司法書士試験は国家試験の中でも最難関といえる法律専門職試験の一つですが、合格ラインは何点くらいなのでしょうか。

当記事では、司法書士試験の合格ラインについて司法書士試験独自の「3つの合格基準点」の内容にも触れながら解説していきます。

司法書士試験の合格を目指している方、司法書士試験に興味のある方はぜひご覧ください。

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令和6年度(2024年度) 司法書士試験 合格点と基準点

筆記試験の合格点は、2024年10月3日(木)に発表されました。

令和6年度司法書士試験筆記試験の合格点は、満点350点中267.0点以上です。

多肢択一式問題及び記述式問題の基準点

多肢択一式問題及び記述式問題の基準点は下記の通りです。

午前の部(多肢択一式問題)の基準点 満点105点中78点
午後の部(多肢択一式問題)の基準点 満点105点中72点
記述式問題の基準点 満点140点中83.0点

出典:法務省:令和6年度司法書士試験筆記試験の合格点等について

▽アガルートの司法書士講座担当の竹田講師が、筆記試験結果発表を受けて、リベンジする方向けのメッセージを動画で解説しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。

司法書士試験には合格基準点がある

まず、司法書士試験には総合得点の合格ラインに加え、「3つの基準点」というものが存在します。

司法書士試験の筆記試験は

  1. 午前の部の択一式
  2. 午後の部の択一式
  3. 記述式

という3つの形式で構成されていますが、筆記試験に合格するためにはこの3つの形式それぞれの基準点を確実に満たすようにしなければなりません。

合格基準点の推移

司法書士試験の合格基準点は例年、受験生の得点状況に応じて変動します。

以下は直近10年分の基準点の推移です。

午前の部(択一式)午後の部(択一式)午後の部(記述式)
2024年度78点72点83.0点※
2023年度78点75点30.5点
2022年度81点75点35.0点
2021年度81点66点34.0点
2020年度75点72点32点
2019年度75点66点32.5点
2018年度78点72点37.0点
2017年度75点72点34.0点
2016年度75点72点30.5点
2015年度90点72点36.5点
※令和6年度より、記述式の配点が70点満点から140点満点に変更されました。

令和6年から、総合得点は合計350点満点となります。

  1. 午前の部の択一式は35問×3点の105点満点
  2. 午後の部の択一式は35問×3点の105点満点
  3. 記述式は2問で140点満点

問題が易化するなど、受験生全体の得点状況が高いと基準点も相対的に高くなりますので、今後受験を検討されている方も、基準点は侮れないものとなります。

午前の部 択一式

午前の部の択一式を分析すると、2016年度以降はほぼ75点以上が基準点となっています。これは、70%以上(75点/105点)の得点率となるため、高得点が求められているといえます。

そのため、午前の部の択一式は盤石な対策が不可欠です。

午後の部 択一式

午後の部の択一式を分析すると、午後の部の択一式は概ね72点で、2019・2021年度では66点と減少しました。

もっとも、午後の部の択一式においても高得点が求められており、減少傾向にあるとはいえ油断は禁物です。

記述式

一方、記述式の基準点については、点数よりも偏差値が重要となります。

記述式の基準点は、おおよそ偏差値50.2~50.4です。

つまり、記述式採点対象者の平均点を若干上回る点数が基準点に設定されます

司法書士試験の合格ライン

司法書士試験は「3つの基準点」を超えたうえで、総合得点の合格ラインに達していなければ合格とはなりません。

以下は直近10年分の総合得点の合格ラインの変動です。また、総合得点の合格ラインと基準点合計の差から、基準点の合計に上乗せして必要な得点の推移も記載しています。

総合合格点基準点合計基準点に上乗せで必要な得点
2024年度267.0点以上233.0点34点以上
2023年度211.0点以上183.5点27.5点以上
2022年度216.5点以上191点25.5点以上
2021年度208.5点以上181.0点27.5点以上
2020年度205.5点以上179点26.5点以上
2019年度197.0点以上173.5点23.5点以上
2018年度212.5点以上187.0点25.5点以上
2017年度207.0点以上181点26点以上
2016年度200.5点以上177.5点23点以上
2015年度218.0点以上198.5点19.5点以上

以上のように、過去10年分の総合得点の合格ラインを分析すると、毎年変動があるように思われます。

基準点合計との差を考慮すると、2023年までは毎年の基準点に上乗せで必要な得点(いわゆる上乗せ点)は概ね20点~27点の範囲で留まっていましたが、2024年は34点になりました。

この上乗せ点は近年上昇傾向にあります。

直近5年間ではいずれも25点超の上乗せ点が必要とされています。

仮に、択一試験だけでこの上乗せ点を得点すると考えますと、令和6年度試験では基準点よりもさらに12問分多く得点する必要があります。

近年の試験では、午前・午後の択一式の基準点突破者(=記述式採点対象者)は全受験者の18%弱です。

択一式の基準点を突破するだけでも狭き門と言えますが、合格するためには、それよりも更に9~10問以上多く正解しなければならないことになります。

したがって、今後は択一だけでなく、記述式においてもある程度上乗せ点が取れる実力を身に着ける必要があるといえるでしょう。

令和6年より記述式の配点が倍になった(70点→140点)ことも含め、これは試験委員からのメッセージかと思われます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

総合得点の合格ラインの前に、まず「3つの基準点」を超える必要があるのが、司法書士試験ならではのポイントであり、司法書士試験が最難関国家試験の一つといわれる所以といえるのではないでしょうか。

そして、この「3つの基準点」はたしかに概ね減少傾向にはありますが、決して侮るべきではなく、着実かつ正確な学習を通して、知識を盤石なものとすることが合格の上で必要不可欠です。

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この記事の監修者 竹田 篤史講師

竹田篤史講師


社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。

短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。

これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。

自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。

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