宅建の5点免除はどのような制度なのでしょうか?

また、これを利用すると有利になるのでしょうか?

5点免除を受けるには、必要な条件があります。そのため、当コラムでは制度の概要や対象者、申請方法などを解説します。

5点免除のメリットや合格率などを見て、この制度を活用することが有利になるのか説明していきます。

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宅建試験の5問(5点)免除とは?

※Youtube動画にて、マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士と合わせて5問免除制度について解説されています

まず、5点免除制度とはどのようなものなのでしょうか?

宅建の5点免除制度は、試験問題全50問のうち特定の5問の解答が免除され、その分合格点が5点免除ではない受験生(通常受験者)と比較して、5点下がる制度です。

簡単にいえば、合格点を引き下げる制度です。

解答する必要のある問題数が45問に減るため、試験時間も通常受験者より10分短く、110分となっています。

では、宅建受験者にとって、この制度は利用した方が有利な制度でしょうか?

宅建試験を受ける人にとって、5点免除は2つのメリットがあります。

まず、5問が免除されるということは、その分の勉強をする必要がなくなるので勉強量を圧縮することができるうえ、免除科目以外の宅建試験の科目に集中することができます。

また、免除された分合格点が下がるので、5問免除者の合格のボーダーラインが下がります。

例えば令和6年度(2024年度)試験では、通常受験者は50問中37問以上の正解で合格となりました。

74%の正解が要求されるということになります。

一方、5点免除者は45問中32問以上で合格です。約71%以上の正解で合格となります。

通常受験者に対し3%ほどボーダーラインが下がることが分かります。

宅建試験は全50問で、1問が2%ほどの割合を占めるため1点の差が大きい試験といえます。

このようなメリットからすると、宅建試験では5点免除はかなり有利となるため、利用した方がいい制度といえるでしょう。

宅建の5点免除の免除範囲は?

では、5点免除になる範囲はどの部分でしょうか?

免除される範囲は以下の2科目となります。

①宅地および建物の需給に関する法令ならびに実務に関する科目(第46~48問)

②土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別に関する科目(第49、50問)

①は地価公示といった統計を読み解く科目、②は三角州などの地形の名前や性質などを答える科目です。

権利関係や宅建業法などの法律科目というよりは、宅建士に必要な一般常識を持っているかが問われている科目です。

この部分は法律を知らなくてもある程度は解答できる分野です。地理の知識や論理的思考力を備えている場合には解答できるといえるでしょう。

そのため必ずしも難しい問題を免除されているというわけではないです。とはいえ、この分野で毎年1,2問落とす方も多く、1点を争う試験である宅建では大きな差になりえます。

上述したように5点免除者はこの部分の勉強を免除されるので他の科目に集中して得点を挙げることができます。そのため、5点免除はかなり有利になるといえます。

宅建試験で5点免除になる条件

次に、5点免除になるためには、どのような条件が必要でしょうか?

この点につき、不動産適正取引推進機構(宅建試験の主宰者)は、

  • 「登録講習修了試験」に合格
  • 登録講習修了日から3年以内

と定めています。

そして、登録講習を受けるために、宅地建物取引業に従事していること(従業者証明書を持っていること)が必要になります。

誰でも受験できるわけではないので注意してください。

なお、従業者証明書は正社員だけでなく、パート・アルバイトも持つよう決められています。そのため、不動産業者で働く学生や主婦なども登録講習を受講することができます。

また、5点免除は登録講習を修了して3年以内の試験です。

登録講習を修了した場合には短期での合格を目指していきたいですね。

5点免除の申し込み方法

宅建試験の5点免除を申し込む場合には、毎年7月の受験の申し込みと同時に申請します。

郵送の場合、登録講習修了者証明書の原本を申し込み用封筒に同封してください。

インターネットの場合、原本の提出は必要ないです。ただし、「インターネット申し込みができない講習」の修了者または登録講習修了証明書の氏名と現在の氏名が異なる方はインターネットによる申し込みができないので、郵送による申し込みとなります。

5問免除のスケジュール

登録講習の受講申込

通信教育(約2ヵ月)

スクーリングを受講(1~2日)し、修了試験に合格する

登録講習修了者証明書を交付

宅建試験の受験申込

5問免除の申請までの流れは上記となり、最後の「宅建試験の受験申込」の段階で、5点免除を申請することができます。

5点免除になるために必要な講習とは

5点免除を目指したいと思った場合、どのような講習や日程で受けることになるのでしょうか?

まず、登録講習の実施機関は国土交通大臣の登録を受けた機関です。

国土交通省のホームページで実施機関一覧を掲載していますので、参照してください。

修了のスケジュールは通信学習2カ月、スクーリング(講習)2日間、修了試験1時間となっています。費用は10,000~19,000円が相場です。

通信学習ではテキスト一式をスクーリングまでに学習するよう指示されます。課題提出やDVD・オンラインでの授業といったものはないので、自分のペースで学習することができます。

スクーリングは各資格スクールの会場に集まり講義を受けることが多いようです。

2日間で合計10時間ほどの講義になります。1日目は宅建業法、2日目は民法を中心に学習します。

両方の科目とも試験の大きな割合を占める部分であり、試験勉強と兼ねることができます。

最後に修了試験です。スクーリングで習った範囲から出題されますが、20問で1問5点、100点満点です。このうち70点以上で合格となります。

意外と合格点が高く、落ちる人も当然います。ここで落ちても再試験がありますが、できれば1回で合格したいものです。

晴れて修了試験に合格すれば、1週間ほどで修了者証明書が交付されます。これを宅建の受験申込書と同封することで5点免除で受験できます。

5点免除を受けると宅建試験の合格率は上るのか

5点免除者は先に述べたようにかなり有利な制度といえそうですが、宅建試験の合格率からみても有利といえるのでしょうか?通常受験者と比較して検討します。

通常受験者(全受験者ー5点免除者)の合格率

 受験者数合格者数合格率
2024年度241,436人44,992人18.6%
2023年度233,276人40,025人17.2%
2022年度226,048人38,545人17.0%
2021年度(12月実施分)24,965人3,892人15.6%
2021年度(10月実施分)160,868人27,152人16.9%
2020年度(12月実施分)35,261人4,610人13.1%
2020年度(10月実施分)168,989人29,728人17.6%
2019年度169,126人25,643人15.2%
2018年度163,578人22,996人14.1%
2017年度161,867人23,180人14.3%
2016年度154,340人21,768人14.1%
2015年度153,210人21,590人14.1%

※2021年度(12月実施分)は、5問免除者の受験者は無し参照:試験実施概況(過去10年間)

5点免除者の合格率

 受験者数合格者数合格率
2024年度49,337人10,822人21.9%
2023年度49,407人11,927人24.1%
2022年度47,000人8,151人17.3%
2021年度(12月実施分)
2021年度(10月実施分)48,881 人10,427 人21.3%
2020年度(12月実施分)635人68人10.7%
2020年度(10月実施分)45,492人8,902人19.6%
2019年度51,671人11,838人22.9%
2018年度50,415人10,364人20.6%
2017年度47,487人9,464人19.9%
2016年度44,123人8,821人20.0%
2015年度41,716人8,438人20.2%
参照:試験実施概況(過去10年間)

※2021年度(12月実施分)は、5問免除者の受験者は無し

通常受験者が14%~15%で推移しているのに対し、5点免除者は2020年度12月実施分を除いては、約20%で推移していることが分かります。

5点免除者が全体受験者の合格率を引き上げていることがうかがえます。

また、5点免除者と通常受験者の差は5~7%程度となっています。

通常受験者より合格しやすい傾向があり、5点免除、合格率からみても有利になっているといえるでしょう。

まとめ

以上で宅建試験の5点免除についての説明を終わります。

ここまでの説明をまとめると、

・5点免除は宅建試験の問題を5問免除する制度である

・5点免除により、勉強量の圧縮と他の科目への集中及びボーダーラインが下がるというメリットがある

・5点免除には登録講習を修了することが必要。登録講習は宅地建物取引業従事者でなければならない

・登録講習は10,000~19,000円ほどで、試験を受けて合格しなければならない

・通常受験者と5点免除者の合格率は5~7%程度の差があり、有利に受験することができる

・5点免除を申し込むには受験申し込みと同時に行う必要がある

ということでした。

公表されていませんが、合格基準点前後には多くの受験生がひしめき合っています。

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