司法書士試験筆記試験には多肢択一式試験と記述式試験があり、それぞれ求められる能力が異なります。

司法書士試験学習者には、案外この違いを理解することなく学習を続けている方が多いように思われます。記述式試験に求められる能力は具体的にどのようなものでしょうか?その能力を身に着けるためには、どのような勉強法が効果的なのでしょうか?

本コラムでは記述式の勉強法のポイントについて解説します。

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司法書士試験 記述式の勉強法を動画で解説

アガルートの司法書士講座担当の竹田講師が、司法書士試験記述式問題の勉強法について動画で解説しています。

記述式の配点は令和6年度より変更

法務省より、令和6年度以降の司法書士試験筆記試験午後の部の記述式問題の配点は「2問で70点満点」から「2問で140点満点」に変更されると発表がありました。

参考:法務省:【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について

なお、昨年令和5年度の基準点は下記の通りです。

午前の部(多肢択一式問題)の基準点 満点105点中78点
午後の部(多肢択一式問題)の基準点 満点105点中75点
記述式問題の基準点 満点70点中30.5点

法務省:令和5年度司法書士試験筆記試験の結果等について

しかし、配点が変わっても、試験時間・問題数は変わりません記述式の試験対策を大きく変える必要はないでしょう。

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式の勉強方法は?ポイント4つ

司法書士試験の記述式問題はどのように勉強したらよいののでしょうか。

ポイントは下記4つです。

  1. ひな形は確実に覚える!
  2. 問題演習量をこなす!
  3. 記述式の過去問も解く!
  4. 択一式の学習を怠らない

1.ひな形は確実に覚える!

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式試験を突破するために、最初に求められることはひな形が書けることです。

記述式試験は実務の模擬体験です。依頼された登記の申請書を正確に書くことが求められます。

また、スピードも求められます。試験中、迷っている時間はありません。ひな形を思い出して書いているようでは遅いです。

「この登記を書く」と思いついた瞬間に手が動いているくらいのスピード感が求められます。

それができるくらい、ひな形を自分に染みつかせることが重要です。

合格者は考える前に手が動くと言われています。そのように形容されるほどにひな形を習得しなければ合格は難しいとお考えください。

ひな形を習得する上で役に立つのが『ひな形集』です。

市販もされていますので、独学の方であっても入手することができます。

まずはひな形集を使って、毎日ひな形を書くことから始めましょう。

2.問題演習量をこなす!

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

「記述は習うより慣れろ」と言われます。基本的な解き方を学んだ後は、とにかく自分で問題を解いてみることが最も効果的です。

記述式の実力は、こなした問題演習の量に比例します

特に択一式の基準点を突破する実力を身に着けた後は、できるだけ毎日問題を解くようにしましょう。

<講師の実体験>
私の実体験を少しお伝えします。合格した年の前年に転勤が決まり、片道30分の新幹線通勤となりました。私はこの30分間を記述式問題を解く時間に充てることにしました(行き:不動産登記,帰り:商業登記)。問題の難易度にもよりますが、はじめの頃は30分間で問題を解き切ることは難しく、検討の途中で終わっていたのですが、これを毎日続けた結果、1年後には30分間で申請書の下書きまでできるようになりました。今振り返ってみても、これがあったからこそ合格したと思います。

記述式問題は可能な限りの演習をこなし、実力を向上させましょう

3.記述式の過去問も解く!

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

過去問は非常に重要だと思っておきましょう。

中には、「同じ問題が出ないなら過去問を解く必要がないのでは?」という受験生もいます。

確かに、記述式に関しては同じ問題は出ません。しかし、同じ論点が繰り返し出題される傾向があるので、やっておくに越したことはありません。

また、過去問を解くことで、本試験問題独特の雰囲気、粗っぽさを感じることができます。これも掴んでおきましょう。

4.択一式の学習を怠らない

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式の対策としても、択一式問題の勉強を怠らないことは重要です。

実は、記述式プロパーの知識はほとんどなく、択一式の学習で得た知識を使って記述式問題を解くことになります。

そのため、記述式問題を解く前提として、択一式を解くための知識を安定させることが重要です。

この点、特に記述式で不合格になった経験がある方は注意が必要です。

ある年に記述式で不合格になった方で、その翌年記述式の学習ばかりをする方がいます。

その結果、確かに記述式の実力は伸びるのですが、一方で択一式の点数がぐっと落ちてしまいます。

そもそも、択一式試験の基準点を超えることができなければ、記述式試験は採点してもらえません。

過去に記述式で失敗したからといって、そればかりの対策になることは避けましょう。

関連コラム:司法書士試験 択一式の勉強法を解説!高得点を取るには?

司法書士 記述式試験に必要な能力3つ

ここからは、このような記述式試験をクリアするために必要な能力を3つ、ご紹介します。

1.問題を解くスピード

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式試験で求められるものは何よりもスピードです。

択一式試験は、問題文を読み、考えて正誤を判断します。

一方、記述式試験は、問題文を読み、即判断する能力が求められます。

かなりの情報量がある記述式問題ですが、午後の部は択一式を35問と合わせて解かなくてはなりません。それだけのスピードが求められるのです。

2.判断能力

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式問題を解くには、判断能力が求められます。

どんなひな形を使うのか?必要な添付書面は何か?何件申請するのか?これらの判断を間違えてしまいますと、大きな失点につながります。

そのような判断能力が必要なのです。

3.事務処理能力

動画:【司法書士試験】記述式の対策の方法と学習のポイント4つを解説!より

記述式試験は、司法書士実務の模擬体験です。

実務においては、同時に何件もの依頼をこなさなければなりません。

実務家養成試験ともいわれる司法書士試験では、知識はもちろん、正確かつ迅速に案件を処理することができる能力も測られます。

記述式問題は、遺産分割協議書や登記簿、定款、株主総会議事録など、様々な資料が別紙として提供されます。

限られた時間の中で、これらの資料から必要な情報を読み取り、的確な処理をする事務処理能力が求められます。

司法書士 記述式対策講座の受講もおすすめ

記述式対策に不安がある人は、記述式に特化した講座を活用することをおすすめします。

司法書士試験は範囲が広く、情報量が膨大である故に難関な試験です。そのため、効率よく学習をする必要があります。

効率の良い学習とは、優先順位を考慮して学習をするということです。

しかし、独学で学習を進める場合には、何を規準に優先順位を付けるのかの判断が難しいところです。

アガルートの講座は、その点を考慮し、優先順位を付けたメリハリのある講義を提供しています。

記述式対策講座と答練のパックのほか、単科でも購入可能です。

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まとめ

司法書士試験に合格するためには、択一式試験、記述式試験双方において合格点を取る能力が求められます。

二つは互いに関連性が高いものですが、上記のとおり、対策としてはそれぞれ独自のものが求められます。

まずはそれぞれの試験において、どのような能力が求められるのかを理解してください。

その上で、必要な学習を行なってください。

もちろん、一度にすべてができるようになることはありません。

合格者は皆、時間をかけて一つ一つ課題をクリアし、徐々にステップアップし、合格まで辿り着いています。

一度にすべてのことを行なおうとするのではなく、ある程度の長期的計画を立てて臨んでいただければと思います。

本コラムが司法書士資格に関心がある皆様のお役に立てていれば幸いです。

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この記事の監修者 竹田 篤史講師

竹田篤史講師


社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。

短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。

これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。

自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。

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