中小企業診断士の1次試験における「経済学・経済政策」科目について、学生時代は専攻外だった人や、仕事上馴染みのない人などは、どう攻略したらよいか迷っているのではないでしょうか。

このコラムでは、「経済学・経済政策」の概要と出題傾向、難易度、合格点を獲得するための勉強法のポイントをご紹介します。

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中小企業診断士試験における経済学・経済政策の概要

経済学・経済政策は、中小企業診断士試験における1次試験の科目のひとつです。

経済学・経済政策とは

経済学・経済政策は、大きくマクロ経済(日本や国際単位の経済動向)と、ミクロ経済(消費者と企業の間の経済)にテーマ分類されます。

【マクロ経済】

⑴国民経済計算の基本的概念
⑵主要経済指標の読み方
⑶財政政策と金融政策
⑷国際収支と為替相場
⑸主要経済理論

【ミクロ経済】

⑹市場メカニズム
⑺市場と組織の経済学
⑻消費者行動と需要曲線
⑼企業行動と供給曲線
⑽産業組織と競争促進

マクロ経済は国全体や世界での経済動向です。

ミクロ経済は消費者と企業との経済活動と言えます。

これらの経済動向のうち、特にマクロ経済の動向は、一企業でどうこう出来るものではありません。

企業の今後の行く末に大きく影響を与える事柄ですが、「コントロールは出来ない」という特徴を持っています。

そのため、中小企業診断士がその動きを早くキャッチし、コンサルティング先企業にいち早く対処方法をアドバイス出来るようになる必要があるため、この科目は存在しています。

出題形式と配点

経済学・経済政策は、以下の仕様で出題されます。

  • 初日の最初の科目
  • 試験時間は60分
  • 択一マークシート形式(四肢または五肢択一式)
  • 問題数が少ない→ケアレスミスが命取り

最近は21~23問と特に少ない傾向にあります。

1問当たり約4.4点になります。

初日の最初の科目ということもあり、実力がある人でも、焦ってミスが多いと足切りの可能性も出てきます。

出題の傾向

出題の傾向としては、以下のような問題が出される傾向になっています。

  • ベーシックな理論を問う問題

主要な経済理論をグラフや数式を使った演算問題や、グラフの読み取りが多いのが特徴的です。

  • 経済のトレンド(動向)を問う問題

冒頭の2~5問に集中しているのが、経済動向に関するトレンドな内容の出題です。

  • 経済政策内容を問う問題

国の経済政策の中身や計算方法など、知識があれば解ける問題ですが、範囲が広く細かく問われることが特徴です。

経済学・経済政策は難しい?合格率を解説

令和6年度試験の経済学・経済政策の合格率は、14.3%です。

経済学・経済政策の過去の合格率を見ると、令和3年度までは20%台と安定的に高い合格率で推移していましたが、令和4年度以降10%台になっており、難易度が上がっています。

年度合格率
令和6年度14.3%
令和5年度13.1%
令和4年度10.5%
令和3年度21.1%
令和2年度23.5%
令和元年度25.8%
平成30年度26.4%
平成29年度23.4%

参考:中小企業診断士試験 過去の試験結果・統計資料

経済学・経済政策は多くの人に難しい科目と認識されていますが、他の科目に比べて出題範囲は狭く、頻出問題も多いため、難しくても対策は立てやすい科目であるとも言えるでしょう。

また、学習当初は理解することに苦労する人が多いですが、理論的な内容であるため、一度理解してしまえば安定して得点できるという特徴もあります。

二次試験の事例問題は、経済学・経済政策とは関連性が低いため、二次試験対策として意識する必要はありません。

経済・経済政策の勉強法

経済学・経済政策には以下のような勉強法があります。

  • ベーシック理論の理解で70点を目指す
  • アウトプット中心の学習法
  • ③経済・政策動向のトレンドは日本経済新聞で掴む

①ベーシック理論の理解で70点を目指す

受験生にとって最も難解なのが、主要な経済理論です。まずは、出題頻度の高いテーマからじっくりと学習することが必要です。

経済政策と絡めて応用的に出題することも多く、しっかりとした理解が必要です。

テキストだけでなく、YouTubeなどの動画素材から「聞きながら学ぶ」方法も有効です。

②アウトプット中心の学習法

理論の学習には手作業が重要です。頭で理解するだけでなく、必ず自分の手で作図し、その理論を体感しながら理解していきましょう

そうすると「腑に落ちる」という状態になります。

そして、一つの理論の一通りの理解が済んだら(完璧でなくてOK)、解説付きの過去問題を解いてみましょう。

その際、作図や計算過程の記述など、手作業をしっかりと記録に残しながら、問題にチャレンジしましょう。ミスや理解不足のポイントが見えてきます。

③経済・政策動向のトレンドは日本経済新聞で掴む

経済・政策動向は日経新聞から視覚でインプットする方法が有効です。分かりやすいグラフや用語の解説記事を利用します。

日経新聞は毎日じっくり読むことが理想ですが、仕事をしながらチャレンジする多くの受験生には難しいものです。

出題テーマに関する記事を発見したら切り取って日付を記入し、一旦テーマ別のフォルダに入れておき、時間がある時にじっくりと理解する方法がおすすめです。

日経新聞は毎日読むことをおすすめしますが、コストも掛かります。そんな方には、図書館に収蔵されている縮刷版がおすすめです。

1ヶ月単位に圧縮された本になっているため、時間が無い受験生にもおすすめです。

また、日経電子版の無料会員になると、1ヶ月10記事まで無料でダウンロードもできます。

まとめ

中小企業診断士の経済学・経済政策は、一見とっつきにくい科目に思えますが、対策次第では1次試験合格に貢献してくれる科目であることがお分かりいただけたと思います。

ぜひ効率よく学習して1次試験を突破しましょう。

関連コラム:中小企業診断士は独学だと無理?独学だと難しいのはこんな人

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この記事の監修者:三戸部裕司 講師

三戸部 裕司

2015年 国家総合職試験合格
2016年 東京大学 教育学部卒業
2022年 中小企業診断士試験合格
自身も働きながら中小企業診断士試験に合格。
その経験を元に社会人でも合格可能な、効率的で無駄のない講座を実施している。

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