測量士は食いっぱぐれる?測量業界の動向から将来性や需要について解説
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測量士に興味がある、キャリアアップのために測量士資格を目指している方で、測量士としての将来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、測量業界の最新動向や課題を整理し、測量士が食いっぱぐれない理由を5つ紹介します。
さらに、測量士の将来性や需要の見通しを詳しく解説し、年収アップを目指すための具体的な方法も提案します。
測量士として安定したキャリアを築きたい方は、ぜひ参考にしてください。
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測量業界の動向と課題とは
測量業界は近年、縮小傾向にあります。
国土交通省の調査によると、測量業の登録業者数は20年間にわたり減少していることがわかりました。
以下は、1961年から2023年(令和5年)までの測量業の登録業者数の推移を表したグラフです。
令和5年の測量業の登録業者数は、11,313業者(新規登録267業者、登録消除業者431)で、
前年度に比べて164業者(1.4%)減となりました。
1961年から2023年までの登録業者数の推移を見てみると、平成15年(2003年)には14,750業者とピークに達しました。
しかし、そのあとは減少傾向が続き、令和5年度末(2023年)には、11,313業者となり、ピーク時から23%の減少を記録しています。
この現象の背景には、測量業が建設関連業の中でも業者数が突出して多く、競争が激化している点があげられます。
限られた市場内で売上を奪い合う構造により、特に競争力の弱い小規模事業者が淘汰される傾向が顕著です。
一方で、災害復旧やインフラの維持管理といった分野では、測量の需要は依然として存在しています。
災害特需や都市再開発、インフラの維持保全は継続的に求められる業務であり、これらの需要を背景に中堅・大手企業による寡占化が進むと考えられます。
測量業界は、小規模事業者の減少と同時に、競争力のある企業への集中化が進んでいます。
もうひとつの大きな課題は、少子高齢化による担い手不足です。
令和5年度測量業における測量士・測量士補に関する実態調査によると、測量士の年齢構成は50代が最も多く、次いで60代・40代という順になっています。
平成30年度の調査結果と比較すると、当時は40代が最も多く、次いで50代、60代と続いていたため、単純に年齢層がそのまま繰り上がったことを示しています。
つまり、若手人材の増加がほとんど見られず、業界全体が高齢化に直面しているということです。
このように測量業界は、業者数の減少と人材不足という2つの課題に直面しつつも、一定の需要を背景に中堅・大手企業への集約が進む局面にあります。
今後の測量業界では若手育成と技術革新への対応が求められるとともに、安定した需要を取り込むための経営戦略が重要となるでしょう。
測量士が食いっぱぐれない理由5選
年々、測量業者が減少していく状況を見て、
「測量士になっても仕事がなく、食べていけないのではないか」
と不安を抱く人も少なくないでしょう。
しかし、測量士が食いっぱぐれることはまずないと考えられます。
その理由を以下の5つの観点から解説します。
独占業務があるため安定した需要がある
測量は測量士および測量士補の独占業務として法律で定められており、資格を持たない人が行うことはできません。
このため、測量士の役割は代替が効かず、安定した需要が確保されています。
さらに、測量士は単に測量を実施するだけではなく、測量に関する計画の作成や成果のとりまとめなども業務に含まれます。
こうした業務は、道路や橋などのインフラ整備、公共事業、都市開発などでも必要不可欠です。
特にインフラ整備は長期的に続く分野であるため、測量士の需要が急激に減少するとは考えにくいでしょう。
このように、独占業務をもつ測量士は安定した市場を背景に活動できるため、食いっぱぐれるリスクは低いと言えます。
後継者となる若手が足りていない
測量士は、少子高齢化の影響を大きく受けており、若手人材の不足が深刻です。
特に20代や30代の測量士が不足しており、今後まずます需要が高まることが予想されます。
若手の不足は、これから測量士を目指す人にとってはチャンスとも言えます。
経験を積んだ若手が重宝される環境にあるため、早い段階から責任ある業務を任される可能性も高く、将来的な安定性に繋がるでしょう。
収入が安定している
測量士は収入面でも安定しています。
測量士の平均年収は489.1万円と、民間給与所得者の平均年収460万円(令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁)よりもやや高い水準にあります。
また、資格手当が上乗せされることもあり、一般的な技術職と比べても収入は安定していると言えるでしょう。
収入が安定している要因のひとつとしてあげられることは、公共事業やインフラ整備といった大規模プロジェクトに携わる機会が多い点にあります。
こうしたプロジェクトは継続的に発注されるため、安定した収益に繋がります。
就職・転職できる業界が多い
測量士は、就職や転職先の選択肢が多いことも強みです。
測量会社はもちろんのこと、建設会社や不動産会社、地図製作会社などさまざまな業界で需要があります。
特に20代から30代の若手であれば、求人市場での需要は非常に高く、就職や転職で苦労するケースは少ないでしょう。
また、近年はドローンや機材を用いた3D測量のような新技術が登場しており、対応できる若手人材は特に重宝されています。
技術革新の進展に伴い、業界全体が新しい測量手法を導入する動きもあるため、新しい技術に対応できる人材は今後も求められるでしょう。
独立開業もできる
測量士は独占業務をもつ国家資格であるため、個人事業主として独立する道も開かれています。
独立すれば、自分のペースで仕事を進めることができるうえ、人脈を活用して安定した受注を確保すれば、会社員時代よりも高収入を得ることも可能です。
また、地域密着型のビジネスモデルを展開すれば、長期的に安定した顧客基盤を築くことができるでしょう。
特に測量業務は専門性が高く、一定の信頼と実績があれば継続的に案件を獲得できるため、独立して成功する事例も少なくありません。
測量士の将来性と需要は今後もある?
測量業者の登録者数は年々減少傾向にありますが、測量士の需要は依然として高く、今後も将来性が期待されています。
新規の建設工事や災害復興、インフラ整備、再開発といった多様な現場で測量士の専門技術は必要不可欠です。
これらの分野では今後も測量業務が求められるため、測量士の活躍の場は広がり続けるでしょう。
さらに測量士業界も少子高齢化の影響を受けており、若手人材の不足が深刻化しています。
現在活躍している測量士が引退するにつれ、人材不足はますます進行すると予測されます。
このような状況から、今後は若手や新規参入者への期待が高まると考えられます。
こうした背景を踏まえると、測量士は将来性のある職業と言えるでしょう。
需要の拡大と共に、安定した活躍が期待できるため、今後も測量士の重要性は揺るぎません。
測量士として年収アップを目指すためにできる4つのこと
測量士は安定した需要がある職業ですが、さらなる年収アップを目指したいと考える方も多いでしょう。
競争力を高め、収入を向上させるためには、専門的なスキルや付加価値を身につけることが重要です。
ここでは、測量士として年収アップを目指すためにできる4つの具体的な方法を紹介します。
専門的な技術を身に着ける
測量士として収入を高めるためには、測量の基本スキルに加え、より専門的な技術を習得することが有効です。
例えば、ドローンを活用した測量技術やGIS(地理情報システム)の操作スキルを身につけることで、業務の幅を広げることができます。
測量のスキル+αのある人は強みになります。
これらの技術は精度の高いデータ収集や効率化を可能にし、企業から高く評価されるため、給与や報酬のアップに繋がる可能性が高いです。
最新テクノロジーを扱えるようになる
測量業界でも、IT化が急速に進んでいます。
3Dスキャニングやドローン測量といった最新技術の導入により、業務の効率化と精度向上が求められています。
こうした新しい測量機器やソフトウェアの操作スキルを習得することで、最新テクノロジーを活用できる人材として重宝されるでしょう。
また、企業内での評価が高まるだけでなく、プロジェクトリーダーなどへの昇進のチャンスも広がるでしょう。
ダブルライセンスを取得する
年収アップを目指すには、関連資格を取得して仕事の幅を広げることも効果的です。
公共測量だけでなく民間測量にも興味がある場合、土地家屋調査士や司法書士の資格を目指すことをおすすめします。
土地家屋調査士は表示に関する登記の専門家であり、司法書士は権利に関する登記の専門家です。
この2つの資格を組み合わせれば、登記業務をワンストップで対応できるようになり、クライアントからの需要が高まります。
また、測量業務と登記業務を組み合わせることで、高単価の仕事を請け負うことも可能になるため、収入の増加が期待できます。
語学力を身に着ける
測量士の活躍の場は国内にとどまらず、国際的な事業にも広がっています。
日本の土木技術は海外からも高く評価されており、国際的なプロジェクトやインフラ開発への参加の機会も増えています。
そのため、語学力を身につけることは大きな武器となります。
海外派遣を行うJICA(国際協力機構)などの機関への参加や、海外展開している企業への転職も視野に入れることができるでしょう。
また、各国の測量システムを理解し、国際的なプロジェクトに対応できるスキルをもつことで、収入アップの可能性が高まります。
まとめ
以上、測量士の将来性やキャリア展望に不安を抱く方に向けて、測量士の需要は今後も高く、安定した職業である旨を解説しました。
このコラムのまとめは以下の通りです。
「測量士が安定している理由」
- 独占業務による安定需要:測量は資格者に限られた独占業務であり、インフラ整備や都市開発などで必要不可欠
- 若手不足によるチャンス:高齢化で人材が不足しており、若手には大きな活躍の場がある
- 収入の安定性:平均年収は民間給与の平均を上回り、大規模プロジェクトによる収益性が高い
- 幅広い就職・転職先:建設会社や地図制作会社など、多様な業界で需要がある
- 独立可能な国家資格:信頼と実績があれば独立して高収入を目指せる
「測量士として年収アップする方法」
- ドローン測量や3Dスキャニングなどの最新技術を習得
- 土地家屋調査士や司法書士などの関連資格で業務の幅を拡大
- 語学力を高め、国際プロジェクトや海外企業への対応力を強化
測量士は高い専門性を活かせる安定職であり、技術革新や自己研鑽を通じてさらに成長できる職業です。
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