皆さん、こんにちは。アガルートアカデミー通関士試験講座、担当の加藤佑喜(ゆき)です。

今回のテーマは「通関士試験に惜しくも不合格だった方の再挑戦について」です。

残念な結果だった際に考えてみてほしいことや、合格のためにやるべきことを解説します。

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通関士試験は簡単ではない

このコラムをご覧いただいているということは、これまでに通関士試験を受験され、思うような結果に至らなかったのかもしれません。

もしそうであれば、先に1つお伝えしたいと思います。

結果はどうであれ、この難関試験に挑戦することは素晴らしいです。

そして、再びこれに挑もうとすることも素晴らしいことだと私は思います。

資格が人生の全てではありませんが、どんなことでも行動し続けることは大切です。

その1つとして、この通関士試験を選ばれた方には是非とも合格を勝ち取っていただきたいと思います。

そのためには、ここから先は少し厳しいと感じる表現があるかもしれません。

しかし、それらは皆さんに合格してほしい一心でのことと、ご理解頂ければと思います。

これからお話する改善点や考え方について、何か1つでもお役に立つことができれば幸いです。

通関士試験で残念な結果に終わってしまった場合に考えてみてほしいこと

では、通関士試験に惜しくも不合格だった場合に、考えて頂きたい3つの点を順番にお話します。

  • まずは原因の究明から
  • 勉強時間や環境は自分に合っていたか
  • テキストの内容や情報量は適切であったか

これらは、これから初めて受験する方も必見です。

➀まずは原因の究明から

通関士試験の合格基準点は、各科目60%以上です。

不合格だった場合、まずはどの科目がどのくらい点数が足りていなかったのか、加えてどの部分(単元)において点数が取れていなかったのか、細部にまで目を向けましょう。

以下の悪い例と良い例を比較してみて下さい。

悪い例

  • 通関業法は3点足りなかった
  • 通関実務は申告書が難しかった。申告書や計算問題が苦手だ。

良い例

  • 関税法が5点足りなかった。その理由は課税価格の決定の原則と例外の理解が曖昧だったからで、解説を読んでもなおスッキリできていないと感じた。
  • 通関実務が7点足りなかった。原因は、時間が足りなかったことで焦りを感じてしまい、後ろの計算問題や選択式・択一式の問題を落ち着いて解く余裕が無かったから、大事な部分を読み飛ばしてしまっている点が多かったからだ。

いかがでしょうか。

結果と原因はセットです。

必ず何か不十分だった点があるはずです。

通関士試験の範囲は膨大ですので、「この科目で〇点足りなかった」とだけ結論付けて最初から復習することはあまり効率的ではありません。

まず、どこから記憶の修正を行えばよいのか、しっかりと分析しましょう。

どの科目でも言えることですが、もしも10点以上足りないという事であれば、基本的な問題が定着できていない可能性がありますので、その意識と改善策も持つ必要があります。

②勉強時間や環境は自分に合っていたか

通関士試験に落ちた原因として、勉強時間が不十分であった、または勉強する環境が適切ではなかったことが挙げられます。

通関士試験に合格するには、平均して500時間±100時間が必要です。

どのくらいの時間を確保できましたか?

勉強することに慣れている方、そうでない方、お仕事が多忙な方、いろいろ事情がありますが、合格率10~15%前後という難関試験ですから、そう短時間で掴みとれるものではありません。

単に500時間机に向かえば合格できるということでもありませんし、「合格するには結果としてそれくらいの時間を要した」という表現の方が正しいです。

また、何度も繰り返して問題を解き、誤った部分を復習する方法や、復習のために確保した時間は十分でしたか?

「なんとなく理解した」という程度で次々に数をこなすだけでは効果はイマイチです。

「もっとこういう事ができたと思う」そう考えられる部分は思い当たりますか?

③テキストの難易度や情報量は適切であったか

自身が勉強の際に使用したテキストが適切ではなかった可能性があります。

市販のテキストについて申し上げますと、要点をしぼった基礎的な部分のみが載っているものがあれば、細部まで可能な限り詰め込んだものも販売されています。

前者であれば、本試験で見たことのない問題(内容)があったかもしれません。

その部分について、試験後から現在、既にしっかり復習は済んでいますか?

記載が無いものは、特に独学の場合はどうにか調べて解決しなければなりません。

「じゃあ分厚い本を選べば良いのか!」とすぐに飛びつくことは、ちょっとお待ち下さい。

細かな記載がありすぎて、どこから優先的に学習すれば良いのか迷子になってしまいませんか?

要点をしぼったテキストにも、分厚いテキストにもメリット・デメリットはあります。

新しいテキストの購入は、自分が今どのくらい理解できているのか、今持っているテキストは理解しきれているか、状況を把握してからにしましょう。

次の通関士試験で合格するためにやるべきこと

それでは、先程までの原因と向き合えたら、あとは解決方法を見出し、実践あるのみです。

➀自分に合った復習方法を取り入れよう

点数が足らない原因となった単元は見つかりましたか?

見つかったなら、あとは繰り返し類似問題を定期的に解き続けましょう。

自信をもって解ける問題は時間をかけ過ぎないように、適度に復習するようにして下さい。

重要なのは、「間違えた・解けなかった問題にどれだけ多くの時間を費やせるか」です。

いくつか復習方法を並べてみます。

  • 「無意識に答えを覚えてしまっているのでは?」と感じてしまうなら、「どんな問題が出たか」を思い出す方法を取り入れる
  • 覚えにくい問題は、部屋の至る所に付せんを貼って何度も目にする(トイレや玄関もアリ!)
  • 手が疲れたなら声に出す方法に切り替えてみる
  • 誤った問題は正しい答えを他人に説明できるようにまで準備をする
  • 自分専用の穴埋め問題や、間違えた問題ばかりを書いたノート(オリジナル問題集)を作成する
  • 誰かに問題を出してもらう
  • 暗記系のアプリ等を使う
  • テキストや過去問をやりこんでしまったのなら、新しいテキストの購入を検討する

工夫次第でまだまだ出てきますね。いろいろな方法を試してみましょう。

②時間を捻出しよう

繰り返しますが、通関士試験は合格率10~15%前後の難関試験です。

その分厚い壁を破るには、相当な努力が必要です。

そのためには、勉強をしない言い訳をなるべく作らないことも意識して下さい。

よく耳にするのはこんなフレーズです。

  • 今日は仕事(学校)で疲れたから
  • なんだか気分がのらないから
  • ちょっとしか時間がないから次の休日にしっかり時間を作ってしよう

私も同じように考えたことが何度も何度もあります。

しかし、どうしても合格して実現させたい夢があったので、なんとか気持ちを奮い立たせていました。

別のコラムでもお話していますが、試験直前の8月には母に癌が見つかり、急遽手術するという事もありました。

そんな当時の私は、こんな風にいろんな欲を断って勉強時間を作っていました。

  • 会社の有給休暇を利用する(午前中に急ぎの仕事を終わらせ、午後から帰る等)
  • 栄養ドリンクやキンキンに効く目薬を使って眠気覚まし
  • 飲み会を断る(2~3時間は飲んでるはずの時間を勉強に充てられた!と自己満足)
  • 携帯電話をすぐ手に取れない位置に置く(古典的ですが)

勉強を「やらない理由」を見つけることは簡単ですが、「やる理由」に目を向けるようにして下さい。

「3問だけ」で良いので解いてみて下さい。

エンジンがかかるまでに時間はかかっても、かかればそのまま1時間勉強できた!なんてこともよく聞く話です。

毎日元気だとも限りません。

試験勉強は長期戦になりますから、なるべく計画を立てて、急な変化にも対応できる様にしておきましょう。

関連コラム:通関士試験に合格するための勉強時間は?勉強法のポイントや学習順も解説

③時には環境や学習方法を変えることも大事

学習の時間を確保することは何より大切ですが、時間は無限にあるわけではありませんね。

たまには息抜きだって必要です。

限られた時間の中でどこから、どのように学習をすればよいのか、ある程度自分の中でルール化してみましょう。

私の普段の勉強方法を2つご紹介させて頂きます。

1.問題を解く際には必ず問題番号に記号を書きます。

確信をもって答えた場合は「〇」、自信が無い場合は「△」、分からない場合は「✕」を書きます。

そして、答え合わせをする際には必ずそれらの記号を確認して解説を読むようにしています。

「△」、「✕」の場合は解説に納得いくまでテキストを読み込んだり、情報が不足していると感じれば別のテキストやインターネットを活用します。

時間はかかりますが、自分で調べることによって記憶にしっかりと定着します。

調べるという行動を取ったことが記憶に残るので非常に効果的です。

1問に納得するのに30分、時には1時間以上を要することもあります。

人から聞く旅の話より、自分が時間をかけて旅をした場所の方が鮮明に記憶に残るのと同じです。

一度、1問だけ時間をかけてみて下さい。(調べるスピードは、慣れてその内早くなるでしょう。)

2.イメージを書いてみる(シミュレーションしてみる)

法定納期限や納期限の問題に頭をかかえている方、延滞税の日数計算に悩んでいる方、相殺値引きに混乱している方、いらっしゃるかと思います。

そんな時にはイメージ(絵や図、時系列)を書いてみて下さい。

文字ばかりを追っているとよく分からなくなってしまうこともありますよね。

課税価格の計算問題は特に「誰が支払ったのか」、イメージを描くようにしていました。

頭で考えるだけでなく、視覚化することは頭の整理を助けてくれます。

簡単なもので構わないので、こちらも一度やってみて下さい。

もし、これまでの学習方法に疑問が残るようであれば、何か少しでもやり方を変えてみるのも良いでしょう。

通関士試験に限らず、周りに勉強をしている人がいるなら、その方からアドバイスをもらうと新しい発見があるかもしれません。

ただし、本試験まであまり時間が残っていないようであれば、効果は得られにくいかもしれませんのでお気を付けください。

通信講座を利用する

独学で通関士試験を合格するのは厳しいという人は、通信講座の利用がおすすめです。

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また、講師への質問制度やホームルームなど、フォロー制度が充実しているため、モチベーションの維持も可能です。

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正しい方向で勉強すれば合格できる

いかがでしたでしょうか。

自分の中で足りなかった部分や、これからするべき事が見えてきましたでしょうか。

「難しい、難関」と言われる通関士試験ではありますが、時間をかけて理解を深め、繰り返し問題を解き続けることによって合格は可能です。

焦らず、ゆっくり、1問ずつ向き合っていきましょう。

進め方が分からなくなったり、辛くなったら一息ついて、またこの記事を参考にしてみて下さい。

皆さんの合格を心から願っております。

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この記事の著者 加藤 佑喜講師

【保有資格】
・通関士
・貿易実務検定®A級
・通関ビジネス実務検定™C級
・STC Advanced
・銀行業務外国為替3級
・EPAビジネス実務検定C級
・日商ビジネス英語検定2級等

【経歴】
大阪の専門学校や大学にて通関士試験、貿易実務の対面・オンライン講座を担当。約15年間、高校生までの個別指導、塾講師を経験。

頑張る人にはしつこいくらいに応援するタイプです。苦手な部分は目をそらさせません!できる限り、難しくない表現での解説を心掛けております。

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