中小企業診断士試験は幅広い分野から出題されるので科目数も多く、沢山の勉強が必要です。

そのため受験生の便宜となるよう、中小企業診断士試験の1次試験では「科目免除制度」を設けており、特定の条件に該当する人は科目免除を受けることができます。

この制度を活用できれば、合格にぐっと近づくのではないでしょうか。

そこで、科目免除制度について幅広く説明します。

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中小企業診断士1次試験の科目免除とは?わかりやすく解説

中小企業診断士1次試験の科目免除とは、特定の資格や条件を満たすことにより、本来受験する必要のある科目を免除される制度です。

中小企業診断士1次試験の受験科目は全部で7科目あります。

科目免除はこのうち特定の科目の受験を免除されるので、他の試験科目に集中できるというメリットがあります。

科目免除になる条件は、

①経済学の大学教員や公認会計士など、特定の資格保有や条件を満たすことによる免除

②以前の1次試験で科目合格を果たしたことによる免除

いずれかを満たしている必要があります。以下にて詳しくみていきます。

科目免除の対象科目は?

資格を持っていることで免除される1次試験の科目は「財務・会計」「経済学・経済政策」「経営法務」「経営情報システム」の4つです。

また科目合格した場合は、合格した年度を含め、3年間その科目が免除となります。

『科目合格による免除』は資格などの必要がなく、誰でも利用できるので科目免除を狙う際にはこちらを積極的に活用していくと良いでしょう。

中小企業診断士1次試験の試験科目は、マークシートによる択一式試験となっており、試験科目は以下のとおりです。

試験科目試験時間配点
経済学・経済政策60分100点
財務・会計60分100点
企業経営理論90分100点
運営管理 ( オペレーション・マネジメント )90分100点
経営法務60分100点
経営情報システム60分100点
中小企業経営・中小企業政策90分100点

資格保有で免除される科目

資格を持っていることで免除される一次試験の科目は、以下の4つです。

  • 財務・会計
  • 経済学・経済政策
  • 経営法務
  • 経営情報システム

以下で各科目の免除対象となっている資格について、解説します。

財務・会計が免除になる資格

以下の資格がある人は、財務や会計分野に対し深い知識を有しているため、財務・会計科目が免除となります。

  • 公認会計士、公認会計士試験合格者
  • 会計士補、会計士補となる有資格者
  • 税理士、税理士試験合格者、税理士試験免除者
  • 弁護士または弁護士となる資格を有する者

経済学・経済政策が免除になる資格

以下の資格がある人は、経済学や経済政策に対する造詣が深いため、経済学・経済政策の科目が免除となります。

  • 通算3年以上勤務する大学等の経済学の教授及び准教授・旧助教授
  • 経済学博士
  • 公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者
  • 不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者、不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者

経営法務が免除になる資格

以下の資格がある人は、会社法など一定の法務についての知識があるため、経営法務科目が免除となります。

  • 弁護士
  • 司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者

経営情報システムが免除になる資格

以下の資格がある人は、情報に関する知識が豊富で、経営情報に精通しているため、経営情報システム科目が免除されます。

  • 技術士(情報工学部門登録者に限る)、技術士となる資格を有する者
  • 次の区分の情報処理技術者試験合格者
    →ITストラテジスト
    →システムアーキテクト
    →応用情報技術者
    →システムアナリスト
    →アプリケーションエンジニア
    →システム監査
    →プロジェクトマネージャー
    →ソフトウェア開発
    →第1種
    →情報処理システム監査
    →特種

科目合格による免除

科目合格による免除とは、各科目の配点(100点満点)のうち、60%以上(60点以上)をとれば科目合格となり、以後2年間の1次試験では当該科目の受験が免除されるという制度です。

  • 科目合格は科目合格した年度を含め3年間有効
  • 申請することで科目合格した試験の受験を免除される
  • 1次試験に合格すると、科目申請の免除申請資格はなくなる、

科目免除により、受験する科目が減少するので、科目免除を受けていない科目に集中して勉強できるというメリットがあります。

科目免除の有効期限

次に、資格保有による科目免除と科目合格による科目免除、それぞれの有効期限について見ていきます。

①資格保有による科目免除

資格保有による科目免除は生涯にわたり利用することができます。

②科目合格による科目免除

科目合格による科目免除の有効期限は、科目合格した年度を含め3年間となります。

そのため、翌年の1次試験及び翌々年の1次試験の2年間に限り科目免除を利用することができます。

また、科目合格を利用して1次試験に合格するとそれまでの科目合格による科目免除の申請資格はなくなります。

科目免除の申請方法

次に、科目免除の申請方法について述べていきます。

資格保有による科目免除の申請方法

資格保有による科目免除の場合、以下の表にあるような例示書類のうち1つを提出することが必要です。

他資格等保有による科目免除対象者 証明する書類の例
公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補と なる有資格者 登録証明書
公認会計士試験合格証書
旧公認会計士試験第2次試験合格証明書
税理士、税理士試験合格者、税理士試験免除者、弁護士または弁護士となる資格を有する者 登録証明書
税理士証票
税理士試験合格証書
税理士試験免除決定通知書
弁護士名簿登録通知
所属弁護士会発行の身分証明書
(有効期間内のものに限る)
司法試験合格証書と司法修習終了書
算3年以上勤務する大学等の経済学の教授及び准教授・旧助教授 在職証明書(在職期間を記載)および講義概要
経済学博士 経済学博士の証明書
公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者 経済学を受験して合格したことが分かる合格証明書
不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者、不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者 登録証明書・登録通知書
不動産鑑定士試験合格証書
弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者 弁護士名簿登録通知
所属弁護士会発行の身分証明書 (有効期間内のものに限る)
司法試験合格証書
技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 技術士登録証
技術士試験合格証書
次の区分の情報処理技術者試験合格者
(IT ストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種)
情報処理技術者試験合格証書
情報処理技術者試験合格証明書

科目合格による科目免除の申請方法

こちらの場合、受験申込み時に記載する「受験申込書」の免除申請欄に、科目免除コード番号と科目合格した年度の受験番号を記入することで科目免除を受けることができます。

科目免除コードは受験案内に記載があり、すぐに記載することができます。

一方、過去に受験した受験番号も必要です。

そのため、科目免除を利用しようと考えている人は受験番号を予め控えておくなどして備えましょう。

また、こちらの場合には①のような資格証明書類の提出は必要ありません。

1次試験の科目免除にならない資格

以下のような資格を保持していても、科目免除にはなりません。

  • ファイナンシャルプランナー(FP)
  • ITパスポート
  • 基本情報技術者試験(FE)
  • 宅地建物取引士(宅建士)
  • 行政書士

上記の資格は、一次試験の科目と関連性のある内容もありますが、科目免除の対象外です。

例えば、FPの知識は主に個人資産管理に特化しており、宅建士の知識も不動産に限られています。

中小企業診断士は経営全体を診断するスキルや幅広い知識が求められるため、これらの知識だけでは十分にカバーできません。

そのため、科目免除の免除の対象外となっています。

まとめ

以上、科目免除についての説明でした。この説明をまとめると、以下の点に集約されます。

  • 中小企業診断士試験1次試験の科目免除は、特定の科目を免除する制度で、科目を受験する必要がなくなる
  • 科目免除は特定の資格保有や条件を満たしている場合と科目合格を果たしている場合に認められる
  • 資格保有による科目免除の有効期限はない、科目合格による科目免除の有効期限は科目合格した年を含めて3年間の有効期限がある
  • 資格保有による科目免除の場合には証明する書類、科目合格による科目免除の場合には受験申込書に免除コードと科目合格した年の受験番号が必要

科目免除を利用するメリットも大きく、特に科目合格では他の試験に合格することなどの必要がないので、積極的に活用していきたいですね。

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