宅建士として働くには免許(宅建士証)が必要となります。この宅建士証は定期的に更新が必要です。

そして、更新の際には法定講習を受ける必要があります。

このコラムでは、その法定講習に関して、更新頻度や費用、手続きなど詳しく解説します。

宅地建物取引士試験(宅建試験)の通信講座/予備校

令和5年度の合格率64.8%(全国平均の3.77倍)

資料請求で宅建の対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・宅建業法、権利関係の講義
  ・講義時間 約3.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!

宅建士証の更新には5年に1回の法定講習が必要

宅建士としての業務を行う人や、不動産業者に従事し、又は従事する予定のある人は取引士証の交付が必要です。

ただし、宅建士が重要事項の説明の際に提示が必要な取引士証には有効期限があるため、これらの業務や不動産業者の従事者などは取引士証の更新が必要です。

取引士資格に更新の必要はないものの、取引士として業務を行う場合には更新の必要があると理解しましょう。

というのも、宅建業法では以下の場面で宅地建物取引士証の提示を行う必要について定めています。

・重要事項の説明を行う場合(宅建業法第35条4項)

宅建士の独占業務である重要事項の説明を行う前に、取引士証の提示を行わなければならず、これに違反した場合は10万円以下の過料となります(同法第86条)。

・不動産取引に関し取引関係者から請求があった場合(同法第22条の4)

宅建士の独占業務でなくとも、宅建士証の提示義務が法律上定められています。

これに反しても罰則はありませんが、法律上義務付けられている以上持っておく必要があるでしょう。

例えば代金額の交渉や土地の調査などで提示を求められることが考えられます。

以上のことから、別業種へ転職し、提示義務が要求されない業務に就くことになった人は更新の必要がありません。

取引士証の有効期限は取引士証の交付から5年間です。

そのため、5年に1回更新が必要であり、そのたびに更新費用や更新の手続が必要になります。

宅建業免許の更新手続きの流れ

以下、更新の流れになります。

  1. 更新及び法定講習の案内の葉書が届く
  2. 講習の予約をする
  3. 講習を受講する
  4. 更新後の宅建士証を入手する

それでは順にみていきましょう。

1.更新及び法定講習の案内の葉書が届く

宅建士証の更新には、交付申請前の6か月以内に行われる法定講習を受講する必要があります。もっとも、5年に1回と頻繁ではないので、更新を忘れしまう人もいるでしょう。

そこで、各都道府県の宅建業協会が宅建士登録先の住所及び氏名に宛てて、更新が必要な旨と講習の案内を記載した葉書を送ります。

これにより自身の取引士証の有効期限と更新が必要であるということが分かります。この葉書は7か月前に届くことが多いようです。

2.講習の予約をする

法定講習は講習会場で講師の話を聴講するという方法で行われます。

講習会場の規模や受講生の人数の関係上、法定講習は予約制となっています。

郵送での予約申込みのところが多いです。

そして郵送による申し込みでは、各都道府県協会のホームページを見て、自分の好きな日時や会場を選び、申込み書類に必要事項を記入したうえで申し込みを行います。

会場は各地の研修施設やホテルの会議室が多く、開催日も毎月1,2回開催されているので自分の好きな時期を選択することができます。

もっとも、予約は先着順なので、早めに申込みをするように心がけましょう。

必要書類について

必要書類については下記4点となります。

※講習を実施する団体により違いがあるため、必ず実施団体の情報も確認するようにしましょう。

  • 宅建士証交付申請書
  • 同一の写真を3枚(それぞれ交付申請書・取引士証・受講会場で使用します)※サイズは縦3cm × 横2.4cm(顔の大きさ2cm)、6ヵ月以内に撮影されてもので、カラー・無帽・正面・上半身・無背景が必要となります。
  • 現金16,500円
  • 宅地建物取引士証(更新される方のみ)

写真はサイズ指定があるため注意が必要です。

また、現金については上述したように、講習受講料の12,000円と取引士証交付申請手数料の4,500円が必要となります。

3.講習を受講する

まず、会場に到着後受付で更新前の取引士証を返却します。そのうえで聴講に必要な教材が配布され、聴講場所へ誘導されます。

いよいよ法定講習を受講します。講習は1日6時間で、主に更新までの5年間になされた法改正について講義形式で行います。

具体的な科目は以下の4項目です。

  • 宅地建物取引士の使命と役割
  • 法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項
  • 紛争事例と関係法令及び実務上の留意事項
  • 改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項

講習を聴講するだけで終了となります。

試験や実習といったものはありません。

緊張感をもって受講する必要はありませんが、大事な部分を聞き逃さないようにしましょう。

4.更新後の宅建士証を入手する

講習終了後、会場の受付で更新後の取引士証を受け取ります。取引士証の更新の場合、即日発行されます。

東京都の法定講習のタイムスケジュールは以下のようになっています。
(参照:https://tokyo.zennichi.or.jp/manager.html

受付開始 9:30~ 受付で受講票の確認と更新前の取引士証を回収
事務連絡 9:55~ 注意事項等の事前説明
講習(午前) 10:00~12:40 講義①
宅地建物取引士の使命と役割
法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項
昼休み 12:40~13:20  
講習(午後) 13:30~17:10 講義②
紛争事例と関係法令および実務上の留意事項
改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項
宅地建物取引士証交付 17:10~ 受付で更新後の取引士証の交付

昼休みが短いので昼食は事前に準備しておいた方が無難でしょう。

丸1日かけて行うので、仕事を休む必要があります。

宅建の法定講習とは?内容について解説

講習の費用は?

法定講習に必要な費用は、以下の通りです。

  • 法定講習の受講料:12,000円
  • 宅地建物取引士証の交付手数料:4,500円

法定講習の受講料自体は12,000円ですが、法定講習を修了すると宅建士証が交付されます。そのため、交付申請の手数料代である4,500円も必要となります。

つまり、取引士証の更新には5年に1回、16,500円の費用がかかります

ただし、これは他の資格と比較すると安い方です。例えば行政書士の場合、行政書士会に入会しなければ行政書士の仕事をすることができません。

そして、東京行政書士会に入会するには3か月で18,000円の費用がかかります。5年間の月会費は360,000円となり、仕事を続けるための費用は宅建士の22倍にもなるのです。

宅建士の資格はそれと比べると、非常にリーズナブルであるといえるでしょう。

講習を受講する場所は?

宅建の法定講習は日本全国で行われています。詳しい場所に関しては、各都道府県の宅地建物取引業協会のホームページから確認することが可能です。

ホームページには法定講習の開催日程についても掲載されているので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。場所にもよりますが、法定講習はほぼ毎月開催されています

講習に必要な持ち物は?

法定講習の際に持参する持ち物は、次の通りです。

  • 認印(シャチハタは不可)
  • 写真(同一のもの3枚:交付申請書用・取引士証用・受講会場用)
  • 受講経費:16,500円(現金のみ)
  • 宅地建物取引士証

講習団体によって必要な持ち物が若干異なる場合もあるので、詳しくは各ホームページにて確認してください。

なお、更新の際には会場にて古い宅建士証を返納する必要がありますが、もし紛失している場合には紛失届を提出しなければなりません。

講習の科目は?

法定講習で受講する科目は全部で4科目です。

  • 宅地建物取引士の使命と役割
  • 法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項
  • 紛争事例と関係法令および実務上の留意事項
  • 改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項

法定講習の科目は、宅建試験で学習した内容の復習というよりは、不動産の法改正や実務よりの事例紹介が多くを占めます。

なお「宅地建物取引士の使命と役割」については、2015年に新たに追加された科目です。

2014年に宅建業法が改正され「宅地建物取引主任者」という名称が「宅地建物取引士」へと変更されました。

使命と役割という倫理面の講習が追加されたのは、宅建が士業の仲間入りをしたことが影響しているものと考えられます。

講習のスケジュールは?

法定講習は1日で終了します。具体的なスケジュールは以下の通りです。

内容時間詳細
受付開始9:30~受講票の確認、および、現在の宅建士証が回収されます。
事務説明9:55~注意事項等の事前説明
講習(午前)10:00~12:40宅地建物取引士の使命と役割法令改正の主要な改正点と実務上の留意事項(前半:宅建業法、その他)(後半:都市計画法、建築基準法)
昼休み12:40~13:20講習会場内での食事も可。
講習(午後)13:30~17:10紛争事例と関係法令および実務上の留意事項改正税制の主要な改正点と紛争事例および実務上の留意事項
宅地建物取引士証交付17:10~新しい宅建士証が交付されます

なお、上記のスケジュールに関しては会場や実施機関によって異なる可能性もあります。法定講習に参加する場合は、それぞれの公式サイトを事前に確認しておきましょう。

参加者の感想は?

スケジュールを見ても分かる通り、法定講習は一日がかりの長丁場となります。

講習は全部で6時間超のスケジュールとなっており、座学が中心であるため眠くなってしまうという感想も見られました。

会場によりますが、講習中は「居眠りもスマホも厳禁」となっているところも少なくありません。講義中、係員が都度チェックしているところもあるようなので注意してください。

ただし、講義は弁護士や税理士といったそれぞれの分野の専門家が、最新の法律や税金等の事例を解説するという内容になっているため「非常に興味深く聞くことができた」という意見も多くありました。

宅建の更新・法定講習に関するよくある質問と答え

法定講習はwebでも受けられる?

宅建士証の更新を受けるには法定講習を受講する必要がありますが、その講習は原則として登録を受けた都道府県が指定した講習でなければなりません。

ただし、令和4年10月より従来の座学方式の講習に加え、Web方式での法定講習を受講できるようになりました

実際、愛知県宅地建物取引業協会ではWeb法定講習のご案内というページが存在します。

宅建は更新しないとどうなる?

宅建資格を更新しなければ、宅建士証が無効になってしまいます。

そのため、対外的に「宅建士」を名乗ることができず、重要事項の説明など宅建士の独占業務を行うこともできなくなります

対外的には「宅建士」でなくなるため、例えば履歴書などでも、試験に合格した旨は記述可能ですが、宅建士であるとは書けなくなってしまいます。

実務で宅建資格が必要な場合は、更新がマストであるといえるでしょう。

一方で定年や転職などにより今後宅建資格が必要なくなるという場合は、費用もかかる更新を行わないというのも一つの手です。

更新自体は原則いつでも可能であるため、また資格が必要になればその時までに更新をすれば良いとも考えられます。

登録講習・登録実務講習との違いは?

宅建には法定講習ではなく「登録講習」「登録実務講習」といった講習があります。

これらは全くの別物であるため、区別する必要があります。特に、登録講習と登録実務講習も全くの別物であるため、その点は要注意です。

登録講習:業務経験者が受けることで試験5問免除される講習

登録実務講習:登録の際に2年以上の実務経験がない場合必要な講習

なお、これら登録講習、登録実務講習の詳細に関しては以下のコラムも参考になります。

関連コラム1:宅建試験の5点免除は有利になる?条件となる講習や申し込み方法も解説

関連コラム2:宅建登録実務講習とは?内容から申し込み方法まで紹介

宅建士としての「年収」も更新してみませんか?【無料の転職サポート】

以上、宅建資格の更新についてみてきました。

なお、どうせなら資格だけでなく「年収」も良い方向へと更新、すなわちアップさせたいと思いませんか?

アガルートでは、不動産業界向けの転職エージェントサービスを提供しています。

このサービスでは、専門のエージェントが求人紹介のみならず履歴書の添削や給与交渉など、皆さんの転職を「無料」でサポートします。

サポート料が無料なだけでなく登録も無料なので、まずは以下のバナーから登録だけでも行なってみてはいかがでしょうか。

他の不動産系資格を取ってみるのはいかがでしょうか?

ここまで宅建資格の更新について、解説してきました。

このコラムの読者の多くはすでに宅建資格を保有している方だと思いますが、どうせなら宅建以外に他の不動産系資格を取得してみるのはいかがでしょうか?

宅建は主に不動産の「取引業」に関する資格ですが「不動産管理業」に関わる資格としては、管理業務主任者資格などが存在します。

こういった「他の不動産系資格」を取ることで、知識を深めるだけでなく、より希少な不動産系の人材を目指すことも可能です。

なお、さまざまな不動産系の資格については、以下のコラムを参考にしてみてください。

関連コラム:不動産業界で役立つおすすめ資格9選を一覧で紹介!

まとめ

以上、宅建士の更新についてでした。

このコラムでは以下のことがポイントになります。

  • 宅建試験合格や宅建士登録に更新は必要ないが、取引士証には5年の期限があるため、5年に1回更新する必要がある
  • 更新にかかる費用は16,500円となっている
  • 更新は講義形式の法定講習を聴講する必要があり、それが終われば更新後の取引士証を貰うことができる

宅建士の資格に更新は必要ないですが、取引士として業務を行うには5年に1度の更新が必要ということが分かりました。

自分に更新の必要があるかを確認し、更新するならば早めに予約をしたいですね。

関連コラム:宅建に合格したら登録が必要?必要書類や流れを解説

宅地建物取引士試験(宅建試験)の通信講座/予備校

令和5年度の合格率64.8%(全国平均の3.77倍)

資料請求で宅建の対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・宅建業法、権利関係の講義
  ・講義時間 約3.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!