税理士は、キャリアアップに役立つ資格として知られています。

税理士試験は難易度が高いため、社会人として働きながら合格を目指せるのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、社会人から税理士になるための方法を紹介します。

合格に必要な勉強時間の目安や、働きながら税理士を目指すためのスケジュールの立て方についても解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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社会人から税理士になるには?

社会人が税理士になるための一般的な流れは、以下の通りです。

  1. 税理士試験の受験資格を満たす
  2. 税理士試験に合格する
  3. 日本税理士会連合会に登録する

それぞれ詳しく解説していきます。

1. 税理士試験の受験資格を満たす

税理士試験を受験するために、まずは受験資格を満たす必要があります。

ただし、税理士試験における全11科目のうち、会計学に属する科目(簿記論および財務諸表論)に関しては、受験資格が設けられていないため、誰でも受験が可能です。

上記以外の、税法に属する科目を受験するためには、学歴・資格・職歴によるいずれかの要件を満たすことが必要です。

学識による受験資格

以下のいずれかの要件を満たす場合、学識による受験資格を得られます。

  • 大学または短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修された方
  • 大学3年以上で、社会科学に属する科目を含む62単位以上を取得された方
  • 一定の条件を満たす専修学校の専門課程を修了し、法律学または経済学を1科目以上履修された方
  • 公認会計士試験における短答式試験の合格者(平成18年度以降の合格者に限る)
  • 公認会計士試験における短答式試験の全科目が免除される方
  • 司法試験合格者

資格による受験資格

以下のいずれかの資格を有している方は、資格による受験資格を得られます。

  • 日商簿記検定1級
  • 全経簿記検定上級(昭和58年度以降の合格者に限る)
  • 会計士補または会計士補となる資格

職歴による受験資格

以下のいずれかの業務に2年以上従事していた方は、職歴による受験資格を得られます。

  • 法人、または事業を行う個人の会計に関する事務
  • 金融機関・信託会社・保険会社等における資金の貸付や運用に関する事務
  • 税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務

税理士試験の受験資格については以下コラムで詳しく解説していますので、参考にしてください。

2. 税理士試験に合格する

税理士試験の受験資格を満たしたら、税理士試験の合格を目指しましょう。

税理士試験に合格するためには、11科目の中から必修となる会計科目2科目と、税法に属する3科目を合わせた計5科目に合格しなければなりません。

会計に属する科目は、「簿記論」と「財務諸表論」です。

そして、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法」「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」の9科目が、税法に属する科目となります。

その中から、選択必須科目となる「法人税法」と「所得税法」のいずれか1科目以上を含む3科目を選択します。

税理士試験の科目一覧は、以下の通りです。

分野科目選択/必須
会計学・簿記論
・財務諸表論
必須
税法・所得税法
・法人税法
1科目以上の選択必須
・相続税法
・消費税法 又は 酒税法
・国税徴収法
・住民税 又は 事業税
・固定資産税
1~2科目を選択

税理士試験は科目合格制となっているため、一度に5科目を受験・合格する必要はありません。

また、一度合格した科目は生涯有効であるため、何年もかけて5科目の合格を目指す受験者も多く見られます。

科目ごとの合格基準は満点の60%以上とされていますが、例年の合格率の推移から、実質的には相対評価の試験といわれています。

税理士試験については以下コラムで詳しく解説していますので、参考にしてください。

3. 日本税理士会連合会に登録する

税理士になるためには、税理士試験に合格後、実務経験を経たうえで、日本税理士会連合会への登録が必要です。

登録に必要な実務経験の要件は、「会計に関する事務(貸借対照表勘および損益計算書を設けて経理する事務)などに従事した期間が通算して2年以上」と定められています。

登録方法の詳細については、日本税理士会連合会の公式サイトをご覧ください。

働きながら税理士試験合格は無理?

働きながら税理士試験に合格することは可能です。

令和5年における税理士試験の年代別合格者数の分布を見ると、最も5科目到達者の割合が高い年齢は、41歳以上です。

また、2番目に5科目到達者が多い年代は36〜40歳・次いで多い年代は31〜35歳であり、いずれも社会人が多い年代であることがわかります。

以下は、2023年(令和5年)における税理士試験の結果を年代別にまとめた資料です。

年齢別受験者数(A)合格者数等合格率(B/A)
5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計(B)
41歳以上11,3622691,2191,48813.1
36~40歳4,6199786596220.8
31~35歳4,9731071,0611,16823.5
26~30歳4,916741,2581,33227.1
21~25歳5,695531,6411,69429.7
20歳以下1,32848148136.2
引用:令和5年度(第73回)税理士試験結果表

年齢別の受験者数においても、全体の約8割を26歳以上が占めています。

対して、同年における一部合格者の割合が最も高い年齢は、26~30歳です。

また、一部合格者および5科目到達合格者を合わせた全体の受験者数は、年齢が若いほど少ない傾向があります。

上記の結果から、20代から税理士試験の勉強に取り組み、41歳以上になってから5科目に到達する受験者が多いことが読み取れます。

税理士試験は、受験者・合格者ともに社会人の割合が高い試験であるといえるでしょう。

社会人が税理士になるための勉強時間は?時間の活用方法は?

税理士になるために必要な勉強時間の目安は、約2,000~4,000時間といわれています。

毎日2時間ずつ勉強した場合、約2年半~5年半かかる計算です。

働きながら税理士を目指す場合は、何年も勉強を続ける必要があるため、計画的に取り組みましょう。

社会人の方が勉強時間を確保しやすいのは、「休日」「通勤時間」「出勤前・退勤後」などが多いかと思います。

ここでは、それぞれの時間の活用方法について紹介します。

休日

社会人の方が税理士試験の勉強に取り組む際は、休日の時間を利用しましょう。

休日はまとまった時間を確保しやすいため、本番を想定して模擬試験を解いてみることがおすすめです。

また、勉強の予定だけを入れすぎず、適度にリフレッシュの時間を確保すると良いでしょう。

通勤時間

社会人の方は、通勤時間を使って税理士試験の勉強に取り組みましょう。

最近では、無料で利用できる音声配信サービスや、YouTubeなどの動画サイトのコンテンツが充実しています。

また、スマホ学習に対応した通信講座を利用すれば、参考書を持ち運ぶ必要がありません。

毎日の通勤時間を活用することで、無理なく勉強時間を積み重ねられるでしょう。

出勤前・退勤後

社会人の方が勉強時間を確保するためには、出勤前や退勤後のスキマ時間を有効活用することがおすすめです。

スキマ時間に勉強する場合は、前日の復習や理論の暗記など、短い時間で取り組める内容を選びましょう。

スマホやテレビを観ている時間を勉強に充てることで、勉強の習慣が身に付きやすくなります。

働きながら税理士になるためのスケジュールの立て方

働きながら税理士になるためには、自分に合ったスケジュールを立て、勉強を継続することが重要です。

働きながら税理士を目指す方におすすめのスケジュールの立て方は、以下の通りです。

  • 年間スケジュールを立てる
  • 月単位・週単位の勉強時間を決める
  • 1日あたりの勉強時間を配分する

それぞれ詳しく解説していきます。

年間スケジュールを立てる

税理士試験の勉強を始める際は、最初に年間のスケジュールを作成しましょう。

試験日から逆算し、大まかなスケジュールを立ててみることがおすすめです。

過去問などの演習時間を確保するために、試験の3,4か月前までに一通りの範囲を完了させておくことが望ましいでしょう。

月単位・週単位の勉強時間を決める

年間のスケジュールが決まったら、月単位および週単位の勉強時間を決めましょう。

自分の生活リズムを考慮し、1か月あたりに確保できる勉強時間の目安を考えれば、勉強のペースをイメージしやすくなります。

また、受験する科目についても、このタイミングで決定しましょう。

多くの勉強時間を確保できない場合は1科目の受験に集中し、時間に余裕がある場合は複数の科目に挑戦するなど、余裕をもったスケジュールを立ててください。

1日あたりの勉強時間を配分する

週単位の勉強時間のイメージが掴めたら、最後に1日あたりの時間配分を考えましょう。

仕事がある日と休日とでは、勉強に確保できる時間が異なります。

また、朝早く起きて勉強したり、仕事が終わってから復習に取り組んだりと、1日の間に複数の機会を設ければ、勉強時間を増やせるでしょう。

自分の生活リズムに合った、無理のない予定を立てましょう。

社会人が独学で税理士になるのは可能?

税理士試験は社会人の合格者が多い試験ですが、独学での合格は難しいといわれています。

社会人が独学で税理士を目指すことが難しいとされる理由は、以下の通りです。

  • 市販の教材が少ない
  • 学習方法の判断が難しい
  • 合格するまでに時間がかかる

それぞれ詳しく解説していきます。

市販の教材が少ない

市販されている税理士試験用の教材は、選択肢が限られています。

独学に適したテキストも少ないため、自分に合った教材を見つけられず、スムーズに理解できない可能性があります。

特に、初学者の方は、理解に時間がかかってしまうかもしれません。

また、最新の法改正に対応していない教材が販売されている場合があるため、注意が必要です。

内容がわかりやすく、最新の法改正に対応した教材が欲しい方は、通信講座や予備校の利用がおすすめです。

学習方法の判断が難しい

税理士試験は学習範囲が広いため、学習内容の優先順位や、勉強の進め方を判断することが困難です。

独学の場合は、自分で学習方法を考えなければならないため、スケジュールの作成や情報収集などに余計な時間がかかる場合があります。

通信講座や予備校を活用すれば、カリキュラムに沿って勉強するだけで、効率よく合格を目指せるでしょう。

合格するまでに時間がかかる

税理士試験は、合格するまでに時間がかかる試験です。

独学は孤独な戦いになりがちであるため、長期間モチベーションを維持することが難しいでしょう。

自己管理が苦手な方や、長期間の勉強を続ける自信がない方は、サポート制度が充実した通信講座や予備校の利用を検討してみましょう。

社会人から税理士になるには?働きながらは無理?まとめ

本コラムでは、社会人から税理士になるための方法について解説しました。

社会人の方が働きながら税理士を目指すためには、受験資格を満たしたうえで税理士試験を受け、必修科目を含めた5科目に合格する必要があります。

そして、試験合格後に税理士として登録するためには、2年以上の実務経験が必要です。

また、税理士試験は科目合格制であるため、5科目の試験を何年かに分けて受験できます。

長い時間をかけて合格を目指せるため、社会人の方におすすめの資格であるといえるでしょう。

一方で、社会人が独学で税理士試験に合格することは困難といわれています。

長期間にわたるモチベーションの維持や、学習方法などの判断が求められるため、挫折してしまう方も少なくありません。

通信講座や予備校などを活用し、最短距離で合格を目指しましょう。

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