「商業登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
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「商業登記」と聞いても、会社の経営に携わっている人などを除くと、具体的なイメージがわく人は少ないかもしれません。商業登記は司法書士のメイン業務の一つです。司法書士に興味がある人は商業登記の概要を知っておくことで、司法書士がどんな仕事をしているのか、具体的にイメージしやすくなります。
このコラムでは、司法書士が取り扱う商業登記がどのようなものなのか、わかりやすく解説します。
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商業登記とは、株式会社などの法人について、一定の内容を国の帳簿(登記簿)に記録し、誰もがその法人の内容を見ることができるように情報を公開する制度のことです。
法人は、必ず一定の内容を登記しなければならず、登記していない限り、その法人の存在は認められません。
商業登記の制度により、その法人が実在するのか、代表者は誰なのか、資本金はいくらなのか、といったことを誰もが知ることができるため、取引の安全につながります。
登記をする内容は法律で決まっており、会社の商号(社名)、本店所在地、事業目的、資本金、役員の氏名などです。
自分の好きな内容を登記できるわけではありませんし、登記すべき内容は必ず登記しなければならず、それらを変更したときは原則として2週間以内に変更登記をしなければなりません。
登記された内容は、法務局で手数料を払って登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、誰でも見ることができます。また、登記情報提供サービスを利用してインターネット上で有料で会社の登記情報を閲覧することもできます。
司法書士の商業登記業務とは
司法書士が取り扱う商業登記業務について紹介します。
商業登記の申請は、本来は会社代表者が申請するものです。
ただ、登記に必要な書類を作成したり、手続きをするためには専門的な知識が必要です。
そのため、ミスなく確実に登記を実現するため、専門家である司法書士に依頼するケースが多くなります。
商業登記には、申請する内容によって、定款、株主総会議事録、取締役会議事録、株主リストなど、様々な書類が必要となります。
それらの書類を、会社代表者などから内容をヒアリングしたり、アドバイスしたり、打ち合わせをしたうえで司法書士が作成し、登記申請を行います。
登記申請は司法書士の独占業務であり、昔からのメイン業務の一つです。
関連コラム:司法書士とは?仕事内容をわかりやすく解説
商業登記業務を具体的に解説
司法書士が取り扱う商業登記業務の代表的な事例について紹介します。
会社設立登記
会社を作るためには、会社設立登記をする必要があります。
逆に言うと、設立登記をしていない限り、その会社は存在が認められません。
会社を設立するためには、会社のルールを定めた「定款」を作成し、公証役場で定款の認証を受け、発起人が「資本金」の振込をし、組織づくりを行ったうえで、必要な書類を作成、収集して設立登記を申請します。
これらの一連の手続きをすべて自分でやるのは経験がないと難しいため、依頼を受けて司法書士が手続きを代理するケースが多くなります。
依頼者は、会社を作ることや大体の内容は決めていても、詳しいことまでは決まっていない、理解していないことも多く、司法書士は依頼者の話をよく聞き取りながら丁寧に手続きを進めます。
単に書類を作成するのではなく、会社の種類(株式会社、合同会社など)はどうするのか、定款に記載する事業目的をどうするか、取締役会などの組織を置くか、役員は何人にするのがよいかなど、顧客の希望に合う会社になるようにアドバイスする能力も必要です。
会社の設立日は、登記を申請した日になります。
設立日は、会社の登記事項証明書にも記載されます。
そのため、大安吉日など設立日にこだわりがある場合、その期日に間に合うように計画的に申請の準備を進めます。
役員変更登記
会社には、取締役、監査役などの役員がいます。
その役員について、新たに就任したり、辞任したり、任期が満了して退任したりといった変化があった場合、変更登記を申請します。
株式会社の場合、最長でも任期は10年なので、10年に1度は変更登記が必要です。
うっかり任期を忘れてしまい、そのまま時間が経ってしまうと、登記懈怠(とうきけたい)として「過料」という罰金のようなものをとられてしまうことがあります。
そのため、司法書士は、自分と取引のある会社に対しては、任期が近付いたら変更登記の案内をするなどの対応をすることもあります。
役員変更登記は、変更内容や会社の形態、定款の内容などによって、必要な書類や手続きが異なるため、専門家である司法書士に依頼すると安心です。
目的変更登記
会社の事業目的に変更があった場合、変更登記が必要です。
たとえば、新たに飲食店の経営をする場合、目的の追加を行います。
追加する以外にも、不要な目的を削除するケース、目的をすべて変更するケースなどがあります。
目的の表現は、一定のルールを守れば自由ですが、登記に適さないものもあったりするので、どのような文言にするかは、司法書士がアドバイスすることもあります。
たとえば、飲食店を経営する場合も、「飲食店の経営」に限らず、「居酒屋、レストラン、喫茶店の経営」などと具体的に表現することもできます。
「こういう新規事業を始めるけど、なんていう目的にしたらよいか」などを聞かれることがあり、司法書士が顧客の希望に合う案を提示することがあります。
このように、司法書士は、単なる事務処理をするのではなく、きちんと相談に乗って適法なものになるようアドバイスする力が問われます。
関連コラム:司法書士の独占業務とは?司法書士だけができることについて解説
まとめ
司法書士にとってのメイン業務の一つである商業登記について解説しました。
商業登記により、会社の現状を正確に登記に反映させることで、誰もが安心してその会社との取引を検討することができます。
司法書士は、商業登記を含め、私たちの生活に安全に役立ったり、権利を守ったりする責任ある仕事をしています。
興味を持った人は、司法書士の資格を目指してみませんか。
関連コラム:「不動産登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
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三枝りょう講師
合格直後から予備校制作スタッフとして受験業界に携わり、翌年にプロ講師としてデビュー。
以来20年以上、プロ合格請負人として各資格スクールから講義を全国に配信し,安定して合格者を輩出。
受験指導総時間1万2000時間のベテラン講師。
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