中小企業診断士の1次試験に合格すると、次は2次試験に進むことになります。

中小企業診断士2次試験はどのような科目が出題される試験なのでしょうか?

中小企業診断士になる前の最後の関門なので、どのような試験なのか気になる人は多いと思います。

中小企業診断士2次試験の試験内容や各科目の出題傾向、試験の対策方法を解説します。

合格基準、合格率などについても触れていますので確認し理解を深めましょう。

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2024年中小企業診断士 2次試験の内容

試験会場

2024年中小企業診断士2次試験の内容は以下のようになっています。

試験日(筆記試験) 令和6年10月27日(日)
試験日(口述試験)令和7年1月26日(日)
合格発表日筆記試験:令和7年1月15日(水)
口述試験:令和7年2月5日(水)
試験場所(都道府県)札幌(北海道)・仙台(宮城県)・東京・名古屋(愛知県)・大阪・広島・福岡
出題形式(筆記試験)15~200字程度の記述式
出題形式(口述試験)約10分間の面接試験
受験手数料17,800円
参考:令和6年度の試験について

筆記試験の概要

ここでは、中小企業診断士試験の2次試験における、筆記試験について解説します。

筆記試験の概要は以下のとおりです。

試験スケジュール【2次試験 申込書配布・受付】2024年8月23日(金)~9月17日(火)
【筆記試験】2024年10月27日(日)
【筆記試験合格発表】2025年1月15日(水)
受験資格・同年度の一次試験合格者
・前年度の一次試験合格者
・全前年度の一次試験合格者のうち、前年度の二次試験を受験しなかった者
・平成12年度以前の一次試験合格者(一度のみ)
試験科目・事例 I
・事例 II
・事例 III
・事例 III
合格基準総得点の60%以上かつ、各科目で40点を下回るものがないこと
受験地札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
参考:日本中小企業診断士協会連合会

以下で詳しく解説します。

試験スケジュール

二次試験における筆記試験は、例年10月下旬に行われます。

一次試験の合格発表が例年9月上旬なので、約1~2ヵ月後に試験です。

2024年度は2024年10月27日(日)に筆記試験、2025年1月15日(水)に合格発表となっています。

受験資格

二次試験における筆記試験の受験資格は、以下のとおりです。

  • 同年度の一次試験合格者
  • 前年度の一次試験合格者
  • 全前年度の一次試験合格者のうち、前年度の二次試験を受験しなかった者
  • 平成12年度以前の一次試験合格者(一度のみ)

一次試験には受験資格がありませんが、二次試験では一次試験に合格している必要があります。

試験科目

中小企業診断士の試験科目は、以下の4つです。

  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 II
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 III
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 IV

4科目あり、配点は各100点です。

合格基準

筆記試験の合格基準は、以下のとおりです。

  • 総得点の60%以上かつ、各科目で40点を下回るものがないこと

満点が400点なので、全体で240点以上取り、なおかつ40点を下回る科目がないことが、合格の条件となります。

また、一次試験では科目合格の制度がありますが、筆記試験ではありません。

受験地

筆記試験の受験地は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の7地域です。

一次試験よりも受験地が少ないため、遠方に住んでいる方は、事前に交通手段や宿泊地を確保しておきましょう。

口述試験の概要

ここでは、中小企業診断士試験の2次試験における、口述試験について解説します。

口述試験の概要は以下のとおりです。

試験スケジュール【口述試験】2025年1月26日(日)【口述試験合格発表】2025年2月5日(水)
受験資格筆記試験において相当の成績を修め、口述試験を受験する資格を得た方
試験内容筆記試験で出題された事例をもとにした質問に対し口頭で回答
合格基準評定が 60% 以上
受験地札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
参考:日本中小企業診断士協会連合会

以下で詳しく解説します。

試験スケジュール

二次試験における口述試験は、例年1月下旬に行われます。

筆記試験の合格発表が例年1月中旬なので、合格発表後すぐに口述試験が実施されます。

2024年度は2025年1月26日(日)に口述試験、2025年2月5日(水)に合格発表です。

受験資格

二次試験における口述試験の受験資格は、以下のとおりです。

  • 筆記試験において相当の成績を修め、口述試験を受験する資格を得た方

筆記試験に合格した方が、口述試験に進むことができます。

試験内容

二次試験における口述試験では、面接形式で実施されます。

筆記試験で出題された事例をもとにした質問をされるので、それに対し口頭で答える形式です。

中小企業の経営状況を分析し、分析結果を基に助言を行う能力が評価されます。

口述試験は1人当たり約10分間です。

合格基準

口述試験の合格基準は「評定が 60% 以上であること」です。

なお合格率は非常に高く、例年合格率が99%以上ですので、きちんと受け答えができれば合格できると言えるでしょう。

受験地

口述試験の受験地は筆記試験と同じく、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡です。

筆記試験の合格発表から1か月経たずに口述試験があるため、合格発表後すぐに宿泊施設などの予約をしておくとよいでしょう。

2次試験の合格率

過去6年分の中小企業診断士2次試験の合格率は以下のようになっています。

年度 受験者数 筆記試験合格者数 2次試験合格者数 合格率
2023年 8,266 1,557 1,555 18.9%
2022年 8,745 1,632 1,625 18.7%
2021年 8,757 1,605 1,600 18.3%
2020年 6,388 1,175 1,174 18.4%
2019年 5,954 1,091 1,088 18.3%
2018年 4,821 906 905 18.8%

これを見ると、18~19%で推移しており、かつ毎年安定して一定の割合で合格者を輩出していることが分かります。

2次試験に合格するにはこの低い水準を突破しなければならず、腰を据えて勉強する必要があります。

筆記試験の合格率

筆記試験の合格率は、例年約18%となっています。

以下は過去6年間の合格率です。

年度受験者数 合格者数合格率
2023年8,2661,55718.8%
2022年8,7451,63218.7%
2021年8,7571,60518.3%
2020年6,3881,17518.4%
2019年5,9541,09118.3%
2018年4,82190618.8%
参考:過去の試験結果・統計資料

口述試験の合格率

口述試験の合格率は高く、例年99%以上となっています。

以下は過去6年間の合格率です。

年度口述試験を受験する資格を得た者合格者数合格率
2023年1,5571,55599.87%
2022年1,6321,62599.57%
2021年1,6051,60099.69%
2020年1,1751,17499.91%
2019年1,0911,08899.73%
2018年90690599.89%
参考:過去の試験結果・統計資料

【試験科目別】筆記試験の出題傾向と対策方法

ここでは、試験科目別に筆記試験の出題傾向と対策方法を解説します。

筆記試験の試験科目は、以下の4つです。

  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 II
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 III
  • 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 IV

筆記試験の出題形式は記述式となっています。

具体的には、企業の概要が記載された文章が数ページあり、それに対して4~5問ほどの設問があります。数値や15~200字以内の指定された文字数で解答を記述する形式です。

マークシート式で消去法が利用できた1次試験と異なるため、事例を正確に把握する能力の研鑽につとめるといった勉強をする必要があります。

以下で試験科目別に詳しく解説します。

事例1の出題傾向と対策

事例1は、企業の組織戦略・人事戦略がテーマとなります。

この科目の出題傾向

組織や人事に課題を抱えている企業について出題されます。

その性質上、社員数が100名前後でそれなりに規模が大きく歴史のある企業が題材になることが多いです。

出題される問題は、過去の事業の成功要因や失敗要因の分析、現在の課題を解決するための人事施策の提案などです。

具体的な施策名と、その施策を行った場合の効果についての知識が必要な問題が多く出題されます。

1次試験の科目では、企業経営論で学んだ知識を使用します。

この科目の対策方法

事例1の試験対策のポイントは2点あります。

1点目は、組織・人事の問題であることを意識する事です。

例えば、「売上の改善」という課題があった際に、商品の品質やマーケティングの観点から解答を作成したくなる事があります。

ですが、事例1ではあくまで組織・人事の観点からの解答が求められています。

そのため、解答作成前に組織・人事の問題であることを思い出す工夫をすると良いでしょう。

2点目は、事例企業の過去の成功体験から、企業の強みを見つけ出すことです。

事例1で題材になる企業は過去に成功した経験があるものの、環境が変化したことで新たな経営課題を抱えています。

過去の成功体験により生まれた強みを活かしながら、時代に合わせて組織を変化させる事によって課題解決をする提案ができると良いでしょう。

事例2の出題傾向と対策

事例2では、マーケティング戦略がテーマとなります。

この科目の出題傾向

社員数が10名程度の小規模企業が題材になる事が多いです。

企業の強み・弱みや市場動向を分析し、市場競争の中で生き残るための取組を提案する問題が多く出題されます。

1次試験の科目では、企業経営論や運営管理で学んだ知識を使用します。

例年、与件文の分量は一番多い傾向ですが、サービス業や小売業が題材になる事が多く、事業のイメージは付きやすいです。

この科目の対策方法

事例2の試験対策のポイントは3点あります。

1点目は、ターゲット顧客を意識する事です。

ターゲットの選定により回答の方向性が決まっていきます。

ターゲットは与件文の中に登場する事が多いので、ターゲットを誰にするべきかを意識しながら与件文を読み進めていくと良いでしょう。

2点目は、与件文以外の情報を使用しない事です。

事例2では馴染みのある業種が多いため、自身の経験を使用して独自の回答を作成しがちになります。

ですが、事例2の場合、与件文に記載されている内容以外のことを記入しても、得点には繋がりにくい傾向があります。

なので、なるべく与件文以外の情報は使用しないようにしましょう。

3点目は、強みを生かした提案をする事です。

小規模企業が売上を伸ばすためには大企業との競争をできる限り避けなければなりません。

そのため、自社ならではの強みを活かした差別化戦略で、事例企業の魅力を上昇させる方法を考えていくと良いでしょう。

事例3の出題傾向と対策

事例3では生産管理がテーマとなります。

この科目の出題傾向

テーマになるのは生産管理上の課題を抱えている製造業である事が多いです。

事例企業の強み・弱みや課題を明確にする問題や、生産管理の観点から課題解決方法を助言する問題が出題されます。

1次試験の科目では、運営管理で学んだ知識を活用します。

製造業に馴染みの無い場合、難しく感じる感じる方が多いです。

ですが、過去問の傾向から出題内容が大きく変化するケースは少ないため、十分な対策を取れば得点源にしやすい科目とも言えます。

この科目の対策方法

事例3の試験対策のポイントは2点あります。

1点目は、課題に対して適切な改善方法の助言を意識する事です。

生産管理上の課題と言っても、生産計画に問題があるのか、生産工程に問題があるのか、品質やコストに問題があるのか様々です。

企業の課題に沿って効果的な改善策の提案をしていく必要があります。

2点目は、設問ごとの解答に一貫性を持たせる事です。

事例3では設問1で企業の強みや弱みの分析、設問2、3で現在の課題の分析、設問4で課題解決のための新規取り組みの提案、という形で出題される事が多いです。

設問ごとに繋がりを持たせて解答を作成することによって、読みやすく納得感の高い印象を与える事ができます。

事例4の出題傾向と対策

事例4は企業の財務会計がテーマとなります。

この科目の出題傾向

与件文の分量は4つの事例の中で最も少ないです。

ですが、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を読み取る必要があります。

出題される問題は、財務諸表から企業の強みや弱みを分析する問題、CVP分析の問題、投資の経済性の問題などです。

また他の事例と最も性質が異なる点が、数字で解答を出す問題が多いという点です。

明確な解答がある分、他の事例と比較して得点に差が出やすいと言えます。

ですので、入念な対策をする事が望ましいです。

この科目の対策方法

事例4の試験対策のポイントは2点あります。

1点目は、解ける問題の計算ミスをしないようにする事です。

事例4では問1の解答を問2でも使用して計算をするような問題が多く出題されます。

そのため、最初の問題で計算ミスをしてしまうと、芋づる式にその後の問題の計算もズレてしまう事があります。

これを防ぐために、簡単な問題こそ慎重に解いて、ミスをしないようにする事が大切です。

2点目は、分からない問題でも部分点が貰えるような解答を作成する事です。

最終的な答えに辿り着かなくとも、途中式などを解答用紙に記入しておく事で部分点が入る事があります。

1点や2点の差で合格不合格が決まるのが2次試験ですので、合格のために細かい部分点も確実に拾っていく必要があるでしょう。

2次試験の対策をするなら

以上、中小企業診断士2次試験の内容について解説しました。

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