通関士は独立開業可能?独立するメリット・デメリットを解説
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「通関士として独立できるのだろうか」と、疑問に思う方は多いでしょう。
結論からいうと、通関士として独立することは不可能ではありません。
ただし困難な点が多いため、ダブルライセンスを取得するのがおすすめです。
通関士の独立が難しい理由や、独立のメリット・デメリット、おすすめの副業やダブルライセンスに向く資格をわかりやすく紹介します。
目次
通関士は独立できる?
通関士が独立することは不可能ではありませんが、現実的に簡単ではないといえます。
理由は、通関士は通関業者に雇用されるのが前提の資格であるためです。
通関士として仕事をするためには、就職先の通関業者を通じて財務大臣に申請してもらう必要があります。
そしてその許可がもらえて初めて、通関士と名乗れます。
つまりたとえ試験に合格しても、通関士として名乗れる資格を得られるだけです。
これについては、通関士について定めた法律「通関業法」でも以下のように明記しています。
第三十一条 通関業者は、通関士試験に合格した者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとするときは、その者の氏名、通関業務に従事させようとする営業所の名称その他政令で定める事項を財務大臣に届け出て、その者が次項の規定に該当しないことの確認を受けなければならない。
第三十二条 通関士は、次の各号のいずれかに該当するときは、通関士でなくなるものとする。一 前条第一項の確認を受けた通関業者の通関業務に従事しないこととなつたとき。
(引用元:通関業法)
独立するメリット・デメリット
通関士として独立することには、メリット・デメリットの双方があります。
これから解説する点を踏まえて、通関士として独立するか慎重に検討してください。
メリット1.将来性も需要もあり、長く働き続けられる可能性がある
通関士の仕事は将来性も需要もあり、「独立しても仕事がない」という状況にはなりにくいでしょう。
現代では物品の輸出入を行う個人・法人が多く存在します。
税関のデータを見ても、輸入額・輸出額ともに高い水準で推移しています。
年度 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|---|
輸出申告件数(万件) | 1994 | 1985 | 2187 | 2709 |
輸入申告件数(万件) | 3974 | 4640 | 6966 | 9562 |
(引用:税関 関税レポート)
今後も、通関士が求められる場面は多いはずです。
メリット2.得意な業務だけに専念しやすい
個人の通関士として独立することで、自分が得意とするジャンルの業務だけに集中できるかもしれません。
通関士は基本的に通関業者に所属して業務にあたるため、苦手とするジャンルを担当しなければならないこともあるでしょう。
しかし独立すれば、そういった仕事は受けないという選択もできるようになります。
デメリット1.個人での開業・経営が難しい
そもそも通関士は、個人での開業・経営が困難です。
通関業者の中には、営業のために依頼人の関税や消費税を一時的に立て替える業者もいます。
その額は、1か月で数千万円~数億円になる企業もあるといわれているほどです。
関税の立て替えについては近年是正の動きが高まっていますが、個人経営の通関業者も同様の対応が求められる可能性はぬぐい切れません。
また、依頼人の荷物を預からなければならないこともあり、その保管スペースも必要となります。
デメリット2.利益を得るのが困難
せっかく苦労して独立したとしても、思うように収益が得られないかもしれません。
通関業を行う通関業者には、全国展開している大手企業も多数。わざわざ個人の通関士に頼む人は少ないと考えられます。
もし独立するのであれば、営業努力は欠かせないでしょう。
独立開業する場合はどんなビジネスがある?
通関士として独立するなら、通関業を行うか、個人で輸入ビジネスを始めるかの選択肢があります。
しかし前述のとおり、個人で通関業を営むことには困難がつきものです。
個人で輸入ビジネスを始めたり、ほかの資格を取得したりして、工夫することが必要です。
個人で輸入ビジネスを始める
通関業に関する豊富な知識を生かせる仕事を個人で始める方法もあります。
例えば海外から物品を仕入れて、国内で販売してはどうでしょうか。
ECサイトを使えば、手軽に商品の販売ができます。
海外メーカーと取引することも夢ではありません。
工夫や努力を重ねれば、世界を相手にしたビジネスで活躍できる可能性もあります。
他の資格を取得して、貿易・物流の専門家になる
通関士以外の資格も取得し、貿易に関する業務を一手に引き受けられる人材になってもよいでしょう。
具体的には、行政書士の資格がおすすめです。
行政書士は、官公庁への届出や会社経営のサポートなどを行う法律の専門家です。
そういった仕事に加えて、企業や個人から依頼を受けて通関業開業の許可申請を行っている行政書士も多くいます。
通関の実務に関して詳しい知識がある行政書士は、きっと重宝される人材になるでしょう。
独立以外に副業やダブルライセンスで収入増を狙う
独立する以外に、副業やダブルライセンスの取得をする方法もあります。
通関士として地道にキャリアを重ねつつ他の分野にも目を向け、収入アップを目指していきましょう。
通関士の副業について
通関士が副業を行うことは可能です。
副業としては、通関士としての知識を生かせるものを選ぶとよいでしょう。
通関士の求人を探すと、個人事業主の通関業務をサポートする仕事や、在宅で申請書類をチェックする仕事なども見つかります。
ただし就職先の企業によっては、副業を行うのが難しい場合もあります。
本業がおろそかにならないよう、副業選びには注意しましょう。
通関士と相性のいい資格
通関士とのダブルライセンスに向く資格は、いくつもあります。
まず、通関・貿易に関する仕事に生かせる資格は、以下の通りです。
- 貿易実務検定
- 国際航空貨物取扱士
- 通関ビジネス実務検定
- 安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)
- EPAビジネス実務検定
- 各種英語検定
- 銀行業務検定(外国為替)
こうした資格はどれも民間資格ですが、取得しておくことで通関業務に関する幅広い知識を持っていることを証明できます。
貿易のスペシャリストとして活躍したいなら、ぜひ狙ってみてください。
また貿易の専門家を目指したいなら、行政書士の資格がおすすめです。
ただしダブルライセンスを取得したところで、必ず収入増が見込まれるとも限りません。
地道に知識や経験を積み重ねて、キャリアアップを目指していきましょう。
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