努力を成果につなげるには、正しく目標を立てて目指すことがとても大切です。

通関士試験への合格を目指すにあたっては、まずは試験に関する知識を整理しておきましょう。

本コラムでは、通関士試験の結果を参考に、合格率の推移や合格点について解説します。

試験対策を有意義なものにするために、まずは情報収集を行いましょう。

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通関士試験の合格率はどのくらい?

本章では、通関士試験における合格率の傾向をチェックします。

通関士試験の合格率は例年10〜20%前後で推移しています。

通関士試験 : 税関 Japan Customs』によると、令和6年度の合格率は12.4%(前年度24.2%)、受験者数は 6,135名 (前年度 6,332名 )、合格者数は759名(前年度1,534名)という結果でした。

合格難易度を理解するために、通関士試験と同じ貿易業界の資格である「貿易実務検定」と合格率を比較すると、貿易実務検定の中で最も難易度が高いとされる「貿易実務検定A級」では、例年35〜40%程度の合格率が続いています。

決して簡単ではない貿易実務検定A級と比べても、さらに合格率が低い通関士試験は、高い難易度を誇る資格試験のひとつであると言えます。

通関士試験において合格をつかみとるためには、綿密な対策が必要と言えるでしょう。

関連コラム:通関士試験の難易度ランキング!他資格と合格率や勉強時間を比較

通関士試験の合格率の推移

続いては、通関士試験における合格率を年度別に確認し、合格率の傾向について理解を深めましょう。

以下の表に近年の試験結果に関するデータをまとめました。

■通関士試験における年度別の受験者数・合格者数・合格率

年度受験者数合格者数合格率
2024年度(令和6年度)6,135名759名12.4%
2023年度(令和5年度)6,332名1,534名24.2%
2022年度(令和4年度)6,336名1,212名19.1%
2021年度(令和3年度)6,961名1,097名15.8%
2020年度(令和2年度) 6,745名1,140名16.9%
2019年度 (令和元年度) 6,388名878名13.7%
2018年度(平成30年度)6,218名905名14.6%
2017年度 (平成29年度) 6,535名1,392名21.3%
2016年度(平成28年度) 6,997名688名9.8%

近年のデータで最も合格率が低いのは2016年度で、合格率は9.8%でした。

近年でも特に低い合格率を記録した前年度試験の反動もあってか、2017年度は21.3%という高い合格率を記録しています。

しかし、2018年度以降は10~20%前後の合格率を安定的に推移している傾向にあります。

また、通関士試験の合格率の傾向を把握するうえでは「科目免除制度」について理解しておくことも忘れてはいけません。

通関士試験における科目免除制度とは、通関士試験の3科目の試験のうち一部科目の免除を受けられるという制度です。

特定の実務経験などを満たすことで、科目免除を受けられるようになります。

科目免除の種類や有無をふまえた合格率を次の表に整理しました。

通関士試験の年度別合格率(受験科目数別)

年度全科目受験者 合格率2科目受験者 合格率1科目受験者 合格率
2024年度11.2%10.4%61.3%
2023年度23.0%22.0%70.8%
2022年度17.7%17.2%65.6%
2021年度14.9%10.6%59.1%
2020年度14.4%20.7%75.4%
2019年度12.5%12.5%61.9%

2科目受験者、いわゆる1科目免除での受験者の合格率は年度によって程度が異なりますが、全科目受験者の合格率とそれほど大きな差はないことが分かります。

その一方で1科目受験者、いわゆる2科目免除での受験者は合格率がかなり高く、全受験者の合格率の約4〜5倍で推移しています。

2科目免除を受けることで1科目に集中でき、合格率が50%以上と高い水準になっていると考えられます。

以上から、2科目免除での受験者における非常に高い合格率で、受験者全体の合格率が引き上げられているといえるでしょう。

そのため、全科目受験者の合格率は全体合格率よりも低くなっていると理解しておくことが大切です。

合格率に表れているとおり、科目免除を受けられると合格の可能性がグッと高まります。

とはいえ、科目免除を受けるためには要件を満たす必要があるため、科目免除の対象となる受験者数は受験者全体の中ではとても少数です。

参考:税関『通関士試験』

通関士試験の合格率が低い3つの理由?

通関士の合格率が低い原因は3つあります。

  • 3科目で合格点を満たす必要がある
  • 専門用語が多い
  • 回答の選択肢が多い

3科目で合格点を満たす必要がある

通関士試験は3科目すべてで合格基準点を満たす必要があることから、試験の難易度が高くなっています

合格するには各科目60点以上取る必要があり、幅広い試験対策が必要です。

各科目の内容も、専門性が高く知識がない状態から勉強するのも、難易度が高いと感じる原因と言えます。

専門用語が多い

通関士試験は専門用語が多いことから難易度が高い試験となっています。

日常生活では聞きなじみのない言葉や、通関時にしか聞かない言葉が多く使われます。

専門用語を一から覚える必要があることから、通関士の試験は難しいと言えるでしょう。

回答の選択肢が多い

通関士試験は、回答の選択肢が多いのも難易度が高くなっている原因と言えるでしょう。

通関士試験の出題形式と詳細をまとめました。

出題形式詳細
選択式5つの選択肢の中から複数選択する形式
択一式文章の空欄に当てはまる適切な語句を選択肢から一つ選んで回答する形式
計算式課税価格を計算する問題が3問、それ以外の関税額等を算出する問題が1問出題

択一式の問題は15個の選択肢から選ぶ問題があり、選択肢の多さから合格率が低くなっているとも言えます。

また選択式・計算式で出題される通関書類の作成要領の科目では、1問10点と高配点の問題です。

通関士試験の合格点(合格基準点)は?

本章では、通関士試験に合格するために目指すべき合格点をチェックしていきます。

通関士試験には科目ごとに「合格基準点」が設定されています。

各科目に設定された合格基準点を全てクリアすることで、通関士試験の合格をつかみ取ることができます。

各科目の配点や合格基準点などを整理したのが次の表です。

■通関士試験の科目・配点・合格基準点

科目配点合格基準点
通関業法45点60%(27点)
関税法等60点60%(36点)
通関実務45点60%(27点)

「通関業法」「通関実務」は配点が45点、「関税法等」は配点が60点となっています。

配点は異なりますが、合格基準点はそれぞれ原則として60%の得点に設定されています。

60%と聞くとそれほど高いハードルと感じないかもしれませんが、3科目全てで60%得点をクリアしなければならない点が難易度を高めています。

なお、合格基準点は年度によって変動することがあることに注意しましょう。

近年の例では、2018年度実施の通関士試験において「通関実務」の合格基準点が50%に引き下げられています。

合格基準点の変動が例外的に発生する年度はありますが、基本的には合格基準点を60%として考えるのが最適です。

これから試験対策としてスケジュール設定をする際も、60%の得点を突破できるように意識して対策していきましょう。

まとめ

本コラムでは、通関士試験合格を目指すうえで知っておきたい合格点の推移や合格率について整理しました。

通関士試験は同業界の資格の中でも合格率が低く、受験にあたっては綿密な対策が求められる試験のひとつと言えます。

合格をつかみ取るには、まずは通関士試験の特徴を理解して正しい目標を設定することが大切です。

設けられている各科目の学習内容を理解して、合格基準点をクリアするための具体的なイメージを作りましょう。

通関士試験の合格に向けた情報収集を行い、どんな対策を行うべきか検討していきましょう。

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