税務に関する専門家として、税務代理・税務書類の作成・税務相談を行う税理士。

複雑かつ変化する税制に対応するための、サポート役として需要の高い職業です。税理士になりたい、税理士資格をとってキャリアアップしたい、とお考えの方は多いでしょう。

また、「自分が税理士に向いているのかわからない」「税理士に必要な能力・適性が自分にあるのか不安」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

このコラムでは、税理士に向いている人・向いていない人の特徴や、税理に必要な能力について解説します。

これから税理士試験を受験しようと考えている方・将来税理士として独立開業したい方は、ぜひ参考にしてください。

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税理士に向いている人の性格や特徴

個人・企業をサポートして、適正な税務処理を行い、時には相談相手となる税理士は、国の申告納税制度を円滑に進めるための重要な役割を果たしています。

そんな税理士に向いているのは、次のような方です。

  • コミュニケーション能力の高い人
  • 正義感・倫理観の強い人
  • 知的好奇心が高く、法律や規則に興味を持って学べる人
  • 数値データの分析・論理的思考が得意な人

また、税理士試験は難易度が高い試験です。出題範囲が広く学習内容も難しいため、試験勉強にも時間がかかります。その受験勉強を乗り切れることも、税理士の適性に含まれるといえるでしょう。 

ここからは、それぞれの性格や特徴について詳しく解説していきます。

コミュニケーション能力の高い人

税理士には、経済学や法律の基礎知識、最新の税法・会計基準・財務報告書や税務申告書等の書類処理などの知識が必要ですが、それと同時に求められるのがコミュニケーション能力です。

公正な税務処理を行うためには、顧客と円滑なコミュニケーションを取りながら、複雑な税額の計算を行ったり、税務情報を整理・分析したりしなくてはなりません。

また顧客が不正を行う、あるいは不利益を被ることのないように、税務申告や法的トラブルを解決するためにも、円滑にコミュニケーションが取れることが必要です。

正義感・倫理観の強い人

個人・企業などの税金の申告・申請が正しく行われているか監査し、法に則った適正な納税義務をサポートするには、正義感・倫理観が必須です。

税理士法の規定には

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする

1 税理士の使命|国税庁

とあります。

脱法に近い節税対策を求められたり、顧客の虚偽の申告に気づいたりした時は、毅然とした態度で断る、訂正を依頼することが、顧客と自分の身を守るのです。

知的好奇心が高く、法律や規則に興味を持って学べる人

高い知的好奇心を持ち、法律・規則に興味を持って学ぶことができる人は、税理士試験の勉強がしやすいですし、税理士としても働きやすいといえます。

まず、税理士試験ですが、幅広い試験範囲を網羅的に学びつつ、複雑な税法や会計基準を理解し、法律や規制の基礎知識も暗記しなくてはならないため、長時間かつ長期間の学習が必要となります。

単調な法律・法令文を読み、理解するには、自分の経験に置き換えるなどして、興味を持って学ぶことが必要になります。未知の知識について、もっと知りたい理解したいと思える人は習得速度も早いでしょう。

税理士として働いている場合も、日々勉強が必要です。変化する情勢、毎年変わる税制改正に対応できるよう、知識をアップデートしなくてはならないからです。学ぶことを継続できる、知識の習得を楽しめる人が税理士に向いています。

数値データの分析・論理的思考が得意な人

税理士の主な仕事は、税務申告書・財務報告書の作成や財務コンサルティング業務ですので、高度な計算能力は不要で、加減乗除ができれば問題はありません。

ただし、数値データを分析、理解して適正な判断をするための論理的思考力が求められます。

また限られた時間内でデータを見比べて、顧客に不利益・不正がないか判断することのできる、データ分析能力も税理士には必須です。

税理士に向いていない人の性格や特徴

確定申告書・消費税申告書・財務諸表・決算書類などの財務や税務に係る書類の作成・分析には正確さ・几帳面さが求められます。

以下のような方は税理士に向いていない可能性が高いでしょう。

  • 数字・計算が苦手な人
  • 忍耐力がない人
  • 人と話すのが苦手な人

それぞれ詳しく解説していきます。

数字・計算が苦手な人

各種指標の算出方法を理解し、算出データを基にした詳細な分析が求められる税理士の仕事。

財務諸表や税務申告書の作成・給与計算・税務分析・予算策定などを、税制・税率を踏まえて正確に計算しなくてはなりません。

細かい数字を見るのも嫌な人、繰り返しの単純計算を苦痛に感じる人は日常業務が辛く感じてしまうでしょう。

忍耐力がない人

税理士資格取得、税理士の業務には忍耐力が必須です。

先にも述べたように税理士試験の受験勉強は、膨大な量の法律や規定を理解し覚えなくてはなりません。コツコツと勉強できる忍耐力・継続力がある人が合格しやすいです。

また税理士となった後は、さらに忍耐力が求められるでしょう。

納税者の抱える複雑な法的トラブルの解決や、自分と顧客との契約上の誤認識のすり合わせなど、煩雑で時間のかかるやり取りが多いからです。

税法や会計基準を確認しながら、申告書作成業務を繰り返し行う際も、忍耐力があることで、正確でミスのない処理につながります。

人と話すのが苦手な人

他者とのコミュニケーションが苦手な人、面倒に感じてしまう人は税理士に向いていないでしょう。

経済学・法律・税法・会計基準・財務諸表解析などの専門知識と合わせて、税理士には高いコミュニケーション能力が求められます。

顧客のニーズを把握し、適切なアドバイス・解決策を提供するためには、密なコミュニケーションが欠かせないからです。

また一般の人には複雑な税金/財務情報を、わかりやすく正しく伝えるためにもコミュニケーション能力が重要となります。税理士の職務を円滑に進めるには、顧客との信頼関係を築くことが先決です。

税理士に必要な能力とは?

法律や規制の深い知識や、高い情報処理能力だけでは、顧客の信用を得ることは難しいです。

幅広いニーズに対してきめ細かい対応を行うには、以下のような能力が必要といえるでしょう。

  • 数値解析能力
  • 傾聴力
  • リサーチ能力
  • 法律・規制の網羅的かつ最新の知識

それぞれ詳しく解説します。

数値解析能力

記帳・決算・帳簿・確定申告等の税務代理では、特に数値解析能力が求められます。

税務代理では、納税者から提供された資産・売上高などのデータを基に、適切な税金の計算や財務状況の評価を行います。

この際に数値解析能力があることで、財務データや財務情報を正しく読み取り、分析することができます。その結果、納税者に資産管理のアドバイスや、事業拡大の戦略を提供できるようになるのです。

傾聴力

税理士にはコミュニケーション能力とともに、傾聴力も必須です。

会話のキャッチボールで相手の心を解きほぐし、距離を縮めるのがコミュニケーション能力とするならば、傾聴力は相手の話を良く聞くことで、意見や感情を理解する「情報を受け取る能力」といえるでしょう。

税理士は、顧客の財務・税務に関する問題や不安を良く聞くことで、その背景・状況を理解できます。また不明瞭な点は適度に質問をして、情報の確認をとることも大切です。

説明、会話が不得意な顧客も多いでしょう。辛抱強く、相手の言い分を聞き、内容を理解しようとする傾聴の姿勢が信頼関係を築きます。

リサーチ能力

顧客に最適なサポートやアドバイスを行うには、常時変化する社会情勢や会計基準の最新情報・規制を把握しなくてはなりません。

また、積極的な情報収集と分析を行い、顧客が必要とする業界や市場の情報をピックアップして提供することも税理士の重要な役割です。

法律・規制の網羅的かつ最新の知識

以下に挙げるような法律・規制をまんべんなく学び、理解をした上で、知識を身につけることが求められます。そして税務・財務の処理や問題を正確かつ、迅速に処理することにつながります。

  • 税法
    所得税法・法人税法・消費税法等の税金に関する法律・規則に関する知識
    (課税対象・税制優遇措置・課税所得の計算方法などの知識を含む)
  • 会社法
    会社の法的地位・責任・義務の理解
  • 契約法
    ・契約の成立・履行・違反など、契約関係に係る法律の知識
    ・契約書や取引条件に関する法的規定への精通
  • 労働法
    雇用契約・労働条件・労働組合などの、雇用主と労働者の権利と義務についての深い理解
  • 金融法
    ・銀行・証券会社等の金融機関の規制に関する法律の知識
    ・金融商品・サービスに関する法的規制の理解

毎年行われる税制改正にも対応するために、政府や税務当局の公式発表を積極的に確認して、最新の情報を把握する必要があります。

税制改正によって顧客が影響を受けそうな場合は、変更点や利益・不利益を明確に説明し、適正な対応策の提案を行います。

税理士に向いている人、向いていない人とは?まとめ

税務のプロフェッショナルとして、各種税務申告書の作成・税務コンサルティング・財務分析などを担う税理士は、税制・法律の専門知識だけではなく、対人能力や論理的思考力なども求められます。

税理士試験は難易度が高く、学習量も非常に多いです。資格取得後も税理士として働きながら、税制・法律の勉強や様々な業種の知識の習得を続ける必要があるので、なおさら税理士に向いている人、向いていない人に分かれやすいでしょう。

それぞれの特徴をまとめると、以下の通りです。

税理士に向いている人

  • コミュニケーション能力の高い人
  • 正義感・倫理観の強い人
  • 知的好奇心が高く、法律や規則に興味を持って学べる人
  • 数値データの分析・論理的思考が得意な人

税理士に向いていない人

  • 数字・計算が苦手な人
  • 忍耐力がない人
  • 人と話すのが苦手な人

税理士は、独立した公正な立場で税法を納税者にわかりやすく説明し、税額の計算や申告書の作成などをサポートすることで、申告納税制度を推進する重要な役割を担っています。

常日頃から正確で信頼性の高い知識を習得し、それを継続的にアップデートする自学力が、税理士には必要といえるでしょう。

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