毎年多くの人が受験する「通関士試験」ですが、実際のところ難易度はどのくらいなのでしょうか。

本コラムでは、さまざまな資格試験の合格率や合格に必要な勉強時間を整理し、通関士の難易度について解説します。

通関士試験の難易度を理解するための参考にしてくださいね。

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通関士試験の難易度は?

通関士試験は、合格率が12.4%~24.2%と低く、難易度が高い資格です。

通関士試験は、3科目すべて合格基準点をクリアする必要があります。

例年、各科目の合格基準は満点の60%以上となっています。

全科目合格する必要があることから、難易度が高い資格と言えるでしょう。

次に通関士試験の合格率の推移を見てみましょう。

通関士試験の合格率の推移

通関士試験の合格率の推移は以下のとおりです。

通関士試験の年度別合格率

年度合格率
2024年度12.4%
2023年度24.2%
2022年度19.1%
2021年度15.8%
2020年度16.9%
2019年度13.7%
2018年度14.6%
2017年度21.3%
2016年度9.8%
2015年度10.1%
参考:日本関税協会
通関士の合格率の推移

多少の上振れは見て取れますが、通関士試験の合格率は「10~15%」前後で近年推移していると考えられます。

上記の通関士試験の合格率から、他の試験種と比較してみます。

合格率でみる通関士試験の難易度ランキング

司法書士や社労士といった国家資格の試験と比較すると、通関士の方が合格率が高い傾向ですが、通関士の合格率は全体の中では低めといえるでしょう。

資格の合格率ランキング

順位試験種名合格率(例年)
1位司法書士試験3~4%
2位社会保険労務士試験6~7%
3位行政書士試験11~15%
4位通関士試験10~20%
5位宅建士試験15~17%
6位簿記2級試験15~25%
7位税理士試験18~20%
8位FP2級試験20~60%
9位貿易実務検定B級50%程度
10位貿易実務検定C級65%前後

通関士試験の合格率はだいたい行政書士試験と同程度です。

また、通関士と比較・検討されやすい同じ貿易系資格である貿易実務検定(民間資格)は、B級、C級ともに合格率が約50%以上で推移しているので、通関士はそれよりも合格率が低いことがわかります。

通関士試験の合格率は10〜20%前後なので、合格できる受験者は5名に1名以下という傾向。

難易度は高めといえるでしょう。

貿易関連の業務でステップアップしたい方などの中には通関士試験を受験する前にまずは貿易実務検定にチャレンジするというステップを踏む人もいるようです。

しかし一方で、資格試験の難易度は合格率だけでは測れないことも事実です。

それぞれの試験における受験要件や試験制度などにより、難易度は大きく左右されます。

「合格率の傾向」を参考にしながら、合格に向けて試験の傾向を把握し、対策をしっかり行う必要があることに留意してください。

関連コラム:通関士試験とは?試験日・申し込み方法・科目など制度を詳しく解説

勉強時間で見る難易度ランキング

通関士試験の合格に必要と言われている勉強時間は500時間程度と、他の資格と比べ必要な勉強時間は少ないといえるでしょう。

試験合格に必要な勉強時間ランキング

順位試験種名必要とされる勉強時間
1位税理士試験3,000時間程度
2位司法書士試験3,000時間程度
3位社会保険労務士試験1,000時間程度
4位行政書士試験600~1,000時間程度
5位通関士試験500時間程度
6位宅建士試験300~400時間程度
7位簿記2級試験200~350時間程度
8位FP2級試験150~300時間程度
9位貿易実務検定B級150~250時間程度
10位貿易実務検定C級100~150時間程度

社労士、司法書士、税理士といった、1,000時間以上の勉強時間を費やす必要があると言われている国家資格もあります。

同程度の合格率である行政書士と比較しても、通関士試験合格に求められる勉強時間は行政書士試験の合格に必要な時間の約60%程度といわれています。

一方で、通関士試験の合格に必要とされる「500時間」という勉強時間は、同じ貿易系資格で比較対象となりやすい貿易実務検定C級やB級よりは100〜300時間多く勉強時間を確保する必要があります。

通関士試験の難易度を偏差値や大学入試に例えると?

通関士試験の難易度を大学入試に例えてみると、明治大学や中央大学、青山学院大学の入試難易度と同等と考えることができます。

大学偏差値試験
東大、京大68~司法試験・予備試験
早慶上智65~67不動産鑑定士・司法書士・弁理士
マーチ60~64土地家屋調査士・中小企業診断士・社労士・行政書士
技術士二次試験・通関士・マンション管理士・ケアマネジャー
日東駒専55~56技術士一次試験・宅建・測量士・管理業務主任者
社会福祉士・インテリアコーディネーター
※上記の表は、資格試験の合格に必要な勉強時間をもとに作成しています。通関士試験の難易度をわかりやすく知っていただくためのイメージとして参考にしていただけましたら幸いです。

あくまでイメージにはなりますが、難易度の目安として参考にしていただければ幸いです。

通関士試験の難易度が高い理由は?

通関士試験の難易度が高い理由について解説します。

  • 3科目すべてで合格基準点を満たす必要がある
  • 回答の選択肢が多い
  • 専門用語が多い

3科目すべてで合格基準点を満たす必要がある

通関士試験は3科目すべてで合格基準点を満たす必要があることから、難易度が高くなっています。

各科目の配点と合格基準点は以下のとおり。

科目配点合格基準点
通関業法45点60%(27点)
関税法等60点60%(36点)
通関実務45点60%(27点)

各科目で満点の60%以上取る必要があります。

一つでも合格基準点に達していないと不合格になってしまうことから、通関士試験は難易度が高くなっています。

回答の選択肢が多い

通関士試験は、回答の選択肢が多いのも難易度が高くなっている原因と言えるでしょう。

通関士試験の出題形式と詳細をまとめました。

出題形式詳細
選択式5つの選択肢の中から複数選択する形式
択一式文章の空欄に当てはまる適切な語句を選択肢から一つ選んで回答する形式
計算式課税価格を計算する問題が3問、それ以外の関税額等を算出する問題が1問出題

択一式の問題は15個の選択肢から選ぶ問題があり、選択肢の多さから合格率が低くなっているとも言えます。

また選択式・計算式で出題される通関書類の作成要領の科目では、1問10点と高配点の問題です。

専門用語が多い

通関士試験は専門用語が多いことから難易度が高い試験となっています。

日常生活では聞きなじみのない言葉や、通関時にしか聞かない言葉が多く使われます。

専門用語を一から覚える必要があることから、通関士の試験は難しいと言えるでしょう。

まとめ

本コラムでは、通関士試験の難易度を合格率や勉強時間から考察してきました。

通関試験は他の資格と比べて合格率はそれほど高くないものの、合格に必要な勉強時間を踏まえて1年以内などの短期でも十分に合格を目指せることが理解できました。

通関士試験の難易度を理解できたら、いよいよ合格に向けた実践に入るタイミングです。

自分に合ったスケジュールと勉強方法を検討し、通関士試験の合格に向けた第一歩を踏み出しましょう。

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