中小企業診断士の2次試験の第4科目目【事例4】は、財務分析を活用して企業の課題や問題点を発見し、改善提案を行う科目です。

経理部に所属している人には有利に働きますが、そうでない人には苦手意識が強い科目といわれています。

しかし、財務分析には確固としたルールがあり、それを習得すれば、逆に得意科目にすることも充分可能です。

ぜひ、このコラムで【事例4】の勉強法のポイントを把握して中小企業診断士2次試験突破を目指しましょう。

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中小企業診断士2次試験における事例4とは

中小企業診断士2次試験の事例4の問題は、企業の経営実態を表した財務諸表(主に貸借対照表、損益計算書)をもとに、現状を分析し、課題を明確にし、経営者に対する改善提案を行う科目です。

業種や業界を問わず、経営レベルのコンサルティングを行う場合は、必ず行われる、非常に実務的な科目であると言えます。

中小企業診断士2次試験における事例4の出題傾向

中小企業診断士2次試験事例4は、以下のような出題形式、出題傾向で出題されます。

事例4の出題傾向

  • ほぼ毎年、大問題4問、小設問6~10問が出題される
  • 内容は、計算問題と論述問題
  • 「財務諸表の計算・分析」、「課題の発見」、「改善提案」の設問パターンが多い

他の事例に比べて、与件の量は少なく(約1ページ)、SWOT分析の作業はあまり多くありません。

2次試験では事例科目ごとの合否は公開されていないため、難易度の数値はわかりませんが、一般的に難易度の高い科目であるといわれています。

繁出テーマは、以下の内容です。

  • 経営分析
  • 設備投資の経済性計算
  • 損益分岐点分析
  • キャッシュフロー計算
  • 企業価値

中小企業診断士試験における事例4の解き方

中小企業診断士2次試験事例4では、特に以下の点に気をつけて解答していきましょう。

①設問の確認

事例問題の共通事項ですが、与件を読む前に、先ずは設問をしっかり読み、頭に入れましょう。

そのことにより、必要な財務分析の範囲がわかり、時間の短縮にも繋がります。

②与件と財務諸表の大まかな確認

事例4の場合、多くの与件は出されませんが、特徴的な部分はアンダーラインをします。

その際、時間が無いため、厳密なSWOT分析は不要です。

その後、財務諸表を概観し、特徴的な数字が無いかチェックします。

③必要な経営指標のスピーディーで正確な計算

設問を再度確認し、必要と思われる財務分析を行います。

その際、設問に無い財務分析は行わないようにします。

計算は正確に行いますが、最後に検算を行うため、何度も計算する必要はありません。

小数点の扱いなどの指定にも注意します。

④設問・計算結果・与件と突き合わせて課題抽出、改善提案

設問で問われる内容と、計算結果と与件が関係しているかどうかをチェックします。

しっかり関係していれば、先ずは解答の方向性は間違っていないことになります。

その確認が取れれば、課題を説明し、改善提案を行います。


その際、課題の説明や改善提案を詳しくし過ぎないことがポイントです。

ここで詳しすぎる説明をしたところで大幅な加点は望めません。

与件や設問に沿っていれば一般的な解答で充分です。

それよりも、設問の意図を外していないか、計算ミスが無いかを再チェックしましょう。

事例4の勉強法のポイント

中小企業診断士2次試験の事例4では、財務諸表の計算が多いと言っても、闇雲に公式を覚えただけでは、時間をロスし、計算自体もミスが多くなり、結果として的を外した改善提案をしてしまいます。


特に財務分析が初めての人が多いわけですから、まずは、じっくりと財務分析の意味を理解することに徹しましょう。

いわば、「急がば回れ作戦」です。

①損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の理解

決算書の中身である、「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」は経営を改善するための重要な情報がちりばめられています。

実務においても経営者からのヒアリングと決算書の分析は必須の作業です。

まずは、この3つの資料の意味をじっくり理解することが先決です。

②経営分析の体系理解

決算書の中身を理解した後は、経営分析の体系を理解します。

経営分析の柱は、「収益性」、「安全性」、「成長性」であり、それらの体系の中に、各種分析公式があります。

それらを測るためのデータとして損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の各データが使われます。

単に公式の暗記ではなく、なぜそれらのデータが使われるのかの意図まで理解しましょう。

③計算公式の理解と活用パターンの準備

各種経営分析手法を理解・暗記したら、分析によって得られる結果に対して、その指標が低下した原因と対処方法を準備しておきます。

例えば、収益性の分析で、売上高対売上総利益率=売上総利益÷売上高×100%ですが、この指標が低下していたり、業界標準より低かったりした場合は、原価が高い場合が考えられ、仕入先を変えることやロスを削減するなどの対策が考えられます。

また、利幅の大きい高付加価値商品を品ぞろえするなどの策もあります。

ここまで準備できていれば、大幅に時間の節約と計算ミスの防止に繋がり、課題の摘出や改善提案まですぐに浮かんでくるようになります。

④出題の趣旨資料の活用

2次試験では、設問ごとに、どんな意図で出題されたのかを記述された資料が、公開されています。

過去問題を解く際に参考にすると、より実践的な力が身に付くでしょう。

【参考】中小企業診断協会 中小企業診断士試験 第2次試験の出題の趣旨

まとめ

中小企業診断士2次試験の事例4の出題傾向や解き方、対策のポイントを見てきましたが、いかがだったでしょうか?

経理などの専門職でなくても対応が可能であることをご理解いただけたと思います。

この科目を強みにして2次試験を突破していきましょう。

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この記事の監修者 hanbaishi

hanbaishi

【保有資格】中小企業診断士

ティ・ビー・シー受験研究会にて中小企業診断士講座の講師を務め、約60名以上の受講生へ指導歴を持つ。

専門学校で経営分野の教員をしながら、中小企業診断士試験の受験生に向けた有益な記事を執筆中。

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