測量士試験の試験内容・情報をわかりやすくまとめて紹介
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国家試験と一括りにしても数多くの資格が存在します。
そんな多くの国家資格の中で特におすすめなのが、測量士です。
測量士試験は特別な受験資格が不要なため、誰でも挑戦することができます。
測量士の試験内容を細かくご紹介します。
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測量士試験とは
測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。
測量士となるために必要な専門知識及び能力を有するかを国土地理院が行う試験により判定します。
測量資格には、2種類あります。
測量業務が出来る「測量士補」という資格とさらに計画実行が出来る「測量士」です。
「測量士補」の上級資格は「測量士」という考えで良いでしょう。
測量士試験の基本情報(出題形式・問題数)
測量士試験科目は以下の9科目です。
- 測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
- 地理情報システム
また、上記の各専門科目に関連した測量業務に従事するうえで求められる一般知識についても出題されます。
測量士試験は、午前と午後にわかれており、筆記試験によって行われます。
午前:択一式(5択) 出題数28問
午後:必須1題と選択4題のうち2題選択 各設問数4問
午前に択一式の28問、午後から記述式問題、必須科目1問、選択科目2問の合計3問です。
合格基準は、午前700満点中400点(16問正答以上)、午後の配点も700点でトータル1400点中910点以上で合格となります。
午前の択一得点が50%を切ってしまうと午後試験の採点が行われずに実質不合格となってしまうため、まずは午前で16問(400点)を取る必要があります。
測量士試験では、電卓の使用を許可しています。
電卓の持参は不可ですが、国土地理院の用意した電卓であれば使用可能です。
電卓の機種は、カシオSL-910GT-Nです。
四則演算電卓にルート(√)キーが付いています。
sin、cos、tanは付いていません。
測量士試験の試験時間
測量士の試験時間は午前10時から午後4時までです。
内訳は、午前2時間30分、1時間休憩、午後2時間30分の試験時間5時間です。
配点
測量士試験は、午前試験と午後試験に分かれていて平均65%以上の得点で合格となります。
また、繰り返しになりますが午前試験の得点が50%を切る場合には、午後試験は採点されません。
午前試験は1問25点の700点満点午後試験は必須問題1問300点、選択問題2問×200点の合計700点満点なので、午前の択一問題の点数が400点以上かつ午前と午後の点数の合計が910点以上が合格基準となります。
午前 5肢択一 1問25点 | 28問 | 700点満点 | 400点以上 |
午後 必須科目 | 1問 | 300点満点 | かつ |
午後 選択科目 4題中から | 2問 | 400点満点 | |
合格点 | 合計910点以上 |
測量士試験では、午前の択一得点が50%を切ってしまうと午後試験の採点が行われずに実質不合格となってしまうため、最低でも16問(400点)を取れるように勉強することが必要となります。
測量士試験の合格率
令和6年測量士試験の合格率は13.0%でした。
測量士試験の合格率は、平成25年の5.2%が低い年ではありますが10%を超える年もあり、平均すると10%を超える合格率となっています。
測量士補試験の合格率がおおむね30%で推移しており、測量士補試験よりは難易度が高いです。
また、令和元年の合格者のうち男性合格者435名、女性合格者44名(前年比23名増)の状況から、男性が多く受けていますが女性の受験者数も増えてきています。
年度 | 受験者数 | 午前試験 合格者数 |
午前試験 合格率 |
最終 合格者数 |
最終 合格率 |
令和6年 | 3,717 | 852 | 22.9% | 485 | 13.0% |
令和5年 | 3,667 | 1078 | 29.4% | 379 | 10.3% |
令和4年 | 3,194 | 1297 | 40.6% | 460 | 14.4% |
令和3年 | 2,773 | 1138 | 41% | 497 | 17.9% |
令和2年 | 2,276 | 544 | 23.9% | 176 | 7.7% |
令和元年 | 3,232 | 1516 | 46.9% | 479 | 14.8% |
平成30年 | 3,345 | 909 | 27.2% | 278 | 8.3% |
平成29年 | 2,989 | 1431 | 47.9% | 351 | 11.7% |
平成28年 | 2,924 | – | – | 304 | 10.4% |
平成27年 | 2,739 | – | – | 315 | 11.5% |
平成26年 | 2,394 | – | – | 290 | 12.1% |
平成25年 | 2,457 | – | – | 127 | 5.2% |
平成24年 | 2,247 | – | – | 265 | 11.8% |
平成23年 | 2,162 | – | – | 258 | 11.9% |
平成22年 | 2,256 | – | – | 144 | 6.4% |
平成21年 | 2,170 | – | – | 181 | 8.3% |
測量士試験の難易度
測量士の資格に合格するためには、300時間以上の勉強時間が必要といわれています。
また、測量について初めて勉強する方や数学についての知識が全くない方であれば500時間以上の勉強時間がかかるともいわれています。
同じ士業の資格としては、行政書士試験が700時間から800時間、司法試験が6,000時間の勉強時間が必要と言われているため、比較すると他の資格よりは勉強時間が少ないことがわかります。
仕事をしながら資格試験の勉強をして合格している方も多く、寝る前や隙間時間を利用して十分合格が狙えるといえます。
試験合格におけるポイント
測量試験合格において、一番大事なのは「午前中で大幅に点を取ること」です。
午前の試験に比べ午後の試験の記述式は大変難易度の高い問題となるからです。
午前と午後で910点を取れば合格なので、午前中を700点満点でクリア出来れば残り210点取れば良いわけです。
さらに必須問題で大幅に点が取れればほぼ合格は間違いないでしょう。
測量試験は、独学でも十分合格できますが、計画性に不安があれば、測量士講座の検討もしてみてください。
科目
午前試験
択一式の5択から答える全28問となっています。
問題の内容は以下の通りです。
測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
測量法について、どのような作業をどこの機関が行うかや測量を行う基となる基準や規格などが出題されます。
測量計画を行う測量士が計画を作成する前提知識として必要となります。
出題数が多いですが、基本的に計算問題が無く過去問等をしっかり学習すれば得点しやすいでしょう。
多角測量
現地で測量を行うにあたり、その測量の基準となる点の測量方法や計算方法また測量誤差についての知識が求められます。
主に測量結果を計算して択一で解答する問題となります。
計算問題は、過去問を繰り返してパターンをつかめば得点しやすいでしょう。
汎地球測位システム測量
分かりにくい言葉ですが、簡単に言うとGPSを使った測量です。
GPS測量の特徴や作業を行うときの注意点や座標系についての問題が出題されます。
水準測量
水準測量は、すでに標高が決まっている地点から標高を知りたい地点までの高低差を算出して知りたい地点の標高を求める作業です。
現場で観測作業についてや観測した結果に基づいて計算した結果を解答する問題となります。
また、ベクトルを使って解答する問題も出てくるのが特徴です。
こちらも多角測量と同様に過去問を繰り返す事で得点に繋がりやすいです。
地形測量
現地でTSやGPSを使用した測量、近年では車載写真レーザー測量(MMS)やレーザースキャナについての問題も出題されます。
角度や距離の結果から計算して解答する問題も出題されます。
写真測量
写真測量を行う際の作業手順や注意点などが出題されます。
撮影写真間の重複度を求める計算問題も出題されます。
また、航空レーザ測量についても出題されるようになりました。
地図編集
写真測量などで作成した既存の地図データを編集して地図にする測量の計算方法・測量方法が出題されます。
応用測量
道路、河川などを設計するための測量の計算方法・測量方法が出題されます。
地理情報システム
工事測量に伴う勾配計算や用地測量についての問題が出題されます。
用地測量についても、座標値を算出するための計算問題が出題されています。
午後試験
記述式試験となっています。
NO.1の必須科目問題と、NO.2~NO.5から2つを選んで回答する選択科目問題があります。
NO.1~NO.5までは各4問ずつあります。
つまり、必須科目問題が4問、選択した2つの科目の8問の計12問に答える試験です。
記述の穴埋め問題、◯✕問題(✕ならば正しい答えを書く)、記述回答などの理解を求められる高難易度試験となっています。
必須科目問題 | NO.1 測量法、水準測量など |
選択科目問題 | NO.2 選択1 基準点測量 NO.3 選択2 地形・写真測量 NO.4 選択3 地図編集 NO.5 選択4 応用測量 |
配点は合計700点 |
出題範囲はかなり広いので過去問やテキストを丸暗記するつもりでやる必要があります。
計算問題の攻略は必須ですので、最低でも過去問の問題は解ける程度の努力が必要です。
選択科目においては、始めから絞っておくのも手段の1つです。
受験資格、受験料
試験は1年に1回実施され、受験資格はないため、どなたでも受験可能です。
高校生が受験して資格を取得するケースもあるようです。
測量士試験の受験料は4,250円で収入印紙を受験願書に貼付することとなります。
そのほかに写真1枚(縦4.5㎝、横3.5㎝・脱帽・上半身・正面向きのもの)と切手(63円)が必要になります。
関連記事:測量士になるには受験資格が必要?測量士補から・実務経験の有無など
日程・願書の送付先・受験地
例年では、5月中旬~下旬の日曜日に試験が行われます。
受験願書受付期間は、例年1月上旬~2月上旬です。
郵送の場合は、受付期間までの日付の消印があるものに限り受付を行っています。
願書の提出書類に不備がある場合は受験ができないので、早めに受験願書の提出を行いましょう。
受験願書の受付場所は、「〒305-0811 茨城県つくば市北郷1番 国土地理院 総務部 総務課 試験登録係」となります。
受験願書用紙及び受験案内は4月中旬頃から国土地理院本院及び各地方測量部、沖縄支所または各都道府県の土木関係部局の主務課、日本測量協会本部及び各支部にて直接受け取る方法と郵送による請求も可能です。
測量士試験が行われる時間は、午前10時から午後4時まで(午後0時30分から午後1時30分まで休憩)です。
受験地は北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、愛知県、大阪府、島根県、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県の大学や専門学校で行われています。
合格発表は7月におこなわれ、全受験者宛てに試験の結果(合否)が通知されます。
国土地理院のホームページ上に合格者の受験番号と解答例が掲載されます。
なお、令和3年の試験日程は新型コロナウイルス感染症の影響により例年と異なりました。
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