予備試験ルートの5つのメリットと2つのデメリット
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司法試験を受験するためのルートの1つに「予備試験ルート」があります。
本ページでは、「予備試験ルート」のメリットとして以下の5点をご紹介します。
- 試験制度・科目の共通性
- 司法試験の合格率
- 属性を問わず受験が可能
- 選択肢が広がる
- 大手事務所には予備試験合格者が多い
また、「予備試験ルート」にはメリットだけでなく、デメリットもありますので、その点についても解説します。
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①試験制度・科目の共通性
予備試験の制度や科目は司法試験と共通している部分が多いため、予備試験対策が司法試験対策に直結します。
1 制度の共通点
予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述式試験から構成されます。
司法試験は短答式試験、論文式試験から構成されます。
以上から、予備試験と司法試験の制度に共通性があることが分かります。
2 科目の共通性
(1)短答式試験
予備試験の短答式試験は、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、憲法、行政法、一般教養から出題されます。
司法試験の短答式試験は、民法、刑法、憲法から出題されます。
(2)論文式
予備試験の論文式試験は、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、憲法、行政法、選択科目、法律実務基礎科目(民事・刑事)から出題されます。
司法試験の論文式試験は、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、憲法、行政法、選択科目から出題されます。
(3)まとめ
以上より、司法試験で出題される科目はすべて予備試験で出題される科目であるため、予備試験の対策は、そのまま司法試験の対策にもなります。
①司法試験の合格率が高い
①とも繋がりますが、予備試験ルートで司法試験を受験した方の司法試験合格率は、非常に高いものとなっています(例年は70%~90%程度)。
2023年(令和5年)司法試験における、予備試験合格者の司法試験合格率は92.6%です。
これは予備試験対策が、司法試験対策にもなっていることを示すとともに、予備試験を突破する実力があれば、かなりの確率で司法試験にも合格できることをあらわしています。
令和5年度司法試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
予備試験合格者 | 353 | 327 | 92.6% |
京都大法科大学院 | 275 | 188 | 68.4% |
東京大法科大学院 | 315 | 186 | 59.0% |
一橋大法科大学院 | 180 | 121 | 67.2% |
慶應義塾大法科大学院 | 310 | 186 | 60.0% |
※参考:司法試験の結果について
③属性を問わず受験が可能
司法試験の受験資格を取得するためには、「予備試験に合格する」か「法科大学院に進学し修了等の一定要件を満たす」必要があります。
法科大学院は基本的に日中に授業があるため、社会人にとっては進学のハードルが高くなっています。
予備試験は、社会人として働きながら受験が可能であるため、属性を問わず受験可能な点は予備試験のメリットといえるでしょう。
④選択肢が広がる
予備試験には受験資格がないため、大学1年生や2年生から受験することができます。
予備試験の対策は、法科大学院入試や公務員試験対策にも通じる部分があります。
学部の早い段階から予備試験の学習を進めておけば、仮に合格できなかったとしても、その後「法科大学院ルート」や「公務員試験ルート」に方向転換をすることが容易です。
この点は、大学生や高校生が予備試験を受験する際のメリットになるでしょう。
⑤大手事務所には予備試験合格者が多い
下記表のように、いわゆる5大法律事務所と呼ばれる大手事務所には、多くの予備試験合格者が採用されています。
大手事務所への就職を検討されているなら、予備試験ルートは有力な選択肢となりえるでしょう。
事務所名・採用人数 | 予備試験合格者 | 東京大学法科 | 早稲田大学法科 | 慶應義塾大法科 | 京都大学法科 |
---|---|---|---|---|---|
西村あさひ(46人) | 67.4% | 28.3% | 0% | 0% | 0% |
アンダーソン・毛利・友常(36人) | 36.1% | 44.4% | 2.8% | 5.6% | 8.3% |
森・濱田松本(34人) | 67.6% | 11.8% | 5.9% | 2.9% | 2.9% |
長島・大野・常松(46人) | 41.3% | 30.4% | 4.3% | 15.6% | 6.5% |
TMI総合(32人) | 25.0% | 15.6% | 6.3% | 15.6% | 6.3% |
※参考:主要法律事務所研究(71期)
※関連コラム:予備試験とは?司法試験との違いを図表とともに解説
予備試験ルートのデメリット
1 合格率の低さ
予備試験は、合格率が4%前後の狭き門です。
そのため、合格するのに2年以上かかり、「これなら法科大学院行った方が早かったのではないか」という場合も少なくないでしょう。
そのため、ご自身が置かれた状況(属性や経済状況)に応じて適切なルートを選択することをお勧めします。
2 学習の方向性を定めにくい
予備試験は、基本的に独学となるため、正しい学習の方向性を掴みにくいというデメリットがあります。
予備校を利用していたとしても、オンライン学習が中心であるため、気軽に勉強方法や教材について相談できる環境は少ないと思われます。
この点は、対面指導がある予備校を利用するなど、適宜学習の方向性が正しいかを確認できる環境を作っておくことをお勧めします。
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富川 純樹 講師
関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。
アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。
富川講師の紹介はこちら
Twitter:@dsx79079