通関士試験の通関実務で合格点を取る勉強法
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皆さん、こんにちは。
アガルートアカデミー通関士試験講座、担当の加藤佑喜(ゆき)と申します。
通関士試験、最後の試験科目「通関実務」の勉強法について今回はお話をしたいと思います。
通関士試験は一部の科目免除者を除いては、9時30分から15時30分までと長い勝負になります(もちろん休憩はありますが)。
2科目目の関税法等でもかなりの集中力と体力を使っているでしょうが、最後の科目「通関実務」まで気は抜けません。
あとひと踏ん張りです。しっかり知識を定着させ、万全の体制で試験に挑みましょう。
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▶資料請求して特典を受け取る通関士試験の通関実務とはどんな科目?
通関実務は、その名のとおり、実務的な出題がされる科目です。
受験生たちを最も悩ませる問題の1つである「輸出・輸入申告書の作成」がこの科目に含まれます。
また、課税価格の計算問題や品目分類についての問題など、短時間の学習では歯が立たない問題ばかりです。
「関税法等のコラム」でもお伝えした通り、関税法等の科目と非常に結びつきの強い科目ですので、特に法定納期限や課税価格決定の原則・例外の知識を定着させておく必要があります。
初めはイメージしにくいかとは思いますが、しばらくそのまま学習を続けていくと、その先に点で理解していたもの同士が線になる時がくるはずです。
それまでは辛抱強く、継続することが必要です。
通関実務試験の内容は下記の通りです。
- 通関書類の作成要領 20点
- 輸出申告書 5点(選択式のみ1点×5問)
- 輸入申告書 15点(選択式1点×5問、計算式2点×5問)
- 選択式 10点(2点×5問)
- 計算式 10点(2点×5問)
- 択一式 5点(1点×5問)
合格基準(60%)は27点以上ですので、申告書問題を落としてしまうと致命傷になってしまいます。
計算問題は人によって得意・不得意が分かれるところですから、どの程度学習時間を確保するべきかはよく考えましょう。
通関実務の出題傾向と頻出分野
それでは最近の傾向や頻出問題について確認しましょう。
➀直近の傾向
通関士試験の合格基準は各科目で60%以上となっていますが、年により稀に下がる場合があります。
申告書問題については、第50回の試験は歩留まりや繊維の問題に苦しんだ方が多く、合格基準が通関実務だけ55%に下がるということがありました。
そのほか、第52回の試験も通関実務のみ合格基準が50%に下がっていますが、第51回、第53~55回の試験における合格基準は60%で一定です。
合格基準が下がる可能性は念頭に置かないようにし、過去問は常に80%以上の取得を目指しましょう。
計算問題、選択式、択一式については大きな変化はありませんが、経済連携協定の動向には少し注目ができると良いですね。(2022年については、RCEP協定が発効されましたね)
独学者で情報が拾いきれるか不安な方は、まずは通関業法、関税法等と同様に直近の5年分を解きましょう。
それ以前(第50回よりも前)の通関業法、関税法等については法改正点と特に注意しながら解く必要がありますが、申告書問題や計算問題については、後述するHSコードの変化はあるものの、練習には支障が無いのでバンバン数をこなして下さい。
②頻出問題
ここ最近、読解力が問われる問題が扱われていると感じます。
原産品と認められるか否か、という問題です。
この問題は、日頃の学習知識ももちろん大事ですが、問題文と用意された参考文章等を読みながら答えを導き出すタイプの問題ですので、読み間違いがなければ正解にたどり着くことができます。
普段の学習ではたとえ1時間かかっても構いませんので、しっかり答えが導き出せるように「なぜ、そのように繋がるのか」ゆっくり読み進めましょう。
なんとなく理解した程度で終えてしまうと、当日の問題では太刀打ちできない可能性がありますので、仕組みの理解に努めて下さい。
③法改正部分
この「実務」という科目では、特に時代の流れを反映した改正問題が出題されることがあります。
例えば、キャッシュレス決済についての問題や、新たに輸出入される物品についてです。
申告書問題、貨物分類に共通している「HSコード」は、第1類から第97類まで(全9ケタ+NACCSコード)で規定されているほぼ全ての輸出入の物品等に割り当てられる番号です。
このコードは5年に1度改正がされます。(2022年は改正年です!!)
新たに輸入される物品には既存のコードに該当しない場合があるのでコードが新設されたり、逆に輸出入量が減った物品のコードで、使用頻度が減ったものは統廃合されます。
ドローンや3Dプリンターなんて、何十年も前からあるわけではありませんので、そういったものが新たに加わります。
また、法改正点以外にも、関税法等に含まれる内容で更に実務的な細かい内容(通達規定)を問われることもあります。
ですが、まずは申告書問題をミスなく解くことが絶対ですので、法改正点はあくまで基礎の後に学習するというスタンスでいると良いでしょう。
通関実務の勉強法
それでは、勉強開始時間や方法についてお話します。
なお、選択式と択一式の基本的な勉強方法については、通関業法・関税法等のコラムと重複しますので、今回は割愛させていただきます。
詳細は下記のコラムをご覧下さい。
関連コラム:通関士試験の通関業法で合格点を勝ち取る勉強法
関連コラム:通関士試験の関税法等で合格点を狙う勉強法
➀勉強開始時期
この科目は、計算問題や貨物分類については初期の段階からスタートすることも可能です。
詳しい流れは下記の表(アガルートの通関士試験講座で設定している学習スケジュール)も参考にしてみてください。
申告書問題や計算問題は、関税法や関税定率法の学習を進めながら(若しくは終えてから)取り組んでいくのが良いですが、どちらもできる限り早めに取り組むようにしましょう。
まずは解いてみて、分からなければ都度確認する。
どの科目もこの繰り返しです。
②申告書問題
「直近の傾向」でもお話しましたが、第50回では多くの受験生が困惑する問題が出題されました。
受験生はできるだけ早く、一度、申告書問題に取り組んでほしいです。
申告書問題では、いかに多くの種類(品目)の問題を解いているかが重要だと言えます。
例えば、「コーキングパウダー」と聞いてすぐにイメージが付くでしょうか?
(知っていないといけないという訳ではありませんが、勉強においては調べる習慣ができていると良いです。)
野菜や台所用品のように、普段から馴染みのある品目であれば知っている英単語もあるでしょうし、比較的取り組みやすいかと思います。
馴染みがないものでも、初めて見る品目(品名)でも、申告書を解く手順と関税率表の見方、関税法・関税定率法の知識が備わっていれば答えを導き出すことができます。
学習においては、数をこなすことで狙ってくる部分や必ず読むべき重要事項は先に目を通しておくと「そういえば、あそこに大切なことが書いてあったな」と思い出したり、試験中に関税率表(配布される別冊)から素早く探すことも可能です。
肉、魚、調整品、衣類、竹細工、肥料…同じ問題であっても解き方を忘れないために、申告書問題は定期的に解きましょう。
問題文中にも課税価格の知識が必要になるので、定率法の復習、この後に解説する計算問題も合わせてチェックすると良いです。
必要に応じて、定規や色ペンなどの使い分けをすると読みやすくなりますよ。
③計算問題
関税定率法で学習する課税価格の原則と例外の知識無しでは解けない問題です。
ひっかけ問題もよくあり、単純な計算問題(電卓の操作ミス)にも気を付けなければなりません。
インコタームズを理解しておくと、より理解を深める事ができます。
問題文も長い場合が多いので、読解力を養いながら解き進めましょう。
この問題が、申告書の問題文中に必ず登場します。
加算要素なのかそうでないのか、申告書問題で悩むことが多いなら、まずは計算問題をしっかり解くと良いです。
どちらの問題にしても、いかに細かな部分まで気を配れるか(注意できるか)が勝敗を分けます。
※試験で使用できる電卓には一定の決まりがあります(数値を表示する部分がおおむね水平なもの、音が出ないもの等)ので、受験要項をしっかり読みましょう。
④焦りは禁物!とにかく読み込んで!!
頻出問題の部分でもお話しましたが、この科目は原産品として認められるか否かを問う問題のように、読解力を試す問題がかなり多いです。
みなさんは未来の通関士です。
通関士は関税等について正しく申告する必要があります。
輸入者に代わってその義務を負うことになるのです。
通関士試験はそのための確認テストです。
しっかり細部にまで目をやり、気を配り、誤りは正しい説明ができる様に繰り返して自信を付けていきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。ここまでご覧いただきありがとうございます。
通関実務の勉強法についてお話ししました。
もっとも、全ての単元についてお話しきれていませんので、まだまだお伝えしたい事は沢山あります。
もし、まだ学習に不安が残る場合はぜひアガルートの通関士試験講座の受講をご検討下さい。
アガルートの通関士試験講座では、全ての単元や、過去問の多くについて解説動画をご用意しております。
試験に出やすいポイントや学習においての考え方、勉強の工夫の仕方など、皆さんの役に立つであろうコンテンツを随所に散りばめております。
未来の通関士として、グローバル社会で活躍する皆さんの応援ができることを心から楽しみにしております。
関連コラム:通関士試験に合格するための勉強時間は?勉強法のポイントや学習順も解説
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