中小企業診断士の試験を受けるか迷っている人は、本当に価値があるのかや、無駄にならないかが気になりますよね。

独占業務が無い点や、必要な勉強時間が多い点から、中小企業診断士の取得はやめとけと言われるケースもあります。

当コラムでは、中小企業診断士がやめとけと言われる理由を徹底解説!

中小企業診断士のメリットやおすすめできる人の特徴も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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飯野一講師が、中小企業診断士は意味ないと言われる理由や、取得のメリットについて動画で解説します。

中小企業診断士の資格取得がおすすめな人の特徴も説明しているので、ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士がやめとけ・役に立たないと言われる理由4つ!

中小企業診断士がやめとけ・役に立たないと言われる理由は、以下の4つです。

  • 独占業務がない
  • 必要な勉強時間が多く、難易度が高い
  • 中小企業診断士の年収があまり上がらない可能性がある
  • 資格取得は仕事に直結しないことが多い

それぞれのポイントを解説します。

独占業務がない

中小企業診断士がやめとけと言われる理由に、独占業務がないことが挙げられます。

独占業務とは、その資格を保有している人だけが遂行できる業務を指します。

例えば、弁護士司法書士行政書士などは独占業務を持つ資格です。

一方で中小企業診断士は独占業務が無く、取得しても仕事に直結しない・価値がないと感じてしまう方もいるため、やめとけと言われるケースがあります。

必要な勉強時間が多く、難易度が高い

中小企業診断士は必要な勉強時間が多く、難易度が高いことも資格取得に否定的な意見がある理由の一つです。

中小企業診断士とその他有名な資格試験の合格に際し、合格率と、一般的に必要な勉強時間は以下の通りです。

合格率

資格試験合格率
中小企業診断士3~8%(1次試験合格率×2次試験合格率)
税理士18%
宅建15~17%
FP1級13%(学科試験合格率×実技試験合格率)
行政書士11~15%
公認会計士10%
社労士6~7%
司法書士3~5%

勉強時間

資格試験勉強時間
中小企業診断士1,000時間
税理士3,000時間
宅建300~400時間
FP1級600時間
行政書士600~1,000時間
公認会計士3,500時間
社労士1,000時間
司法書士3,000時間

このように、有名な資格試験の中でも勉強時間が多く、合格率も低いことがわかります。

中小企業診断士の年収があまり上がらない可能性がある

中小企業診断士を取得しても、年収があまり上がらないケースがあります。

中小企業診断士の平均年収は、独立している人を含め「500万〜800万円」と言われています。

日本人の平均年収である「433万円」より高水準であるものの、大きく年収アップが見込めるわけではありません。

また、一般社団法人である中小企業診断協会が発表している「『中小企業診断士活動状況アンケート調査」』結果について」によると、「受注機会の確保が難しい」や、「収入が安定しない」、「現在に比べ、収入が低下する」といったことが挙げられ、独立に踏み切れないと感じている人が一定数いることが伺えます。

※参考:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」 結果について

資格取得は仕事に直結しないことが多い

中小企業診断士の資格を習得する過程で、中小企業の経営における知識が身につきます。

しかし、習得した知識が無条件で業務に活きるわけではなく、学んだ知識を活用できるよう業務を遂行しなければなりません。

また、資格を取得しても仕事の獲得に直接つながるわけではなく、資格取得後も他者との差別化は必要不可欠です。

中小企業診断士はきつい?しんどいと言われる理由とは

中小企業診断士の資格取得がきつい、しんどいといわれる理由は、学習時間と試験体系にあります。

先述の通り、中小企業診断士の資格取得には、平均で「1,000時間」が必要と言われています。

実際に働きながら1,000時間の勉強時間を確保するとなると、かなりのハードスケジュールとなるでしょう。

また、中小企業診断士としての登録を受けるには、「1次試験・2次試験」双方を合格したうえで、「合格後の実習(実務補習)」をクリアする必要があります。

このように資格取得のハードルが高いことが、中小企業診断士は「きつい、しんどい」といわれる理由です。

中小企業診断士は仕事がないって本当?

「中小企業診断士になっても仕事がないのでは?」と不安に思う方もいるかと思いますが、仕事がないというのは本当ではありません。

中小企業診断士には独占業務がありませんが、資格を活かして働ける仕事はたくさんあります。

代表的な仕事は経営コンサルティングです。

国内には経営に課題を抱えた中小企業が多く存在するため、中小企業診断士の資格を持つ専門家のコンサルティングは需要があります。

さらに、経営に関する研修やセミナーの講師も行えるため、副業的に資格を活かして働くことも可能です。

中小企業診断士には独占業務がないものの、資格を取得していることで行える仕事の幅は広いでしょう。

中小企業診断士の取得メリット・必要性とは?

ここまで中小企業診断士がやめとけと言われる理由を解説しましたが、一方で以下のようなメリットもあります。

  • 経営状況を多角的に見る力がつく
  • 人脈が広がる
  • 独立開業すれば、高い年収も目指せる

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

経営状況を多角的に見る力がつく

中小企業診断士の資格を取得して、業務を遂行していくと、経営状況を多角的に見る力が身につきます。

企業の経営資源であるヒト・モノ・カネを俯瞰的に把握したうえで、これらの資源を適切に配分できるようになり、より効率の良い経営を推進することが可能です。

企業に所属しながら中小企業診断士として働く場合、これらの要因を考慮した提案をすることができるようになります。

人脈が広がる

中小企業診断士は、中小企業診断協会や研究会・勉強会といった活動があり、人脈を広げることが可能です。

このネットワークを活かし、社外の税理士や社会保険労務士といったスペシャリストと繋がることで、さまざまなクライアントとつながるパイプ役として活躍できます。

これらの人脈は独立の際にも活きてくるため、かけがえのないものとなるでしょう。

独立開業すれば、高い年収も目指せる

中小企業診断士は、独立開業すれば高い年収も目指せます。

先ほどもご紹介した「中小企業診断士活動状況アンケート調査」によると、独立開業している中小企業診断士の年収は、以下の構成比となっています。

年間売上回答数構成比割合
300万円以内8314.3%
301~400万円以内518.8%
401~500万円以内5810.0%
501~800万円以内12421.4%
801~1,000万円以内6611.4%
1,001~1,500万円以内8915.4%
1,501~2,000万円以内396.7%
2,001~2,500万円以内254.3%
2,501~3,000万円以内162.8%
3,001万円以上284.8%
合計579100.00%

※参考:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」 結果について

上記データから平均年収を算出すると、約1,000万円であり、サラリーマンの平均年収である443万円と比べると非常に高い水準となります。

このように、中小企業診断士を取得したうえで独立することで、高い年収を目指すことが可能です。

将来の選択肢が広がる

企業に所属して、中小企業診断士として活躍するのももちろん選択肢の一つです。

加えて、独立も可能となるため、将来の選択肢が広がるという魅力もあります。

もちろん、現在お勤めの会社で資格取得者として、さらに活躍できる可能性もあるでしょう。

このように、中小企業診断士の資格取得はさまざまな価値があり、長い勉強時間に見合うメリットがあるといえます。

中小企業診断士のキャリア・働き方

当セクションでは、中小企業診断士のキャリア・働き方の例をご紹介します。

  • コンサルティング会社で働く
  • 会計事務所、税理士事務所で働く
  • 一般企業の企業内診断士として働く
  • 個人事業主として開業する

中小企業診断士にはさまざまな働き方やキャリア形成が期待できます。

コンサルティング会社で働く

中小企業診断士の得意分野であるコンサルティングを活かしたい場合、コンサルティング会社で働くことがおすすめです。

資格の取得過程で学んだ内容を存分に活用して業務を遂行でき、大きな達成感を味わえるでしょう。

さらに実務経験も得られるため、中小企業診断士としてのキャリア形成も十分期待できます。

会計事務所、税理士事務所で働く

会計事務所、税理士事務所といった、士業に関する事務所で働くことも選択肢の一つです。

中小企業診断士の学習範囲の中に「財務・会計」分野があり、会計事務所や税理士事務所で取り扱う分野との親和性が非常に高いです。

そのため、会計事務所、税理士事務所においても、中小企業診断士として活躍することができます。

一般企業の企業内診断士として働く

中小企業診断士は、一般企業の企業内診断士として働くことも可能です。

経営に関する知識を存分に活かし、経営企画部門に所属して経営戦略の立案・遂行などを行います。

大企業に就職ができれば、安定した収入と充実した福利厚生が期待でき、安心して働くことができるでしょう。

個人事業主として開業する

中小企業診断士を取得すると、個人事業主として開業することもできます。

企業のコンサルティングはもちろん、商工会議所から委託される公的な業務や、セミナー講師など、さまざまな業務があります。

企業に所属した際に比べて収入は安定しませんが、他者との差別化ができれば、先述の通り高い年収を期待できる選択肢です。

中小企業診断士がおすすめできる人の特徴

最後に、中小企業診断士がおすすめできる人の特徴をご紹介します。

  • 経営に関する業務に携わりたい人
  • コンサル業界に転職を考えている人
  • 将来的に独立・起業に興味がある人
  • 人脈を広げたい人

これらの特徴に合致する人には、中小企業診断士を取得することがおすすめです。

経営に関する業務に携わりたい人

経営に関する業務に携わりたい人は、中小企業診断士を取得することがおすすめです。

中小企業診断士の学習過程で、経営に関する知識をはじめ、経営診断や解決策の立案方法も学ぶことができます。

これらの知識を活かし、経営に関する業務を遂行したい人は中小企業診断士の資格取得を目指しましょう。

コンサル業界に転職を考えている人

コンサルティング業界への転職を考えている人にも、中小企業診断士の取得はおすすめです。

コンサルティングは中小企業診断士の得意分野であるため、コンサル業界へ転職する際には有利な資格となります。

他の応募者との差別化もできるようになるため、ぜひ資格を取得しておくことをおすすめします。

将来的に独立・起業に興味がある人

将来的に独立・起業を目指す人にも、中小企業診断士はおすすめです。

企業のコンサルティングやセミナー講師、公的業務など、独立した中小企業診断士にはさまざまな働き方があります。

独立によって高い年収を目指すことも可能であるため、会社に所属するだけでない新たな選択肢が欲しい人には、中小企業診断士の資格取得がおすすめです。

人脈を広げたい人

中小企業診断士同士や、他の士業との人脈を広げたい人にも、中小企業診断士がおすすめできます。

先述の通り、中小企業診断士には、中小企業診断協会や研究会・勉強会といった活動があります。

これらの会を通じて、さまざまな人脈の獲得ができるでしょう。

人脈を広げることで、独立起業の際にも活きてくるため、将来的に独立を考える人にとっては非常に大きなメリットです。

まとめ

中小企業診断士は、独占業務がないことや資格取得のハードルが高いことから、「やめとけ」と言われるケースがあります。

また、資格を取得しても年収があまり上がらない可能性があったり、仕事に直結しないことが多かったりすることも、価値がないといわれる理由の一つです。

しかし、中小企業診断士を取得することで、企業の経営状況を多角的に見る力が身につきます。

これらのスキルを活かすことで、企業で働くことはもちろん、年収の高いコンサル業界の転職や、独立・開業に活かすことも可能です。

経営に関する業務に携わりたい人や、将来の選択肢を広げたい人は、中小企業診断士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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