【司法試験予備試験】短答式試験における商法の特徴

短答式試験の商法では,会社法を中心として,手形・小切手法,商法総則・商行為法の分野から出題されます。

商法は全部で15問出題され、会社法分野から11問、商法総則・商行為法分野から2問、手形・小切手法分野から2問という構成が多いです。

そのため、商法で合格点を取るためには,まず会社法分野についての対策に時間を割く必要があります。
商法の出題は条文知識が中心となるため、条文を理解することが最優先の課題となります。

条文を理解するためには以下のような観点をもって過去問に取り組むことをお勧めします。

※関連コラム:司法試験・予備試験の短答式試験の勉強法(総論)

【司法試験予備試験】短答式試験における商法の勉強法

1 引っかけのポイントを六法にマーク

例えば予H30-16の肢1は
発起人が2人以上ある場合において,そのうちの1人を発起人総代に選定したときは,定款には,当該発起人総代のみの署名又は記名押印があれば足りる。
というものでした。

この肢は誤りです。

どこが誤りかというと
26 条1項は「株式会社を設立するには,発起人が定款を作成し,その全員がこれに署名し,又は記名押印しなければならない」と規定しており、発起人総代のみの署名又は記名押印があれば足りるわけではなく,発起人全員の署名又は記名押印が必要であるからです。

この問題を解いたあとに、ご自身の六法の会社法26条1項「その全員」部分にマーカーなどを引いておけば、今後六法を引いたときに、「この部分短答で引っかけられたな」という記憶が呼び起されるのでお勧めです。

2 制度趣旨を理解する

短答式の勉強ではひとまず過去問を3周ほど回すことが大切ですが、その中で「どうしても覚えられない知識」は必ず出てきます。

どうしても覚えられない知識は過去問を繰り返すだけでは記憶に残すことはできないため、制度趣旨を理解し記憶する作業をする必要があります。

例えば司H18-44の肢1は
会社法上の公開会社においては,定款の定めによっても,取締役の資格を株主に限定することができない。
というものでした。

この肢は正解です。

その理由は
会社法331 条2項は,「株式会社は,取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし,公開会社でない株式会社においては,この限りでない」と規定しているからです。

この知識を単に「あー条文にはこう書いてあるのか」とだけ確認して次の問題にいくのと、「なぜ公開会社においては定款の定めによって取締役の資格を株主に限定することができないんだろう」という点を基本書等で調べるのでは理解に大きく差がでます。

ここでのポイントはすべての知識について調べる作業をするのではなく、何回繰り返しても記憶できない知識に限って調べる作業をするという点です。

すべてを調べていると時間がいくらあっても足りませんが、過去問を3周した段階でも記憶できない知識は一定範囲に絞られているはずなので、その点に絞って調べる作業をすれば時間も圧縮できます。

3 まとめ

以上のとおり、商法の短答は沢山の条文をどのような方法で記憶に残していくかが勝負になります。

上記にあげた方法以外にも各自工夫をして知識の習得に励んでほしいと思います。

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この記事の著者 富川 純樹 講師

富川 純樹 講師


関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。


アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。


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Twitter:@dsx79079

 

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