今回は司法書士試験における民事執行法の勉強方法について解説いたします。

民事執行法とはどんな科目なのか、出題傾向や配点などについても解説しますので、参考にしてください。

司法書士試験における民事執行法について

民事執行法とは、強制執行や債務者の財産開示に関する手続などについて規定した法律です。

具体的には、現在の日本の法制度では、たとえば、金銭の支払いを求める裁判に勝って判決文を得たとしても、それだけではただの紙切れにすぎません。

その判決文を裁判所に持っていき、裁判所に所属する執行官による強制執行という手続を経てはじめて判決文に書かれた判決内容が実現されます。

民事執行法は、この強制執行の方法・手続の流れについて定めた法律です。

出題形式と配点

司法書士試験において民事執行法は、午後の部の多肢択一式試験で1問出題されています。

また、多肢択一式試験の配点は1問3点なので、民事執行法の多肢択一式試験で3点分出題されることになります。

出題傾向と特性

司法書士試験における民事執行法では、主に条文に関する知識が出題されます。

具体的には、強制執行全般、債務名義、各種強制執行、配当などについて出題されています。

また、出題範囲が広く、かつ、身近な手続ではなく、手続の流れなどを想像しにくいにもかかわらず、1問しか出題されないため、どの程度学習のリソースを割くべきか、とても悩ましい科目です。

民事執行法の勉強法

民事執行法は、手続法ですから、まず、手続きの全体像を把握した後、強制執行を完遂するまでの各種手続きの中で、今自分はどの段階の手続きの問題を解いているのか、逐一条文を確認しながら、勉強を進めていくと進めやすいと思います。

その際、聞きなれない法律用語が出てくると思うので、その都度、定義を確認していきましょう。

また、少なくとも、過去問で出題された問題については、繰り返し解き、正誤判断の理由も含め、完全に解答できる程度まで、学習の制度を高めておくことをおすすめします。

さらに、民事系の科目ですから、民法上の各種請求を強制執行によって実現するためにはどの種類の強制執行をすれば良いのか、またその手続きはどのようになっているのかという具合に、民法の学習を進めたあと、2週目、3週目の学習と並行してすすめるのも効果的です。

出題数や科目の難易度を考慮すると、民事執行法の学習の優先度は、他の主要でない科目の中でも低くなります。

しかし、他の受験科目である民法、会社法、不動産登記法、商業登記法、供託法などの他の司法書士試験の受験科目とも密接に関連する法律で、試験に合格しはたらきはじめたら、関わることが出てくる可能性の高い法律なので、あまりおろそかにすることができない法律です。

また、司法書士試験では基準点、いわゆる足切り点が設定されており、民事執行法が出題される午後の多肢択一式試験の基準点は、毎年7~8割程度となっています。

そして、この基準点は、午後の部の多肢択一式試験の主要科目である不動産登記法・商業登記法で満点を取ったとしても、年によっては足切りとなってしまう点数です。

したがって、1問しか出題されないとはいえ、可能であれば民事執行法もきちんと学習しておきたいところです。

とはいえ、民事執行法は、範囲が広く、内容も難しい上に1問しか出題がされないため、一方ではコスパの悪い科目とも言えます。

事実、合格者の中にも、民事執行法ははじめから捨てたという方もいるくらいです。

仕事と両立しながら学習をしている方など、民事執行法の学習に多くの時間をあてることが難しいようであれば、比較的出題が多い範囲や改正点に限定して学習することも、効率の良い学習かと思います(過去問の知識で対応できる年もありますから、完全に捨ててしまうことはお勧めできません)。

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この記事の監修者 竹田 篤史講師

竹田篤史講師


社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。

短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。

これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。

自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。

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