司法書士と行政書士の違いとは?ダブルライセンスのメリット・難易度の違い
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「司法書士にも行政書士にも興味があるものの、どのような違いがあるのかわからない」
と思っている人はいませんか?
司法書士と行政書士の違いは、仕事内容や資格を取得する際の難易度にあります。
司法書士は登記の専門家です。
主に法務局への登記申請などを行います。
それに対し、行政書士は書類作成のエキスパートです。
官公署への許認可申請や契約書の作成などを主に行います。
試験の難易度については行政書士よりも司法書士のほうが難しく、行政書士試験では10%前後ですが、司法書士試験の合格率はわずか4〜5%しかありません。
当コラムでは、司法書士と行政書士の違いを解説します。
ダブルライセンスのメリットについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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司法書士と行政書士の違い
司法書士と行政書士は、どちらも法の専門家ですが、業務内容も資格取得の難易度も違います。
ざっくりいえば、司法書士は不動産登記や相続などの法務業務を専門とするのに対し、行政書士は行政手続きの法的サポートを担当します。
司法書士と行政書士の違いをわかりやすくいうと…
簡単に言うと、司法書士は土地や家の登記を専門にしている人、行政書士はいろいろな申請書を専門に扱う人、ということです。ここでは、仕事内容の違いについて詳しく解説します。
仕事内容の違い
司法書士は主に法務局への登記申請や成年後見人業務などを行いますが、行政書士の主な業務は官公署への許認可申請や契約書の作成などです。
前述のとおり、司法書士と行政書士では仕事内容に違いがあります。
まずはそれぞれの仕事内容を見ていきましょう。
司法書士の仕事内容
司法書士の主な仕事内容は以下のとおりです。
- 相談業務
- 登記に関する書類作成・申請代行
- 少額訴訟の訴訟代理人業務(認定司法書士にかぎる)
- 成年後見人・不在者財産管理人・破産管財人業務
行政書士の仕事内容
一方、行政書士の仕事内容は以下のとおりです。
- 相談業務
- 許認可申請に関する書類作成・申請代行
- 事実証明・権利義務に関する書類作成
「事実証明・権利義務に関する書類」とは、例えば以下のような書類のことをいいます。
事実証明に関する書類 | ●実地調査に基づく図面(位置図・案内図・公図合成図・現況測量図など) ●議事録 ●財務諸表(貸借対照表・損益計算書など) ●申述書 |
権利義務に関する書類 | ●遺産分割協議書 ●契約書(贈与や売買、賃貸借、請負など) ●示談書 ●協議書 ●内容証明 ●定款 など |
行政書士が書類作成を主な業務とするのに対し、司法書士は書類作成以外の業務も多く行います。
同じ分野でもできる仕事は違う
司法書士と行政書士は同じ分野を扱うこともありますが、お互いにできることが異なります。
例えば、相続業務は司法書士も行政書士も扱える分野です。
司法書士であれば相談から登記申請までワンストップで行えますが、行政書士は相談業務や遺産分割協議書の作成、相続関係説明図の作成などはできても登記申請が行えません。
とはいえ、「司法書士のほうが行政書士よりも優れている」というわけではありません。
会社設立に関しては、司法書士なら法人登記の申請代行もできますが、例えば新たに「中古車販売」の業務を追加したい場合など、「古物商許可申請」が必要になるケースでは行政書士の力が必要です。
このように、ひとつの業務を行うために専門家同士の連携が必要になることは少なくありません。
司法書士・行政書士のどちらを目指すにしても、それぞれの仕事内容を正しく理解し、できない業務についてはほかの専門家との連携が重要になることを視野に入れておくとよいでしょう。
司法書士と行政書士 難易度が高いのはどっち?
司法書士試験と行政書士試験を難易度で比較した場合、司法書士のほうが「難易度が高い」といえます。
行政書士試験の合格率は10%前後であり、平成29年度以降は10%を超える年が続いていますが、司法書士は4〜5%と非常に低い合格率で推移しているためです。
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司法書士試験は、国家資格の中でもトップクラスの難易度と言われ、合格率は4~5%程度です。合格に必要な勉強は、3000時間以上が目安となります。
ここでは、それぞれの試験の概要について解説します。
司法書士試験の概要
司法書士になるもっとも一般的な方法は、司法書士試験に合格することです。
そのほか、裁判所の事務官や法務事務官としての経験が10年以上あり、法務大臣に司法業務を行う能力があると認められれば試験が免除になるとされています。
司法書士試験の受験資格や受験手数料などは以下のとおりです。
受験資格 | 年齢・学歴・国籍などにかかわらず誰でも受験可能 |
受験手数料 | 8,000円(令和6年度時点) |
試験日時・時間 | 【筆記試験】7月上旬(令和6年度は7月7日)午前の部:9時30分〜11時30分午後の部:13時〜16時 【口述試験】10月上旬(令和6年度は10月15日) |
筆記試験の結果発表 | 毎年10月上旬(令和6年は10月3日) |
最終合格者発表 | 毎年10月下旬〜11月下旬(令和6年度は11月5日) |
なお、筆記試験では以下の科目から出題されます。
午前の部 | 午後の部 |
●憲法 ●民法 ●刑法 ●商法・会社法 | ●民事訴訟法 ●民事執行法 ●民事保全法 ●司法書士法 ●供託法 ●不動産登記法 ●商業登記法 |
出題される問題は午前の部で35問、午後の部で37問です。
基本的には複数の選択肢から答えを選ぶ「択一式」ですが、午後の部では文章で回答する「記述式」が2問出題されます。
なお、司法書士試験の合格点は全受験生の成績が基準点に影響するため、年度ごとに変動します。
例えば令和5年度の筆記試験の合格点は以下のとおりです。
筆記試験合格点:280点満点中211.0点以上
ただし以下の基準点のうち、ひとつでも達していないものがあれば不合格です。
- 午前の部(択一式):105満点中78点
- 午後の部(択一式):105満点中75点
- 記述式問題:70点満点中30.5点
※令和6年度の試験からは記述式問題の得点が140点満点になるため、基準点がこれまでと比べて大きく変わる可能性があります。
年後によって合格点が異なる点は、難しさを感じるポイントです。
行政書士試験では合格点が固定されているため目標が立てやすいですが、司法書士試験では、前年の合格点を上回っていても合格できるとはかぎりません。
また、試験科目の多さも難しさのひとつといえるでしょう。
行政書士試験も9教科と決して少なくありませんが、司法書士試験の場合は11科目とさらに多くの科目をカバーしなくてはなりません。
行政書士試験よりも多くの勉強時間が必要になるでしょう。
行政書士試験の概要
行政書士書士になるための王道であり、一番の近道といえるのは行政書士試験に合格することです。
行政書士になるための手段は試験に合格する以外にもありますが、ほかの方法で目指す場合、行政書士試験よりも難易度の高い試験に合格するか公務員として17年または20年勤める必要があります。
関連コラム:公務員から行政書士になれる?特認制度と試験内容について解説
行政書士試験の受験資格や受験手数料などは以下のとおりです。
受験資格 | 年齢・学歴・国籍などにかかわらず誰でも受験可能 |
受験手数料 | 1万400円(令和6年度時点) |
試験日時・時間 | 毎年11月の第2日曜(令和6年度は11月10日)13時〜16時 |
合格発表 | 毎年1月第5週の公示日(令和6年度は令和7年1月29日) |
なお、試験では以下の科目から出題されます。
行政書士の業務に関し必要な法令等 | 行政書士の業務に関し必要な基礎知識 |
●憲法 ●行政法 ●民法 ●商法・会社法 ●基礎法学 | ●一般知識 ●行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令 ●情報通信・個人情報保護 ●文章理解 |
出題数は「行政書士の業務に関し必要な法令等(以下法令等)」で46問、「行政書士の業務に関し必要な基礎知識(以下基礎知識)」で14問です。
関連コラム:行政書士の試験内容とは?試験科目と配点・出題形式・科目別対策法を徹底解説!
基礎知識はすべて択一式ですが、法令等では択一式に加えて選択式・記述式とさまざまな方法で出題されます。
以下の合格基準をすべて満たせば合格です。
- 法令等の得点が122点以上
- 基礎知識の得点が24点以上
- 試験全体の得点が180点以上
「司法書士より難易度が低い」といっても、行政書士試験が難関試験であることに変わりはありません。
難しいポイントは、「足切り」がある点です。
例えば法令等の得点だけで180点を超えていても、基礎知識で24点未満しか得点できなければ不合格です。
ウェイトの大きい法令等を中心に勉強しながらも、基礎知識もおろそかにせず「14問中6問(6問×1問あたりの配点4点=24点)」の足切りラインを超えられるように準備しておく必要があるでしょう。
関連コラム:行政書士試験における足切り(基準点)とは?概要と足切り点を解説
ダブルライセンスはメリットあり?
司法書士と行政書士のダブルライセンスには多くのメリットがあります。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- 業務をワンストップで行える
- 競合と差別化を図れる
- 試験科目が一部重複しているため学習しやすい
それぞれ解説します。
業務をワンストップで行える
司法書士と行政書士のダブルライセンスを取得することで、業務をワンストップで行えるようになります。
司法書士も行政書士も、「自分だけで完結できない業務」が存在するためです。
例えば行政書士が司法書士の資格も取得しダブルライセンスになると、以下のようなことができるようになります。
▼相続
ダブルライセンス取得前 | 遺産分割協議書の作成まではできるが、相続登記までは行えない |
ダブルライセンス取得後 | 相続登記の申請も自分で対応できる |
▼会社設立
ダブルライセンス取得前 | 定款作成・認証はできるが、法人登記は司法書士の協力が必要 |
ダブルライセンス取得後 | 法人登記の申請も自分でできる |
反対に、司法書士が行政書士の資格も取得しダブルライセンスになった場合、以下のようなことができるようになります。
▼農地転用・売買
ダブルライセンス取得前 | 所有権移転登記はできるが、その前に行うべき農地転用ができない |
ダブルライセンス取得後 | 農地転用も所有権移転登記も自分で対応できる |
司法書士と行政書士は非常に相性のよい資格です。
ダブルライセンスになれば業務をワンストップで行えるようになることはもちろん、扱える業務自体が格段に増えるでしょう。
競合と差別化を図れる
司法書士と行政書士のダブルライセンスになることで、競合と差別化が図れます。
前述の「業務をワンストップで行える」ことにもつながりますが、多くの顧客は「依頼を一箇所で済ませたい」と考えるためです。
資格を掛け合わせば、その分業務の幅が広がります。
すでにダブルライセンスで活動している人もいますが、「ほしい」と思いながらも実現できない人はさらにたくさんいます。
もちろん工夫や努力も必要ですが、司法書士と行政書士の資格を両方持っていれば、それだけでも大きな武器になるでしょう。
試験科目が一部重複しているため学習しやすい
司法書士試験と行政書士試験で出題される科目は一部重複しています。
そのため学習のしやすさもダブルライセンスを目指すメリットです。
重複している科目は以下のとおりです。
- 憲法
- 民法
- 商法・会社法
おすすめは、行政書士資格を先に取得し、試験勉強で学んだ内容を忘れないうちに司法書士試験の勉強を始めることです。
「法律系国家資格の登竜門」ともいわれる行政書士試験によって、法律を学ぶことや資格試験を受験すること自体に慣れれば、司法書士試験の勉強にもスムーズに入れるでしょう。
まとめ
司法書士と行政書士の違いについて解説しました。
最後にコラムをまとめます。
- 司法書士と行政書士の違いは、仕事内容や資格取得の難易度にある
- 試験の難易度だけを見れば行政書士試験よりも司法書士試験のほうが難しいが、だからといって司法書士のほうが優れているというわけではない
- 司法書士と行政書士のダブルライセンスには「業務をワンストップで行える」「競合と差別化を図れる」といったメリットがある
- ダブルライセンスを目指すなら、行政書士資格を取得したあとできるだけ早く司法書士試験の勉強に入ることがおすすめ
司法書士も行政書士も、独立開業がしやすい魅力的な仕事です。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 竹田 篤史講師
竹田篤史講師
社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。
短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。
これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。
自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。
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