宅建、管理業務主任者はどちらも不動産に関する国家資格。

このコラムでは管理業務主任者は宅建より難しいのか?といった疑問に答えるべく両者の難易度について見ていきます。

その上で、ダブルライセンス やダブル受験についても解説します。

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宅建士と管理業務主任者の違い

宅建士と管理業務主任者は共に不動産に関する国家資格ですが、2つの資格の違いは以下のようになっています。

宅建士

「宅地建物取引士」の略称です。

土地や建物の売買、賃貸物件のあっせんなどを行う「宅地建物取引業者」の下で働く人の国家資格です。

不動産取引の契約前に、お客様が知っておくべき事項(重要事項)を説明することなどが宅建士の専権業務となっています。

不動産会社で幅広い業務に携わる人のための資格です。

管理業務主任者

不動産会社の中でもマンション管理業を営む会社で働く人のための国家資格です。

管理組合に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行うことが専権業務となっています。

マンション管理の専門家のための資格です。

管理業務主任者は宅建より難しい?両者の難易度について!

宅建と管理業務主任者に関して、2つの資格の難易度は近いところにあります。

ただし、合格率は宅建試験の方が低く、合格までに必要な勉強時間も宅建試験の方が長い傾向にあります。

以下で試験内容の難易度や合格率、合格までに必要な勉強時間を一つずつ見ていきましょう。

合格率の違い

合格率の観点でいうと、合格率が低いのは宅建試験です。

管理業務主任者の合格率が毎年20~30%(最新令和5年度は21.9%)なのに対して、宅建の合格率は15~17%(最新令和6年度は18.6%)です。

司法書士の合格率は4%前後、社会保険労務士は6~7%、マンション管理士は8~9%ですので、これらの難関試験と比較すると、宅建と管理業務主任者の難易度は下がります。

しかし、受験者の多くは合格できないので、簡単な試験ではないことは確かです。

また、管理業務主任者の受験者の中には、より難易度の高いマンション管理士試験とダブル受験する人や、すでに宅建を取得した後に受験している人も多い傾向があります。

十分な勉強をしてきた受験者が多いため、管理業務主任者の合格率を上げているという要素がありますので、合格率の差がそのまま難易度の差とは言えません。

試験内容・出題範囲(試験科目)の違い

どちらの試験も出題数は50問で、解答形式は4択のマークシート方式です。

また試験時間も2時間で共通しています。

宅建試験の出題範囲は以下になります。

・権利関係(民法など)

・宅建業法

・法令上の制限

・税その他

宅建は、試験範囲はそれほど広くはありませんが、単なる暗記だけでは解けない、応用力を問う問題が多く出題されるので、深い知識を身に付けるためのしっかりした勉強が必要です。

管理業務主任者の出題範囲は以下になります。

・管理事務の委託契約に関すること(民法、マンション標準管理委託契約書等)

・管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること

・建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること

・マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること

民法など、法令の範囲は宅建と重なる部分が多いですが、宅建ほど深い応用力を問われることは少ないと言われています。

しかし、会計や、建物及び附属設備の維持又は修繕などについては膨大な試験範囲になるため対策に時間がかかるのが管理業務主任者試験の特徴です。

合格に必要な勉強時間

勉強時間の観点からいうと、ほぼ同等ですが、宅建の方が勉強時間はやや長く必要だと言われています。

管理業務主任者の必要勉強時間は300時間とされていますが、宅建は300~400時間が必要だと言われています。

司法書士は3000時間、社会保険労務士が1000時間の勉強時間が必要とされますから、それに比べれば少ない勉強時間で合格できるということになります。

しかし、1日約2時間として 150日(5か月)程度の勉強が必要ですから、それなりの継続した勉強が必要だということになります。

勉強の進捗については個人差があるので、人によっては平均的な勉強時間では足りないこともあります。

特に、宅建、管理業務主任者ともに大きな比重を占める民法については、法律に関する知識がまったくない場合は理解が難しい科目です。

苦手な人はしっかりと時間をかけて勉強する必要があります。

宅建と管理業務主任者のダブルライセンスのメリット

宅建と管理業務主任者はダブルライセンスを目指すのもおすすめです。

ここでは、宅建を既に取得している方が、新たに管理業務主任者のダブルライセンスを目指すケースについて、メリットや取りやすさを解説します。

ダブルライセンスのメリット

宅建を持っている方が管理業務主任者を取得するメリットとして、就職や転職など、キャリアアップにつながるということです。

宅建と同様、管理業務主任者には独占業務があります。

マンション管理業者は、30管理組合ごとに1名以上の「管理業務主任者」を設置することが義務付けられています。

管理業務主任者は、分譲マンションにおける管理事務の報告や重要事項説明が独占業務です。

具体的には、管理受託契約の重要事項説明、重要事項説明書への記名、管理受託契約書への記名、管理事務の報告です。

宅建だけでなく、管理業務主任者の資格も持つことで、できる業務の幅が広まります。

宅建保有者の管理業務主任者の取りやすさ

宅建を既に持っている方が、管理業務主任者を取得する際の学習上の有利な点としては、試験範囲がいくつか重複していることが挙げられます。

例えば、宅建と同様、権利関係の部分で学習した民法(権利関係)は、管理業務主任者試験でも出題されます。

他にも不動産登記法なども試験の範囲内です。

また、宅建でメインとなる宅地建物取引業法も出題されます。

このように宅建と管理業務主任者の試験範囲が一部重複しているため、宅建を既に持っている方は、比較的学習をスムーズに進めやすいといえるでしょう。

管理業務主任者を勉強する際も、宅建と同様にテキストや講義で学習しつつ、過去問でのアウトプットが必要になります。

過去問は、最低でも10年分を5回以上など、知識を定着させるため、繰り返す必要があります。

宅建と管理業務主任者のダブル受験について

上述の通り宅建と管理業務主任者のダブルライセンスには様々なメリットがあります。

両資格を取得しようと考える際、最短期間で取得したいならダブル受験(同じ年度、あるいは近い年度にてどちらも受験すること)をするのが良いでしょう。

なお、宅建と管理業務主任者、加えてマンション管理士と賃貸不動産経営管理士資格の例年の試験日程は下記の通りです。

試験種試験日
宅建10月の第3日曜日
賃貸不動産経営管理士11月第3日曜日
マンション管理士11月の最終日曜日
管理業務主任者12月上旬の日曜日
※あくまで例年の傾向です。正確な日程は各試験種の公式HP等をご覧ください。

なお、宅建も管理業務主任者も一般に合格までには300時間以上の勉強時間が必要とされます。

大まかに毎月60時間勉強すると考えると、1試験種について合格レベルまでの学習を終えるには5ヶ月以上かかると考えられます。なお、自分がどの程度勉強できるかであったり学習中の理解度などによってこの期間は変動します。

こうした必要な勉強時間なども考慮しつつ「まずどちらの試験の勉強を始めるか」を決めた方が良いでしょう。

なお、一人で決められない、あるいは一人で決めてその計画がダメだったらどうしようと思う人などは、資格試験予備校アガルートアカデミーの無料の受講相談を活用するのも一つの手です。

多くの受験生の相談に乗ってきた専門スタッフが皆さんの質問に答えますので、ご自身の学習計画についても質問することが可能です。

管理業務主任者を取るならマンション管理士もダブルで取得したほうがいい?

宅建を既にお持ちで、管理業務主任者の取得を検討しているならマンション管理士もダブルで目指すことはおすすめです。

その理由として、管理業務主任者とマンション管理士の試験科目は大きく重複しているためです。

マンション管理士の合格率は、7~9%で推移しています。つまり、管理業務主任者よりもマンション管理士の難易度が高いです。

マンション管理士は「名称独占資格」であり、管理組合や区分所有者の立場に立って、マンション管理に関するさまざまな指導・助言を行います。

いわば、マンション管理のコンサルタントとして活動するため、幅広い知識が問われるのです。

マンション管理士の試験は11月下旬、管理業務主任者の試験は12月初旬です。

試験の時期も近く、知識が定着している間にダブル受験で目指しやすいと言えます。

まとめ

宅建と管理業務主任者の難易度の違いやダブルライセンスについて解説しました。

宅建を取得している方が管理業務主任者を取得すると、就職や転職にも有利といえます。

ぜひコラムを参考に、取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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