宅建の登録にあたって宅地建物業に従事している人は、登録実務講習を修了することなく、実務経験で登録できるか否か気になるのではないでしょうか?

宅建の実務経験はどういったものが含まれるのか、どのような証明手続が必要なのかは試験では詳しく勉強しなかったのではないかと思います。

そこで、実務経験の概要を解説した上で、実務経験に含まれる業務や含まれない業務、証明するための手続、有効期限について詳しく説明します。

宅地建物取引士試験(宅建試験)の通信講座/予備校

令和5年度の合格率64.8%(全国平均の3.77倍)

資料請求で宅建の対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・宅建業法、権利関係の講義
  ・講義時間 約3.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!

宅建登録の際の実務経験とは?

宅建試験の見事合格し、登録を考えている場合、登録には実務経験が必要になります(登録実務講習を修了した人を除く)。

そして、宅建業法第18条及び同法施行規則第13条の15によると、「宅地建物取引業の実務経験が申請時に2年以上」であることが必要です。

①実務経験として認められる業務

宅地建物業に従事している人が実務経験として認められる業務は、次に掲げる5つの業務のうち最低1つを満たしている必要があります(宅地建物取引士資格登録申請 実務経験、登録実務講習)。なお、これらの業務はあくまで例示なので他の業務でも認められることがあります。

顧客への説明

例えば、不動産業者の店頭で物件を探している人に対し、物件の間取りや最寄りの学校、駅からの距離といった説明を行う人は実務経験として認められます。

重要事項の説明は宅建士でなければすることができませんが、それ以外の説明は宅建士以外でも自由にできます。

物件の調査

不動産業者で働いている場合、不動産の売買を希望する人のため、登記を見て抵当権や賃借権の登記の有無、セットバックなど建物を建て替える際の制限がないかなどを調査する仕事です。

契約書等の作成

例えば、不動産店で物件の契約を結ぶ際に、売主と買主に対し、買主の名前や住所などを記載して契約書を作成する仕事です。

宅建士による記名押印が必要ですが、契約書の作成自体は宅建士以外が作成できます。

代金手数料の授受

物件の賃貸や購入を決めたお客様から不動産店などで代金手数料を受け取る仕事です。契約成立後の重要な役割を果たします。

帳簿の作成

不動産店で賃料収入などを記載した不動産所得帳簿を作成するなどの仕事です。

このように、実務経験として認められる業務は、宅地建物業に関する具体的な取引に関する業務となっています。

これらの業務は宅建士の仕事と親和性があり、宅建士に必要なスキルが磨かれているといえます。

そのため、登録実務講習で学ばなくても宅建士の業務を円滑に遂行できる能力があると考えられるため、登録できると推察されます。

②①に加えて必要な条件

そしてこれらの業務への従事に加えて、宅地建物取引業者に備え付けている「従業者名簿」に氏名等が載っていることも必要になります。

従業者名簿の番号が後述の実務経験証明書で必要となっているからです。

③宅地建物業者に従事していないものの実務経験として認められる場合

国、地方公共団体、またはこれらの出資に伴い設立された法人(地方住宅供給公社など)において、宅地建物の取得、交換又は処分に関する業務に主として2年以上従事した人も実務経験が認められています(参照:宅地建物取引士資格登録等の手続について、施行規則第13条の16第2号)。

例えば国有地の売買などを行う国家公務員には、実務経験が認められます。

他にも、信託会社や信託銀行において、具体的な宅地建物の取引に関する業務に従事した場合も実務経験が認められています。

これらの人も不動産の調査を行うなど宅建士の仕事と親和性の高い業務を内容にしており、宅建士に必要なスキルがあるためでしょう。

実務経験にならないケース

次に、実務経験として認められないケースを説明します。

①実務経験として認められない業務

実務経験として認められない業務として、以下の業務が挙げられます。

・受付
・秘書
・総務
・人事
・経理
・財務
・補助的な事務

これらは一般的な管理業務なので実務経験にはあたりません。

これらの業務では不動産の調査や契約書の作成など宅建士の仕事で必要なスキルが磨かれません。

そのため、これらの業務に従事している人は登録実務講習を修了して登録資格を得る必要があります。

②実務経験として認められる業務をしていても、実務経験に含まれない場合

上記の実務経験として認められる業務に従事していたとしても、実務経験に含まれない場合があります。

具体的には、宅地建物取引業の取引実績がない場合や主たる業務が宅地建物取引業でない場合には実務経験になりません。

例えばペーパーカンパニーの宅地建物取引業者に従事していても物件の調査や説明といったことは仕事は行われず、宅建士に必要なスキルは磨かれていません。

また、建設業や信託以外の金融業などでは不動産取引の仕事は限定的で、宅建士に必要なスキルが十分磨かれているといえないからでしょう。

③実務経験に含まれない期間

更に、宅地建物取引業者の「従業者名簿」に氏名等が記載されている必要があります。

そのため、実務経験として認められる業務に従事していたとしても、他の仕事を兼務している期間や昼間部の学生(大学生など)である期間は実務経験の期間に含まれません。

実務経験を証明するための手続き

実務経験を有する場合には、実務経験証明書を都道府県知事に提出して、実務経験を証明します。

実務経験証明書には以下の記載が必要です。
・実務経験をした会社の免許証番号
・商号又は名称
・職務内容
・従業者証明書番号
・在職期間
・証明する人の免許証番号
・商号又は名称
・代表者氏名
・会社の実印

なお、登録申請者が取締役などの役員である場合や実務経験をした会社が既に倒産し廃業をしている場合には、他の宅地建物取引業者が実務経験をした会社に代わって証明を行います。

注意!実務経験の有効期限がある

実務経験には有効期限があるので注意が必要です。

有効期限は10年です。つまり、実務経験は申請時から過去10年以内に2年以上の期間で要求されています。

例えば、「実務経験があるから登録はいつでもできる」と考えて登録を行わず、実務経験から10年以上が経過してしまうと、実務経験による登録ができなくなってしまいます。

この場合には改めて2年間以上の実務経験を得るか登録実務講習を受講する必要があります。

また、登録に有効期限はありません。

一度登録すれば法定講習を受けることでいつでも宅建士証の交付申請が可能になります。

そのため、実務経験を持っている人は早めに登録するように心がけましょう。

なお、実務経験は宅建の試験の合格の前後を問いません。あくまで申請時から過去10年間の実務経験だからです。

まとめ

以上、宅建の実務経験についてでした。

ここまでのコラムをまとめると以下のようになります。

・宅建の登録には実務経験が必要

・実務経験は2年以上で、顧客への説明など不動産の具体的な取引に関する業務が対象

・受付や秘書といった一般的な管理業務は実務経験に含まれない

・実務経験の証明には実務経験を行った会社から実印を受けることが必要

・実務経験の有効期限は10年間

宅建における実務経験は宅建士の仕事に関与することや間近で見る業務が多かったですね。

自身の業務が実務経験に含まれるかを確認し、登録を目指しましょう。

関連コラム:宅建試験合格後の登録の流れや必要書類・費用について解説められないケース

宅地建物取引士試験(宅建試験)の通信講座/予備校

令和5年度の合格率64.8%(全国平均の3.77倍)

資料請求で宅建の対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・宅建業法、権利関係の講義
  ・講義時間 約3.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!