社会的信用度が高く、他の業種と比較して年収が高い傾向のある税理士。難関資格でありながら、人気が高い資格です。

そして、税務・会計を担う仕事なので、正確さ・几帳面さが求められる職業でもあります。

一般的に「細かい計算が多い地味な仕事」「頭が固い人が多そう」「ミスが許されない」などの堅いイメージも持たれがちでしょう。

これから税理士試験を目指す方の中には、税理士のやりがいや魅力、働くメリットが見いだせない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このコラムでは、税理士のやりがいや魅力、税理士として働くメリット・デメリットを解説します。

税理士になりたい方、税理士試験を受けるか迷っている方はぜひ参考にしてください。

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税理士のやりがいや楽しさとは?

税理士という仕事のやりがい・楽しさには、次のようなことが挙げられます。

  • 申告納税制度を通して国の発展に貢献できる
  • 無料税務相談・租税教育など社会貢献活動ができる
  • 年齢・性別を問わず顧客と信頼関係を築ける
  • 専門知識を活かして顧客の財務問題を解決できる

税理士は個人・法人に対して、税務処理に関するアドバイスやサービスを提供する、国が認めた税務の専門家です。

税務申告書の作成・税務相談・税務調査の対応などの業務を通して、申告納税制度を推進していく公共性公益性の高い職種でもあります。

ここからは、税理士の仕事のやりがいや楽しさについて解説していきます。

申告納税制度を通して国の発展に貢献できる

税理士のやりがい・誇りの一つとして、国の重要な仕事に従事できることが挙げられます。

納税者の税金に関する疑問を解決したり、税務申告書の作成や税金の計画立案等を行うことで、企業・個人の納税を正しく導き、申告納税制度を推進することが税理士の職務です。

納税者が法的義務を遵守して、税を正しく申告することで、国や地方自治体の税収を安定させ、公共サービス・インフラの維持や向上につながります。

税理士は公共の福祉に役立つ仕事であり、国の発展を支えていると言えるでしょう。

無料税務相談・租税教育など社会貢献活動ができる

税理士の独占業務である個人・企業の税務処理や相談も、十分な社会貢献活動と言えますが、その他に地域社会の発展に直結する社会貢献活動も担うことができます。

税理士の仕事の中でも楽しいと感じるのは、専門知識を活かして、社会貢献活動をすることではないでしょうか。市民の生の声が聞けたり、お礼を言われたりする機会も多いです。

税理士は、次のような社会貢献活動を行うことができます。

  • 低所得者・困窮者を対象とした無料税務相談
  • 学校や地域センターなどでの、小学生・中学生を対象とした租税教育
  • 非営利団体や地域コミュニティにおける、税務相談・財務管理支援のボランティア など

年齢・性別を問わず顧客と信頼関係を築ける

税理士としてのスキルの高さは、法律や税制の専門知識の深さ・コミュニケーション能力・誠実さなど、総合的な能力で測られます。

つまり年齢や性別での忖度があまりなく、実力のみで評価されやすいといえます。

顧客が年配の経営者であろうと、若手の経営者であろうと、対等かつ公正な立場で、納税指導を行い、税務や財務の課題に誠実に取り組むことが税理士の責務。

顧客のニーズや要望を良く聞き、適切な処理・サポートを行うことで、顧客の年齢・性別に関係なく信頼関係を築くことができます。

普通なら出会えない企業のトップから税務のプロとして頼られ、企業の経済的な安定や成長を支援することで、税理士の仕事が楽しいと感じられるでしょう。

専門知識を活かして顧客の財務問題を解決できる

税理士資格は、法律・税制の網羅的で深い知識を修得した証でもあります。

また税理士として働く中でも、社会情勢や法改正に合わせた勉強が日常的に必要なため、税務・財務の専門家として成長することができます。

税務コンサルタントとして顧客が抱える複雑な税務の問題を解決し、達成感を味わえることも税理士の仕事のやりがいの一つといえるでしょう。

税理士の魅力とは?

難易度が高い税理士資格を目指す人たちは、どのような点に魅力を感じているのでしょうか。

税理士の魅力として、次のようなことが挙げられます。

  • 勤務地を選ばない
  • 一般的に年収が高め
  • 定年がない
  • 一部科目合格でも就職・転職に有利

それぞれ詳しく解説していきます。

勤務地を選ばない

税理士は基本的に、働く場所を問いません。税制制度がある限り、日本全国どこでも需要がある職業です。

また就労環境・形態も自由ですので、ライフスタイルに合わせた働き方が可能。

税理士の就労例として、次のようなものが挙げられます。

会計事務所

大手の国際的な会計事務所・地域密着型の中小事務所など、様々な種類や規模の事務所があります。

独立開業

税理士は独立して個人事務所を開業することができます。事務所を構える、もしくは自宅をオフィスとして勤務することも可能です。

企業内税務部門

企業の税務部門で専任の税理士として勤務します。

政府機関・非営利団体

政府機関や非営利団体で税務相談・税務調査などの業務を担います。

オンライン勤務

オンラインプラットフォームを活用し、税務相談や税務申告書作成等のサービスを提供します。

一般的に年収が高め

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、税理士の平均年収は746.6万円(令和4年賃金構造基本統計調査の結果より)とされています。

令和4年度の民間給与実態統計調査の平均給与は458万円ですので、税理士は他の職種よりも年収が高い傾向にあります。

ただし税理士の年収は、スキル・勤務地域・所属する企業や事務所の規模によって変わります。大手企業や有名な会計事務所に勤務することで、より高い給与を得られる傾向にあるようです。

定年がない

税理士という仕事には、定年がありません。

勤務先の事務所・企業によっては、規定によって退職年齢が設けられている場合もあります。

しかし税理士として独立開業している場合は、自信の能力や健康状態に問題がなければ、一生涯働くことも可能です。

一部科目合格でも就職・転職に有利

税理士試験の合格はたとえ一部科目であっても、税務や会計に関する専門知識を持っていることを証明できます。

そのため、会計事務所や税理士法人等の税務・会計関連の職種への就職・転職には有利になります。税理士資格の受験勉強を乗り越えたことも、継続力・忍耐力の高さの証明になるでしょう。

税理士で大変なことは?

これから税理士を目指す方は、税理士として働く際に、苦労する・大変なことも知っておきたいのではないでしょうか。

税理士の仕事において大変なことは、次のような点です。

  • ミスが許されないプレッシャー
  • 頻繁な法令や規制の変更への対応
  • 顧客の利益を正しく守るために倫理観が必要

それぞれ詳しく解説していきます。

ミスが許されないプレッシャー

税理士は個人・企業の顧客の税務・会計業務を担うため、計算ミスや記入漏れなどは許されません。

税金の納め過ぎ・脱税を防ぐために、過度なくらいの注意深さ・几帳面さが税理士としてはちょうど良いかもしれません。

常に適法性と、正確性を維持する克己心が求められます。

頻繁な法令や規制の変更への対応

毎年行われる税制改正や、頻繁な法令・規制の変更に合わせた、勉強と情報のアップデートが必要です。

日々変わる情勢にも柔軟に対応するために、情報収集力を高めておくことも大切。

税理士資格取得後も勉強が必要となるので、向上心と継続力の高い人が税理士として働きやすいです。

顧客の利益を正しく守るために倫理観が必要

法的義務である納税を顧客に正しくしてもらうことが、税理士の職務の基本です。

大半の顧客は利益から算出された税額に納得しますが、一部の顧客には、虚偽の記載や、故意の記入漏れを持ちかける人もいます。

こういった倫理に反する脱税行為を、毅然且つ相手に納得してもらう形で防ぐには、高い倫理観とコミュニケーション能力が必要です。

税金の払い過ぎを防ぐのはもちろん、不正な税金逃れを見過ごさないことも、顧客の利益・社会的立場を守ることになります。

税理士になるメリットとデメリット

税理士として働くことのメリット・デメリットには、次のようなことが挙げられます。

税理士になるメリット

税理士になるメリットには、次のようなことが挙げられます。

  • 専門知識を得てキャリアアップを図れる
  • 仕事の安定性が高い
  • 年収アップが狙える

それぞれ詳しく解説していきます。

専門知識を得てキャリアアップを図れる

顧客の納税申告書を作成したり、税務問題を解決したりする中で、様々な業種に対応できる税務・会計のスキルと経験値を得ることができます。

また、税理士としての実務経験は、他業種への転職の際にも有利に働くことが多いです。

仕事の安定性が高い

税制制度がある限り、税理士の需要がなくなることはありません。税務の専門家として税金・会計の網羅的かつ深い知識を持つ税理士は、個人や企業から常に需要があります。

また税理士は様々な業界・分野で活躍することができるので、社会情勢の変化に応じて、希望する業界での就労が可能です。

年収アップが狙える

元々一般的な職種よりも年収が高めな税理士ですが、次のようなスキルアップや働き方で年収アップを狙うことができます。

実務経験と専門知識の習得の積み重ね

経験と専門知識を獲得することで、顧客の多種多様な要望に柔軟に対応できるようになります。その結果、顧客からの需要が高まることで年収アップにつながります。

独立開業する

会計事務所や企業に所属せず、独立して事務所を開業して収入を増やすことも可能です。

  • 自分の得意分野に絞って集客する
  • 税務全般を引き受けて集客数を増やす

など、自分のペースでビジネスを展開できるので、開業した場所のニーズに合致すれば従業員として働くよりも高い年収が期待できるでしょう。

新たに資格を取得する

公認会計士・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士などの資格を取得すると、顧客の幅広いニーズに答えたサービスが提供できるようになります。

その結果、新規顧客の開拓にもつながり、さらに年収アップができるでしょう。

税理士になるデメリット

税理士になるデメリットには、次のようなことが挙げられます。

  • 責任が重くストレス過多になりやすい
  • 繁忙期は長時間労働になりやすい

それぞれ詳しく解説していきます。

責任が重くストレス過多になりやすい

法律・税務規則を遵守する義務のある税理士。ちょっとしたミス・勘違いが顧客に不利益をもたらすばかりではなく、間違い・不正を犯すと自身が法的責任を負うリスクが伴います。

また、税務申告や監査などに関わる複雑な問題で、顧客とコミュニケーションが上手くとれない場合は精神的な疲労が強くなります。

繁忙期は長時間労働になりやすい

確定申告時期・会計監査期間・法改正や税制改正時期には、顧客から申告作業の依頼・税務相談・質問などが集中するため、業務量が増加します。

上記の時期の税理士は特に忙しく、それに伴って就業時間も多くなります。

税理士のやりがいや楽しさ、魅力とは?まとめ

税務の専門家として顧客に納税義務を履行させ、財務に関する助言を行うことで、顧客の経済的な成功に貢献できることは大きなやりがいでしょう。

申告納税制度の推進を担い、国の発展に貢献できることへの誇りも、税理士として働く使命感となります。

また、税理士の仕事の楽しさと言えば、変化と挑戦があり続けることでしょう。常に変化する情勢や、税法・会計基準を学び、実務に活かすことが、顧客の利益と自身のスキルアップにつながります。

納税者と共に、法令を順守しながら納税支援を行い、経済活動の円滑な発展に寄与する税理士は、経済社会の発展になくてはならない存在です。

税理士資格を取得するのは簡単なことではありませんが、税理士はやりがいのある魅力的な職業といえるでしょう。

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