「不動産登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
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司法書士の昔からのメイン業務は、不動産登記です。
不動産登記について、マイホーム購入時などに司法書士に手続きをしてもらったことがある人なら、ある程度わかるかもしれません。ただ、一般的にはそれほどなじみのないものなので、正直なところよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、司法書士の主要な仕事である不動産登記について解説します。
不動産登記とは?制度の説明から読む▶ 司法書士の不動産登記業務について読む▶ 不動産登記の種類を見る▶
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不動産登記とは、土地、建物についての情報を国の帳簿(登記簿)に登録し、情報を公開する制度のことです。
簡単に言うと、不動産の状況を正しく登録して、誰にでも見られるようにオープンにしている制度です。
登記する内容は、土地、建物についての物理的な状態や権利関係です。
「物理的な状態」とは、その土地や建物の所在地、面積、種類、構造などのことです。
「権利関係」とは、いつ、誰がどのようにその土地や建物を取得したのか、担保に取られているのか、特別な権利がついているのか、などのことです。
自分の不動産であることを第三者に主張するためには、きちんと登記をして自分の住所、名前を所有者として記録する必要があります。
登記された情報は、手数料を払えば誰でも「登記事項証明書」を取得して見ることができます。登記情報を見ることで、その不動産の物理的な状態や権利関係が分かり、安全、円滑に不動産取引をすることができます。
そのため、不動産売買などの取引をする際には、必ず登記された情報を確認します。
関連コラム:「商業登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
司法書士の不動産登記業務とは
先ほど、不動産登記の内容は、物理的な状態や権利関係だと解説しました。
不動産登記は、大きく二つに分かれ、一つが物理的な状態を表す「表示の登記」、もう一つが権利関係を表す「権利の登記」です。
このうち、司法書士が取り扱うのは「権利の登記」です。
「表示の登記」を取り扱うのは土地家屋調査士です。
関連コラム:司法書士と土地家屋調査士の違いは?ダブルライセンスのメリットも解説
司法書士が取り扱う「権利の登記」
「権利の登記」は、「所有権に関する登記」と「所有権以外の権利に関する登記」で構成されています。
所有権に関する登記(甲区)
「所有権に関する登記」は、甲区(こうく)といい、その不動産の所有者の情報が記録されます。
所有者の情報とは、所有者の住所、氏名(法人の場合は、本店住所、社名)、そして、その所有者はどのような理由(売買、贈与、相続など)で不動産を取得したのかについてです。
所有権以外の権利に関する登記 (乙区)
「所有権以外の権利に関する登記」は、乙区(おつく)といい、「抵当権」、「賃借権」、「地上権」などの所有権以外についての権利について、その内容や権利を持っている人(または法人)の情報が記録されます。たとえば、家を買った時に住宅ローンを組む場合、お金を融資した銀行が「抵当権」を設定して、家や土地にその内容を登記します。
登記する内容は法律で決められているので、自分が記録したい内容を自由に選べるわけではありません。
たとえば、自分のフルネームを載せたくないから苗字だけにしたい、住所氏名に加えて生年月日を載せたい、などということは認められません。
司法書士は、権利の登記のために関係者と入念な打ち合わせを行い、必要な書類を作成したり、当事者全員への本人確認、意思確認を行い、期日に確実に登記を申請できるように手配します。
関連コラム:司法書士とは?仕事内容をわかりやすく解説
不動産登記の種類
司法書士が取り扱う不動産登記の種類には、様々なものがあります。
ここでは、代表的なものについて解説します。
相続登記
不動産を所有していた人が死亡すると、その不動産を誰かが相続する(受け継ぐ)ことになります。
そして、相続登記をして、死亡した人から相続人へ名義を変更します。
誰が相続するのかは、ケースによって異なります。
生前に「遺言書」で誰に相続させるのかを指定している場合もあれば、指定がないため相続人全員で話し合って(遺産分割協議)相続する人を決める場合もあります。
そもそも相続人が1人だけの場合は、自動的にその人が相続人になることもあります。
相続登記をするときは、それぞれのケースによって提出する書類の内容も変わります。
戸籍謄本類がたくさん必要になる場合も多く、自分で揃えるのは大変なことも多いでしょう。
2024年4月から相続登記が義務化されます。うっかり忘れていると過料の制裁(ペナルティ)があるので注意が必要です。
相続登記に関する司法書士の業務と報酬
司法書士は、依頼人に代わって戸籍を取得することもできます。
また、相続登記のために必要となる遺産分割協議書を作成したり、生前に遺言書を作るサポートをしたりします。
相続登記の報酬は、内容や不動産の数などにより異なりますが、6万円~15万円程度が相場の目安です。
所有権移転登記
Aが不動産をBに売ったり、贈与したり、交換したりすることで、不動産の所有者がAからBに変わります。
そして、所有者が変わったときは、AからBへの「所有権移転登記」をします。
この所有権移転登記をして、不動産の所有者の名義をBに変えなければ、Bは第三者に対してこの不動産が自分のものであるということを、主張したり証明することができません。
そのため、所有者が変わったらすぐに所有権移転登記をする必要があります。
もしBに所有権移転登記をしなければ、Aが別のCに不動産を二重に売却などしてしまうリスクがあります。
所有権移転登記に関する司法書士の業務と報酬
司法書士は、このような重要な売買などの場に立ち会い、確実にBへの所有権移転登記を実行するという役割があります。
所有権移転登記の報酬は、内容や不動産の数などにより異なりますが、5~12万円程度が相場の目安です。
抵当権設定登記
お金を借りるときなどに、自分や家族の不動産を担保にする(抵当に出す)ことがあります。
担保にはいくつか種類がありますが、一般的なのが「抵当権」で、不動産を担保にするときは、お金を貸す側と不動産の所有者が「抵当権設定契約」を結びます。
そして、抵当権設定契約をした時は、「抵当権設定登記」をして、その不動産が担保に取られていること、その内容を乙区に記録します。
典型的な事例は、住宅ローンを組むケースです。
住宅購入のための資金を銀行などから借りると、銀行や保証会社が住宅と土地に抵当権を設定します。
抵当権設定登記に関する司法書士の業務と報酬
司法書士は、銀行などからの依頼で抵当権設定登記を行っています。
抵当権設定登記の報酬は、内容や債権額などにより異なりますが、3~8万円程度が相場の目安です。
まとめ
知っているようで実はよく分からない、という人も多い不動産登記について紹介しました。
不動産登記にはここで紹介した以外にも様々な種類があり、奥が深いものです。
司法書士の業務範囲は拡大していますが、やはりメイン業務はずっと変わらず不動産登記です。
不動産は大切な財産なので、取引には万全を期す必要があり、正確な登記が求められます。そのように、不動産登記をはじめとした私たちの権利や財産を守る重要な役割をしているのが司法書士なのです。
興味を持った方は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
関連コラム:司法書士の独占業務とは?司法書士だけができることについて解説
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三枝りょう講師
合格直後から予備校制作スタッフとして受験業界に携わり、翌年にプロ講師としてデビュー。
以来20年以上、プロ合格請負人として各資格スクールから講義を全国に配信し,安定して合格者を輩出。
受験指導総時間1万2000時間のベテラン講師。
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