通関士試験に合格するための勉強時間は?勉強方法のポイントや学習順も解説
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通関士試験の受験をお考えの皆さん、こんにちは。
アガルートアカデミー通関士講座、担当の加藤佑喜(ゆき)と申します。
今回は通関士試験の合格に必要な勉強時間や勉強方法について、自身の経験も交えながらお話したいと思います。
おすすめの学習順についても触れていますので、これから受験を考える人の参考になれば幸いです。
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通関士試験の合格に必要な勉強時間
通関士試験の合格に要する勉強時間は平均で500時間前後と言われています。
500時間勉強するには、平日2時間、休日4時間勉強すると190日(約6.3ヶ月)必要になります。
通関士の試験日は、例年10月の第1または第2日曜日のため3月~4月から試験勉強を始めましょう。
もちろん個人差はあります。
・これまでに他の資格試験等で学習の習慣がついている人、自分のやり方が分かっている人
・勉強そのものが初めてで、何から始めれば良いか不安な人
・勉強することが久しぶりで、少しサポートやアドバイスがほしい人
いろんな人がいらっしゃいますので、±100時間、すなわち400時間で合格する人もいれば、600時間かかったという人もいます。
正確に記録をしたわけではありませんが、私は「完全初学者」で「約600~700時間」だったかと思います。(詳細はこの後にお話しますね。)
気を付けなければならないことは、「500時間机に向かったとしても、学習の質が良くなければ成果は得られにくい」ということです。
時間は有限、貴重です。
休日はゆっくり休む時間や好きなことをする時間もほしいところです。
できるだけ無理のない計画をたて、合格を勝ち取りましょう!
通関士試験に合格した人の勉強時間
アガルート講座を利用して、通関士試験に合格した人の平均勉強時間を紹介します。
通関士試験に合格した人の平日の平均勉強時間は「2時間」が一番多く、続いて「1時間30分」「3時間」となっています。
続いて休日の勉強時間を見てみましょう。
通関士試験に合格した人の休日の平均勉強時間は「5時間以上」が一番多く、続いて「4時間」となっています。
上記のアンケート結果から、通関士試験に合格するには平日、休日ともにまとまった勉強時間が必要であることがわかります。
※「アガルート通関士講座を利用者を対象にしたアンケート調査概要」から引用
学習の質と勉強時間を確保するコツ
ここでは「学習環境と時間」について更に深く掘り下げていきましょう。
学習の質と勉強時間を確保するコツは以下の3つです。
- 勉強できる環境を整える
- ライフスタイルに合わせて勉強時間を確保する
- 通関士試験の合格後の目標や計画を立てておく
勉強できる環境を整える
まずはじめに「ここならしっかり集中できる」という環境を用意しましょう。
- 自宅
- 学校
- 図書館
- カフェ
静かな場所の方が集中できる、人に見られている、頑張っている人たちの姿が見える環境の方が集中できるなど、合う・合わないがあります。
気分転換に2カ所くらいあっても良いですね。
最近ではオンライン勉強会も多く開かれているので、参加してみるのも良いでしょう。
ただし、仲間の学習スピードがあなたよりも早いことに焦ったりしないしないように。
メンタル面でも焦りは禁物です。
ライフスタイルに合わせて勉強時間を確保する
自身のライフスタイルに合わせて、勉強時間を確保しましょう。
「〇時間」という正解はありませんが、通関士試験に合格するには、1日少なくとも合計2時間はほしいところです。
必ず通しでしなければならないということではありません。
- 朝の通学、通勤前に30分
- 昼休みに25分
- 帰宅後に1時間5分
など、きっちり、ピッタリしなくても良いです。
冒頭でも話したとおり、「時間の長さより学習の質」そして「継続すること」が大切ですので、学生さんや社会人(私もそうでした)、ご自身のライフスタイルに合わせて勉強時間を確保するように努力しましょう。
「平日に少ししか時間の確保ができないなら、週末にはこれだけ進める」という工夫も必要です。
また、「質」に重点をおく上でのおすすめ方法は、時間よりも「ページ数」でノルマを貸してみてください。
「今週は〇ページまで学習をする」という具合です。
「目標ページ到達までに〇時間かかった」となることの方が時間よりも理解度に焦点が当たっているのではないでしょうか。
通関士試験の合格後の目標や計画を立てておく
通関士試験の合格後の目標や計画をできるだけ明確に立てておきましょう。
- 就職や転職に役立てたい
- 資格手当でお給料をアップさせたい
- 知識を深めてキャリアアップをしたい
通関士試験は、合格率10~15%と決して簡単な試験ではありません。
モチベーションの維持にも繋がります。
通関士試験に合格する勉強方法のポイント
こちらのページの下部ある講座のガイダンス動画でもお話しておりますが、通関士試験の合格のためにできるだけ早く過去問を徹底することは必要不可欠です。
「どんな敵と戦うのか」を知っていないと勝つための戦略も立てられません。
学習の流れと勉強方法のポイントは以下の通りです。
- インプットテキストで基礎知識を取得
- 簡単なチェック問題で理解ができているかを確認
- 章末問題で再確認
- 過去問を用いてより実践的な問題で最終確認
- 間違いは誤りの理由が説明できるようになるまで確認
インプットテキストで基礎知識を習得
テキストで言葉の定義をしっかり区別し、理解することを意識してください。
どんなテキストでも3周することを目標にしましょう。
繰り返し過去問を解き進め、「この辺りに書いてあったな」とイメージが出来るようになればOKです。
※アガルートアカデミーの講座テキストのこと。市販の場合は、「参考書」と読み替えて下さい。
簡単なチェック問題で理解ができているかを確認
知識を定着させるには、とにかく問題を解く(アウトプット)ことが大事です。
市販のテキストの多くにも理解度を確認する問題があると思います。
インプットテキストを読み進めるだけでは合格できません。
問題を解くときに、
- どんなことを狙ってくるのか?
- 自分だったらこういう部分を問題にするな~
という視点をもてるとgoodです。
章末問題で再確認
チェック問題も含め、3日に1回、1週間に1回、再確認しましょう。
良くも悪くも人は忘れる生き物です。
人の顔や名前(例えば新しいクラスや会社の仲間)も毎日会うから少しずつ覚えますよね?
問題も同じです。
「また出ましたね、もう難しくないですよ。」と、何度も読み返しましょう。
ただ、無意識に答えの番号を覚えてしまっていないかには注意しましょう。
過去問を用いてより実践的な問題で最終確認
実際に出題された問題の言葉遣いに慣れましょう。
とにかく1文が長いです。
たった1問を完全に理解するために30分を要するときもあります。
分からない時にはインプットテキストから正しい答えを探します。
自らじっくり調べて答えを導き出した時、教わるよりも確実に記憶に残ります。
これを繰り返すとインプットテキストの記載場所まで覚えられる様になります。
過去問については、80%以上の正答率を目標にして下さい。
本試験基準の60%を基準にしていると、当日の問題によっては、ギリギリ合格基準に到達できない可能性もあります。
間違いは誤りの理由が説明ができるようになるまで確認
私は自分に正しい答えを言い聞かせるためにノートに問題から書き写し、間違えている理由や正しい答えに毎日目を通すようにしていました。
問題を解いて答え合わせをして「あ~、間違えた。そっかぁ。」となりますよね。
多くの方がここで満足してしまいます。
確かにその場では理解をしているかもしれません。
しかし、ここのケアが不十分だと次も同じ間違いを繰り返してしまいます。
間違えた問題ばかりが載っているマイノートは、世界一自分に必要な問題集となります。
これは通関士試験だけでなく、多くの資格試験の学習にも使える考え方です。
おすすめの勉強の順番とスケジュール
通関士試験は3科目あります。
➀通関業法
②関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(長いですが、正式名です)
③通関実務
難易度は低い順に①通関業法>②関税法等=③通関実務(③通関実務は特に個人差があります)となっています。
おすすめ学習順は以下の2パターンです。
・パターン1(1科目ずつコツコツ型):①通関業法→②関税法等→③通関実務(②、③は早めに着手しましょう)の順で学習を進める
・パターン2(同時進行型):下記のイラストのようなイメージで3科目を同時進行に近い形で学習する
➀通関業法
通関業法は独立した科目で内容も比較的狭く、初学者がスタートする科目としておすすめです。
ただし、関税法で用いる用語もいくらか登場しますので、関税法の基本的な部分と並行して進めていくことも必要です。
そして、3科目の中では最も簡単とされるので軽く見られてしまいがちですが、しばらく放っておいて当日試験で泣きをみる人もいらっしゃいますので油断は禁物。
定期的に過去問で感覚を失わないようにしましょう。
関連コラム:通関士試験の通関業法で合格点を勝ち取る勉強法
②関税法等(略称)
上記に記載の通り、複数の法律から出題され、3科目の中で最も範囲の広い科目です。
通関士試験の学習で最も時間を費やす部分だと思います。
配点も➀通関業法③通関実務は45点満点に対し、この科目は60点満点です。
③通関実務と非常に結びつきの強いのも特徴です。
②関税法等と③通関実務は並行して学習するとより理解しやすくなりますが、初学者の場合は1科目ずつでも構いません。
最初は「点で学習」し、しばらくモヤモヤするかもしれませんが、辛抱強く「点で学習」を継続すれば、いずれ「線」になるときが来るでしょう。
関連コラム:通関士試験の関税法等で合格点を狙う勉強法
③通関実務
計算問題と申告書問題が中心となる科目ですので、計算に苦手意識を持つ人は早めに取り掛かってほしいところです。
とはいえ、電卓を使用できますし、難問でも中学1年生の1次方程式が理解できれば解くことができますので、高度な数学知識は不要です。
それよりも重要なのは「読解力」です。
焦らず読むこと、関税定率法の知識が定着していることの方が優先です。
「②関税法等の勉強にちょっと飽きてきたなぁ」という人は気分転換に計算問題や貨物分類に切り替えるのも良いですね。
関連コラム:通関士試験の通関実務で合格点を取る勉強法
学習をスタートさせる時期は人によって異なります。
短い人で約4カ月、長い方で前年の12月からという人もいます。
それぞれの科目に充てる期間も、試験までの残りの時間とテキストのページ数でなるべく細かく計算するようにしましょう。
本試験の約3日~1週間前は最終確認として新しいことを覚えるのではなく、なるべくこれまでに間違えた問題の総復習をすることをおすすめします。
余計な焦りを感じないようにするためです。
そうなってしまわないためにも、直前の期間は学習期間にカウントしないようにすることも良いですね。
学習計画についての注意点
「学習環境と時間」でもお話したとおり、学習の「質」を重視しましょう。
そのためにはある程度時間の確保も必要ですので、ご注意頂きたいことがあります。
それは、「何が起こるか分からないから時間に余裕をもとう」ということです。
当然ですが、日々いろんなことが身の周りで起こっています。
私の場合は試験前の8月に母が癌で緊急入院、手術をすることになりました。
母子家庭、兄弟無しなのでいろいろとするべきことが増えました。
しかし、それを理由に落ちることは避けたいと考え、できる限りの隙間時間も勉強に充てました。
手のひらサイズのメモに必要事項をずらりと書き、会社員当時もポケットに入れてちょこちょこ読んでいました。
結果は合格、母も無事退院しました。
私の場合はたまたま良い結果になりましたが、時期がもっと試験に近ければ、病状がもっと悪ければ結果は変わっていたかもしれません。
自分の事以外にも、予定を変更せざるを得ないことは十分にあり得ますので、そういった場合にも巻き返すことができるよう、ゆとりのある学習計画を立てましょう。
アガルート受講生で通関士試験に合格した人の体験談
ここではアガルート受講生で、通関士試験に合格した人の体験談を3つ紹介します。
実際に通関士試験に合格した際の勉強方法や意識したことを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
特に気をつけていることは、分からないことがあればすぐに質問したり調べたりする。加藤先生に伺うか、無料動画を見て確認するか、分かるように勉強して決して放置はしないことが大事だと思います。
暗記系のものは手を抜かず、しっかりと一言一言まで意識して覚えるようにしました。通関士試験の問題はは類似表現が多く、長々と書かれた選択肢がパッと見て正解だと思っていても、実は2文字だけが間違っているとかのパターンが多くて、大変ではありましたがそれを耐えなければいけません。
その他、時々勉強する環境を変えたりしました。例えばカフェに行って、「今日は〜まで勉強しなければ帰ってはいけない。」「〜まで頑張れば好きなものを食べて良い」とか、飴と鞭を自分に与えていました。
受講開始時は、貿易実務検定の勉強中でしたので、最初の1か月半ほどは、通勤中やお昼休憩中などに、毎日平均1時間半ほど音声で講義を聞いていました。おかげで、その後に机で動画を見ながら学習を開始した際に頭に入りやすかったです。
学習順序は、試験と同じ、①通関業法、②関税法等、③通関実務の順で、まずは各科目で総合講義テキストを1周しました。
結果として、最も負担が軽い通関業法から始めた事で、良いスタートを切れたと共に、財務大臣>税関長の関係からも、許可・承認等の主体が主に財務大臣である通関業法の次に、税関長が中心の関税法等を学習した事で、理解もスムーズだったと思います。
2科目目の関税法等は、テキスト数も最も多く苦戦しましたが、100%の理解にこだわらず、とりあえずは、各単元のチェック問題と章末問題を解ける理解度を目指して突き進みました。
3科目目の通関実務では、予め電卓を使う練習をしていた為、比較的自信を持って進める事ができました。動画で説明を聞いた後、理解度を確認する為に、一旦止めて、自分で解いてみてから解説を聞くようにしていました。
総合講義テキストを一通り終えた後は、過去問題集を2周しましたが、知識があまり定着していない事に気付き、総合講義のテキストの復習に戻りました。しかし、用語をなかなか覚えられなかった為、空欄補充に特化した市販の問題集を、テキストを読みながら解くようにしました。
この作業を一通り終えた後、直近の過去問3回分を時間を測って解いたところ、空欄補充問題は勿論、選択式・択一式問題でも手応えを感じる事ができました。
その後は、過去問題集の目次を活用して、苦手な問題を解き直す他、通関業法と関税法等は、過去問を出題形式や単元ごとに再編成した市販の問題集で、通関実務については、市販の計算問題ドリルや申告書の問題集も併用して、得点源を集中的に特訓しました。
昨年はひたすら過去問だけに取り組み、試験に挑みましたが合格することはできませんでした。
当たり前なことになるかもしれませんが、過去問だけでは駄目なことがわかったので、今年は内容の理解と把握に重点を置きました。
1周目は講義の単元ごとに、講義プラス過去問に取り組み、2周目も同様に勉強しました。
1周目、2周目の違いは単元の広さを変えました。
2周目となると自分が理解しているところとそうでないところも明確にわかってくるので、理解が足りないところを何度も繰り返しやりました。
試験前の最後の1月は過去問をひたすら繰り返し行い、忘れたところ、すぐに回答が出てこなかったところを勉強しなおすようにしました。
過去問は単元ごとではなく、1年分を一気にやるようにしてました。
試験日が近くなるにつれて、逆に勉強時間が少なくなっていきました。
平日は1年分、休日は3年分など…。自宅で机に向かう以外の時間(通勤など)では、通関業法など比較的シンプルな内容の講義を聞きながら歩くなど、なるべく勉強した内容に間隔を開けないようにしました。
複雑な内容は間違った理解をする可能性が高いと思ったので、聞くだけでなく、必ず参考書と見比べながら勉強するようにしました。
まとめ
ここまでご覧頂きありがとうございます。いかがでしょうか。
ご自身の学習スタイルはイメージできましたか?
アガルートアカデミー通関士試験講座の各科目のガイダンス等では、問題への取組み方で意識するべき事や、各単元と関連する他の単元は「ここ!」という具合に解説もしております。
ご興味を持っていただけましたら、ぜひ講義を体験してみて下さい。
最後に念押しになりますが、通関士試験は合格基準点をクリアすれば良いのです。
他人と競い合う試験ではありません。
「戦うべきは自分自身」です。
お仕事や学校で疲れが溜まっているときもあるかとは思いますが、しっかり目標を設定し、ONとOFFのメリハリを付けて日々の成長を楽しみましょう。
皆さんの合格と目標へのサポートができることを心から楽しみにしております。
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調査方法 | アガルートアカデミー内でのアンケート調査 |
調査対象 | アガルートの通信講座を利用して、通関士試験に合格したユーザー |
調査期間 | 2024年11月10日~12月3日 |
有効回答数 | 25 |
調査対象地域 | 日本国内 |
アンケート回答の属性
年代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
---|---|---|---|---|---|
割合 | 40.0% | 44.0% | 8.0% | 8.0% | 0% |
通関士試験合格者の学習期間
学習期間 | 割合 |
---|---|
1か月 | 0% |
2か月 | 4.0% |
3か月 | 12.0% |
4か月 | 4.0% |
5か月 | 12.0% |
6か月 | 24.0% |
7か月 | 8.0% |
8か月 | 8.0% |
9か月 | 8.0% |
10か月 | 16.0% |
11か月 | 0% |
12か月以上 | 4.0% |
通関士試験合格者の平均勉強時間
勉強時間 | 平日 | 休日 |
---|---|---|
30分 | 5.6% | 0% |
1時間 | 11.1% | 11.1% |
1時間30分 | 22.2% | 5.6% |
2時間 | 33.3% | 16.7% |
2時間30分 | 5.6% | 5.6% |
3時間 | 5.6% | 11.1% |
3時間30分 | 11.1% | 0% |
4時間 | 5.6% | 16.7% |
5時間以上 | 0% | 33.3% |