本コラムでは、宅建試験の出題科目の1つである「法令上の制限(法令制限)」の勉強法を解説します。

「法令上の制限」は、その内容の難解さもあり、多くの受験生が苦労するとされています。「頭に入らない」という人もいるのではないでしょうか?

つまづいてしまう前に、「法令上の制限」における学習の5つのポイントを知っていただき、宅建の効率的な勉強法を身に付け、合格点を勝ち取りましょう!

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宅建試験の法令上の制限とはどんな科目?出題数は何問?

まずは宅建試験の「法令上の制限」とは何か?出題数と目指すべき正解数(点数)はどの程度かということについて見ていきます。

なお、以下の通り「法令上の制限」には聞き流し可能な一問一答のYoutube動画も公開されているので適宜活用すると良いでしょう。

さて、以下で詳しく見ていきます。

「法令上の制限」とは?

土地や建物というのは、購入したら自由に使えるかというと、実はそうではありません。

例えば、土地には「こういう建物を建ててはいけません」「建物を建てるのなら、高さはこれくらいまで」といった様々な制限が課されています。

そのような土地や建物にまつわる様々な制限を勉強するのが、「法令上の制限」という科目です。

なぜそんな制限を……と普通であれば思ってしまうものです。

しかし、仮に土地や建物を購入した途端に自由に使えるとなると、町全体の景観が損なわれてしまうことが考えられます。

非常口が設けられないなんてこともあるかもしれません。

他にも、細い路地のその先に、無理やりマンションを建築してしまえば、救急車や消防車などが入ってこれないといった最悪の事態が起きかねません。

そこで、あらかじめ土地や建物に対して様々な制限をかけておくことで、そのような事態が発生するのを未然に防止しようというわけです。

あらかじめ制限をかけることにより、不健全な土地や建物の利用を防止し、住みよい街づくりを図ろうというのです。

出題数と目指すべき点数

「法令上の制限」は、例年問15から問22までの8問で出題されています。

内容は「都市計画法」や「建築基準法」、「国土利用計画法」、「農地法」、「土地区画整理法」などいわゆる街づくりに関する法律の内容が問われる科目です。

「法令上の制限」では、8問中6問正解を目指すべきであるとされています。

出題数は決して多くなく、でもかなりの正解数が求められる科目だと言えます。

「法令上の制限」は専門用語も多く、他の科目とは違った苦労も多々あります。

そういった「法令上の制限」の特徴をしっかりと捉えたうえで、しっかりと正解数を稼げるよう準備を進めていきましょう。

法令上の制限の頻出分野と出題傾向

試験会場

それでは、「法令上の制限」で正解数を稼げるように、まずはその特徴をきちんと押さえておきましょう。

「法令上の制限」の頻出分野

まずは、「法令上の制限」の頻出分野から確認していきましょう。

頻出ですから、勉強を進めていくにあたっては、これらの分野が勉強の中心になります。

①都市計画法:例年2問出題

都市計画法は、簡単に言ってしまうと、街づくりの計画(都市計画)作りに関するルールを定めた法律です。

街づくりの計画となると、そこに住む人々に好き勝手に開発行為をされては困ります。

そこで行われるのが「開発行為の許可」です。

その開発はOK、その開発はNG、というように判断するという話です。

「開発行為の許可」は、都市計画法のキモとなる話ですので、宅建試験では本当によく出題されます。

②建築基準法:例年2問出題

建築基準法は、その名の通り建物を建築する際の基準となるルールです。

例えば、これくらいの土地の面積だったらこれくらいの広さまでなら建ててもいいよとか、これくらいの高さの建物だったらエレベータを設置してくださいねとか、そんな話です。

このような建物を建築する際の基準となるルールを勉強していくのが「建築基準法」なのですが、その中でも、宅建試験では「道路規制」や「用途規制」がよく出題されます。

③その他の分野:例年4問出題

「都市計画法」や「建築基準法」以外にも、様々な法令を勉強することになります。

その中でも、私がおススメしたい分野が「農地法」と「国土利用計画法」です。

毎年1問ずつ出題されるのですが、これらはコツさえ掴めば、割と短期間で得点源にすることが可能です。

「法令上の制限」の出題傾向

「法令上の制限」は、“過去問繰り返し”が出題傾向です。

つまり、まずは過去問を解けるようになることが重要だということです。

過去の試験で問われた内容が、形を変えて再び登場するというのが「法令上の制限」ですから、そういったものが出てきたときに、確実に“仕留める”気構えが重要です。

法令上の制限の勉強方法や覚え方など

さて、ここからが本題。

以上の頻出分野・出題傾向を踏まえて、「法令上の制限」の勉強法を見ていくこととしましょう。

1.専門用語を大切に

「法令上の制限」を勉強していて、最初に困るのが、その専門用語の多さです。

専門用語を覚えていかないことには、テキスト(教科書)に書いてあることの意味が分かりませんし、問題文が何を問おうとしているのかが分かりません。

初めは大ざっぱな覚え方で構いませんので、専門用語・初めて聞いた用語の意味(定義)は大切にしましょう。

具体的には、用語の意味が掲載されたテキストのページに、こまめに戻って確認するようにしてください。

2.「出題数」を意識しよう

特に独学の方に多いのですが、「法令上の制限」でも、出題数に“偏り”があることを皆さん忘れがちです。

比較的理解が難しい・範囲の広い「都市計画法」や「建築基準法」は例年2問であるのに対し、比較的理解が易しい・範囲の狭い「その他(例:農地法、国土利用計画法)」は例年4問です。

「その他」のほうは割と短い勉強時間でもできるようになりますので、まずはこちらからスタートさせるというのも、モチベーション維持との関係からアリです。

3.規制の趣旨を大切に

何の目的もなく、土地や建物の制限を設けることはありません。

例えば、建築基準法の「接道義務」はなぜ設けられているのでしょうか?

それは、万が一の際の避難誘導や救急車・消防車などの緊急車両の通行を確保するためです。

このように「法令上の制限」で勉強する規制には、基本的には何らかの理由があります。

このような理由(規制の趣旨)を大切にしましょう。

上記の例で言えば、「救急車が通るためだったら、そりゃ2mくらいないとマズいわな」と納得できるのではないでしょうか。

規制の趣旨とセットで勉強を進めていただくと、あれほど無味乾燥な各種の規定が、ちょっとは理解・記憶しやすくなのではないでしょうか。

4.規制の場面を想像しよう

上記3.とも関連しますが、「法令上の制限」で勉強するそれぞれの規制は、それが用いられる場面も想像してみましょう。

例えば、上記3.で挙げた「接道義務」であれば、「救急車が通るための道」を確保するため2mくらい接していなければならないという話でした。

そうやって、規制の場面を積極的に想像してみることがポイントです。

場面を想像することによって、規制の趣旨をより深く理解することを心がけましょう。

ちなみに、接道義務が適用される場面を想像してみると、ふとこんな考えがよぎる瞬間があるかもしれません。

「道路には接してないけど、こっちの空き地からだったら、救急車も通るぞ?」とか(←この話は「法令上の制限」を勉強すると出てきますので、ぜひ見つけてみてください)。

5.過去問を積極的に活用する

「法令上の制限」の問題は、過去の試験で問われた内容が、形を変えて再び登場することが少なくありません。

また、専門用語の多い「法令上の制限」ですから、問題文を読みつつその意味をしっかりと捉える練習がどうしても必要です。

他の科目もそうですが、「法令上の制限」はより積極的に過去問を活用することを心がけましょう。

問題文に慣れ、ポイントをしっかりと押さえていけば、「法令上の制限」は得点源にすることが十分可能です。

ぜひトライしてみてください!

まとめ

今回のコラム記事は、「法令上の制限」の頻出項目・出題傾向と、その勉強法に関する解説でした。

「法令上の制限」は、何を隠そう、この記事の執筆者本人も受験生時代ずいぶんと苦労させられた科目です。

そして今回ご紹介した勉強法は、実は、当時の私があれこれ考えてみて実践したものになります。

何かと苦労の多い「法令上の制限」ですが、①専門用語をこまめにチェックし、②規制の趣旨を大切にし、③規制の場面を想像する、ことを心がけ、前向きに取り組んでみてください!

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この記事の著者 林 裕太講師

2007年に行政書士試験に合格し、大手資格予備校で長年行政書士試験の受験指導を行う。

初学者向けの入門講座から、受験経験者を対象とした上級講座まで幅広く講座を担当。

本試験の出題傾向を緻密に分析した上で、初学者・受験経験者問わず、少しでもわかりやすく、点をとりやすくなるような講義とテキスト作りに心血を注ぐ。

また、様々な資格試験に精通する「資格マニア」でもある。

アガルートアカデミーでは、行政書士試験だけでなく、公務員試験(法律系科目,社会科学等)、

宅地建物取引士試験、司法試験(一般教養科目対策)、ビジネス実務法務検定®試験の指導も行う。

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