司法書士に興味をもって試験にチャレンジしようか迷っている人は、司法書士について調べているうちに不安を感じる人もいるのではないでしょうか?

実際、インターネットで検索すると、「司法書士はやめておけ」「人生が狂う」などといったネガティブな情報も中にはあります。

この記事では、なぜ司法書士についてネガティブな情報があるのか、そして実際はどうなのか、どんな人であれば目指すべきものなのかなどについて解説します。

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「司法書士はやめとけ」と言われる理由5つ

司法書士に興味をもって調べてみると、インターネット検索などで「司法書士はやめとけ」「人生狂う」などといったネガティブな情報が見つかる場合があります。

なぜそのように書かれることがあるのでしょうか。主な理由として、次の5つが挙げられます。

  1. 試験が難しすぎるから
  2. 何度も落ちて自信をなくす人がいるから
  3. 苦労して合格しても大して稼げないから
  4. 独立しても廃業するかもしれないから
  5. 将来性がない仕事だから

(1)試験が難しすぎるから

司法書士試験は、数ある国家資格の中でも合格率がとても低い試験です。

合格率が5%程度なので、95%近くの人が不合格になってしまうと思うと、受かるわけがない!と思ってしまうかもしれません。

合格率だけで考えれば、司法試験よりもはるかに低いのは事実です。

ただし、実際の合格者には様々なバックグラウンドの人がいます。

年齢も学歴も経歴も本当に様々で、高学歴ではない人、大学に進学していない人も大勢います。

司法書士試験が難関資格であることは事実ですが、試験の内容は、真面目にコツコツと取り組んだ人が合格できるものとなっているため、秀才や特別な能力のある人しか受からないという試験では決してありません

司法試験にあるような論文を書かせる試験もありませんし、複雑な計算をしたり、奇問を解いたりする必要もありません。

試験範囲がとても広く、暗記しなければならないことは多い上、いわゆる「捨て科目」はなく、全科目をバランスよくきちんと身につけることなど、大変なこともありますが、試験内容自体が他の国家資格などに比べて「難しすぎる」ということはありません。

正しい方法で毎日コツコツと勉強を続けることができれば、誰もが合格を目指すことができる試験です。

関連コラム:司法書士の難易度とは?合格率・偏差値・試験内容を他資格と比べてわかる司法書士試験の難しさ

(2)何度も落ちて自信をなくす人がいるから

上述のとおり、司法書士試験は合格率が低いため、あと一歩のところで実力が届かずに不合格が続いてしまう人も実際にいます。

5年以上受験しているという人も珍しくはありません

不合格が続くと、自信をなくしてしまったり、人生の貴重な時間を無駄にしたと感じてしまう人もいるでしょう。

関連コラム:司法書士試験に受からない…次こそ合格する為にやるべきこと4つ

これについては、その人の考え方次第ですが、仮に不合格が続いたとしても、自信を失う必要はなく、むしろ努力を続けてきたことはとても素晴らしい誇るべきことです。

ただ漫然とダラダラ勉強を続けていた場合は、確かに時間の無駄になってしまいますが、そうでなければ真剣に勉強をした経験が無駄になることは決してありません

法律の知識を身に付けること自体、試験の合否にかかわらずとても有意義なことです。

ただし、一人ひとりの人生設計は違うので、試験勉強を始める場合には、何歳まで、何年までをタイムリミットにするのか、受験に専念するのか仕事と両立させるのかなど、あらかじめ具体的に想定したうえで勉強を始めると精神的にも落ち着いて勉強に取り組むことができるでしょう。受験に専念するのは2年までなどと決めて、その後は働きながら勉強を続けるという人もいます。

性格上、受験に専念するのはプレッシャーが大きすぎると感じる人などは、働きながら勉強する方があっている場合もあります。

関連コラム:働きながら司法書士試験合格は可能?社会人に必要な勉強時間は

(3)苦労して合格しても大して稼げないから

「司法書士はあまり稼げない」と言われることもあります。

司法書士には、大きく分けると「独立開業」と「司法書士事務所などに勤務」の2つの働き方があり、働き方によって平均年収も大きく変わります。

独立開業の場合、多くの人が年収1000万円を超えているというデータがあり、決して収入が少ないわけではありません。

もちろん年収1000万円を大きく超えている人も大勢います

一方、勤務の場合には、たとえば一流企業などと比べると年収は低くなりがちで、300~500万円程度の人が多いと言われています。

独立開業するつもりがなく、勤務を続けたい人で、かつ高収入を望むということだと、厳しいと言わざるを得ないでしょう。

そのような人は、司法書士を目指すよりも一流企業などへの就職や別の資格を目指したほうがよいかもしれません。

いずれは独立開業も視野に入れている人や、高収入ではなくても安定収入を継続的に得たいと考えている人にとっては、悲観する必要はありません。

関連コラム:司法書士の年収とは?平均年収・業務の報酬・年収を上げるためのポイント

(4)独立しても廃業するかもしれないから

独立開業しても廃業してしまうのではないか、という意見もあります。

たしかに、どのような職業であっても廃業してしまうリスクはあります。

司法書士も例外ではありません。

ただし、司法書士は比較的廃業リスクは低い職業です。

他の士業と比べても人数自体が約23,000人と少なく、弁護士(約43,000人)や税理士(約80,000人)などに比べてはるかに少人数のため、地域にもよりますが過度な競争にさらされることは比較的少ないのです。

また、司法書士の場合、自分で営業ができなくても、司法書士会などを通じて仕事を得るチャンスもあります。

たとえば、高齢者などの財産を守る成年後見人の仕事は、司法書士が任意で加入するリーガルサポートという団体に属すると、成年後見人の仕事が必ず回ってきます。

仕事の選り好みをしなければ、廃業リスクは低いと言えます。

関連コラム:司法書士は独立するメリット多数!成功/失敗する開業司法書士の特徴とは

(5)将来性がない仕事だから

司法書士の仕事は将来性がない、いずれAIに代替されてしまうなどという意見もあります。

司法書士の仕事のうちの一部は、AIで代替される可能性はあるでしょう。

ただし、そうではない業務の方が多いのも事実です。

また、業務範囲は拡大傾向にあり、旧来の業務以外にも活躍の場が広がっています。

詳しくは以下の記事を参照してください。

関連コラム:司法書士は将来性のある仕事?将来も長く活躍するために大事なポイントとは

「やめとけ」と言われても司法書士を目指す価値がある人の特徴

それでは、どのような人であれば司法書士を目指す価値があるのでしょうか。

目指すべき人の特徴について解説します。

(1)司法書士の仕事に魅力を感じる人

まず第一に、「司法書士の仕事をやりたい」「司法書士になりたい」というシンプルな動機を持っている人であれば、司法書士試験にチャレンジする価値は大いにあります

司法書士の仕事は、人や会社の権利や財産を守る重要な役割があり、法律を使って人の役に立つことができるやりがいのあるものばかりです。

不動産登記は大切な財産である土地や建物の権利を守るための制度で、その権利関係の登記業務ができるのは司法書士だけです。

他にも、相続関係業務でも様々な形で司法書士がかかわっていたり、高齢者などの財産を守る成年後見人業務でも司法書士が活躍しています。

人から感謝されることも多く、自分の人生経験を仕事に生かすこともでき、年齢を重ねるごとに円熟味を増していくことができる仕事です。

(2)地道な努力ができる人

司法書士試験は合格率が低く難易度が高い試験ですが、試験の内容は地道にコツコツと努力を重ねた人が合格できるものとなっています。

合格するための裏技はなく、捨て科目を作ることもできませんが、手抜きをせずに着実に努力を重ねることで、誰もが合格を目指すことができます。

暗記しなければいけないことも多いですが、きちんと一つひとつの知識を定着させ、理解を深めていけば、普通に解くことができる内容の試験です。特殊な問題や論文作成などの出題はありません。

毎日コツコツと勉強を続けられる人であれば、誰もが合格するチャンスのある試験です。

【動画で解説】裏技はない?試験中のテクニックについて

(3)独立開業したい人

司法書士は、独立開業がしやすい職業で、多くの人が最終的には独立開業しています。

司法書士が独立開業しやすいのは、開業資金がそれほどかからないことや、人数が少ないために過度な競合が起こりにくいことなどがあります。

自宅で一人で開業するのであれば、開業資金を100万程度に抑えることもできます

また、司法書士は難易度が高いため、世襲が起こりにくく、司法書士をしている親が子供に事務所を引き継がせるケースはあまり多くありません

そのため、勤務していた事務所の代表が引退するときに事務所を引き継ぐ形で独立開業するようなケースもあります。

他の司法書士と共同で開業して、経費を分担して協力し合って経営することもできます。

様々な形で独立開業するケースがあり、無理なく自分に合った方法で独立開業を目指すことができます。

独立開業する場合、高収入を得られる可能性も高くなります

(4)裁判業務に興味があり司法試験以外の資格を目指す人

司法書士は、簡裁代理業務の認定試験に合格すると、弁護士と同様に簡易裁判所で裁判業務をすることができます

簡易裁判所は訴額が140万円以下の比較的少額の争いを扱う裁判所ですが、年間の事件数は30万件を超えており、十分な需要があります。

訴訟の種類の制限なく訴訟業務を扱いたいのであれば司法試験を目指すべきですが、司法試験の場合、法科大学院に入学するには基本的に大卒である必要があるなど、誰もがチャレンジできるわけではありません。

何らかの理由で司法試験の受験は断念したものの、訴訟業務にチャレンジしたい人にとって、司法書士を目指す価値は高いと言えるでしょう。

関連コラム:司法書士とは?仕事内容をわかりやすく解説

(5)自由な働き方を望む人

司法書士は、様々な働き方を選ぶことができる職業です。

独立開業、事務所などへの勤務などの大きな区分の他、独立開業の場合も一人で事務所を営むのか、共同事務所にするのか、個人事務所にするのか、法人化するのかなど様々な形態があります。

年齢制限もないので、何歳まででも自分の気力が続く限り働くことができ、生涯現役を目指すこともできます。

逆に、すぐに司法書士をするつもりはない人であっても、会社員などを続けたまま資格を取って、いずれ脱サラして司法書士をやってみたい、という人にとっても魅力があります。

自分の働き方や将来の選択肢を広げられる資格であるといえるでしょう。

まとめ

司法書士についてネガティブな情報も散見されますが、実態とはかけ離れているものも多く、過度な不安を抱く必要はありません。

もちろん本人の考え方や目標、性格などにもよりますが、魅力が多く目指す価値が十分にある資格といえるでしょう。

ただし、司法書士試験が合格率のとても低い難関資格であることは事実です。

やみくもに独学で勉強しても、そう簡単に合格することはできません。

司法書士試験レベルになると、やはり通信講座や予備校を利用してプロの手を借りるのが賢明です。

実際に、合格者のほとんどがこれらを利用しています。

自分に合う通信講座や予備校探しを視野に入れて、司法書士試験を目指してみてはいかがでしょうか。

関連コラム:司法書士で人生変わる?資格取得のメリットと注意点&人生変わった体験談

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