頼されますが、業務内容によっては募集人数が20名以上というケースも。

行政協力に参加すると、収入を得ながら実践的な知識や経験を学ぶことが可能です。

その他登録では参加できない

社労士として登録する際、「開業社労士」「勤務社労士(一般企業に属している方)」「その他登録」の区分の中から、いずれの方法で登録するか選択しなければなりません。

その中で、行政協力に参加できるのは「開業社労士」のみ。
勤務社労士やその他登録で登録している者は行政協力に参加できません。

ちなみに、開業社労士として登録するには会費が必要です。

例えば、東京都社会保険労務士会に登録する場合は、下記の金額が必要になります。

・登録免許税30,000円
・登録手数料30,000円

入会金50,000円
年会費96,000円

その他に、以下のような条件もあります。

  • 社労士賠償責任保険に加入していること
  • 社労士会会費を期日通り納めていること

行政協力には実務経験は問われません。
実務未経験の社労士でも行政協力に参加できます。

しかし、年金相談員のような専門性の高い仕事は、年金相談研修受講者や実務経験がある人が優先されるケースが高くなります。

行政協力の仕事内容と日当は?

社労士として行政協力に参加すると、どのような仕事に関われるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

※日当に関してはあくまで目安で表示しています。

社労士試験の試験監督官

社労士試験を受験した方の中には「試験監督官ってどんな人が行っているの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

実は、社労士試験の試験監督官も行政協力の仕事の1つ。

試験の説明や試験開始前の誘導・会場の設営・試験中の監視など、試験前日から当日にかけ2日がかりで行われます。

社労士試験を受験する人数は非常に多いため、試験監督官の募集は毎年あります。
社労士としての知識もそれほど必要ではないため、実務未経験の方でも挑戦しやすいでしょう。

日当の目安は20,000円〜35,000円程度と比較的高めです。

年金相談員

年金相談員は全国社会保険労務士会連合会が運営する「街角の年金相談センター」で、来所された方の年金相談に応じる業務です。

公的年金に関する唯一の国家資格者として、年金に関する手続きや書類のチェック・受理といった業務を行います。
郵便局で実施される場合も。

年金相談員の日当は15,000円〜20,000円程度。
大々的に募集が行われるときは、20名以上募集がかかるケースもあります。

労働保険相談員

労働保険相談員としての主な仕事内容は「労働保険の年度更新」。
労働保険の年度更新とは、前年度の確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告手続きのこと。

ハローワーク(職安)や労働基準監督署での行われる行政協力です。

労働保険の年度更新は、「概算・確定保険料申告書」を6月1日〜7月10日までの期間に、労働基準監督署等へ提出する方法で実施されます。
そのため、年度更新業務の繁忙期となる7月に数日間のみ行政協力の募集があります。

日当は、6,000円程度と、試験監督官などと比べると低めに設定されています。
しかし、ほぼ毎年募集があり、労働保険更新手続きを1から学べる点では魅力的といえるでしょう。

市民相談員

住民サービスの目的で市役所や区役所にて、専門家による無料の相談会が実施されています。

その相談会に社労士が「労働問題の専門家」として派遣され、悩みを抱える市民の相談にのります。
内容は年金や社会保険・労働災害・パワハラ・賃金未払い・解雇などの労働問題全般が主です。

この他にも、

  • 新規開業した社労士の指導を行う「メンター」
  • 社会保険事務局が行う健康保険・厚生年金保険の未適用事業所を巡回する「未適用事業巡回説明業務」
  • 雇用保険事業の周知・活用促進を図るための「雇用保険重点指導員」

など、行政協力は幅広い仕事があります。

行政協力はやるべき?

そもそも行政協力はやった方が良いのでしょうか。
行政協力のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

行政協力のメリット

行政協力の最大のメリットといえば、なんといっても報酬を貰えること。

行政協力に参加すれば数千円〜数万円の報酬を貰えるので、収入が不安定になりがちな新米社労士にとってはありがたい制度といえるでしょう。

報酬面だけでなく、実務経験がない社労士にとっても行政協力は非常に魅力的です。

なぜなら、試験勉強では学べない実務経験を習得できるため。

社労士の仕事内容は最近では労務コンサルも増えてきていますが、まだまだ事務的な手続きがメインです。
そういった業務は実務経験を積んでいなければ、対応できません。

実務未経験で開業する方にとって、行政協力は実務経験を積める貴重な機会となるでしょう。

また、行政協力に協力することで他の社労士や行政の方と人脈を形成できるのも大きなメリットとなります。
人脈を築けると顧客を紹介してもらったり、仕事を依頼して貰えたりするケースもあるためです。

行政協力のデメリット

行政協力にはメリットばかりではなく、デメリットもあります。

まず、開業資金として費用がかかることや、実務経験がない社労士が行政協力に参加する場合、アルバイト的な雑務がメインとなる可能性が高い点です。

社労士の仕事は専門的な知識が必要な業務が多く、実務未経験では対応できないものが少なくありません。
その結果、専門性のある業務は、どうしても実務経験が豊富なベテラン社労士に回されがちになります。

社労士としての実務経験を学びたい方にとっては、業務内容を「物足りない」と感じるかもしれません。

また、行政協力に時間を割きすぎて、本来力を入れるべき顧客獲得まで手が回らなくなってしまったというケースもあります。

※関連コラム:社労士とは?仕事内容をわかりやすく解説!気になる将来性や需要はどう?

まとめ

社労士の行政協力は実務経験が少ない社労士にとって、実践的な経験や知識を学べる貴重な機会です。
さらには報酬も貰えるので、収入が安定するメリットがあります。

しかし、実務経験の差によってはアルバイト的な業務しか回ってこず、実践的な知識を学ぶのが難しいケースもあります。
行政協力ばかりしていても、開業社労士として成功するのは難しいでしょう。

行政協力に参加する際には、「社労士として成功するために、行政協力で経験を積む」といったように、目的を明確にすることが重要です。

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この記事の監修者 池田 光兵講師

池田 光兵講師

広告代理店で、自らデザインやコピーも考えるマルチな営業を経験後、大手人材紹介会社で長年キャリアアドバイザーを経験、転職サポートを行う。

面接対策のノウハウや数々の自作資料は現在でも使用されている。

その後、研修講師や社外セミナーの講師などを数多く経験。

相手が何に困って何を聞きたがっているのかをすばやく察知し、ユニークに分かりやすく講義をすることが得意。

社会保険労務士試験は、ほぼ独学で就業しながらも毎日コツコツと勉強し、三度目の挑戦で合格した苦労談も面白く、また、三度やったからこそ教えられる「やっていいことと駄目なこと」も熟知している。

合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため,株式会社アガルートへ入社。

自らの受験経験で培った合格のノウハウを余すところなく提供する。

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