高校や大学を卒業し、社会人としての経験を積んでいくと、「仕事のやりがい」だけでなく「仕事の虚しさ」や「組織の一員としてのもどかしさ」を感じることもあります。

その中で「自分はこの会社で社会人としての人生を終えていくのか。」と転職や独立などを考える人も一定数いるようです。

しかし、よほどの自信家でもない限り、何の資格やスキルもない状態で転職・独立をして人生がプラスに転じると思える人はいないでしょう。

実際に多くの人は、社会人経験+αの資格や社会的信用を身につけた上で独立をして成功を収めています。

このコラムでは、学歴や実務経験不問で取得をすることができ、かつ社会的信用が高い国家資格である「司法書士」の資格取得のメリットと注意点、また実際に司法書士になって人生が変わった話をお話していきます。

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司法書士で「人生変わる」のはなぜ?理由とメリット6つ

結論から述べると、司法書士資格を取得することは「人生変わる」につながるといえます。

なぜそういえるのでしょうか。主な理由、司法書士になるメリットは次の6つです。

  1. 受験資格がなく、学歴に関係なくキャリアを築いていける
  2. 司法書士は独立しやすい職業である
  3. 独立開業により大きく稼げる可能性がある
  4. 独立後の廃業リスクが低い
  5. 都市圏だけでなく地方で開業することもできる
  6. 司法書士はやりがいのある仕事である

ひとつずつご紹介します。

1.受験資格がなく、学歴に関係なくキャリアを築いていける

司法書士試験には受験資格がありません

例えば弁護士になるための試験である「司法試験」を受験するためには、原則として、法科大学院課程を修了していなければなりません。また社会保険労務士となるための「社会保険労務士試験」は、原則として、大学卒業者であること等、前提となる資格が必要です。

それに対して司法書士試験は、高校を中退した人でも、義務教育以降の学歴がない人でも受験をすることができます。性別、年齢、職業、国籍などの制限も一切ありません。仮に中卒であっても、これからの努力次第で一発逆転は十分に可能です。

受験する回数の制限もないため、何度でもチャレンジすることができます。

学歴に関係なくキャリアを築いていけること、キャリアの選択肢が大きく広がること。言い換えれば、これまでの過去に囚われることなく、ここから先のがんばり次第で自分の未来を変えることができる点が、司法書士資格の取得の魅力の一つと言えるでしょう。

関連コラム:高卒で司法書士になれる?中卒は?司法書士合格は難しいのか解説!

2.司法書士は独立しやすい職業である

司法書士は、独立開業がしやすい職業です。現在は、司法書士法人という企業体のような組織もありますが、その多くは個人事務所で開業しています。

司法書士は元々独立開業するのが前提ともいえる職業であり、試験内容も実務に直結しています。また、新人研修も充実しています。

関連コラム:司法書士の「研修」とは?司法書士試験合格後の流れも解説

実際に独立開業して成功している人の中には、社会人経験の少ない若手や、しばらくの間家庭に専念していた女性なども珍しくありません。

また、司法書士の仕事は頭脳労働なので「仕入れ(商品や原材料の購入)」の必要がありません。最初は自宅兼事務所というスタイルで開業すれば、テナント料も発生しないため、開業資金を抑えることができるのも魅力と言えるでしょう。

3.独立開業により大きく稼げる可能性がある

司法書士の平均的な年収は、971.4万円と言われており、一般的な給与所得者の平均年収よりも高い金額です。

出典:司法書士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

司法書士資格を取得した後に、司法書士法人に勤める「勤務司法書士」としての働き方もあります。

合格後に実務経験を身につけるための選択肢としては良い方法ですが、やはり独立開業した方が収入もやり甲斐も大きく上昇する傾向にあります。

関連コラム:司法書士の年収とは?平均年収・業務の報酬・年収を上げるためのポイント

なお、「2022年版司法書士白書」によると、アンケートに回答した司法書士の40.1%が「経済的に恵まれている」と回答しています。

出典:日本司法書士会連合会 | 司法書士白書2022年版

司法書士になれば誰でも楽して儲かるわけではありませんが、法律専門職でありつつ経営感覚を養っていくことで、現状よりも大きく稼げる可能性は十分にあります

4.独立後の廃業リスクが低い

司法書士の人数は、全国に23,059人(令和3年4月1日現在)と数ある士業の中でも人数が少なく、過度な競争にさらされてはいません。

出典:日本司法書士会連合会 | 会員数他データ集

また、例年司法書士試験の合格者は700人未満であるため、合格者の大半が独立開業しても供給過多にはならないでしょう。

独立に興味がある方の中には、「営業が苦手なので心配」という方もいるかもしれませんが、やり方次第で一定の仕事を得ることは可能です。

仕事の選り好みなどをしなければ廃業リスクは低いと言えます。独立後の廃業リスクについては下記コラムも参考にしてください。

関連コラム:司法書士は独立するメリット多数!成功/失敗する開業司法書士の特徴とは

5.都市圏だけでなく地方で開業することもできる

弁護士の仕事は「紛争の解決」をメインとしているため、弁護士事務所は、紛争の起こりやすいエリア=都市圏に偏在する傾向があります。

それに対して、司法書士の仕事は「不動産や会社に関する手続き」がメインです。これらは全国どこでも存在しているため司法書士のニーズは地方でも多くあります

会社に勤めていた時は東京在住だったが、司法書士として独立開業するにあたって家族全員で地方に移住して成功されている人もいます。

また、日本司法書士会連合会では、司法へのアクセスが困難な地域(司法過疎地域)において独立開業する司法書士に開業資金の貸付け等の財政的な支援を行っており、比較的ローリスクでIターン地方開業が可能です。

参考:日本司法書士会連合会 | 令和4年度司法過疎地開業支援事業の実施について(お知らせ)

6.司法書士はやりがいのある仕事である

独立開業できることも魅力的ですが、司法書士という仕事自体に魅力を感じ、目指す人が司法書士資格取得をすれば、「人生変わる」といえるでしょう。今までの人生を一変させるきっかけになります

司法書士は、専門知識に基づいて法律的な手続きを代理して、依頼者の権利や利益を守ることができる重要な仕事です。法律専門職として社会に貢献しながら活躍することができるため、金銭面以外でも満足度の高い職業生活を送ることができそうです。

ちなみに、「司法書士白書 2022年版」では、経営者司法書士(独立開業している司法書士)の67.9%が「司法書士としての職業生活に満足している」と回答しています。

出典:日本司法書士会連合会 | 司法書士白書2022年版

また独立した場合、いわゆる定年がないため、何歳まで仕事を続けるかも自分次第です。

司法書士資格取得で「人生変わる人」の特徴

以上のことをまとめると、司法書士資格を取得することで「人生変わる」と特にいえるのは、次のような人だといます。

  1. 学歴に囚われずキャリアを築きたい人
  2. 独立して稼ぎたい人
  3. 司法書士という仕事に魅力を感じる人

人生変えたい人が知っておきたい司法書士のリスクとデメリット

ここまで、司法書士資格を取得して人生変わるとはどういうことか、どういう人が変わるといえるのかを、メリット中心にご紹介しました。

しかし当然、司法書士を目指す上で知っておきたい、リスクとデメリットもあります。特に知っておいていただきたいのは、次の2点です。

  • 司法書士として独立したら誰でも成功するわけではない
  • 司法書士試験に合格するのは非常に難しい

これについて、細かく解説していきます。

司法書士として独立したら誰でも成功するわけではない

司法書士として独立するメリットは多数ありますが、誰でも独立できて、誰でも簡単に成功するわけではありません。独立することは、次のようなリスクがあります。

収入が不安定になるリスク

先ほどお話したとおり、司法書士はそれほど廃業リスクの高くない職業ですが、誰もがすぐに収入が安定するわけではありません

徐々に信頼を得ていくことで大器晩成する人も多く、開業してしばらくは不安定な状態が続く覚悟が必要です。

自分が家計の大黒柱になっている場合や住宅ローン等を抱えている場合など、経済的に厳しい期間が続く可能性もあります。

思い切りも大切ですが、ある程度の経済的な見通しを立てたうえで独立開業するのがおすすめです。

自ら営業しなければならない

独立開業した後は、自分で仕事を得ていかなければなりません

司法書士の場合、不特定多数に対して飛び込み営業や営業電話をかけるわけではありませんが、多くの人は最初から顧客が十分いるわけではないため、知人に紹介を頼んだり、ホームページを作成したり、SNSを活用したり、近隣の銀行、不動産会社等に挨拶をしたり、異業種交流会に参加するなど、様々な形で地道に人と知り合う努力をする必要があります

そういったことが極端に苦手な人の場合、強いストレスを感じることもあるでしょう。

ただし、司法書士は司法書士会主催の相談会や成年後見人の団体などがあり、また、必ず一定の市民ニーズがあるため、営業が苦手でも一定の仕事を得る機会には恵まれています。

一人で重責を負うプレッシャーと孤独

独立開業することで得られる自由とは表裏一体で、一人で全責任を負うプレッシャーや孤独もあります。

司法書士の仕事は、他人の権利や財産にかかわるとても責任の重い仕事です。

法的に難しい判断を迫られる場面もあり、それを自分で一人で抱え込んでしまうと強いストレスを感じることがあります。

対策としては、同期合格者などとのつながりを持ち、業務上の相談などができる仲間を見つけておくとよいでしょう

司法書士試験に合格するのは非常に難しい

司法書士試験は非常に難しい試験です。どのように難しいのか、簡単にご紹介します。

試験の合格率は5%前後

近年の司法書士試験の合格率は、5%前後です。

10年前までは「合格率3%」と言われていたので、近年は上昇傾向にあるものの、それでも受験生の95%は不合格となる厳しい試験です。

短期で合格するためには、効率的な学習計画と絶対に司法書士として活躍するという強い気持ちが必要です。

関連コラム:司法書士の難易度とは?合格率と試験が難しい理由・合格するためにすべきことを解説!

試験科目が多くて学習範囲が広い

司法書士試験は、年一回、7月の第1日曜日に実施され、民法、会社法、商業登記法、不動産登記法の主要科目を含めた法律科目11科目の筆記試験です。

全科目の択一式問題(マークシート問題)の出題に加えて、不動産登記法と商業登記法については、実際に登記申請書を作成する記述式問題の出題があります。

学習範囲及び情報量が多く、一般的に一通り学習するだけでも1年から1年半程度はかかります

無駄な情報を省き、出題可能性が高い部分を中心に効率よく学習をする必要があるため、独学では難しい試験と言えます。

関連コラム:司法書士試験合格に必要な勉強時間とは?勉強スケジュールを解説!

本当にあった司法書士取得で人生が変わった話

ここでは、アガルートの司法書士講座を担当する三枝講師の実体験をご紹介します。

私は、平成12年に司法書士試験に合格しました。

合格直後から大手資格予備校で教材制作スタッフとして勤務し、1年後にプロ講師としてデビュー、多くの合格者を輩出してきました。

あれから二十数年、紆余曲折あって、現在は、プロ講師、司法書士実務家、東京司法書士会理事の三足のわらじを履いて暮らしています。

私は高校を中退しています。中退後、4年くらいフリーターを経験して、一念発起して大検(現在の高等学校卒業程度認定試験)を受けて大学に入学しました。

大学3年生になって同級生たちが就職活動を意識し始めた時に、「4年以上遅れて大学に入った私はみんなと対等に就活戦線を戦えるのだろうか」と思いました。

そんな時に大学の生協で目にしたのが資格予備校の司法書士試験のパンフレットです。

受験資格が不要なこと、司法試験よりも短期で合格できる可能性があることなど、当時の私にはとても魅力的に写りました。

大学3年生の春から始めた受験勉強は大変でした。

大学の講義や生活費を稼ぐためのアルバイトとの両立が難しく、4年生の夏の初受験は惨敗でしたが、諦めずに勉強を続け2回目の受験で合格することができました

司法書士試験の場合、2回目合格でも短期合格の部類に入りますが、これは資格予備校を上手に利用できたからだと思います。

スムーズに仕事が決まったのも、プロ講師としてデビューできたのも、司法書士試験に合格したからです。

講師報酬の時給は、学生時代のアルバイトの時給の10倍近くでした。

また、司法書士会の役員として法務局の方とお目にかかったり、現役司法書士の皆さんに改正法の研修講義をすることになるとはフリーター時代には予想もつかなかったことです。

「司法書士になること」が全員にとってベストな選択肢だとは思いません。

しかし、私は、司法書士になって良かったと心から思っています。

司法書士試験を突破するには

司法書士試験に合格するのは非常に難しいというお話は既にしました。

法律系資格では司法試験に次ぐ難易度の高い試験です。

ただし、司法書士試験は秀才しか合格できない試験では決してありません

高度な論文の読解、記述が求められたり、奇問や超長文が出題されるような類の試験ではなく、基本的な知識を正確に身につけることで正解できる問題が出題されます。

「正しい勉強」をすることによって、司法書士試験に短期で合格することは可能です。

「正しい勉強」とは、出題可能性が高い部分を中心に、コツコツとコンスタントに、インプットとアウトプットのバランスを考慮しながら学習を進めることです。

これは独学では実現することが難しいため、短期で合格していち早く司法書士として活躍をしたい人には、アガルートアカデミーを代表とする資格予備校の利用をおすすめします。

私が受験した当時はインターネットが発達しておらず、予備校=通学形式が主流でした。

しかし、通学形式は移動時間や交通費がかかったり、欠席の際のフォローが難しいなど不利な点もありました。

現在は、資格試験に限らずオンライン学習が主流となりつつあります。

オンライン通信講座であれば、受験生の都合の良い時間帯に受講することができ、スキマ時間を活用しながらの効率的な受験勉強が可能です。

アガルートアカデミー司法書士講座は、「受験勉強」と「司法書士試験合格」を最短ルートで結ぶ講座設計となっています。

受験初心者だけでなく、受験経験者向けの講座もあり充実のラインナップです。

アガルート受講生の合格率は15.4%で、全国平均5.2%の2.96倍という実績(令和5年度)もあるため自信を持ってお勧めすることができます。

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三枝講師

この記事の著者 三枝 りょう 講師

三枝りょう講師



合格直後から予備校制作スタッフとして受験業界に携わり、翌年にプロ講師としてデビュー。

以来20年以上、プロ合格請負人として各資格スクールから講義を全国に配信し,安定して合格者を輩出。

受験指導総時間1万2000時間のベテラン講師。

三枝りょう講師の紹介はこちら

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