宅建とFPはどちらが難易度高い?違いやダブルライセンスのメリットも解説
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本コラムでは、宅建とFPのダブルライセンスを取得するメリットや、資格試験の難易度の違いについて解説しています。
宅建とFPは、どちらも仕事に役立つ人気の資格です。また、両資格は相性が良く、ダブルライセンスによってさまざまな相乗効果が期待できます。
一方で、宅建とFPは資格試験の難易度や出題範囲が異なるため、両者の特徴を把握してから勉強に取り組むことが良いでしょう。
これから宅建やFPの資格を取得しようと考えている方は、ぜひ本コラムを参考になさってください。
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宅建とFPの違い
専門とする分野
宅建の正式名称は「宅地建物取引士」といい、不動産取引をする場合に法律知識を活かして活躍するエキスパートです。
また、毎年20万人が受験する人気の高い資格です。
一方、FPは「ファイナンシャルプランナー」の略で、金融商品、投資や保険などを駆使して資産設計を行うエキスパートです。
金融、証券、保険などお金に関する職業といえます。
こちらの資格もFP2級で毎年10万人以上が受験する人気の高い資格といえます。
それぞれの仕事の内容
宅建は、不動産の売買や仲介といった取引を行う際に必要な重要事項の説明や契約書等への記名を行います。
不動産取引は様々な人がすることができ、法律に詳しくない人も取引をすることがあります。
その際、不動産取引の法律知識をもつ宅建士が重要事項を説明することで予想外の不利益を受けることが無いようにします。
宅建士の仕事は独占業務であり、宅建士でなければできない資格です。そのため宅建は不動産業界の需要が高いです。
また、法律により不動産会社の5人に1人以上が宅建士でなければ会社を営むことができません。
そのため、宅建士は不動産業界の中で特に強い資格といえます。
一方、FPの仕事はライフプランの計画立案、家計収支の改善の提案、教育資金の積み立て、住宅ローン及び保険の見直しなどを行います。
例えば、今後貯金を増やしたいとの相談があった場合には、現状を理解して金融商品の紹介など収支予測を計算の上実現可能な貯金額を提案することです。
これにより依頼者の抱える悩みや課題を解決できます。
FPの仕事に独占業務はありませんが、FPの資格を持っていることは金融、証券、保険の専門家であることを証明する資格になります。
そのため、FPを持っている人が相談に乗ってくれるという安心感を相談者に与えることができ、仕事量の増加につながりやすいです。
FPは特に金融・証券・保険業界で強い資格ですが、お金やライフステージに深い理解を持つ資格なので、一般企業からの信頼をも得られる資格です。
なお、FPは3級から1級がありますが、仕事に生かせる知識が取得できるのは2級からであり、履歴書に記載できるのも2級からとなっていることが多いため、2級以上の取得を目指しましょう。
年収の違いは?
宅地建物取引士(以下、宅建士)の平均年収は約350〜500万円であると言われています。また、令和5年分賃金構造基本統計調査によると、不動産業全体の平均年収は約536万円です。
一方で、厚生労働省が運営する職業情報サイトjob tagによると、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)の平均年収は約947.6万円です。
令和4年におけるサラリーマンの平均年収は458万円であるため、宅建士の平均年収は概ねサラリーマンの平均と同水準か、やや高い水準であると言えます。
対して、FPの平均年収は、一般的なサラリーマンを大幅に上回っていることがわかります。
なお、宅建士・FP共に、有資格者の年収だけを正確に算出できる統計資料はありません。
上記の年収はあくまで関連業界の平均年収であるため、参考程度にお考えください。
難易度が高い順番は
FP2級・FP1級・宅建の 3つの試験の中ではFP2級が一番容易で、宅建が次に難しく、FP1級が一番難しいといえるでしょう。
宅建とFPの試験内容の違いや難易度を見ていきましょう。
まず共通点として、これらの資格は国家資格であり、大変人気の高い資格です。
様々な人が受験するので「年齢が高いから…」などの理由で受験を諦める必要はありません。
なお、FPにはFP技能士試験、AFP、CFPなどがありますが、ここでは国家資格のFP技能士試験を見ていきます。
受験資格
宅建に受験資格はありません。
年齢、性別、学歴に関係なく誰でも受験できます。
次に、FP検定は3級→2級→1級というように順番に合格することを前提としています。
そのため、各級で受験資格に差があります。
まず、3級には受検資格がありません。そのため、宅建と同様に誰でも受験することができます。
一方、2級は受験資格が設けられています。以下のうち1つを満たしている必要があります。
・FP3級検定合格
・FP業務に2年以上従事
・AFP認定研修の修了者
・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級合格者
このことから、原則として3級に合格することが前提となっています。
更に1級でも受験資格があり、次のうち1つを満たす必要があります。
・FP2級検定合格者で、FP業務に関して1年以上の実務経験
・FP業務に関して5年以上の実務経験
・厚生労働省認定金融渉外技能審査2級合格者で1年以上の実務経験
このように、2級検定に合格したからといってすぐに1級を受験できるわけではなく、実務での修行を行う必要があります。
1級では即戦力となる力量が求められているといえそうです。
そのため受験資格は宅建よりFPの方が、取得に時間がかかるといえます。
受験機会
宅建は毎年10月中旬の年1回です。
FP検定の実施機関はFP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2つあります。
2級と3級はどちらの機関も年3回、1級はFP協会実施の試験では年1回、きんざいでは年3回あります。
受験機会の多さでいえば宅建よりFPの方が多く、合格のチャンスも広いといえます。
試験内容
宅建の試験形式は50問四肢択一のマークシート試験となっています。
試験範囲は民法などの権利関係、宅建業法、不動産取得税などの税法令及び不動産改正法などのその他分野です。
不動産取引に関連した法律知識が要求されています。
「法定地上権」や「第1種工業地域」など、日常ではあまり使われない用語を勉強しなければならず、また毎年50問中35問前後が合格ラインとなっており試験内容は比較的難しいといえるでしょう。
一方、FP2級はペーパーテストによる学科試験と実技試験となります。
試験範囲は、学科試験でライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続及び事業承継となり、実技試験で資産設計提案業務となっています。
こちらは比較的日常で利用するお金や保険といったものが学習の対象となるので、イメージがつきやすいといえます。
試験は6割以上で合格となっており、出席者の半数以上が試験時間終了までに受検を終え、途中退室するので比較的容易な試験といえます。
しかし、1級となると容易とは言えなくなります。
1級の試験形式はマークシートと記述式の学科試験のほか、実技試験が口頭試問による面接になります。
試験範囲は2級と変わりませんが、より深い知識が試される上、改正法に重点が置かれ、学習したことのない部分から出題されることもあります。
6割以上で合格となっているものの、難易度の高い試験となります。
このことから、試験内容としての難易度はFP2級→宅建→FP1級となります。
合格率
宅建とFPの合格率(それぞれ直近5回分)は以下の通りとなっています。
・宅建試験
年度 | 合格率 |
2023年 | 17.2% |
2022年 | 17.0% |
2021年(10月試験) | 17.9% |
2020年(10月試験) | 17.6% |
2019年 | 17.0% |
・FP2級(紙試験)
FP協会 | 学科合格率 | 実技合格率 |
---|---|---|
2024年9月 | 47.1% | 56.5% |
2024年5月 | 59.29% | 54.87% |
2024年1月 | 39.00% | 61.12% |
2023年9月 | 53.54% | 52.02% |
2023年5月 | 48.82% | 58.61% |
きんざい | 学科合格率 | 実技合格率 |
---|---|---|
2024年9月 | 19.00% | 40.45% |
2024年5月 | 29.70% | 45.17% |
2024年1月 | 13.27% | 41.52% |
2023年9月 | 22.75% | 40.80% |
2023年5月 | 17.51% | 39.49% |
・FP1級(きんざい)
学科試験 | 合格率 | 実技試験 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年9月 | 15.95% | 2024年9月 | 88.21% |
2024年5月 | 16.95% | 2023年6月 | 82.67% |
2024年1月 | 8.72% | 2024年2月 | 87.96% |
2023年9月 | 13.00% | 2023年9月 | 80.10% |
2023年5月 | 3.51% | 2023年6月 | 84.80% |
2023年1月 | 10.38% | 2023年2月 | 86.07% |
FPの学科と実技はそれぞれで合格判定が行われます。そのため片方の試験に合格すれば部分合格となり、次回以降合格部分の試験は免除されます。
そして不合格となった部分に合格すれば、その級全体の合格となります。
宅建の合格率は17%台で推移しているのに対し、FP2級はFP協会で学科試験で39%~60%、実技試験で52%~62%、きんざいで学科試験で13%~30%、実技試験で35%~46%、FP1級は学科試験で3~17%、実技試験で80~88%で推移しています。
宅建が毎年20%を上回ることが無いのに対し、FP2級は各回で20%を上回ることもあります。一方、1級では10%前半と宅建より合格率が低いです。
また、FP1級では学科試験と実技試験の合格率に大きな差があります。
これは、学科試験では法改正など実務で取り扱うことの少ない分野から多く出題され、実務経験があっても難しい問題が多い一方、実技試験では実務経験があれば多くの人が答えることができる内容であるからだと推測できます。
以上から、合格率の点で宅建はFP2級より難しいが、FP1級より簡単であると比較できます。
勉強時間
試験の合格に必要とされる勉強時間は各試験どのくらいでしょうか?
まず、宅建は200~300時間の勉強時間が必要とされています。
一方、FP2級では150~300時間、1級となると400~500時間が必要になるといわれています。
FP2級の下限が宅建より低いのは、宅建では複雑な法律概念を理解するためある程度の勉強時間を確保する必要がある一方、FPはお金や保険なのでイメージが湧きやすく理解が進むことが挙げられるでしょう。
FP1級では法改正なども勉強しなければならず、勉強範囲が膨大となるので多くの勉強時間が必要となっているようです。
難しさの比較
以上のことから、FP2級・FP1級・宅建の3つの試験の中ではFP2級が一番容易で、宅建が次に難しく、FP1級が一番難しいといえるでしょう。
【目的別】どちらの資格を取得したらいいのか?
各資格の特徴を見てきましたが、自分がどれにあっているのかわからないという方もいるのではないでしょうか?
そこで、目的別におすすめの資格を記載してみました!
宅建士に向いているのはこんな人
・正確な仕事をする人
宅建士は建築制限などの法令上の制限を調査し、説明するなど不動産取引の大切な部分を担当します。
もし契約で見落としがあった場合には、会社や取引をした人に大変な迷惑をかけてしまうおそれもあります。
そのため、宅建士には正確さが求められます。
・社交的な人
宅建士は仕事を増やすため、営業も大事な仕事です。
また、代金の交渉や実地調査で質問をするなど、交渉を必要とする仕事も多いです。
そのため、積極的に話を展開することも多く、社交的な人に向いています。
FPに向いているのはこんな人
・資産運用に興味を持っている人、数字に強い人
FPは資産というお金や保険や証券といった投資信託に詳しくなければなりません。そのため、お金や数字に強い人であることが望ましいといえるでしょう。
・論理的に話をすることができる人
FPは相談者の悩みを解決しなければいけません。
今のデータや今後の収支を踏まえ、相手に納得してもらうことが必要となります。
そのため、相手を説得するために論理を組み立てて話を進める必要があり、論理的に話をすることができる人は大きな強みとなるでしょう。
ダブルライセンスを目指すメリット
ここまでは宅建とFPの違いを検討していきました。
では、宅建とFPの両方を取得し、ダブルライセンスを得ることのメリットは何でしょうか?
一部分ながらも試験範囲が重なる分野がある
宅建とFPではともに不動産の知識が要求されます。
そのため、不動産取得税など重なる部分があり、一方で勉強すれば他方の共通する分野は勉強する必要がなく、勉強時間の圧縮を図ることができます。
不動産や金融資産で様々な側面から判断できる
例えば不動産を購入する場合、宅建の観点では法令上の制限による代金の妥当性を適切に評価することができますし、FPの観点からはローンの組み立てや税金対策といったプランを立てることができます。
様々な側面から判断できれば、より正確な結論を導き出すことができます。
それぞれの資格を生かした専門性ができる
ダブルライセンスにより「不動産に詳しいFP」あるいは「資産設計から適当な不動産を選択してくれる宅建士」としてそれぞれの資格を生かした専門性を持つことができ、得意分野による差別化を図ることができ、仕事量の増加が見込めます。
それぞれの資格を生かしたメリットが生まれているので、ダブルライセンスによるメリットも大きいといえます。
宅建とFPそれぞれの業界への転職がしやすくなる
上述の通り宅建は主に不動産業界、FPは主に金融業界などで役に立つ資格であるとされています。
そのため、それぞれの業界への転職を目指す際に資格を持っていることがアピールポイントになるでしょう。
特に未経験で別業界への転職を目指す場合には、客観的に能力を示す「資格」があることで、未経験であっても最低限の知識を持っていることは相手方にも伝わるはず。
このように、宅建とFPそれぞれの業界への転職が比較的容易になると考えられます。
宅建とFPのダブルライセンスで年収の増加を目指せる
年収の増加を目指せることも、宅建とFPのダブルライセンスを取得するメリットのひとつです。
会社によっては、宅建やFPの資格保有者に対して資格手当が支給される場合があります。
また、ダブルライセンスの取得によって、顧客へのサービスの質が向上すれば、社内での評価アップに繋がりやすくなるでしょう。
例えば、すでに宅建士として働いている方がFPの資格を取得すれば、不動産に関する専門知識を活かしつつ、資産設計に関するアドバイスを行えるようになります。
また、FPが宅建を取得すれば、「不動産にも詳しいFP」として、顧客からの幅広いニーズに対応できるでしょう。
なお、宅建士とFPは活躍できる業界が異なるため、両方の資格があれば、どちらの業界への転職にも役立ちます。
そのため、より給与が高い会社や、条件が良い会社への転職も行いやすくなるでしょう。
ダブルライセンスを目指す場合の理想スケジュール
ダブルライセンスを目指す場合には、どちらを先に取得すべきでしょうか?
これに関してはまずFP2級→宅建の順番が良いといえるでしょう。
FP2級の方が宅建より合格率が高く、合格することで試験勉強に弾みをつけることができます。
また、FP1級まで目指す場合には実務経験が必要となります。宅建の勉強をしつつ実務経験を得ることで、時間の圧縮にもつながるでしょう。
まとめ
本コラムでは、宅建とFPのダブルライセンスを取得するメリットや、両資格の仕事内容、および資格試験の難易度の違いについて解説しました。
本コラムのまとめは、以下の通り。
- 宅建とFPは、専門分野や仕事内容が異なる
- 資格試験の難易度を比較すると、FP1級>宅建>FP2級の順に難易度が高い
- 宅建士に向いている人の特徴は、正確な作業が得意で社交性が高いこと
- FPに向いている人の特徴は、数字に強く論理的に話せること
- 宅建とFPのダブルライセンスによって市場価値が上がり、収入アップが期待できる
宅建とFPは、相性が良い組み合わせであると言われています。
ダブルライセンスを取得すれば、不動産業界・金融業界・保険業界などで専門知識を活かせるでしょう。
また、試験範囲の一部が共通しているため、片方の資格を先に取得すれば勉強時間を節約できる可能性があります。
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