税理士試験には科目免除制度が設けられています。

科目免除制度を活用し、少しでも有利な条件で税理士試験を受けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、税理士試験の科目免除制度について解説します。

免除の申請に必要な提出書類なども紹介しているため、ぜひ参考になさってください。

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税理士試験の科目免除制度とは?

税理士試験には、科目免除の制度が設けられています。

科目免除の条件は複数ありますが、代表的なものは以下の3つです。

  • 学識による免除
    修士または学士の学位
  • 資格による免除
    ・公認会計士試験合格者
    ・公認会計士試験論文式試験(会計学) 合格者
    ・会計士補
    ・会計士補となる資格を有する者 
  • 職歴による免除
    国税従事者としての職歴

試験科目の免除を受けようとする場合は、受験者が申請を行う必要があります。

また、免除が決定されても試験科目のすべてが免除されない場合は「一部科目免除」・免除の決定によってすべての試験科目が免除される場合は「全科目免除」となり、必要な手続きが異なります。

一部科目免除および全科目免除の申請時期と、申請書類の提出方法は以下の通りです。

一部科目免除の場合
申請時期受験申込受付期間内のみ
(1科目以上の受験申込みをしたうえで申請)
提出方法税理士試験の試験申込と併せて行う必要があります。
全科目免除の場合
申請時期随時申請可能
提出方法一般書留・簡易書留または特定記録郵便によって、
国税審議会会長宛に提出します。

学識(修士・博士の学位)による免除申請

修士または博士の学位を取得した方は、学識による免除の対象となります。

ただし、修士課程に進学した時期などの条件によって、免除申請に必要な提出書類が異なるため注意しましょう。

  • 平成14年3月31日以前に大学院の修士課程に進学した方、または博士の学位を取得した方
  • 平成14年4月1日以降に大学院の修士課程に進学した方

上記の要件で異なるので、以下からそれぞれ解説します。

平成14年3月31日以前に大学院の修士課程に進学した方、または博士の学位を取得した方

1. 認定を受けてもすべての試験科目が免除されない場合(一部科目免除)

平成14年3月31日以前に大学院の修士課程に進学した方、または博士の学位を取得した方が一部科目免除を受ける場合は、以下の申請書類が必要です。

  1. 学位取得証明書
    (「修士(法学)」、「修士(商学)」等の学位名が記載されたもの)
  2. 成績証明書
    (1又は2で入学年月を確認できない場合は「在籍期間の証明書」も必要)
  3. 学位論文の概要(A4判で12,000~16,000字程度の分量にまとめ左とじしたもの)
  4. 学位論文本文の目次(ページ数が記入されているもの) 及び参考(引用)文献目録のコピー
  5. 論文の内容についての指導教授の証明書
税理士試験受験案内

2. 認定によって試験科目のすべてが免除される場合(全科目免除)

平成14年3月31日以前に大学院の修士課程に進学した方、または博士の学位を取得した方が全科目免除を受ける場合は、以下の書類が必要です。

  1. 税理士試験免除申請書
  2. 上記の一部科目免除申請の該当区分に応じた提出する書面
  3. 合格(免除)済科目がある場合
    税理士試験等結果通知書又は一部科目合格(免除決定) 通知書(一部科目合格通知書の直近分 が昭和60年度以前のものである場合には、合格済みの全科目分)のコピー
  4. 郵便番号、住所及び氏名を明記し、一般書留であれば555円、 簡易書留であれば440円、 特定記録郵便であれば280円分の切手を貼ったA4判大の返信用封筒
税理士試験受験案内

また、A4規格でないものはA4用紙に貼った上での提出が必要なので、注意しましょう。

平成14年4月1日以降に大学院の修士課程に進学した方

平成14年4月1日以降に大学院の修士課程に進学した方が免除申請を行う場合は、まず研究の認定が必要です。

ただし、過去の試験において、申請する科目の一部に合格していなければ研究の認定を受けられません。

加えて、研究の認定を受ける際は、免除を希望する科目によって以下のような条件が定められています。

  • 会計学に属する科目:簿記論または財務諸表論のいずれかに合格
  • 税法に属する科目:税法に属する科目のうち、いずれか1科目以上に合格

1. 認定を受けてもすべての試験科目が免除されない場合(一部科目免除)

平成14年4月1日以降に大学院の修士課程に進学した方のうち、一部科目の免除を受ける方は、以下の申請書類が必要です。

  1. 研究認定申請書(認定手数料として8,800円分の収入印紙を消印しないで貼ること)
  2. 学位取得証明書(「修士(法学)」、「修士(商学)」等の学位名が記載されたもの)
  3. 成績証明書
    (2又は3で入学年月が確認できない場合は 「在籍期間の証明書」も必要)
  4. 修士の学位等取得に係る学位論文のコピー(学位論文の表紙、 目次(ページ数が記入されているもの)及び参考(引用)文献目録を添付する。)
  5. 論文の内容及び修士の学位等取得に係る論文であることについての指導教授の証明書
  6. 履修要項等における修了した研究科の履修規定のうち、修了要件 (在籍期間、 必要単位数、修士論文の審査に合格等の条件)が記載された部分のコピー
  7. 講義概要(講義要項)等のうち履修した全科目の担当教授、講義内容及び単位数が記載された部分のコピー
  8. 合格科目を証する税理士試験等結果通知書又は一部科目合格 (免除決定)通知書(一部科目合格通知書の直近分が昭和60年度以前のものである場合には、合格済みの全科目分)のコピー
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2. 認定によって試験科目のすべてが免除される場合(全科目免除)

平成14年4月1日以降に大学院の修士課程に進学した方のうち、全科目の免除を受ける方は、以下の申請書類が必要です。

  1. 研究認定申請書兼税理士試験免除申請書
    (認定手数料*分の収入印紙を消印しないで貼ること)
    ※全部科目免除申請に係る認定手数料は 「税法に属する科目」又は「会計学に属する科目」の いずれか一方を認定申請する場合は8,800円、 「税法に属する科目」 及び 「会計学に属する科 目」の双方を同時に認定申請する場合は17,600円となります。
  2. 上記1に掲げる2~8の書面
  3. 郵便番号、住所及び氏名を明記し、一般書留であれば555円、 簡易書留であれば440円、 特定記録郵便であれば280円分の切手を貼ったA4判大の返信用封筒
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なお、すべての証明書類については、コピーを指定されたもの以外は原本提出が必要です。また、A4規格でない書類は、A4用紙に貼り付けて提出しなければならないため注意しましょう。

資格(公認会計士など)による免除申請

以下の資格試験に合格している方は、資格による免除を受けることができます。

  • 公認会計士試験の合格者
  • 公認会計士試験論文式試験(会計学)の合格者
  • 会計士補または会計士補となる資格を有する方

資格による免除の条件および申請に必要となる書類は、以下の通りです。

公認会計士試験の合格者

  • 公認会計士・監査審査会発行の合格証明書
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公認会計士試験論文式試験(会計学)の合格者

  • 公認会計士・監査審査会発行の論文式試験一部科目免除資格証明書
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会計士補

  • 日本公認会計士協会発行の登録証明書
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会計士補となる資格を有する方

  • 公認会計士・監査審査会発行の旧公認会計士試験第二次試験合格証明書又は同試験の免除が全科目に及ぶことを証する書面
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なお、全科目免除を受ける場合は、以下の書類が必要です。

  1. 税理士試験免除申請書
  2. 上記の一部科目免除申請の該当区分に応じた提出する書面
  3. 合格(免除)済科目がある場合
    税理士試験等結果通知書又は一部科目合格(免除決定) 通知書(一部科目合格通知書の直近分 が昭和60年度以前のものである場合には、合格済みの全科目分)のコピー
  4. 郵便番号、住所及び氏名を明記し、一般書留であれば555円、 簡易書留であれば440円、 特定記録郵便であれば280円分の切手を貼ったA4判大の返信用封筒
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職歴(税務職員など)による免除申請

職歴による免除の要件は、税務職員などの税務経歴があることです。

10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。

税理士の資格取得 – 日本税理士会連合会

国税専門官が税理士試験の免除を受ける場合は、職歴による免除申請を行いましょう。

職歴による科目免除を受ける際は、任命権者による職歴証明書が必要です。

職歴証明書を提出する際は指定の様式A4サイズで使用し、以下の情報を明記しましょう。

  • 所属官職
  • 税目の別
  • 賦課事務
  • 立案事務またはその他の事務の別

なお、全科目免除を受ける場合は、以下の書類が必要です。

  1. 税理士試験免除申請書
  2. 上記の一部科目免除申請の該当区分に応じた提出する書面
  3. 合格(免除)済科目がある場合
    税理士試験等結果通知書又は一部科目合格(免除決定) 通知書(一部科目合格通知書の直近分 が昭和60年度以前のものである場合には、合格済みの全科目分)のコピー
  4. 郵便番号、住所及び氏名を明記し、一般書留であれば555円、 簡易書留であれば440円、 特定記録郵便であれば280円分の切手を貼ったA4判大の返信用封筒
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税理士試験の科目免除とは?まとめ

本コラムでは、税理士試験の科目免除について解説しました。

税理士試験には、学識による免除・資格による免除・職歴による免除などが設けられており、条件に該当すれば試験科目の免除を受けることができます。

科目免除を受ける際は、免除の区分に応じた申請書類の提出が必要です。

また、申請によって一部の科目が免除されるのか、全科目が免除されるのかによって、申請方法や必要な書類が異なります。

一部科目の免除を申請する場合は、税理士試験の試験申込と併せて行う必要があります。

受験申込の受付期間が定められているため、余裕をもって書類の準備を行いましょう。

対して、全科目の免除を申請する場合は、随時申請が可能です。ただし、受験申込書類に代わって、試験免除申請書をはじめとする別途書類の提出が求められます。

免除の条件や必要な提出書類は変更される可能性があるため、国税庁の税理士試験ホームページで最新の情報をご確認ください。

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