一般的によく知られている代表的なネイル資格といえば、「ネイリスト技能検定試験」「ジェルネイル技能検定」の2種類。

このほかにも、「JNA認定講師資格試験」や「JNAフットケア理論検定試験」など一口にネイル資格といってもさまざまな種類があります。

本コラムでは、取っておくと現場業務に役立つネイル資格の種類とそれぞれの特徴について解説します。

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ネイル資格の種類

ネイリストになるために、資格取得は必須ではありません。

ネイルの資格にはさまざまな種類がありますが、すべて国家資格ではなく民間資格です。資格がなくても、誰でもネイルサロンで働けるということになります。

しかし最近は、資格保持を採用の必須条件としているネイルサロンが多い印象です。ネイリストとしてサロンに転職するのであれば、資格を取得することが一番の近道といえるでしょう。

ここからは、「JNECネイリスト技能検定試験」や「ネイルサロン衛生管理士」といった代表的なネイル資格を紹介します。

JNECネイリスト技能検定試験

日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)主催の「JNECネイリスト技能検定試験」は、ネイリストとしての総合的な知識と技術を証明するための資格です。

試験は1〜3級まであり、1級が最も高度なレベルとされています。1級を受けるためには2級、2級を受けるためには3級を取得していなければなりません。

そのため、これからネイリストを目指す方にとって3級取得が最初の目標となるでしょう。

また、多くのネイルサロンでは「ネイリスト技能検定2級以上」の保持を採用条件としています。

サロンへの就職を目標としているのであれば、ジェルネイル技能検定よりもまずはネイリスト技能検定の取得をおすすめします。

JNECネイリスト技能検定試験3級

概要ネイリストベーシックのマスター。ネイルケア、ネイルアートに関する基本的な技術及び知識。
試験内容実技試験(70分)、筆記試験(30分)
受験資格受験時点で義務教育を修了しているすべての人
実技の採点方法 減点方式
筆記の出題形式マークシート方式
合格基準・実技試験:50点満点中35点以上
・筆記試験:100点満点中85点以上
合格率84.22%(2020年秋期までの累計)
実施時期年4回(1月、4月、7月、10月)
受験料6,800円(税込)
難易度★☆☆☆☆

JNECネイリスト技能検定試験2級

概要サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術及び知識。
試験内容実技試験(前半35分、後半55分)、筆記試験(35分)
受験資格JNECネイリスト技能検定試験3級取得者
実技の採点方法 減点方式
筆記の出題形式マークシート方式
合格基準・実技試験:50点満点中38点以上
・筆記試験:100点満点中80点以上
合格率41.23%(2020年秋期までの累計)
実施時期年4回(1月、4月、7月、10月)
受験料9,800円(税込)
難易度★★★☆☆

JNECネイリスト技能検定試験1級

概要トップレベルのネイリストとして必要とされる総合的な技術及び知識。
試験内容実技試験(150分)、筆記試験(40分)
受験資格JNECネイリスト技能検定試験2級取得者
実技の採点方法 減点方式
筆記の出題形式マークシート方式
合格基準・実技試験:50点満点中38点以上
・筆記試験:100点満点中80点以上
合格率37.74%(2020年秋期までの累計)
実施時期年2回(4月、10月)
受験料12,500円(税込)
難易度★★★★★

JNAジェルネイル技能検定試験

日本ネイリスト協会(JNA)主催「JNAジェルネイル技能検定試験」。ジェルネイルに関する知識や技術を証明する資格です。

ネイル全般に関する幅広い知識が問われるJNECネイリスト技能検定と比べて、JNAジェルネイル技能検定はジェルネイルに特化しています。

近年、ネイルサロンでは、ジェルネイルが主流となっているため取得しておくと転職活動の際に有利になるでしょう。

試験は初級・中級・上級の3段階。ネイリスト技能検定と同様に飛び級なしでの受験が必要になるため、まずは初級の取得を目指しましょう。

また、ジェルネイル技能検定初級はネイリスト技能検定3級以上、中級はネイリスト技能検定2級以上をすでに取得していると、実技試験の第一課題であるネイルケアが免除されます。

JNAジェルネイル技能検定試験初級

概要ネイルケアのベーシックマスターとジェルネイルを施術するために必要な基礎的知識と技術。
試験内容実技試験(第一課題35分、第二課題60分)、筆記試験(30分)
受験資格受験時点で義務教育を修了しているすべての人
実技の採点方法 減点方式
筆記の出題形式マークシート方式
合格基準・実技試験:100点満点中80点以上
・筆記試験:100点満点中80点以上
合格率約70%
実施時期年2回(6月、12月)JNA認定校での「自校開催制度」あり
受験料9,900円(税込)
難易度★☆☆☆☆

JNAジェルネイル技能検定試験中級

概要ネイルケアとジェルネイルを施術するためにプロとしてサロンワークに必要な専門的知識と技術。
試験内容実技試験(第一課題30分、第二課題85分)、筆記試験(30分)
受験資格JNAジェルネイル技能検定試験初級取得者
実技の採点方法 減点方式
筆記の出題形式マークシート方式
合格基準・実技試験:100点満点中80点以上
・筆記試験:100点満点中70点以上
合格率約60%
実施時期年2回(6月、12月)JNA認定校での「自校開催制度」あり
受験料13,200円(税込)
難易度★★★☆☆

JNAジェルネイル技能検定試験上級

概要ジェルネイルのスペシャリストとして必要とされる総合的知識と技術。
試験内容実技試験のみ(85分)
受験資格JNAジェルネイル技能検定試験中級取得者
実技の採点方法 減点方式
合格基準100点満点中70点以上
合格率約45%
実施時期年2回(6月、12月)JNA認定校での「自校開催制度」あり
受験料16,500円(税込)
難易度★★★★☆

ネイルサロン衛生管理士

ネイルサロン衛生管理士は、ネイリストに正しい衛生管理の知識を身に付けてもらい、安心・安全なサービスを普及させることを目的とした資格。

※関連コラム:独立したい人必見!1日で取得できるネイルサロン衛生管理士とは?

衛生管理の知識を身につけておくことで、お客様から信頼を得られサロンのイメージアップにもつながります。

ネイルサロン衛生管理士は、ほかのネイル資格やサロンワーク経験がなくても受験できるため、比較的難易度の低い資格といえるでしょう。

概要JNAが定めている「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」を普及し、ネイルサロンの現場で正しく活用することを目的とする。
試験内容理論講習(180分)、筆記試験(20分)※講習当日にテキストを配布
受験資格年齢が18歳以上の人
出題形式択一方式で20問出題
合格基準100点満点中80点以上
合格率非公開
実施時期全国のJNA認定校で随時開催
受験料10,560円(税込)
難易度★☆☆☆☆

JNAフットケア理論検定試験

JNAフットケア理論検定試験」は、近年のネイルサロンにおけるフットネイル・フットケア需要の高まりを受け2019年からスタートした資格。JNA認定講師資格を受験するための必須資格となっています。

概要ネイリストがネイルサロンで正しい施術を行うために必要とされる理論の修得。

ネイリストがネイルサロンで行う、足の爪及びその周囲の肌などに対するお手入れによって、お客様の美と健康に寄与する健全なフットケアの普及を目的とする。
試験内容セミナー(120分)、筆記試験(30分)※公式テキストを持参
受験資格以下の資格のいずれかを取得している人
・JNECネイリスト技能検定試験3級以上
・JNAジェルネイル技能検定試験初級以上
・JNE国際ネイリスト技能検定試験3級以上
※日本国内に合否通知送付先住所があること
出題形式マークシート方式
合格基準100点満点中80点以上
合格率非公開
実施時期全国のJNA認定校で随時開催
受験料8,800円(税込)、テキスト代:3,300円(税込)
難易度★★☆☆☆

JNA認定講師資格試験

JNA認定講師は、ネイルスクールで講師として働くために必須ともいえる資格です。

JNA認定講師になると、JNAの活動を支える講師会メンバーとして検定試験の試験官やネイルイベントの実行委員・審査員などに携われるようになります。

JNA認定講師資格試験は、高度なスキルと幅広い知識が求められることから難易度が高めです。

ネイリストとしての活躍の幅を大きく広げることができる、価値のある資格といえます。

概要日本ネイリスト協会講師会のメンバーとして高い志を持ちネイルの普及と発展に努め、イベント実行委員、検定試験の試験官、コンテストの審査員、各セミナーを担当して自らの意思により活動し貢献する。
試験内容一次試験:実技試験(前半50分、後半75分)二次試験:実技試験(45分)、筆記試験(20分)、面接(グループ面接)※一次試験と二次試験は別日に実施
受験資格以下のすべての資格を取得している人
・ネイリスト技能検定試験1級
・ジェルネイル技能検定試験上級
・ネイルサロン衛生管理士
・JNAフットケア理論検定試験
※その他の条件についてはJNA公式サイトで確認してください
筆記の出題形式記述式
合格基準非公開
合格率20〜30%
実施時期年2回(主に3月、9月)東京または大阪
受験料26,400円(税込)
難易度★★★★★

海外のネイルライセンス

日本のネイル技術は海外でも高く評価されており、実際に多くの日本人ネイリストが世界中で活躍しています。

「将来は海外でネイリストとして働きたい」という方は、海外のネイルライセンス取得も視野にいれておきましょう。

海外では、ネイルライセンスは国家資格とされていることが多く、サロンへの就職や開業する際は必ず取得しなければなりません。

国よって取得方法や条件などはさまざまですが、日本でもよく知られているのがアメリカとオーストラリアのネイルライセンスです。

アメリカのネイルライセンス

アメリカでは、カリフォルニア州やニューヨーク州というように州ごとで資格が決められています。

つまり、カリフォルニア州のライセンスを取得した場合は、カリフォルニア州のネイルサロンでしか働けません

試験内容は州によって異なりますが、どの州で取得するにしてもスクールの受講が必要です。

たとえば、カリフォルニア州のマニキュアリストライセンスは400時間、ニューヨーク州は350時間のスクール時間が必須となります。

そのため、ライセンス取得のためには、まず政府公認の美容学校やネイルスクールへ学生ビザで留学。その後、必要なカリキュラムを修了してから試験を受けることになるでしょう。

数は多くありませんが、日本のネイルスクールのなかにはアメリカの認定校と提携しており、日本でライセンスを取得できるところもあります。

オーストラリアのネイルライセンス

オーストラリアには、ABQOと呼ばれる美容国家資格機構が定めた数種類のネイルライセンスがあります。アメリカと同様、取得するにはスクールでのカリキュラム修了が必須です。

こちらの資格は、コモンウェルス加盟国(イギリス・カナダ・ニュージーランド・シンガポールなど)で認められている国際ライセンスとなります。

また、日本人も多いシドニーやメルボルンなどの大都市には日系のネイルサロンも多数あります。

国際ライセンスの取得はもちろんですが、日本のネイリスト技能検定やジェルネイル技能検定も取得しておくと即戦力の人材として重宝される可能性が高いでしょう。

海外で働くにはビザの取得が必須

ネイルライセンスを取得する以外にも、現地で働くためには就労ビザや永住権を保持している必要があります。オーストラリアの場合は、ワーキングホリデー制度を利用するのも良さそうです。

海外のネイリストを目指している方は、自分が行きたい国のビザ&ライセンスについてよく調べてから、受験するための具体的なプロセスを決めましょう。

なお、アジア諸国では制度が比較的ゆるいため、ライセンスがなくても働けるところもあります。

まとめ

ネイリストとして働くために資格は必須ではありませんが、取得することで転職活動をスムーズに進められたり、し仕事の幅が広がったり、多くのメリットがあります。

これから、プロのネイリストとして第一線で活躍していくためのモチベーション向上にもつながるはずです。

まずは、ネイリスト技能検定試験3級に挑戦して徐々にステップアップしていきましょう。

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この記事の著者

篠原 ともみ

ネイリスト・ネイル講師。2児の母。
ネイリストとして約10年間、日本・アメリカ・フィリピンのサロンでグローバルに活躍。

現在はフィリピンにてネイル&アイラッシュサロンを経営するかたわら、美容分野の記事監修およびライティング業にも携わっている。