このコラムを読む事で、中小企業診断士2次試験の事例1の概要を理解する事ができます。

中小企業診断士の2次試験は公式の解答や採点基準が出ないため、対策がとりにくいと感じる方が多いと思います。

そんな2次試験の最初の科目である事例1について、出題傾向、解き方、勉強法のポイント等について解説します。

これから2次試験の勉強を開始する方々の参考になれば嬉しいです。

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中小企業診断士2次試験における事例1とは

事例1は年度による難易度のバラツキは少ないものの、他の事例と比較して解答を型にはめにくいため、最も対策が取りにくい科目であると言われています。

まずは、与件文についてです。

与件文の分量は問題用紙2〜3枚程度です。

記載されている内容は、会社の事業、部署構成、人数規模などの基本情報や、創業から現在に至るまでの経緯などについてです。

社長の経歴や考え方について記載されていることもあります。

例年業界は様々ですが、社員数が100名前後の比較的規模の大きめな企業がテーマとなります。

規模が大きくなった事で、それまでのやり方が上手くいかず、組織・人事上の改革が求められているという背景がある企業がテーマとなる傾向です。

続いて設問について説明します。

設問は4〜5問出題されます。

1問あたり100文字から200文字程度で解答を記述していきます。

出題される問題の傾向

また、出題される問題の性質は以下の三点に分かれます。

①過去の状態について問う問題

一つ目は、事例企業の過去の状態について問う問題です。

事例企業の過去の事業が成功した要因や失敗した要因等について診断する問題が出題されます。

与件文の中に答えが書かれているケースが多く、比較的解きやすい問題が多いです。

②事例企業の現在について問う問題

二つ目は、事例企業の現在の状態について問う問題です。

事例企業の強みや弱み、現在抱えている課題について診断する問題が出題されます。

事例企業の過去の経験を踏まえた上で、現状を分析する能力が試されます。

難易度は、中程度です。

③事例企業の未来の状態について問う問題

三つ目は、事例企業の未来の状態について問う問題です。

現在の課題を解決するためにどのような対策をとるべきか助言する問題が出題されます。

与件文の内容に加えて、自身で考えた解決策を提案する必要があるので、難しい問題が多いです。

このような問題がそれぞれ最低1問ずつ、合計4〜5問程度出題されます。

中小企業診断士試験における事例1の解き方のポイント

事例1を解くにあたり、気をつけるべきポイントは二点あります。

組織・人事の問題であることを念頭におく

一点目は組織・人事の問題であることを念頭におくことです。

事例1の解答は組織・人事の観点から作成する必要があります。

例えば、「A社が売上を向上させる方法について助言せよ」という問題があった場合、みなさんならどう考えるでしょうか。

効果的な広告を打つなどのマーケティング的な視点、より付加価値の高い製品を開発するなどの技術的な視点を思い浮かべた方も多いと思います。

ですが、これらのような解答は事例1では得点に繋がりにくい傾向があります。

理由はシンプルで、組織・人事の観点からの助言ではないからです。

上記の設問の場合、「成果主義の導入により、社員のモチベーションを上昇させる」等の組織・人事的視点からの解答が望ましいです。

解答の方向性を間違えないために、解答作成前に組織・人事の問題であることを思い出す必要があります。

問題用紙に「組織人事」とメモしてから解き始めるなど、ちょっとした工夫をしてみても良いでしょう。

朝一番の緊張した状態でも「組織人事」のテーマであることを忘れずに解いていきましょう。

事例企業の過去の経験をもとに強みと弱みを分析する

二点目は事例企業の過去の経験をもとに、強みと弱みの分析をする事です。

事例1では、組織・人事がテーマという性質上、従業員の規模が100名前後と比較的規模が大きめの企業が出題されます。

そのため、事例企業が創業からその規模に成長するまでに20〜30年程度の年月が過ぎている事が多く、その中で様々な成功と失敗を経験しています。

その経験から企業の強みと弱みを明らかにしていきましょう。

過去上手くいっていた事が現在は通用しない理由は何故なのか、自社の強みをどう活かせば現状をより良くできるか、などと事例企業の経営者の立場に立って想像しながら与件文を読み進めていく事で事例企業に対する理解が深まっていく事でしょう。

事例1の勉強法のポイント

事例1を攻略するために、必要な勉強は二点あります。

解答に使用する問題解決の流れを予め用意しておく

一点目は、解答に使用する問題解決の流れをあらかじめ用意しておく事です。

例年、事例1では企業が今後取り組むべき事柄について助言をする問題が出題されます。

その問題の解答をスムーズに作成するために、以下の三つの知識を流れごと頭の中に入れておくと便利です。

①「企業が抱える組織・人事上の問題」

②「問題を解決するための施策」

③「施策を講じることで得られる効果」

です。

これらを過去問から抽出し、自分自身の言葉で記述できるように練習しておきます。

イメージは以下のようになります。①の問題は「部署ごとの衝突の発生」、②の施策は「社員のジョブローテーション」、③の効果は「部署ごとのコミュニケーションの活性化」。

あらゆる問題に対応できるように、ノートや単語カードを使用して、上記のような流れをたくさん頭に入れておきましょう。

そうすることで、与件文に情報が少ない問題でも、スムーズに解答が作成できるようになります。

過去問を繰り返し解き、文章を他人に読んでもらう

二点目は、過去問を繰り返し解き、その都度文章を他人に読んでもらうことです。

これは、アウトプットの精度を上げていく練習になります。

2次試験は時間制限がある中で、決められた文字数の中に解答を収めなければなりません。

慣れないうちは、頭の中で考えている事が上手く文章にできず、自分自身では理解できても第三者から見ると分かりにくい文章になる事が多いです。

それを改善するために、友人や家族の協力を仰ぎ、初見でも文章の意味が伝わるかどうかチェックして貰うと良いでしょう。

それを繰り返していくうちに、自分でも書きやすく、他人にも伝わりやすい解答が作成できるようになっていきます。

まとめ

今回は中小企業診断士2次試験の事例1についてまとめました。

2次試験も試験の性質を理解した上で自分に合った方法で勉強を繰り返していけば、必ず合格点にたどり着けます。

今回の記事が少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

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