通関士は、輸出入に関する専門家。

通関士試験は、比較的難易度が高い国家試験としても知られていますが、「通関士はやめとけ」という意見を見かけることがあります。

これから通関士を目指そうと考えている方は、なぜやめとけと言われているのか、気になりますよね。

本コラムでは、通関士はやめとけと言われる理由について解説します。

通関士に向いている人の特徴や、通関士の資格を活かせる仕事なども紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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通関士はやめとけ?6つの理由を解説

ここでは、通関士はやめとけと言われる6つの理由について解説します。

  • 通関士の仕事はなくなるから
  • 仕事へのストレスが多い
  • ワーク・ライフバランスが取りにくい
  • 給料が低い
  • 将来性がないから役に立たない
  • 離職率が高い

通関士の仕事はなくなるから

AIの普及により、通関士の仕事がなくなるからやめとけと言われています。

結論、AIを導入したからといって、通関士の仕事がなくなるわけではありません。

通関士が作成する書類の中には、AIによる作成が可能なものも含まれており、実際に、一部の企業ではAIが導入されています。

通関士の業務には、柔軟な対応が求められます。

例えば、書類の情報だけでは判断ができない場合、打ち合わせによる意思決定が必要です。

また、コミュニケーションが必要な業務は、AIによる代替ができません。

そのため、AIを活用して定型業務を自動化すれば、通関士は、人間による対応が必要な業務に専念できます。

AIに仕事を奪われるのではなく、AIによる恩恵を受ける立場であるといえるでしょう。

仕事へのストレスが多い

通関士の仕事は、細かいチェックを求められる場面が多く、厳しい締め切りに追われる傾向があるため、ストレスが多い仕事です。

書類の内容が誤っていたり、締め切りが遅れると、大きなトラブルの原因になってしまう場合もあります。

そのため、仕事のストレスや、プレッシャーを感じる方もおられるようです。

ほかの仕事と同様に、高い責任感と集中力が求められるため、覚悟を持って取り組みましょう。

ワーク・ライフバランスが取りにくい

通関士は、ワーク・ライフバランスが取りにくい仕事だと言われています。

通関士の業務量は、貨物の量や納期などのさまざまな要因によって左右されるため、残業が発生する場合があるでしょう。

また、事前に予測できない突発的な業務への対応を求められることも少なくありません。

残業が多すぎると、プライベートの時間を確保することが難しくなり、ワーク・ライフバランスが崩れてしまう可能性があります。

しかし、通関士の労働環境は、勤務する企業によって大きく異なります。

そのため、すべての通関士に恒常的な残業が発生しているというわけではありません。

どのような業務にもいえることですが、残業や休日出勤を求められる場合があることを把握しておきましょう。

給料が安い

通関士は給料が安いからやめとけ、と言われていますが、実際の通関士の平均年収は約551.4万と安くありません。

令和4年分の民間給与実態統計調査による給与所得者の平均年収は約458万円であるため、通関士の年収は、平均を大幅に上回っていることがわかります。

なお、通関士の年収は、勤務する企業や、個人の経験によって異なります。

通関士手当が支給される企業で勤務している方や、通関士としての経験年数が多く、豊富な実績がある方は、高収入を狙えるでしょう。

また、一般的に、需要に対して供給が少ない仕事や、専門性が高い仕事は、給与水準が高いと言われています。

さらに、大企業や外資系企業は、中小企業に比べて給与水準が高いです。

通関士は専門的な知識が求められる仕事であるため、資格がなくてもできる仕事に比べて、高収入が期待できます。

一方で、通関士としての経験が浅い方や、中小企業で勤務している方は、思うような収入が得られない場合があります。

通関士として高収入を得たい方は、自身の経験を考慮して、勤務先を選択しましょう。

参考:通関士とは?仕事内容や就職先年収なり方まで詳しく解説

将来性がないから役に立たない

通関士は、将来性がない・役に立たない仕事ではありません。

通関士は業務独占資格であり、「通関書類の審査」および「通関書類への記名」の2つの業務を独占しています。

「通関書類の審査」と「通関書類への記名」は、通関士しか行うことができません。

また、通関士は、貿易に関する資格の中で唯一の国家資格であり、試験の難易度が高いことでも知られています。

そのため、資格保有者の数が少なく、比較的希少価値が高いといえるでしょう。

さらに、日本の輸出入件数は増加傾向にあり、申告の件数も増加しています。

通関業務の増加に伴い、通関士に対する需要も高まるでしょう。

通関業務の増加により、通関士は将来性を重視したい方におすすめの、食いっぱぐれない資格であるといえます。

離職率が高い

通関士は、離職率が高いというイメージを持たれがちです。

しかし、通関士の離職率が高いという噂を裏付けるデータは見受けられませんでした。

令和4年における雇用動向調査結果の概要によると、常用労働者の平均離職率は15.0%です。

離職率は、保有している資格の種類よりも、労働環境による影響が大きいと考えられます。

一口に通関士といってもさまざまな働き方が存在するため、自分に合った働き方を選ぶことで、長く仕事を続けられるでしょう。

通関士に向いている人の特徴3選 

以下のような特徴をお持ちの方は、通関士に向いているでしょう。

  • 責任のある仕事がしたい人
  • コミュニケーションを取るのが好きな人
  • 細かいタスクをこなすのが好きな人

責任のある仕事がしたい人

通関士は、責任のある仕事がしたい方に向いています。

通関士の仕事には、専門的な知識が求められます。

また、期限内に業務を完了させるための調整力や、タスク管理のスキルも必要です。

さらに、2つの独占業務を有しているため、通関士にしか行えない仕事を任される場面もあるでしょう。

このため、通関士は、自分にしかできない仕事や、責任のある仕事がしたい方におすすめの資格であるといえます。

コミュニケーションを取るのが好きな人

コミュニケーションを取るのが好きな方は、通関士に向いています。

通関士は、税関や輸出入業者などのクライアントとのやり取りを求められる場合が多く、一人では仕事を進めることができません。

また、問題が発生した際には、関係者との交渉が必要になります。

加えて、同じ職場のスタッフと連携を取り、問題の解決に取り組んだり、情報共有を行ったりする場面もあるでしょう。

このように、通関士は、人とかかわる機会が多いため、コミュニケーション力がある方に向いています。

一方で、一人で黙々と事務作業に取り組みたい方には、不向きな仕事であるといえます。

細かいタスクをこなすのが好きな人

通関士は、細かいタスクをこなすのが好きな方におすすめの資格です。

通関士は、輸出入に関する正確な手続きを行い、正しい書類を作成する必要があります。

また、専門的な知識を活かして、日々の業務に携わり、不備がないかをチェックしなければなりません。

さらに、事務作業も多いため、細かいタスクをこなすのが好きな方や、地道な作業にやりがいを感じる方に向いているでしょう。

通関士は理系でなくても大丈夫

通関士試験には、年齢や学歴などの受験資格が設けられていないため、理系出身ではない方も、通関士を目指せます。

そのため、出身大学や学部にかかわらず、誰でも受験することができます。

ただし、通関士試験では法律に関する内容が出題されるため、法律関係の知識がある方は有利になる可能性があるでしょう。

なお、通関士の主な仕事は、申告業務や事務的な手続きが中心です。

そのため、通関士の実務では、学校で学んだ知識よりも、事務的なスキルや、通関士としての専門知識が重要視されると考えられます。

参考:通関士に向いているのはどんな人?求められるスキルも解説

通関士の3つのやりがいと魅力を紹介 

通関士になれば、以下のようなやりがいや魅力を感じられるでしょう。

  • 国の利益や安全につながる
  • 専門性のある知識が活用できる
  • 海外の企業と取引ができる

国の利益や安全につながる

国の利益や安全に貢献できることは、通関士のやりがいのひとつです。

通関士は、輸出入業務を適正化し、国の安全を守る役割を担っています。

例えば、通関士が正しい通関手続きを行うことで、違法な物品の輸入を防止できます。

また、法律で禁止されている不正な物品や、危険物の輸入を防ぐことで、自国の安全を確保できるでしょう。

このように、通関士は、正しい輸出入によって無駄なリスクを回避し、国内企業の利益を守っています。

公益性の高い仕事を任せてもらえることは、通関士の大きな魅力であるといえるでしょう。

専門性のある知識が活用できる

通関士は、専門的な知識をフルに活用できる仕事です。

通関業務を行う際は、通関士の知識が必要です。

単純な作業だけでなく、通関業務のエキスパートとしての知識を活かして働けるため、日々の仕事にやりがいを感じられるでしょう。

また、通関士は専門性が高い資格であるため、ほかの資格では替えがきかないことも魅力のひとつです。

手に職をつけたい方や、専門家としての知識を活かして働きたい方は、通関士になってよかったと感じる可能性が高いでしょう。

海外の企業と取引ができる

通関士は、日本と海外を繋ぐ重要な仕事です。

日本と海外の企業が取引を行う際は、必ず通関の手続きが発生します。

通関の手続きに不備があれば、物品の到着が遅れ、クライアントに損害を与えてしまうことも。

対して、通関士が迅速で正確な手続きを行えば、トラブルを回避し、スムーズに物品を輸出入できます。

自分の対応によってクライアントに利益を提供できることは、通関士のやりがいのひとつ。

また、日本と海外の橋渡しとして、グローバルな視野を広げられることも魅力です。

通関士の資格が活かせる就職先は?

通関士の資格を取得すれば、さまざまな企業で働くことができます。

通関士の資格を活かせる主な就職先は、以下の通りです。

  • 通関業者
  • 物流業界
  • 倉庫会社
  • 貿易会社・メーカー

通関業者

通関業者は、通関士の主な就職先です。

通関業者は、輸出入にかかる手続きを代行する業者であるため、通関士が必要です。

また、通関業者で取り扱う貨物の種類によっては、営業所に通関士の設置が義務づけられる場合があります。

そのため、通関士の資格を取得された方にとって、通関業者への就職は有力な選択肢となるでしょう。

なお、通関士が通関業者に就職した場合、通関に関する専門的な業務に携わることとなります。

さまざまな通関業務を経験できるため、通関士としてのキャリアを積みたい方にも適しているでしょう。

参考:通関業法

物流業界

通関士の資格は、物流業界でも活かせます。

物流業界とは、陸路・海路・空路などで商品を輸送する業界のことです。

物流業界の企業の中には、サービスの一環として、品物の保管や輸出入などの通関業務を手がけている企業も存在します。

そのため、通関士に対する一定のニーズが期待できるでしょう。

特に、国際貨物を扱う航空会社や船舶会社、および大手宅配業者や運送会社へ就職するケースが多いとされています。

倉庫会社

倉庫会社は、通関士が活躍できる就職先として知られています。

倉庫会社は、主に通関手続きが完了した物品の保管や、運送会社への引き渡しなどを行います。

輸入した物品を管理する際に、通関士の知識を活かせるでしょう。

なお、規模が大きい倉庫会社は、自社で通関業を行っている場合があるため、通関業務の経験を積むことも可能です。

また、外国貨物を保管する「保税蔵置場」を有しており、通関業と倉庫業務を兼業している倉庫会社も少なくありません。

倉庫会社は直接物品の輸出入を行うことはありませんが、通関士とかかわりが深い業界であるといえるでしょう。

貿易会社・メーカー

貿易会社やメーカーも、通関士の就職先のひとつです。

貿易会社は、海外企業との取引や、輸出入の手配などに携わる場合があります。

また、輸入品の税率を計算し、利益の予測に役立てるケースも。

加えて、部品や素材の一部を海外から輸入しているメーカーの多くは、自社で通関業務を行っています。

そのため、貿易会社やメーカーでは、通関の知識を有する通関士への需要が高いとされています。

参考:通関士とは?仕事内容や就職先・年収・なり方まで詳しく解説

まとめ

本コラムでは、「通関士はやめとけ」と言われる理由について解説しました。

通関士は、細かい作業が多く、ストレスがかかりやすい仕事です。

また、業務の量によっては、ワーク・ライフバランスを取りにくくなる場合があるでしょう。

ただし、これらはさまざまな職種に共通する特徴であるため、通関士だけが特別辛いというわけではありません。

また、通関士としてのキャリアを積めば、高収入も期待できるでしょう。

通関士は、国の利益や安全につながる、非常にやりがいのある仕事です。

また、専門的な知識を活かして働けるため、食いっぱぐれない資格であるとも言われています。

さらに、就職先の選択肢が幅広く、自分に合った働き方を探すことができます。

やりがいと専門性が高い通関士を目指してみてはいかがでしょうか。

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