中小企業診断士試験に取り組まれる方の中には、養成課程が気になる方もいるのではないでしょうか?

今回は、中小企業診断士の養成課程とは何か、実際の中小企業診断士の養成課程がある機関について詳しくまとめています。

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中小企業診断士の養成課程機関一覧

実際の中小企業診断士の養成課程は公表されているものをまとめると以下の通りです。(2024年10月時点)

機関名公式HP地域受講料
(2024年、税込)
期間・授業日MBA同時取得
独立行政法人中小企業基盤整備機構中小企業大学校東京校https://www.smrj.go.jp/institute/tokyo/index.html東京都
(東大和)
2,343,000円
(1,171,500円ずつの分割納付にも対応)
期間:約6ヶ月間
授業:平日
演習 9:40~16:40実習 9:40~17:40
なし
法政大学http://www.im.i.hosei.ac.jp/東京都千代田区3,124,000円(1年制)期間:1年間

授業:月~土(8:50~22:00)
あり
一般社団法人日本生産性本部http://consul.jpc-net.jp/mc/kouza/shindanshi/index.html東京都千代田区2,750,000円6ヶ月間、全日制
なし
公益財団法人株式会社日本マンパワーhttp://www.nipponmanpower.co.jp/東京都千代田区入学金440,000万円受講料2,310,000万円期間:1年間
授業:火・木・土(実習期間を除く)
なし
中部産業連盟http://www.chusanren.or.jp/愛知県名古屋市入学金:330,000円
受講料:2,090,000円
期間:1年間
授業:火・木・土
(実習期間を除く)
なし
東洋大学https://www.toyo.ac.jp/academics/mba/finance/東京都文京区1,420,000円期間:2年間
授業:平日夜間・土日
(実習期間を除く)
あり
千葉学園(千葉商科大学)https://www.cuc.ac.jp/dpt_grad_sch/graduate_sch/master_prog/smec/index.html千葉県市川市入学初年度納入金:1,382,080円期間:2年
授業:土日(実習期間を除く)
あり
兵庫県立大学http://www.u-hyogo.ac.jp/mba/兵庫県神戸市1,834,600円期間:1年6ヵ月
授業:土曜中心(一部日曜・平日)
あり
城西国際大学https://www.jiu.ac.jp/graduate/management/smec/東京都千代田区2,544,000円期間:2年
授業:土曜中心(一部平日夜間)
あり
一般社団法人福岡県中小企業診断士協会https://smec-yousei.jp/福岡県福岡市2,750,000万円期間:1年
授業:火・木の夜間、土日(実習期間を除く)
なし
札幌商工会議所https://shindanshi-yousei.jp/札幌市中央区2,035,000円期間:約半年
授業:平日
なし
日本工業大学https://mot.nit.ac.jp/course/enterprises/katei東京都千代田区2,500,000万円期間:1年
授業:火・金夜間、土曜日(実習期間を除く)
なし
大阪経済大学http://www.osaka-ue.ac.jp/life/chushoukigyoushindanshi/大阪府大阪市2,000,000円期間:1年
授業:平日夜間・土曜日
なし
関西学院大学https://iba.kwansei.ac.jp/chusho/兵庫県西宮市2,790,000円期間:2年
授業:平日夜間・土日
あり

働きながら通えるのは中部産業連盟、東洋大学、日本工業大学、大阪経済大学の4校

夜間、土日で学べる機関は中部産業連盟、東洋大学、日本工業大学、大阪経済大学の4校です。

昼間のコースに働きながら通うには会社派遣などかなり条件が揃わないと難しくなります。。

気になったら事前説明会(オンライン)に参加してみよう

基本どこの機関もオンライン説明会を実施しています。

一般的に新年度を見据えた秋頃に開催されるケースが多いです。気になる養成課程があればぜひHPをチェックし、実際の入学者の様子などを聞いてみましょう。

また、学校によっては在学生や卒業生を紹介してくれるところもありますので、積極的に問い合わせてみることをおすすめします。

中小企業診断士の養成課程とは

中小企業診断士養成課程とは、中小企業診断士一次試験に合格後、中小企業庁が指定する演習と実習を受講/修了することで中小企業診断士資格が与えられるというものです。

出典:中小企業診断協会

試験のみの過程であれば、一次試験合格後、二次試験、実務補習または実務従事(15日以上)を経て中小企業診断士登録(経済産業大臣登録)となりますが、養成課程では「2次試験、実務補習または実務従事」が不要になります。

養成課程には「養成課程」と「登録養成課程」がありますが、養成課程は中小企業基盤整備機構 中小企業大学校で実施されるもの、登録養成課程は指定されている民間教育機関で行われるものを示しています。

なぜ養成課程があるのか

2005年に行われた支援法基準省令及び登録等規則の改正で、従来中小企業大学校のみだった中小企業診断士養成課程を民間の登録養成機関にも開放したことなどから、より実態的なスキルを持つ中小企業診断士が増えることを望んでいるからだと考えられます。

より実務を重視して活躍できるコンサルタントを輩出したい方針であり、診断士受験者が毎年1万人以上の中で試験の合格率は4%程度です。

試験難易度は上昇傾向である一方で、合格率が低いため難関試験を通過する特有の試験スキルが重要視されてしまいます。

コストや条件などを考慮して一定程度は試験で選考して輩出し、養成課程を設けることで、できる限りスキルを持った中小企業診断士を増やしていけると考えているのではないでしょうか。

養成課程にかかる費用

機関によって総額は異なりますが、例えば中小企業大学校の養成課程では入学金や授業料だけでは約200万円程度ですが、その他経費を含めると全体で約360万円くらいかかります。

実際に中小企業診断士の養成課程を修了するまでにかかった費用例を紹介します。

  • 入学金、授業料・・・235万円
  • 食費、寮費・・・72万円
  • 実地研修・・・30万円
  • 交際費・・・10万円
  • 健康保険などの税務支出・・・13万円

仮に会社を退職して養成課程に参加するケースである場合には、前年度住民税や保険料などが追加でかかってくるため、学費だけではなく全体の予算も考えて養成課程にチャレンジしましょう。

養成課程では何をするの?カリキュラムの内容について

機関によってカリキュラムは異なりますが、主に「演習」と「実習」に分けられます。

演習

演習では、助言能力、経営機能別マネジメント、経営戦略、創業・ベンチャー、経営革新、総合戦略といった中小企業診断士として必要となる基礎的な知識を学びます。

一次試験でテキスト上で学んできたことに対して実践を踏まえて深堀りするイメージです。

実習

実習は経営診断実習として、事前準備、ヒアリング、討議検討、資料化、発表・プレゼン、振返りといった内容で進みます。

演習は座学が中心となり、講義形式で進みますが、実習はチームに分かれて進むため、プロジェクトルームを借りてチームワークで進みます。

リード役、各パートリーダーを決めて進み、プロジェクトワークに関する総務事など(必要な場合、wifiレンタルなど)も分担して進めます。

中小企業診断士養成課程の受験資格について

中小企業診断士登録養成課程については、次の(1)と(2)のいずれかに該当する者のみ履修することができます。

(1) 当該年度もしくはその前年度に中小企業診断士国家試験第一次試験に合格した者(ただし、入学時までに中小企業診断士国家試験第二次試験に合格した者は、中小企業診断士登録養成課程の履修はできません。)
(2) 平成12年度以前の中小企業診断士試験に合格した者については、次の①から③のいずれかに該当する者を除いて、1回に限り履修することができます。
 ① 平成13年以降の中小企業診断士国家試験第二次試験を受験した者
 ② 平成18年4月以降独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する養成課程を受講した者
 ③ 国に登録した他の登録養成機関が実施する登録養成課程を受講した者

要するに中小企業診断士1次試験の合格はマストであるということ。

ここまでは中小企業診断士登録養成課程に共通して言うことのできる受験資格です。

しかしその一方、養成課程は実施機関がそれぞれ異なることもあり、それぞれの機関ごとに独自の受験資格などを設けている場合があります。

そのため正確な情報を見るにはそれぞれの機関の公式HPを見ることが推奨されますが、以下では参考までに有名3校に関して個別の受験資格を見ていきます。

兵庫県立大学

兵庫県立大学の大学院 経営専門職専攻 専門職学位課程では出願資格に関して、中小企業診断士養成課程も含めて以下のような記述があります。

2年以上の実務経験を有するか、又は入学までに有する見込みの者に限る

※出典:2023年度兵庫県立大学大学院 社会科学研究科経営専門職専攻(MBA)入学者選抜方法等

※関連コラム:兵庫県立大学ビジネススクール【入試対策】

法政大学

法政大学の大学院 MBA 特別プログラム(中小企業診断士養成課程)では、受験資格として

[1] 海外を含む民間企業や行政機関、公益法人等において、原則 3 年以上の実務経験を有する者
★[2] 本専門職大学院において、個別の出願資格審査により、原則 3 年以上の実務経験を有した者と同等以上の実務能力があると認めた者

(ただし、★により出願しようとする者、所定の出願資格審査を受ける必要があります)

である必要があるという趣旨の内容が記述されています。

※出典:2023年度法政大学専門職大学院入試要項

※関連コラム:法政大学ビジネススクール【入試対策】(中小企業診断士養成課程)

関西学院大学

関西学院大学大学院 中小企業診断士養成課程プログラムでは、受験資格として「原則として同一の企業、官公庁、教育・研究機関等において、3年以上の勤務経験を有しかつ25歳に達する者」との記述があります。

※出典:関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科入学試験要項2023年度(春学期入学)

※関連コラム:関西学院大学ビジネススクール【入試対策】

中小企業診断士の養成課程は厳しい

中小企業診断士の養成課程は入学さえできれば資格が取得できると考える方もいると思いますが、中小企業診断士の養成課程は厳しいところもあります。

まず、入学試験があります。

MBAの学位も取得できるとして養成課程として人気がある、「兵庫県立大学ビジネススクール」「法政大学ビジネススクール」入学試験では、出願書類と面接があります。兵庫県立大学は経営学に関する小論文もあります。

入学後には、履修不十分で途中退学になるケースもあります。

多様なバックグラウンドの方が参加されるため、仕事の都合がつかなくなって離脱される方や、体調を崩して欠席が続く方もいます。

養成課程で扱う内容が経営診断であったり経営改革などがテーマのため、そもそも難易度が低くなく、実習期間におけるプロジェクトワークでついていけない、チームメンバーと波長が合わなくて進められないといったこともあります。

各機関の倍率は1.1〜3倍(高いと3倍以上のことも)

各機関の合格率は公表されていないため、正確にはわかりませんが、各機関の合格者数などから推測、経験上踏まえると約1.1~3倍程度と推測します。

機関によっては志願者が予定合格者数を下回るケースもあるようですが、倍率1倍未満であるからといって全員合格とはなりません。

あくまでも資質、意欲、能力を踏まえて決定しています。

選考に関してもおおよそ一次は書類選考、二次は面談あるいは小論文があるので、きちんと対策しないと合格することはできません。

機関によってはMBA学位取得併設などカリキュラムも特徴があり様々であることなどを踏まえて、「とりあえず出願すれば合格できる」と言えるものではありません。

カリキュラムなど熟慮したうえで志願意思を固めることをおすすめします。

養成課程と二次試験+実務補習を比較!どっちが簡単なのか?

結論、養成課程と二次試験+実務補習は優劣はなくどちらのルートでも大変です。

いろいろな条件や環境、お金の問題、地域や仕事との兼ね合いの問題、適正の問題などを踏まえて自分に合ったコースを選択することをお勧めします。

参考までに養成課程と2次試験+実務補修のメリットデメリットを比較してみました。

養成課程のメリット・デメリット

養成課程のメリットとデメリットについて感じる点を解説します。

メリット

実践形式で中小企業診断士資格取得ができる

これまでの説明の通り、通学式でありより実践に近い内容がカリキュラムに組み込まれています。他の参加者のやる気やスキルなども体感できる点もメリットと言えます。

実践や対面授業が好きな人にとってはカリキュラムが楽しい

実践形式、ライブ授業は熱気もありますし、スピード感もあって楽しいです。これは適正によると思いますが、合っている人にとっては楽しく、メリットと言えます。

デメリット

通学が大変/コストが高い

これも環境によりますが、年間を通して通学が必要になっており、まとまった時間の確保ができないと継続することが難しいです。また、通学や学費、環境設定にたくさんのお金がかかります。

二次試験を経験できない

デメリットと言えるかわかりませんが、二次試験+実務補習で中小企業診断士登録する方が多数を占めるので、中小企業診断士取得後の活動で二次試験の話題についていけない、二次試験指導の仕事があっても受けることができません。

二次試験+実務補習のメリット・デメリット

二次試験+実務補習のメリットとデメリットについて感じる点を記載します。

メリット

自分のペースで取得に向けて取組める

養成課程の逆ですが、自分のペースで取得に向けて取り組める点が最大のメリットと言えます。二次試験に関しては平日・土日かかわらず学習することができますし、今は動画学習サービスが充実しているので、いつでもどこでもスマホさえあれば勉強可能です。実務補習はいくつかの予定から選択することになりますが、養成課程のスケジュールと比較しても柔軟性は高いです。

コストが安い

実践形式、ライブ授業は熱気もありますし、スピード感もあって楽しいのですが、その分デメリットにもある通り、コストがかかります。二次試験+実務補習は圧倒的にコストが安いです。テキストを買っても数万円ですし、養成課程の学費200万円前後と考えてもコストが大きく違います。

デメリット

実践できる機会が減る

こちらも養成課程の逆ですが、座学中心で二次試験をクリアするまでは実践機会はありません。また、実務補習で実践に一部触れますが、養成課程と比較して実践機会が圧倒的に違います。

孤独で辛い

メリットの逆ですが、自分のペースで個人学習を進める時間が長い点は、孤独との戦いです。特に二次試験は正解がはっきりとあるものばかりではないため、直線的に成長しない時期があり、モチベーションの維持が特に難しいです。

中小企業診断士の養成課程に関するよくある質問

最後に中小企業診断士の養成課程に関するよくある質問について回答します。

Q.平均年齢や受講者層はどれくらい?

中小企業大学校の記載によると平均年齢は29歳程度です。受講者層では、25歳以上~35歳未満の方が多く受講していますが、実際にはもう少し高い印象があります。最近は事業承継などを視野に資格取得を目指す方なども多く、年齢は上昇傾向にある印象です。

Q.給付金や助成金の利用はできる?

最大10万円の教育訓練給付金の対象になります。また、大学院などのMBAやMOTなどの経営修士等とのダブルライセンスを狙う場合「専門実戦教育訓練」に対応する場合もあり、これなら1年間最大56万円、2年間で最大112万円の給付が受けられます。

ただし、助成金をもらうためには、たくさん書類の申請や報告が必要になることだけ留意してください。
関連コラム:専門実践教育訓練給付金の基礎知識&国内MBA対象校一覧

Q.二次試験に落ちたあとでも養成課程に申し込める?

2次試験に落ちた後に養成課程に出願することは可能です。1回目の入試の申し込み期限は二次試験前になっていることが多いですが、各機関が2、3回受験の受験のチャンスを設けてくれているため、二次試験に落ちた後でも申し込めます。

ただし、同様に受験する人がいることや2,3回目の募集人員は1回目より少ないことが多いため、倍率が高くなる傾向にあります。

Q.二次試験と養成課程は併願できる?

2次試験と養成課程を併願することができます。

二次試験と日程が重ならないように養成課程が考慮していると考えられます。

Q.養成課程に学歴要件はある?

養成課程に学歴要件はありません。各養成課程の募集要項を確認することをお勧めしますが、基本的に学歴要件はないと考えていいです。ご安心ください。

Q.養成課程の入試はどんな内容?どんな準備が必要?

基本は二次選考まであって、一次は書類選考、二次は面談やグループディスカッション、小論文などで選考されます。

機関によって入試傾向が少しずつ異なります。説明会に参加したり、合格体験記を読んだりしてみてください。個別で問い合わせても快く対応してくれるので、気になる方は問い合わせをしてみましょう。

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関連コラム:中小企業診断士試験の概要|試験日・申し込み方法も解説

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