通関士は、通関書類の審査や記名・捺印などの独占業務を行う通関業務に関する国家資格です。

通関士を目指す方の中には、実際にどれくらい稼げるのかなど年収が気になっている方も多いでしょう。

本コラムでは、通関士の年収について詳しく解説します。

他業種との比較や、年収1,000万円を目指すポイントも紹介するため、興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

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通関士の年収は?

厚生労働省令和5年の賃金構造基本統計調査によると、通関士の全国平均年収は約551.4万円です。

※出典:通関士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

ただし、紹介した年収はあくまで全国の平均値です。

勤務する都道府県や就職先によって大きく異なり、通関士でも年収が1000万円前後というケースもあります。

たとえば、海外での勤務や外資系の企業で務める場合は、国内の企業に就職するよりも年収が高くなりやすい傾向があります。

また、通関士の給料は年功序列であることが多く、勤続年数が長くなるほど収入があがるケースが多いです。

なお、通関士は国家資格を有する業種であるため、手続き業務を行う場合は資格手当が出る企業が多くなっています。

資格手当の相場は、おおむね3000円〜1万5000円くらいです。

資格手当に関しても職場や勤続年数の長さによって差があるため、長く勤めれば務めるほど給料が増えていくことが予想できます。

通関士の年収は低い?他業種と比較

通関士の平均年収を、他の業種と比較します。

比較する業種は、以下の2タイプです。

  • 通関士に近い職業
  • 通関士試験の難易度に近い資格の職業

通関士に近い職業と年収を比較

通関士に近い職業である貿易事務・航海士・倉庫作業員と、通関士の年収を比較したところ、通関士が最も年収が高い結果となりました。

職業平均年収(全国)
通関士551.4万円
貿易事務496.3万円
航海士456.8万円
倉庫作業員393.6万円
※引用:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

通関士と仕事内容が似ている貿易事務は平均年収496.3万円となり、通関士よりも約58万円低くなっています。

貿易事務のほうが低い要因としては、入職にあたって特に資格を必要とされない点が挙げられます。

独占業務がなく、資格手当なども支払われないため、年収が通関士よりも高くなるということは考えにくいでしょう。

同じような事務業務を行うのであれば、通関士を選択したほうが年収が良くなる可能性が高いです。

通関士試験の難易度に近い資格の年収と比較

通関士試験の難易度に近い、宅建士(不動産営業)・行政書士・社労士と通関士の平均年収を比較します。

職業平均年収(全国)
通関士551.4万円
宅建士(不動産営業)579.5万円
行政書士551.4万円
社労士947.6万円
引用:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

通関士と他業種を比較すると、行政書士と通関士は同じ平均年収でした。

どちらも試験合格による資格が必要なため、入職までの労力とその後の年収は同等だと予想できます。

しかし、宅建士(不動産営業)、社労士と比べると、通関士のほうが年収は低くなる傾向です。

特に社労士は平均年収が947.6万円となり、ほかの業種よりもかなり高い年収が見込めます。

通関士試験と社労士試験は難易度が比較的似ているため、試験合格までの労力に対してのリターンは社労士のほうが大きいでしょう。

ただし、紹介した平均年収はあくまでも目安です。

通関士でも務める企業によっては高い年収が得られるケースもあるため、自分が希望する仕事内容と年収のバランスをしっかり見極めてから職業を選択するようにしましょう。

通関士は年収1,000万円を目指せる?

通関士の平均年収が551.4万円のため、年収1,000万円を目指すことは簡単ではありませんが、叶えることは可能です。

続いて通関士で年収1,000万円目指す方法について解説します。

通関士で年収1,000万円を目指す方法

通関士で年収1,000万円を目指すために必要なポイントは、以下の3つです。

  • 外資系企業で働く
  • 今より年収が良い業界に転職して昇進を目指す
  • 他資格の取得やスキルを伸ばす

外資系企業で働く

通関士で年収1,000万円を目指すのであれば、外資系企業で働くと良いでしょう。

外資系企業は、国内の企業よりも給与水準が高い傾向があります。

さらに能力給や年俸制を導入している外資系企業であれば、個人の能力や仕事の成果によって年収が決定されるため、成果次第では年収1,000万円が目指せます。

年収1,000万円になるにはかなりの成果が必要ではありますが、平均年収の額よりも多くの給与が得られる可能性は高いでしょう。

また、国内の企業は、勤続年数の長さで年収があがっていく年功序列の給与体系が多い傾向です。

年収を1,000万円まであげるためにはかなりの年数が必要、もしくは1,000万円に満たないケースが多いため、高い年収を目指すのであれば国内の企業は選ばないほうが無難でしょう。

今より年収が良い業界に転職して昇進を目指す

働いている業界にこだわらずに、今より年収が良い業界に転職して昇進を目指すことも、通関士で年収アップを叶えるひとつの方法です。

資格や自分の実績を活かし、今よりも条件が良い企業に転職すれば昇進のチャンスが広がる可能性があります。

昇進は昇給や役職手当が付くため、通関士でも年収1,000万円が目指せるでしょう。

通関士が活躍する物流業界には、陸運・空運・海運の3つがありますが、中でも海運の年収が高い傾向があります。

給与水準が高い海運業界への転職、昇進を目指していくのがおすすめです。

他資格の取得やスキルを伸ばす

年収1,000万円を目指すためには、通関士以外の資格の取得やスキルを伸ばして自身の付加価値を高めることも大切です。

通関士資格とのダブルライセンスを取得すれば、貿易に関する高度な専門知識をさらに身に付けられます。

自分のスキルが高くなれば仕事で成果も出しやすくなり、年収アップに繋がる可能性が高くなるでしょう。

務める企業や取得する資格によっては、昇給や資格手当の支給も期待できます。

通関士と相性の良い資格は、以下の5つが挙げられます。

  • 貿易実務検定
  • 国際航空貨物取扱士
  • 通関ビジネス実務検定
  • 安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)
  • EPAビジネス実務検定

そのほか、貿易関係の仕事に必要な英語力を証明できる各種英語検定なども、通関士資格と相性の良い資格です。

通関士は将来性がある4つの理由を解説

結論として、専門性が高い通関士の仕事は、これから先もニーズがある将来性の高い職業です。

日本では輸入に頼っているものも多く、外国企業との貿易取引がなくなる可能性は極めて低いです。

輸出入には必ず通関手続きが必要となるため、通関に関する独占業務がある通関士は現在の状況が続く限り仕事がなくなることはないでしょう。

通関士に将来性がある理由について、以下の4点に触れながらさらにくわしく解説します。

  • 通関士としての需要がある
  • 通関士は国家資格で信頼性が高い仕事
  • 難関資格のため担い手が少ない
  • AIによって仕事がなくならない

通関士としての需要がある

通関士は、輸出入の量によって仕事量が左右される仕事です。

近年、日本では輸出入の件数が増えており、同時に通関業務の数も増加しています。

参考に、日本の税関が公表している輸出入に関するデータを紹介します。

輸出入申告件数(年度別)
2019年2020年2021年2022年2023年
輸出申告件数(万件)1,9852,1872,7093,0103,111
輸入申告件数(万件)4,6406,9669,56211,28914,017
※参照:税関 税関レポート

2019年から2023年の5年間で、輸出・輸入の両方で申告件数が年々増加しています。

世界情勢の影響により多少の増減はありますが、長期的に見て今後も輸出入の件数は増加していく見込みです。

輸出入が増えれば、その分通関業務の量も増加するため、業務を行う通関士のニーズもどんどん高まっていくと予想できます。

通関士は国家資格で信頼性が高い資格

通関士資格は、財務省が管轄している貿易業界唯一の国家資格であり、信頼性が高く、保有すると自分の市場価値が高まります。

貿易業界ではほかに国家資格がないため、業界内での信頼度や需要も高い傾向があります。

近年の輸出入の増加に伴い、信頼性の高い通関士は今後も欠かせない存在となるでしょう。

難関資格のため担い手が少ない

通関士試験は、資格の試験の中でも難易度が高い試験です。

難関資格のため担い手が少ないのが現状であり、通関士資格を保有すれば業界内での就職に大変有利になる可能性が高いです。

以下、過去5年分の通関士試験の結果一覧です。

年度受験者数合格者数合格率
2024年度6,135名759名12.4%
2023年度6,332名1,534名24.2%
2022年度6,336名1,212名19.1%
2021年度6,961名1,097名15.8%
2020年度6,745名1,140名16.9%
※出典:通関士試験 税関

年1回実施される通関士試験は、合格率が約12%〜24%と低い傾向です。

合格者は毎年約1,000名〜1,500名にとどまっているため、通関士の担い手は毎年わずかしか増えていないといえるでしょう。

近年の輸出入件数増加による需要に対して供給が追いついていない状況であり、通関士の価値はさらに今後もあがっていくと予想できます。

AIによって仕事が無くならない

通関士の業務は、AIの発展によって仕事がなくなるという可能性は低いでしょう。

なぜなら、通関士が行う業務は、データではなく人間が判断や対応を求められる場面が多いからです。

例えば、関税率を決定する業務では、書類の情報だけでは判断できないケースがあります。

その場合は、輸入者にくわしい話を聞くために問い合わせを行い、得た情報から総合的に考えて関税率を決定します。

また、輸出入には継続的に取引を行う企業だけではなく、単発的に対応する企業も多いです。

AIだけでは対応しきれないイレギュラーなケースや、人間同士のコミュニケーションが求められる場面もあるため、将来AIに通関士の仕事を奪われるということは考えにくいでしょう。

通関士になるには通関士試験に合格する必要がある

通関士になるためには、まず通関士試験に合格しなければなりません。

試験に合格して取得できる通関士資格の保有者のみが、通関士の仕事に就けます。

通関士試験は年1回の実施のみです。

例年、7月上旬に詳細が公告され、試験日が10月上旬、合格発表が11月下旬というスケジュールになっています。

受験地は、税関のある13の都道府県です。

また、通関士試験には受験資格は定められていません。

学歴や年齢、性別を問わず、希望すれば誰でも受験することが可能です。

ただし、通関士試験に合格しただけでは、通関士として名乗ることはできないため注意が必要です。

通関士となるには、通関士試験合格後に通関業者に就職しなければなりません。

就職先の企業で通関士の登録申請をしてもらい、財務大臣から確認を受けて登録が完了すれば、通関士として仕事ができるようになります。

なお、登録申請は就職先の担当者の方が行ってくれるため、自分自身が何か行うということはありません。

通関士になりたい場合は、まずは通関士試験の合格を目指しましょう。

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講師に質問できるサービスなどのフォロー制度も用意されているため、通信講座でもモチベーションが維持しやすいでしょう。

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まとめ

本コラムでは、通関士の年収について詳しく解説しました。

コラムの要点をまとめます。

  • 通関士の全国平均年収は約551.4万円
  • 通関士に近い職業と比較すると、通関士の平均年収が最も高い
  • 通関士試験の難易度に近い資格が必要な職業と比較すると、平均年収は行政書士とほとんど同じ額だが、宅建士や社労士よりは低い
  • 通関士で年収1,000万円を目指すには、外資系企業で働く、今よりも年収が良い業界に転職して昇進を目指す、他の資格の取得やスキルを伸ばすという3つの方法を実践すると良い
  • 通関士は、輸出入の増加、国家資格による信頼度の高さ、難関資格による担い手の少なさ、AIによる仕事がなくなる可能性の低さなどの要因により、将来性が見込める仕事といえる
  • 通関士になるには通関士試験に合格し、通関業者に就職して通関士として登録してもらう必要がある

通関士は、物品の輸出入には欠かせない存在であり、将来性のある仕事です。

通関士は年々輸出入申告件数が増加していることから、需要が高く安定した収入を得られる職業だと言えるでしょう。

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