みなさんは宅建が国家資格であることをご存知でしょうか。中には意外と知らなかったという方もいるかもしれません。

今回は国家試験の定義・要件や宅建がいつから国家資格となったのか、また宅建資格の制度変遷などについて解説していきます。

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宅建は国家資格ではない?:国家資格です!

宅建は国家資格ではないと思っている人も多いかもしれません。しかし2024年現在、宅建はいわゆる国家資格であるとされています。

まず最初に、国家資格の定義・要件について見ていきましょう。

文部科学省によると、国家資格とは、国の法律に基づいて各種分野における個人の能力・知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格のこととなっています。

宅建は正式名称を宅地建物取引士と言い、宅地建物取引業法という法律に基づいた資格です。
すなわち、宅建は国家資格であるということです。

ちなみに、宅建試験の実施に関しては不動産適正取引推進機構が行なっています。

また、宅建はいわゆる「士業」の一つでもあります。「士業」とは「弁護士」や「司法書士」のように「〜士」という名前を用いる職業の俗称です。

前述の通り、宅建は正式名称が「宅地建物取引士」であるため、いわゆる士業の一つであるとされています。

宅建の国家資格化はいつから?資格の制度変遷について

ここでは、不動産適正取引推進機構の『不動産取引に関する資格・試験制度の変遷』を元に、旧制度を含めた「宅建」資格の制度変遷について概要を見ていきます。

なお、法改正後の条文、改正時の国会議事録、審議会答申等については、不動産適正取引推進機構のホームページ上に掲載されている不動産政策史検索DB(データベース)よりご覧いただけます。

1. 取引員制度と取引員試験(昭和32年改正)

宅建業法は昭和27年に制定されました。

その際、不動産取引に関する資格・試験制度について議論がありましたが、調整がつかなかったため制定時の宅建業法に資格・試験制度の規定は盛り込まれていません。

ですが、宅建業法が施行されてからも宅地建物取引業の登録をしないで営業する者や、登録していても知識を有しない者が存在することから、昭和32年の法改正により、取引主任者の設置および宅地建物取引員試験の条項が新設されています。

取引員試験は昭和33年度から39年度まで計7回実施されており、出題数は30問でした。

2. 取引員の廃止と取引主任者試験(昭和39年改正)

免許制度の導入等を内容とする昭和39年の宅建業法改正で取引員制度は廃止となりました。同時に、試験の名称も「宅地建物取引主任者資格試験」に改称されています。

その理由は、取引員試験合格者の略称である「宅地建物取引員」という言葉が、正規の業者と誤認されやすく、中には宅地建物取引業の登録を行わずに営業する者が出る等の弊害が生じたからとされています。

取引主任者試験は昭和40年度から実施され、問題数は40問となりました。

3. 取引主任者登録制度と職務責任の明示(昭和46年改正)

昭和46年の法改正では免許基準の強化、業者による名義貸しの禁止等と併せて、取引主任者の職務責任の明確化、取引主任者の登録制度創設、取引主任者に対する監督強化、従業者証明書の携帯義務等の改正が行われました。

それまでの宅建業法には取引主任者の職務や責任等についての規定が設けられていなかったのです。

そのため、取引主任者の不正不当な行為に対する責任追及も十分にできないとの状況がありました。

法改正により取引主任者の職務責任を明確にするとともに、登録制度を創設することで取引主任者に対する監督処分等の基礎条件が整備されました。

4. 取引主任者証制度と取引主任者の増員(昭和55年改正)

昭和55年の法改正は法の目的規定、免許基準の強化、宅建業者の名義貸しの禁止の強化、クーリングオフ制度の創設等を内容とする大きな改正でした。

取引主任者制度についても、宅地建物取引主任者証制度の創設、講習受講義務、専任の取引主任者の増員等の改正が行われています。

また、この時の法改正を受けて、昭和56年度から取引主任者試験の問題数が40問から50問に変更されています。

5. 指定試験機関制度の導入(昭和61年改正)

昭和58年3月14日に第2次臨時行政調査会において、資格制度の整理合理化に関する提言がなされ、宅建試験を含む試験事務について、民間団体等に委譲することが指摘されました。

さらに昭和60年7月22日の臨時行政改革推進協議会でも、同内容の提言がされています。

これを受けて、昭和61年に宅建業法が改正され、宅建試験について指定試験期間制度が設けられました。そして、昭和62年に不動産適正取引推進機構が当時の建設大臣により指定試験期間に指定されました。

これらの諸手続きを経て、不動産適正取引推進機構では、昭和63年度から試験事務が開始されています。

6. 取引主任者設置義務と登録要件の強化(昭和63年改正)

昭和63年の法改正は、いわゆるバブル期の不動産高騰や不当な取引の横行等に対応するためのものでした。

取引主任者制度との関係では、案内所等への専任の取引主任者の設置、専任の取引主任者の増員、取引主任者登録要件の追加、従業者証明書の携帯等について改正が行われています。

このうち登録については、宅建試験に合格した者であることに加えて、2年以上の実務経験を有する者または登録実務講習を受けた者等これと同等以上の能力を有すると大臣が認めた者でなければ登録できないこととなりました。

7. 試験の一部免除と指定講習・登録講習(平成7年改正)

平成7年の改正では受験資格が廃止されるとともに、一定の講習を受けた者について試験問題の一部を免除する制度が導入されました。

当初は指定講習期間の財団法人不動産流通近代化センターが行う講習を修了した者を対象に5問を免除する制度でした。

その後、平成15年の法改正により、登録講習機関が行う講習を修了した者であれば5問免除を受けられるよう変更されています。

登録講習機関は平成27年3月時点で20となっています。

8. 取引士と取引士試験(平成26年改正)

平成26年の法改正では、まず第2条に新たに第4号として「「宅地建物取引士 第22条の2第1項の宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。」という文言が追加されています。

また第3章の章名「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」に変更されました。

他にも新たに宅地建物取引士の業務処理の原則、信用失墜行為の禁止、知識及び能力の維持向上等の規定が追加されています。

今回の改正により、改正前の条文では「宅地建物取引主任者」と「取引主任者」という2通りの用語が用いられていたのが「宅地建物取引士」に統一されることとなりました。

宅建を他の国家資格と比較!合格率で見る難易度ランキング

下記の表は、宅建と一定の関係があるとされる国家資格の合格率を宅建と比較したものです。

資格名合格(例年)
司法書士3~4%
社労士6~7%
マンション管理士8~9%
行政書士11~15%
宅建士13~17%
管理業務主任者20~30%
簿記2級17~30%

このように宅建試験の合格率は、管理業務主任者に次いで高くなっています。

合格率という観点でいうと、宅建試験は司法書士や行政書士といった法律系の資格より合格率が高めです。

また、不動産に関する資格の中でも宅建は管理業務主任者に次いで合格率が高いです。
合格率の観点では比較的取得しやすい資格だといえるでしょう。

ちなみに、宅建の合格を独学で目指す場合、勉強時間の目安は300~400時間とされています。

例えば平日1時間、休日・祝日を4時間として、平日20日、休日・祝日10日とすると1ヶ月で60時間の勉強時間を捻出できます。
これをもとに考えると、宅建は5~7ヶ月で合格可能と考えられます。

宅建の試験日は例年10月の第3日曜日なため、3月~5月頃に準備を開始するのが一般的です。

なお、予備校を利用した場合必要な勉強時間を短縮できる場合があります。
例えばアガルートの講座を利用して合格した人の中には、以下の動画のように0から学んで1ヶ月で合格した人もいます。

なお、アガルートでは無料で資料請求や受講相談、体験講座の受講などが可能です。
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まとめ

  • 宅建は国家資格である
  • 宅建は宅地建物取引業法に基づいており、法改正による数々の変遷を経ている
  • 宅建は国家資格の中でも比較的取得しやすいとされる

宅建は国家資格の中でも合格率が高い部類に入ります。

ですが、アガルートで実施したアンケート*によると、独学で宅建試験を受験した人の合格率は約10%にすぎません。

*会員向けの簡易なアンケートであり、全国向けのランダムサンプリング調査ではありません。

確実に宅建を取得したいのであれば、予備校の利用がおすすめです。

オンライン予備校であれば、いつでも好きな時間に学習を進めることができます。特にアガルートは令和5年の合格率が64.8%と全国平均の約3.5倍の数字であるなど、実績十分です。

また、アガルートでは無料の受講相談も行なっています。興味がある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

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